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睡眠の科学と中医学

こんにちは、櫻井です。今日は皆さんもとっても大好きな「睡眠」についてお話したいと思います。
 

 睡眠不足


睡眠時間が足りないと次の日は頭も働かず仕事も勉強もはかどりませんよね。何よりもとにかくちょっとした拍子に眠気が襲ってきて、それどころじゃなくなりますね。でも、、面白い番組もあるし、ネットも見たいし、帰ってそんなにすぐに眠れないし、大体毎日が睡眠不足状態。まぁそんなの普通だし、みんなそうでしょ?? そんな方はとても多いのではないのでしょうか。しかし、睡眠不足を侮るなかれ。アメリカで起きた有名なスリーマイル原子力発電所のメルトダウン事故も、チェルノブイリの原発事故も、スペースシャトルチャレンジャーの爆発事故も、睡眠不足が原因の可能性があると言われています。
厚生労働省の調査によると、女性で約40%、男性で約33%、全体でいうと、なんと3分の1以上の人が睡眠に関するトラブルを経験したことがあるとこたえています。また現代人の5人に1人が睡眠に関する悩みを抱えていることもわかっています。
睡眠不足は突然の急激な眠気、集中力・判断力の欠如、注意力の散漫、意欲の低下、反応の低下、不快感、疲労感、落ち着きのなさ、イライラ、協調性の欠如、倦怠感などなど、睡眠不足が引き起こす症状を上げればきりがありません。さらに睡眠中には、成長ホルモンが分泌され、身体や頭の疲れをとるばかりでなく、綺麗な肌作りやダイエットにも関わってきます。
 



レム睡眠とノンレム睡眠


眠ったのに、睡眠時間を十分にとったのに疲れが取れない。そんな経験があるかたは多いと思います。眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠の二つの睡眠状態があり、それぞれが異なった疲れをとる役割を持っています。ノンレム睡眠では細胞を修復し、脳の回復や修復を行い、レム睡眠では、筋肉を緩め、身体の疲れをとっています。どちらが足りなくても睡眠の充足感を得られません。
 レム睡眠とは、急速眼球運動(Rapid Eye Movement)を伴う睡眠のことで、身体はぐったりと休息状態にあるのに対し、脳は覚醒に近い状態にあり、夢を見ていることが多い睡眠です。ノンレム睡眠とは、急速眼球運動を伴わない(Non Rapid Eye Movement)睡眠で、レム睡眠ではない睡眠という意味です。これは、いわゆる安らかな眠りで、人では、このノンレム睡眠を、寝入りばなのまどろみから、深い熟睡状態の睡眠まで、脳波の状態をもとに、その深さによって4つの段階に分けることが出来ます。1から4と段階が進むほど深い眠りをあらわします。健全な大人では、ノンレム睡眠の第1段階から始まり、まどろみ状態から一気に第4段階目の深い睡眠へと落ち、90分後にレム睡眠が現れます。この90分周期が6時間前後の睡眠だと一晩で約4回現れることになります。
脳の細胞を修復するための成長ホルモンは、この4周期の内の一番初め、第一周期にあるノンレム睡眠の第3段階と第4段階にまとまって分泌されます。よって、良い睡眠、頭がすっきりする睡眠がとれる人というのは、寝入りばなから一気に深い眠りに到達できる状態の人で、悪い睡眠、寝ても頭がすっきりしない、ぐっすり眠った気がしないという人は、第一周期の睡眠が浅く(第3段階、第4段階まで到達できていない睡眠)、脳の細胞修復のための成長ホルモンが十分に分泌されておらず、脳の細胞修復が出来ていない人といえます。
頭をスッキリさせる睡眠をとるには、寝はじめからの90分間がとっても大切なんです。
 
一方、レム睡眠では、身体の筋肉の緊張がゆるまり、血流も良くなって、老廃物の回収など、新陳代謝がよくなって、体の疲れが取れます。そして脳ではレム睡眠時に、ようするに夢を見ているときに、記憶の整理を行っているので、レム睡眠がしっかりとれると、気持ちや心が整理されます。私たちは眠ることで、厳密にいうと、レム睡眠をとることで、記憶を整理し、定着させています。この作業が行われないと、覚えておかなくてはいけないことを覚えられず、忘れたいことも忘れることが出来ず、過度なストレス状態となってしまいます。必要なこと、覚えておかなくてはいけないことは睡眠をとることで定着し、つらい記憶、嫌な記憶というのは睡眠をとることで忘れられるのです。
このように、ノンレム睡眠では成長ホルモンが分泌され、脳の細胞が修復され、頭の疲れが取れます。そしてレム睡眠では、筋肉がゆるまり、身体の疲れがとれると同時に、記憶の整理を行うことで、ストレスの軽減を計っています
 


 

睡眠導入剤では良い睡眠は得られない


「週末はゆっくり時間が取れるので、睡眠導入剤を使ってしっかり寝るようにしています」。 そういう方は意外にも多いかもしれません。私も睡眠のご相談を受けるときに時によく耳にする言葉です。確かに次の日、仕事や学校がある日は悶々と眠れず、導入剤の影響による次の日のだるさの心配から解放され、休みの日ぐらいはゆっくり寝たいと思うのは致し方ないというのは理解しています。しかし、睡眠導入剤での眠りというのは、自然な眠りとは違い、深い眠りのノンレム睡眠第3段階、第4段階が少なくなります。ということは、脳の修復のための成長ホルモンがしっかり分泌されていない可能性があります。さらに、睡眠導入剤を飲むと、記憶の整理をしているレム睡眠も減ってしまうことも明らかになっているので、睡眠導入剤を服用した睡眠というのは、残念ながら良い睡眠とは言えません。
 お肌をきれいに保っているのもこの成長ホルモンの作用です。タンパク質の代謝、古い細胞を新しい細胞へ入れ替えるのも、成長ホルモンが無くてはできません。そして、脂肪の代謝にも成長ホルモンが関わっています。美肌も肥満防止にも、良い睡眠は欠かせません。



中医学で睡眠


人の体は、自然が持つ一日の陰陽の変化に対応していると中医学では考えています。陽気が優勢な日中は活動的になり、陰気が優勢な夜には、睡眠をとる。これが自然なリズムだと考えているわけです。
このリズムを維持するためには陰気と陽気、両方の気が充実していることが肝心です。どちらかが多すぎたり少なすぎたりすると、一方の勢いを抑えきれません。霊枢には、「陽氣盛則瞋目.陰氣盛則瞑目.」(陽気が盛んであれば、目はすっきり見開き、陰気が盛んであれば、瞼は重くなり閉じる)と書かれています。陰気が少なすぎたり、陽気が強すぎたりすると、眠りが浅くなり、酷い場合は、不眠になったりします。逆に陽気が弱すぎたり、陰気が強すぎたりする場合は、ちゃんと睡眠をとっているのに昼間眠たくなったりします。そして素問には、「人臥.血歸於肝.肝受血而能視.」(人は横になると、血は肝に帰る。起きているときは血が働き、良く見えるようになる)。と書かれています。起きているときに血は身体の各部で働き、それが肝にもどり休まることで睡眠できるようになります。血を消耗し、肝に血が十分に満たされないと、不眠になります。陰気の不足、陽気の過剰な状態、そして血の不足が不眠に繋がります。
 

 


 

中医学で不眠対策


中医学では不眠に対し、入眠が困難な場合と、熟睡が出来ない場合、そして早朝に覚醒してしまうタイプなどに分けて対策しています。
入眠が困難な場合は、陽気が強すぎ、頭がさえてしまっている状態と考えます。のぼせを伴う場合は、熱をとる処方を中心に考え、不安や震え、興奮を感じる場合は、陽気を鎮める・抑制する処方を考えます。目がさえてしまう状態や疲労からくるものは、血を補い疲労をとる処方を選びます。
熟睡が出来ない場合で、不安や興奮を感じるときはこれも抑制するタイプの処方を選択します。血虚症状(冷え、便秘、乾燥、落ち込み)がみられる場合は、血を補う処方を中心に選択します。ストレスなどで気の巡りが悪くなっている場合は、気を巡らすことで症状を緩和するものを選択します。
早朝に目が覚めてしまう方で、頭重感やめまいを感じる場合は、余分な水分を排泄できる漢方を。足腰の疲れや、だるさ、加齢などが原因の場合は、生命エネルギーの源である腎の機能低下が考えられるので、腎を補い、しっかり眠るためのエネルギーを補うものをそれぞれ選択します。
 
心を安定させる力をもつ食材は小麦、わらび、春菊、百合根、山芋、蓮の実、梅、桃、ライチ、ナツメ、 酸棗仁、龍眼肉、鶏卵、牡蛎、鮑、椎茸、豚ハツ等があります。
 


 
夜眠るときは、母親の胎内にいるような姿勢、要するに横向きで寝るのが良いそうですよ。心臓も圧迫されず。胃腸も動きやすく、全身がリラックスしやすいので、身体の隅々まで酸素や栄養素がいきわたるからだそうです。体の筋肉をほぐし、適度に温めて眠り安くしてあげるには、ちょっと早めの入浴もおススメです。その時には好きな香りのアロマを使うとさらに効果的ですよ。よい睡眠は体の為でだけでなく、心にとっても欠かせないものです。毎日できれば12時前の入眠を心がけたいものですね。心と体の健康のためにもしっかり眠って、心地よい朝を迎えましょう。

2014/02/27

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