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「やかん」や「へそくり」も??【言葉に残る漢方の記憶】

こんにちは、店長の櫻井です。
漢方」というと相変わらずなんだか小難しい感じがしますよね。でも生姜やみかんの皮、菊の花なんて言うのも漢方生薬の一つだったりして、実は私たちの生活のすぐそばにそれらは有ります。今では忘れられていることもたくさんありますが、まだまだ西洋医学や西洋薬というものが無かったころは、生薬や漢方は私たちの生活にもっと身近な存在でした。そんな名残が、今でも私たちが普段何気なく使っている言葉に色濃く残っています。

A special Chinese medicinal mix of 9 herbs, roots and such
A special Chinese medicinal mix of 9 herbs, roots and such / Uncleweed


 
例えば、みなさんご存知の「五臓六腑」という言葉は、元々漢方医学の五臓である肝、心、脾、肺、腎六腑胆、小腸、胃、大腸、膀胱と三焦の事を指しており、西洋医学の内臓とはちょっと違ったものになります。
やかん」なんていうのも実は漢方の言葉。やかんは漢字で「薬缶」と書きます。そうです。薬を作る缶なんです。元々は薬鑵(やっかん)と書いて、薬を煎じるのに使われていた道具を指した言葉なんです。
 

Kettle
Kettle / mrhayata


 
倹約や内職をして内緒に溜めたお金のことを「へそくり」といいますが、その語源にも漢方が関わっているようです。吐き気や咳・痰をとる「半夏(はんげ)」という生薬があります。サトイモ科のカラズビシャクという、日本のあちこちに自生している植物の根の一部を乾燥させたものなんですが、昔は、この半夏の球根を集めてきれいに洗い乾かしたものを生薬として売って、副収入とすることもあったようです。半夏は、丸い球体で真ん中にくぼみがあり、それが「」にみえたので、「へそ栗」と言われていて、それが「へそくり」の語源になったという説があります。
さらにこの半夏は農業にとってもとても大事な時期を知らせてくれるものだったようです。農業にとって季節の変わり目というのはとても大切なもので、いまほど正確な暦が無かったころは、この半夏が生えてくるのを見て、季節の変わり目を知ったようです。この季節の変わり目を掴むために設けられた暦日はのちに「雑節」といわれ、その一つに、「半夏生(はんげしょう)」という日があります。陽歴で7月2日ぐらいを言うのですが、半夏生とは、半夏が生えだすころのことだそうで、この日までに農作業を終わらせておくという節目だったそうです。地方によってはこの日の天候によってその年の稲の豊凶を占う日でもあり、この日から5日間ほどを農閑期として、やがて来る酷暑の中の農作業をまえに英気を養っていたそうです。 暦がまだ一般的ではない時代では、季節の変化を植物の生育を見て知っていたんですね。
 

農作業
農作業 / タカハシケンタロウ


漢方がなんだか今では新しいもののように感じられますが、昔は当たり前のものだったんですよね。胃腸がわるくなったら当薬(せんぶり)をお茶にしてのんだり、吐き気がするときはショウガを乾燥させたものを湯に入れて飲んだり。寒い時は葛湯をのんだりなどなど。当時最先端だと思われていた、オランダ医学などの西洋の医学も、解剖学にはすぐれていて、外科的手法は卓越したものを持っていましたが、内科疾患に関してはからっきしでした。今ほど西洋薬の種類もあるわけでもなく、当時日本にやってきた西洋医たちも、漢方の力を借りていたようです。ということは、西洋の外科的手法と、漢方の内科的手法が組み合わさった当時の日本の医学というのは、世界にも類を見ないほど最先端だったんでしょうね。


中身が忘れられ、形だけが残っている言葉たちも、そんな遠い昔の繁栄の遺物といえるのかもしれません。今またあのころのように、西洋と東洋の医学のいいとこどりをした最先端の日本の医学の発展を祈るばかりです。
 
 

2014/04/14

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