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薬学講座で学びました。

こんにちは 木梨です。
「勉学の秋」。快晴で行楽日和の日でしたが、先日我が母校の薬学講座に参加し、講義を受けてまいりました。
10時から17時までみっちりのカリキュラムで、その中で私たちに一番関係のある内容を簡単にご紹介します。
 
筑波大学臨床薬剤学教授 本間真人先生による
「漢方エキス製剤の副作用解析」
 
本間先生が所属されている大学病院でとった統計をもとに、漢方エキス製剤で起こる副作用について近年の動向など興味深いお話でした。
 
ここで言う漢方エキス製剤とは、病院やクリニックでドクターが処方する顆粒剤の漢方薬のことですが、いまや8割以上のドクターに処方経験あり、漢方製剤の単独使用はわずか1~6%、ほとんどは何らかの薬剤と併用されています。これだけ現代医療に普及してきた理由として、強力な新薬の副作用軽減や効果の増強、製剤技術の発達で取り扱いが簡便になったこと、作用が穏やかなことなどが考えられます。
 
日本は今や超高齢化社会。漢方製剤を高齢者に使用する頻度が年々増加しており、それに伴い現れる副作用の件数も増えていっています。このような事態はかつて漢方薬が確立された時代には考えられなかった現象です。
 
例えば「抑肝散」(よくかんさん)という漢方製剤はこの10年で高齢者に対してもっとも多く処方されていて、某メーカーの売上額はこの10年で45倍にもなるそうです。「抑肝散」はもともと「小児の夜泣き・疳の虫・ひきつけ」に対する処方ですが、高齢者の認知症の症状緩和に効果があることが明らかになったことで急激に使用頻度が増加しました。
 

 
上グラフ見てわかるように抑肝散は小児に対する使用はほとんどなく大部分は男女とも70歳以上の高齢者が服用しています。
 
また漢方製剤を用いる上で注意が必要なのは甘草の含有量です。
甘草はこれ自身に薬効があることに加えて性質のことなる薬物を調和させる働きがあるため漢方製剤のほとんどに含まれており、この甘草の成分であるグリチルリチンによって特定の副作用が発現します。そのため漢方製剤に含まれる甘草の量はとても重要です。
 

 
 
高齢者は身体の各機能が衰えていることに加えて大人服用量を長期間にわたってのんでいることや、利尿剤やグリチルリチン含有製剤と漢方製剤の併用が副作用を発現するリスクを高めている原因になっているようです。
 
漢方エキス製剤の添付文書をご覧になったことはありますか?
その中の副作用のところに
「間質性肺炎」「肝機能障害・黄疸」「過敏症」「偽アルドステロン症」などの文字が並んでいます。服用するとこれらの症状が出るのか?と心配になってしまいますがこれらの症状が起こる原因を簡単に言いますと
・「間質性肺炎や過敏症」:患者側のアレルギー体質が関与している
・「肝機能障害」:服用量や服用期間のような薬剤の使用方法による
・「偽アルドステロン症」:漢方製剤の多くに含まれる甘草(カンゾウ)という生薬の含有成分グリチルリチンによるもので、甘草の用量が増えれば副作用の発生頻度が高まり多剤併用時は要注意
 
副作用が発現しそれが報告されるたび添付文書の記載内容が改定されています。
 
漢方エキス製剤の副作用を考える場合、薬剤そのものの特徴と使用方法の変化を加味し、さらに調査研究して副作用の発現を明らかにしなければなりません。
 
漢方薬が治療上有効であることは良いことですが、病名に対する処方ではなく患者個々の体質、既往症、併用薬の有無などを精査し薬の服用量や服用期間を細かく調整しながら薬の効果を最大限に、副作用を最小限にすることが今後の課題です。
 
そもそも漢方の源流である「中医学」は、弁病(病気そのものを鑑別)と弁証(個々人の証を鑑別)を結合させ処方を決めます。その原点に立ち返って漢方薬をこれからの医療と人々の健康に役立ててほしいと思います。
 

2014/11/26

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本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
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事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売