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中医学 の記事一覧

体に嬉しい発酵ばなし~お酢~/勝俣薫

こんにちは、勝俣薫です。
夏には疲労回復+サッパリした風味で親しまれるお酢は秋口にも嬉しい身近な発酵食品なので、今回はお酢についてお話します。

作られるようになった歴史は古く、紀元前5,000年頃のメソポタミア南部辺りとされていて、自然界で生まれた塩などを除き、人が作り出す食料品の中では「最古の調味料」とも云われています。
誕生した経緯は農耕の発達によって生まれた果実酒が発端です。果物を保存する手段として、その果実の糖質を酵母がアルコールに変える作用を利用して果実酒が生まれ、その酒を保存しているつもりが、自然に発生した酢酸菌の作用によって酸っぱく変化してしまった事が酢の誕生と考えられています。その発酵する過程は、様々な微生物たちの好みや生命力によって分解され変化していく自然のパワーを感じます。

日本には古墳時代頃、中国からお酒を作る技術と一緒に酢の醸造技術も伝承されました。かなり貴重な調味料だった為、平安時代頃までは貴族の中で大切に扱われ、庶民に広まったのは江戸時代になってからのようです。酢の殺菌効果は冷蔵設備がない時代には、魚や炊いた米などを保存する手段として有難い食材でした。庶民の中ではその技法からお寿司を作り始め、好んで食していた為に広く普及していったようです。

そのおかげで、現在は身近になったお酢の薬膳的な効能としては、免疫力向上・風邪予防、疲労回復、肺を潤す、血行促進などのはたらきがありますので、残暑疲れが残りつつも外気の乾燥が気になり始める秋に嬉しい食材だと思います。

私はこの時期、お酢を利用してリンゴや梨のコンポートを電子レンジで手軽に作ります。

林檎や梨の薬膳的効能は
*咳や痰、のどの渇きなどを改善する
*カラダの余分な熱を冷ます 等

こちらも残暑に嬉しい果物です。簡単なレシピを紹介いたしますので、ご覧いただけましたら幸いです。

2025/09/09

中医学から養生~夏~/加藤百合子

こんにちは 加藤百合子です。

梅雨が開けて、かき氷や氷の入ったジュースが美味しい季節になります。氷はスーパーマーケットで売られるほどに、生活の中で普通に使用できるものです。それは、現代に冷凍技術があり、氷の保存に問題がないからでしょう。

氷を生活へ活用する始まりは、日本書紀にも出てくる第16代仁徳天皇の頃と言わています。氷室という山影の山野に作った深い穴に、その前年12月前後に採取した湖や天然の川の水氷を保存して、翌夏に切り出し、水やお酒に入れて、暑さをしのいだそうです。 奈良県福住は、氷室で有名ですが、20以上氷室があったそうです。これは、大和高原山間部の冷涼な気候で、気温が夏でもやや低く、氷の保存に適したからと言われています。

この氷を献上したことにより、旧暦6月1日は氷室の節句と言われるようになり、氷を口にすると、夏を無事に過ごせると伝えられるようになりました。その後、最初の半年のいろいろな出来事を払い、暑い夏を無事に過ごすという“夏越の祓(はらい)”という解釈もされるようになります。

当時の庶民は、節句の時に、氷を頂けないので、氷のかけらに似たようなもの、例えば、三角のういろうの和菓子や、冬より保存食にしていた餅を薄く切ったへぎ餅を焼いたもの、また、三角形にカットした水無月豆腐 に形を見立てて、全国的に楽しむようになります。現代は、節句にかき氷をふるまう地域もあります。

ういろうの和菓子は私も大好きで、6月中でしたら、和菓子屋さんで購入できます。この文面をご覧頂いている頃は7月の暑い夏の始まりでしょう。夏越の祓として、冷たくした水無月豆腐はいかがでしょう。水無月豆腐は、豆腐を三角に切って、醤油と砂糖の入った寒天で冷やして固める豆腐料理です。私は寒天汁にほんの少しだけショウガ汁を入れたり、だし汁だけの寒天汁で固めた豆腐にポン酢をかけたりするのを好みます。肝脾胃のバランスがとれて、胃腸の弱い方でも、冷たい豆腐を美味しく召し上がれます。

2025/06/30

薬膳ガーデニングのすすめ~フェンネル~/金村瑛美

こんにちは、金村です。
自宅のプランターの一角に、今年もフェンネルが生い茂っています。
上に大きく成長したその姿は立派で嬉しくもありますが、とても嵩張ってきたため、植え替えを考えていました。
ですが、フェンネルは植え替えに弱いことを知り、変わらず定位置で3年目を迎えています。

フェンネルは、セリ科の植物で、最も古くから栽培されているハーブの一つです。
日本では「茴香(ウイキョウ)」の名で知られており、中医学では、その果実(種子)は生薬として利用され、胃痛や胃もたれを伴う胃炎に用いられる「安中散」という漢方薬にも配合されています。
フワフワした細くてやわらかい葉は、「フィッシュハーブ」とも呼ばれ、魚の生臭さを消してくれるため、魚料理によく使われています。

フェンネルは、日当たりと水はけがよく、肥沃な土を好み、葉は4月~11月、種は花後の夏〜秋頃に収穫できます。
いくつかの種類があり、多年草で株元が大きくならないスイートフェンネルや寒さに強いブロンズフェンネル、白く肥大している株元を食用とするフローレンスフェンネルです。

 

薬膳的効能
中薬学の教科書には、フェンネルの種は「気の巡りや胃の働きを良くし、寒邪を外へ追い出し、痛みを止める」と記載されています。
また、フェンネルの葉・鱗茎・種子にアネトールという成分が含まれており、咳止めや去痰、胃の働きを高め、胃酸の分泌を促進する効能があるといわれています。

フェンネルのハーブティー
お茶としては、フェンネルシード(種)が有名ですが、今回は葉がたくさん採れたので乾燥させて保存することにしました。
また、生の葉で入れたお茶は、種や乾燥した葉のお茶に比べてフルーティーで飲みやすいので、そちらもおすすめです。

2025/06/06

体に嬉しい発酵ばなし~塩麹~/勝俣薫

こんにちは、勝俣薫です。

若葉が美しい5月がやって来て、夏の気配も感じる頃になりました。植物が伸び伸び育つ今の時期は、発酵する環境としても良い頃だと思います。

そこで今回は、手作り塩麹を紹介します。

塩麹は様々な料理に使えて栄養成分も豊富な万能調味料です。

作る際に、乾燥麹ならば水で戻した麹に塩と水を加え、毎日かき混ぜるだけなので手軽に始められます。

そして、混ぜる時に味見をするので、最初は強い塩味が調和し穏やかになる過程も楽しめます。(分量等、詳細は写真をご参照ください)

塩麹の代表的な栄養素として、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)とアミラーゼ(デンプン分解酵素)2種類の酵素があります。

これは消化促進して胃腸の負担を軽減し、善玉菌のエサとなるオリゴ糖・食物繊維を生み出すので腸活には嬉しい成分です。

その他、健康維持に必要なタンパク質・ミネラル・ビタミンも豊富に含まれているので、梅雨や夏に向けての身体づくりにもオススメの調味料です。

肉の下味・野菜の即席漬けなど、幅広いお料理に使えて便利です。

2025/05/02

知ってみよう!中医学 ~第5回:気・血・津液~/重原淳一

これまで4回にわたり、整体観念、弁証論治、陰陽論、五行論といった中医学の導入部分についてお話しました。これらは中国古代の自然哲学思想に基づいたもので、概念的な内容が多かったと思います。今回からはリアルな人体の気・血・津液(き・けつ・しんえき)の話にうつります。


これまでのまとめ

整体観念
あらゆるものはひとつに統一され、互いに関連しているという考え方で、人体内部の統一性と、人体と自然界の相互関係のふたつがあります。

弁証論治
お悩みの症状や病気の治療を検討する際に、さまざまな現象(症状)を関連づけて分析し証を導き出し、その証にしたがって治療します。

陰陽論
世の中のすべてのものを、水や物質的なイメージである陰と、火や機能的なイメージである陽に分けて、人体の仕組みや病気のメカニズムを説明したり、治療方法を導き出したりします。

五行論
人体の五臓や関連する器官、物質などの大きなまとまり・システムを「木・火・土・金・水(もく・か・ど・こん・すい)」の5つの要素に分類しています。

 

気・血・津液

人体を構成し、生命活動を維持する基本要素を気・血・津液といいます。

気は原気(げんき)・宗気(そうき)・営気(えいき)・衛気(えき)の4種類があり、それぞれ異なる役割を持って全身に分布しています。たとえば衛気は比較的体表に存在し、外部(の邪気)から体を守ったり、温めたりする役割を担っています。防衛の“衛”の文字からイメージしやすいでしょうか。

血は“脈管内を正常に流れる鉄サビ臭のする赤い液体” とされており、現代でいう血液に近いものです。赤血球とか血小板といった個別の概念は無く、それらの働きを含めて血といいます。このように、中医学と現代医学で似たような言葉でも、完全にイコールではないことが多々あります。中医学において血は、全身を栄養するとともに、精神活動を安定させるはたらきがあるとされています。

津液は、滋潤作用のある正常な体液のうち、血以外のすべての水分を指します。涙、唾液、リンパ液などはすべて津液です。体内に停滞している余分な水分は、痰(たん)、飲(いん)、水(すい)、湿(しつ)と呼び、病理産物として区別しています。ちなみに日本漢方では気血水といって、津液のことを水(すい)と表現しています。

気・血・津液のほかに、精(腎精)という生命活動におけるもっとも根本的な物質があります。成長、発育、生殖などを担っている物質で、老化とともに減少していきます。腎精を補うために、補腎薬と呼ばれる漢方薬を使います。

気・血・津液は相互扶助するとともに、病理的にも影響しやすい関係を持っています。たとえば気の流れと血の流れは同調するため、血流を改善するために気の流れも整える漢方を併用することがあります。

次回は気についてもう少しくわしくみていきましょう。

2025/04/01

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設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売