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季節の薬膳・養生法 の記事一覧

潤いを生み、咳を鎮め、下痢を止める。「梅」の知られざる力

毎日毎日暑いですね。梅雨はいずこへ??っと思っていたら、明日からようやく関東地方も雨が続くようできっと雨を待っていた紫陽花も喜ぶでしょう。まぁそうなったらそうなったで、うっとおしいんですがね。私の地元、北海道では連日35度越えと、日本で一番暑い場所となっております。いやはや、最近の天気はまったくわけがわかりません。
この時期スーパーの野菜コーナーでは、ソラマメが大量に並び、スイカ、ナス、胡瓜など夏の野菜たちで飾られています。その中でもうず高く積まれ、毎年気になってはいるけど、まだ手が出せていないのが「」です。

梅の実 / Fruit of Plum
梅の実 / Fruit of Plum / Dakiny

 

三毒を断つ「梅」の力

梅の原産地は中国の四川省から湖北省あたりとされ、日本には奈良時代に持ち込まれたと考えられています。日本にも、もともと自生していた梅もあったようで、古事記や日本書紀、万葉集などにも登場しており、古くから栽培されていたことがわかります。
古くから梅は健康維持に欠かせない食材でした。戦国時代には、携帯食料として、また、泥水を飲んだ時の感染症の予防として、梅干しの果肉を粒状にしたものがつくられ重宝されていたようです。
梅は三毒を断つ」と言われ(三毒とは、食べ物、血、水の毒の事)、解毒効果、血行促進効果、生水の食あたりを消してくれる効果があります。日の丸弁当しかり、梅のおにぎりしかり、ただおいしくて食欲増進になるだけでなく、殺菌作用も兼ねて、古くから私たちの体を守ってきた食品です。

タイトルなし
タイトルなし / titanium22

疲労回復、殺菌、解毒、梅の栄養

梅の特徴は、なんと言ってもあの独特な酸味。梅と聞くだけで唾液がでてきますよね。あの酸味の主成分はクエン酸を含む有機酸です。特に一番多いクエン酸は、エネルギー代謝に関わり、疲労回復に役立つ他、殺菌作用も強いので、防腐効果や食中毒の予防にも効果があります。クエン酸の他にも、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、などの有機酸を多く含んでおり、これらにも疲労回復や殺菌などの力があります。また整腸効果もあり、新陳代謝を上げてお肌もきれいにしてくれます。
栄養面では、カルシウム、カリウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含んでいます。たとえばリンゴに比べて、梅に含まれるカルシウムは4倍、鉄は6倍も含まれてます。カリウムも身体に溜まった余分な水分を体の外に出してくれる働きもあります。
また、ビタミンA、C、B1、B2も豊富なので、こちらも、疲労回復にはとても有効です。また、これらビタミン類は、紫外線の強い夏場にお肌を守るためにとても重要な役割を担っており、是非取り入れておきたい栄養素です。
 
そして梅は、代表的なアルカリ性食品です。近年、私たちが口にする食品は、野菜や海藻を中心とした和食から、インスタント食品や加工食品、パンや肉など洋食中心の食生活へと変わってきています。これらは「酸性食品」と呼ばれており、私たちの体を流れる体液を酸性化してしまいます。酸性化された体液は、排泄障害や、内臓機能低下などを起こす原因となることが近年の研究でわかっており、人間の体が健康であるためには、体液が弱アルカリ性に保たれている必要があるとされています。梅干しは、酸性に傾いた体液を中和し、弱アルカリ性に傾けてくれる助けをしてくれます

タイトルなし
タイトルなし / tamakisono

中医学から見た梅の力

梅の東洋医学的効能は、唾液を分泌し、口の渇きを止め、肺の機能を回復させて空咳を鎮め、腸の機能を回復させて下痢を止め、虫下しをしてくれます。寒熱はで、冷え症でもほてりの方も食べられます。酸味には収斂作用といって、出過ぎる汗を抑えてくれる力がある反面、寒気を伴うカゼを引いたときなどは、汗を抑えてしまい、治りにくくしてしまいますので、汗をかきにくい方で寒気を伴うカゼを引いた時は、梅干しよりも、ショウガやネギを食べるようにしましょう。

また、梅を焼いて炭にして、すり潰して患部に張りつけることで、傷口の回復が良くなるほか、様々な止血作用があると古典には書かれています。

梅干し umeboshi
梅干し umeboshi / ume-y

梅は、胃腸への刺激がなかなか強い食材でもありますので、夏場、冷たいものを摂りすぎた時や、冷え症の方、小児では控えめに食べるようにしましょう。また、梅の殺菌作用は、生のままより、梅酒や梅干しにするほうが優れています。しかし、梅干しは塩分が多いので高血圧の方は1日2個までにしておいてくださいね。
夏場の食欲低下時、私がおすすめしたいのは、お粥と梅干しです。お米を炊いて多めの水分で薄く延ばしたお粥に梅干しを加えると、それだけで夏場の潤い補給にはもってこいの食事が出来上がります。お米の糖質が体のエネルギーになり、梅干しの塩分が汗で失うミネラルを補給し、酸味が潤いを生んでくれます。また、クエン酸も豊富で、夏バテの予防や、疲労回復にも効果的です。是非、夏バテ時には、冷たい素麺より、温かいお粥と梅干しを思い出してくださいね。

2014/06/04

暑い日の食と養生法

こんにちは。六本木店店長櫻井です。 最近、どうもやる気が出ずブログの更新が滞っております。「あ!これが世間に言われる五月病なのか!?」と思い漢方をせっせと飲んでおります。でも五月病って、新入社員や新学生や、転職や移動など新しい環境に適応できないための適応障害っていうのが定義なので、まったく移動も転職も何もしていない私は、ただの怠け病なのか。。。いやいや、きっと何かあるはずです。漢方を飲みます。
気象庁の発表では、今年はエルニーニョ現象が起こり、冷夏の可能性が高くなっているようですが、もうムシムシと暑い日が出てきますね。暑さにめっぽう強い方もおり、寒いより全然暑い方が良いという意見もありますが、私を含め、たいていの方は暑いの苦手ですよね。過ぎる暑さは、中医学では『暑邪(しょじゃ)』といって、高熱や大量発汗、口渇など激しい熱症状による悪影響を及ぼす自然変化として注意を促しています。

Summer Fun
Summer Fun / gfpeck

夏は暑邪に注意!

湿邪のブログでもお話したように、自然界には風邪(ふうじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・熱邪(ねつじゃ)という六淫邪気(ろくいんじゃき)という6つの病気の原因になりうる環境変化があります。この邪気が口や鼻、そして毛穴などから体内に入り込むことで体内のバランスを崩し、様々な症状を発生させます。
暑邪とは、熱の邪気です。気温の上昇に伴い身体も熱されて体温が上がります。中医学的にいえば、「陽気を高める」と言います。陽気は、気分を高揚させ、熱を生み、身体を一種の興奮状態に持っていくエネルギーなので、活動時には必要ですが、これがずっと昂ったまま、もしくは必要以上に昂ってしまうと、顔の赤みやほてり、喉の渇き、多汗など不快な症状となって現れます。さらにこの熱を逃がそうと汗をかき過ぎると、その汗とともに潤いとエネルギーが奪われ、不眠、寝汗、だるさ、疲れ、吐き気、動悸、いらいら、怒りっぽくなるなどの症状も見られるようになってきます。
 

Remember summer
Remember summer / pouchin

夏の邪気対策

暑邪の襲撃をかわして夏を乗り切るためには、日ごろの養生が大切です。夏は身体の余分な熱を奪う食材たちが旬を迎えるので、トマト、ニガウリ、胡瓜、ナス、トウモロコシ、スイカなどを食べましょう。また暑いからと言って冷たいものを沢山摂ることは避けましょう。冷えた内臓を温めるために熱が発生するので、実は逆効果です。さらに冷たいものは胃腸機能を低下させ、エネルギーを生み出す力を低下させるので、夏バテの原因になります。詳しくは『湿気の多い日の養生法』をご参照ください。
また、暑い夏はどうしても冷たいものを摂りがち。現代ではクーラーがどこ行ってもかかっており、さらに自販機、コンビニなど冷たいものがどこでも手に入る環境にもあるため、暑邪のほか、寒邪にも気をつけなくてはいけません。夏場は普段よりも冷たいものを避けるようにしましょう。

Summer breeeeeeeeeeze.
Summer breeeeeeeeeeze. / skyseeker

殺菌作用のあるものを

夏場はいろんなものが腐りやすい季節です。殺菌作用や胃腸機能を改善する作用のあるミョウガ、ねぎ、わさび、にんにく、生姜、山椒、シソなども積極的に摂りましょう。これらは気を巡らせる作用もあるので、イライラや食欲低下時にもおすすめです。

100_1172
100_1172 / misawakatsutoshi

酸味を摂りましょう。

酸っぱいものを取るのも効果的です。酸味には収斂作用といって、汗のかきすぎをおさえる力があります。必要な潤いを汗で流してしまわないためにも酸味を適量摂りましょう。また酸味には食欲増進の作用もありるので、酢の物、梅干し、ラッキョウなどを適量摂りましょう。
また酸味は甘味と合わさると潤いを生むので(『酸甘化陰(さんかんかいん)』といいます)、是非一緒に食べてみ下さい。酸味と甘味は例えば、梅干しとご飯などです。夏場の朝、お粥に梅干しはミネラルとエネルギーと水分を同時補え、さらに胃腸に優しい最適の朝食といえます。
 

Umeboshi 梅干し
Umeboshi 梅干し / geraldford

冷たいものをひかえましょう。

夏場はどうしても冷たいものを摂りがちです。しかし、胃腸は冷たいものに弱く、さらに水分に弱いので、摂りすぎていると、胃腸機能を低下させ、だるさや気力の低下、食欲の低下、軟便・下痢など夏場バテの原因となります。美味しいですが、冷たいビール、かき氷、アイスクリーム、サラダ、お刺身は控えめに。詳しくは『湿気の高い日の養生法』をご覧ください。
 

かき氷
かき氷 / emrank

 

水分補給はこまめに、早めに

喉が乾いた状態はもうすでに細胞は脱水状態にあります。平常時ならそれからの水分補給でも良いですが、暑く、汗を大量にかく夏場はそれでは遅すぎます。夏場の給水は「こまめ、早め」を忘れずに。その際は、出来るだけ常温で、砂糖入りや炭酸飲料ではなく、お茶やミネラル入りのお水を飲みましょう。
緑茶には、水分補給の他、余分な熱をとり去ってくれる効果もあり、おすすめです。また、夏の果物(野菜?)の代表ともいえるスイカは、余分な熱を奪い潤いを補ってくれるので是非とも摂っておきたいですね。スイカに塩をかけるのは、甘味が増すだけでなく、発汗によって失われたミネラルの補給にもなります。また、塩味の「鹹味(かんみ)」は体内の水分調節をしている「腎」へと導く作用があるので、潤いを補給してくれるスイカに少量の塩は、中医学的にみてもとても理に適っています。


mornig green tea
mornig green tea / Kanko*

西瓜
西瓜 / y_katsuuu

中医学的養生法

夏場の3か月を中医学では、草木が成長して茂り、陽気が最高潮に達する時期で、人のエネルギーも大気に放出することが大切と考えます。この時期は早寝早起きが重要で、日中は運動して1日1回は陽気を発散させるために汗をかくように心がけることが大切と言われています。 しかし、真夏の昼間に運動をすることは避けたほうが良いでしょう。できれば午前中、もしくは太陽が沈んでからにしましょう。
夏は気が盛んに発生し、汗が出て毛穴が開きます。そうするとそこから外邪が体内に侵入してきます。夏は四季の中でも一番養生に気を遣わなくてはいけない季節です。夏は暑さが体の中にこもってしまわないように注意が必要です。暑さがこもるのは、毛穴を閉じさせるようなことをすること。汗をかかないことなどです。そのためには、冷水をつかうのを避けましょう。顔を洗ったり、水風呂に入ったり、冷たいものを飲んだりするのを避け、温かいものを口にして、適度に汗をかきましょう。
 

Sunrise jogger
Sunrise jogger / Cirrus Sky

 

夏の暑さ、あなたは?

夏の暑さに弱い方とそうでない方がいます。これは体内に熱と潤いがどれだけあるかの違いといえます。もし普段から火照りがちで、汗をかきやすく、口や喉の乾きが強かったり、不眠、いらいら、寝汗などを感じている方は、夏の暑さも堪えることでしょう。反対に肌が白く、ぽっちゃりしていたり、冷えが強い方には、夏の暑さは心地よくはなくとも冬の寒さよりはましと感じられるでしょう。

中医学では、冬に悪化する病気や冬の慢性病は、夏にしっかり養生することによって回復しやすいと考えられています。これを「冬病夏治(とうびょうかち)」といいます。冬は冷えにともない乾燥でも体調を崩すので、乾燥に弱い呼吸器系の疾患である慢性気管支炎や喘息は夏に対処することが良いでしょう。冷えがつらいかたも、必然的に陽気が高くなる夏は養生や漢方の効果が出やすいです。     

Bubbles_00013
Bubbles_00013 / ajari

 
暑邪のピークは夏真っ盛りの7・8・9月ですが、これからくる梅雨も湿度が高くなり汗をかきづらいので、体に熱がこもりやすくなります。適度な運動と、余分な熱や湿を排出してくれる夏野菜を適度に摂って対策しましょう。
夏は秋や冬を健康に乗り切るための養生の場と考え、冷たいものを控えて、野菜をしっかり食べて、早寝早起きを心がけ、身体を作っておきましょう。汗も適度にかくのも大切ですよ。冬に体調が悪くなる方は、夏こそ改善する機会です。「未病先防」をお忘れなく。

2014/05/28

むくみ、頭重、胃腸トラブル・・・ 湿気が多い日の養生法

こんにちは、六本木店店長の櫻井です。昨日はあんなにも晴れ渡って暑かったのに、今日は雨で肌寒い一日となりました。中医学では、雨など、大気に水っ気が増えた状態を「湿(しつ)」と呼びます。そしてこの湿が増えると体に悪さをする「湿邪(しつじゃ)」となるので注意を促しています。特に体の中にも余分な水分(=湿)がある方だと、その影響は強くあらわれやすくなります。
今日は普段あまり耳にしないこの「湿」という中医学の独特な考え方のお話です。

Rain rain rain rain rain...
Rain rain rain rain rain… / GreyHobbit

 

重い・だるい・胃腸が不快、は「湿」のせい!

さわやかな春が終わり、夏の日差しが感じられるような日が続くと、ぽつぽつと雨の日が増えてきます。するとそろそろ梅雨の季節です。毎日毎日降り続く雨、洗濯物も乾きにくく、カビも生えやすく、気温も日を追うごとに上昇するので、大気は蒸せて熱いうっとおしい季節です。
そんな毎日が少しずつ私たちの体に悪影響を及ぼしていきます。湿気と暑さの影響で食欲も低下し、寝苦しさは体力を低下させ疲労がたまります。日中はいつもだるくて眠く、お腹もなんだかぐずぐずして、吐き気をもよおしたりします。中医学ではこのように体に悪影響を及ぼす自然の変化を「邪気(じゃき)」と呼び警戒します。梅雨から夏にかけては湿気が悪影響を及ぼすので、「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。湿邪は特に胃腸系に悪影響を及ぼし、食欲の低下や軟便、下痢などを引き起こし、続くと外の湿だけでなく、体内にも湿邪が溜まってしまい、むくみなどが現れます。もし舌を見て表面にびっしりと白い苔がついていたり、黄色く粘つくような状態になっているような方は湿が溜まっているので要注意です。
 

Rain & Bike
Rain & Bike / Pietro Zuco

不調をもたらす「湿邪(しつじゃ)」とは、、、

自然界には風邪(ふうじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・熱邪(ねつじゃ)という六淫邪気(ろくいんじゃき)という6つの病気の原因になりうる環境変化があります。この邪気が口や鼻、そして毛穴などから体内に入り込むことで体内のバランスを崩し、様々な症状を発生させます。
梅雨から夏にかけては、「湿邪(しつじゃ)」が強くなります。湿邪は脾胃の機能を低下させ、重く濁り、粘着して停滞し、下降しやすく体の下部に症状が出やすいことから、胸やお腹がすっきりしない、残便・残尿感、腹水、下痢、浮腫、頭・手足・体の重だるさ、関節の痛み、尿の濁り、オリモノが増える、食欲不振、目やに、痰、鼻水などがみられることが考えられます。
湿を理解するには、スポンジを想像してみてください。スポンジが水を吸うと重たくなります。水を含んだスポンジは冷たくなります。これが湿の影響です。体が重たくなり、冷えやすくなります。そして体にとって不必要な水分である「湿」は、気血の流れを邪魔して痛みを生じさせたり、溜まってむくんだりします。湿は下に沈む性質があるので、むくみは足に出やすいのですが、たまにその他の部位にも出ます。もし頭がむくんでしまうと、圧迫されて頭痛がおきますし、関節でおきると関節痛が生じます。
そとの湿気にくわえて、体内でも湿邪は発生します。湿邪は体内では、肺、脾胃などの内臓機能の低下によって生まれますが、この大きな原因は【飲食の不摂生】です。冷たい麦茶などや、氷の入った飲み物、冷たいビール、冷蔵庫で冷えたフルーツやサラダ、刺身、アイスクリームなど、特に冷たいものの摂りすぎや、水分の摂りすぎがにより、脾胃(消化器系)の機能が低下してしまうと、脾胃が持っている水分の吸収と運搬機能が低下し、水分代謝が低下して、むくみや体の重さ、下痢や消化不良などの症状になって現れます。
湿邪に侵されている人の舌は、苔が分厚く、舌自体が大きく膨らみ、縁に歯形が付いている方が多いです。そして、体の中に湿が溜まっている人は、外の湿の影響を受けやすいと言われており、中医学ではこれを「内湿が外湿を呼ぶ」といいます。むくみ、頭重などがあり内湿が溜まっている人は、外の湿度が上がる夏場や梅雨時期、台風時期などに影響を受けやすく、湿邪由来の症状(重い、だるい、めまい、胃腸の不快感など)が出やすいと考えられます。

Asakusa Rain wtmk
Asakusa Rain wtmk / Live Action Hero / Michele Marcolin

 

湿邪に侵されていませんか?

食欲不振、体や手足が重だるい、頭重・頭痛・関節痛、胃もたれがする、便がべっとりしてスッキリできらない、むくみ、口の中のべたつき、口臭がある、生理の量が多いまたは、止まりにくい、オリモノが多い、皮膚の色が黄色っぽい。これらは胃腸機能の低下や湿をはらう臓腑の機能低下により、湿邪(=余分な水分)が体内に発生していることが考えられます。
 

食べ物で湿邪対策

・生姜やネギ、三つ葉やセリなどの香味野菜かんきつ類は、その香りで、胃腸の働きを活発にし、体内の余分な水分である湿の排出を助けてくれます。冷やして食べると湿を生む原因ともなりかねないので、かんきつ類などは冷蔵庫に入れずに、常温で食べるようにしましょう。
しそ、葱、ショウガ、柚子、三つ葉、山椒、唐辛子、ニンニク、にら、柚子、レモンなど。
 
・キュウリやスイカなど、利水作用のある食材もおすすめです。気を付けたいのは、トマトやキュウリ、冬瓜など、これらの食材の中には、利水作用と同時に、身体の余分な熱も奪うものもあるので、冷え気味の方は常温または火を通して摂るようにしましょう。
春雨、黒豆、西瓜、メロン、蛤、白菜、アスパラガス、きゅうり、グリーンピース、高菜、とうもろこしのひげ、インゲンマメなどの豆類、ハトムギ、とうもろこし、冬瓜、スイカ、セロリなど。
 
・米や棗などが持つ自然の甘味は、脾胃の働きを助け、弱った機能を元気にしてくれます。
米、棗、山芋、キャベツ、サツマイモ、かぼちゃ、人参など
 
・唐辛子や生姜など辛いもは汗をかかせ余分な水分を発散させてくれます
とうがらし、ショウガ、香辛料など。ただ市販のルーを使ったカレーは脂肪が多いので要注意です。
 

Rain Drops
Rain Drops / Douglas R Witt

 
脾胃は、食べたものからエネルギーをつくり出す源なので、脾胃が弱ると、体内でエネルギーが十分に作られず、ついついすぐエネルギーになる甘いものに手が行きます。しかし食べ過ぎてしまい、肥満になってしまうこともあります。砂糖の甘さは、その時は良いですが、少しすると喉が渇き、水分がほしくなります。水分を摂ることで、胃腸はまた弱ってしまい、さらに湿邪が生まれる原因をつくってしまいます。甘いもの・水分はほどほどにしましょう。
冷たいもの、水分はとにかく摂りすぎ注意です。特に外が暑くなってくると冷たいものを欲してしまいますが、冷たいものや水分は胃腸機能を低下させてしまうことを覚えておきましょう。養生法では「井戸水より冷たいものは摂るな」と言われています。冷たいものが増える夏こそ温かいものを摂りたいものです。同じ理由から野菜も生で食べるより、火を通して食べるほうがおすすめです。
湿の影響を最小限にするためには、食べるものも、飲むものも、生のまま、冷たい状態で摂らず、加熱して摂るようにしましょう。そして辛いものを少し摂り、汗をかいて余分な水分を発散するようにしましょう。
一年を通して考えると、夏というのは厳しい冬を乗り切るためにしっかりと栄養を蓄え、身体を整える大切な季節です。梅雨の影響を残さず、気持ちよく夏を迎え、その後の秋・冬に備えるためにも、今から日ごろの養生が大切です。「そんな先のことなんて」と油断して暑さにかまけて冷たいものばかり摂っていると、夏バテしてしまい美味しく食べられず疲労がたまり、冬場も体調を崩してしまい、忙しい年末を乗り切ることが出来ません。
中医学が言う「未病を治す」というのはこうした先を見越した養生法で、日々の生活の心がけです。そしてこの時期にすべきことは、冷たいものを控えることです。身体を労わり、いつまでも健康でありましょう。

2014/05/21

レバーに匹敵する栄養価 今が旬の「鰹」の話

昨日は母の日でしたが、電話で言うのも恥ずかしいので私はメールで感謝の意を伝えたんですが、「まーねー\(@_@)」っとまったくわけのわからない返事と絵文字が返ってきて、昨日から困惑気味な六本木店店長櫻井です。こんにちは。
さてさて、今年はカツオが不漁だそうですね。海水温の低下が原因ではないかと言われているそうですが、脂がすくないさっぱりとした初夏の味、是非堪能したいものです。

鰹の刺身
鰹の刺身 / ayustety

女房 子供を質にいれても 初鰹

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」と山口素堂も謡ったように、初夏の訪れを告げる初鰹はまさに今が旬です。鰹は毎年2月から5月頃に黒潮に乗って日本の南から北上してきます。「鎌倉を生きて出けむ初鰹」という芭蕉の句をみてもわかりますが、昔は鎌倉が鰹の出荷地だったようです。2~3月頃に瀬戸内を通って、ちょうど今頃、5月初旬に関東沖合に来た鰹を「初鰹」と言っていたそうですが、現在では航空便で仕入れられるので、2~3月頃に瀬戸内海で獲れ、築地に入荷されたものが『初鰹』と言われています。とはいえ、『初鰹』と言えば初夏の季語、『鰹』は夏の季語です。
日本の文化には「季語」など季節をめでる言葉があるように、日本人は自然から四季を感じ、その季節を味わうことに喜びを感じられる民族といえます。江戸っ子は″女房・子供を質にいれて″も初鰹を食べたかったそうですが、初夏の味を誰よりも先にいち早くいただくことは、せっかちな江戸っ子の気性にぴったりだっただけでなく、自然を感じ、季節を味わうことが「粋」だったんでしょうね。初鰹は脂がのっておらず、血の香りも強くてあまりおいしいというわけではなく、もう少し待った方が脂ものり値段も手ごろになるんですが、そんなものを待つのは野暮というわけです。
そして、「初物」は縁起が良いと信じられてきたことも江戸っ子が初鰹を愛した理由かもしれません。農作物でもその年、初めて収穫されたものを神様にささげるなどの風習がありますし、「初物七十五日」(初物を食べると寿命が75日のびる)なんて言葉もあるぐらいで、昔から初物には精気がみなぎり無病息災、不老長寿のご利益があると信じられていたようです。ちょっと前までは、その年に初めて出荷される商品を「初荷」といって祝っていて、正月明けには「初荷」と書いた旗やのぼりを目にしたものですが、最近ではあまり見ませんね。今では、「初売り」の「福袋」のほうが身近でしょうか。

bonito
bonito / maaco

栄養価はレバーなみ

そんな縁起の良い鰹ですが、季節のものをその時に食べるというのは、縁起や粋なだけではないようです。
初鰹は秋に南下してくる戻鰹と比べると、脂質が少なく水分が多いヘルシーな食材です。鰹は良質なたんぱく質がたっぷりと含まれており、背骨に近い「血合い」には、ビタミンB12、ナイアシン、鉄、ビタミンD、タウリンなどが豊富で、栄養価の高さはレバー並と言われています。
豊富な鉄分ビタミンB12赤血球の生成を助けてくれるので、貧血予防に効果的。ビタミンB3と言われるナイアシン血行を良くして、心を落ち着かせてくれる栄養素です。某栄養ドリンクで有名なアミノ酸の一つタウリンは、血中コレステロールを抑え、動脈硬化を防いでくれます。さらに肝機能の強化、眼精疲労緩和と作用は多岐にわたります。
前回のブログでもその重要性を書いたビタミンDも、鰹には豊富に含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促して骨を強くするだけでなく、癌の予防にも効果的な栄養素です。
戻り鰹には、初鰹よりも脂質が多く含まれていますが、その脂質も栄養価が高いEPADHAなどの不飽和脂肪酸で、血液をサラサラにしたり、脳の働きを高めたり、コレステロールを抑え血栓を防ぐ働きがあるので、お腹いっぱい食べてもなんら問題ないでしょう。

その他カリウムもたっぷりなので、余分な塩分や水分を体の外に排出してくれむくみ対策にも効果的です。
これらから鰹は、高血圧、動脈硬化、肝疾患、貧血、発育不全、不妊、ボケなどを予防する食材として、是非食べておきたい初夏の味覚ですね。
 

かつおのたたき
かつおのたたき / sabamiso

中医学でみる『鰹』

鰹は平性で寒熱の偏りがなく、冷え性の方も、ほてりが気になる方もどなたでも食べられます。エネルギーや血を補い、体力低下時や貧血、不眠や心が不安定な場合にもおすすめです。胃腸を元気にして、精をつける力もあり、老若男女問わず食べていただきたい健康食材といえます。
 

カツオのたたきのカルパッチョ
カツオのたたきのカルパッチョ / Dakiny

鰹はやっぱり「たたき」で

鰹は是非「たたき」で食べていただきたいです。というのも、皮に近いところには、必須アミノ酸のリジンが含まれており、タンパク質の合成に必要なだけなく、肝機能を高めたり、カルシウムの吸収を良くしたりなど、とってもいいことづくめなので、是非皮ごと食べる「たたき」で食べてください。
生のカツオの皮よりちょっと内側に串をさして、皮にさっと塩を振り、コンロで炙って、ざっと氷水をくぐらせれば完了です。氷水だと水っぽくなるのが嫌な方は、濡らしたキッチンペーパーで包んで粗熱をとってください。藁で炙ると香ばしい風味がつき、より一層おいしくなります。
つけだれは、市販のポン酢にちょっと醤油と鰹節を足したものを。買ってきたたたきでも、酢橘、柚子、カボスなどをふると生臭さがなくなります。玉ねぎ、にんにく、しょうが、みょうが、大葉など、香味野菜と一緒にいただくとさらにおいしいです。さっぱりとした初鰹に香味野菜がとってもあいます。香味野菜やかんきつ類は、気の巡りを良くしたいこの時期にはおススメですし、たたきにもとても合います。たくさんの野菜と一緒に摂れるのもうれしいですね。さらにそれらは鰹に足りないビタミンCも補ってくれ、より理想的な食材となります。
美味しい鰹を選ぶには身が引き締まっていて、色に深みがあり、ドリップの少ないものを選びましょう。

Bonito
Bonito / pelican

江戸のころは1本10万円の値がつくことも珍しくなかった初鰹。江戸時代の大商人、紀伊国屋文左衛門は、初鰹になんと五十両(現在の値で約150万円)の値段を付けたとも言われています。長屋の家賃が1か月1万円程度だったそうなので、宵越しの銭は持たない江戸っ子にとって初鰹は一生に一度はたべてみたい高嶺の花。もし手に入れられたのなら、娯楽の少ない当時ですからきっと1年は地域の人気者になれたんでしょうね。
今はそんな苦労もなしに、おいしい鰹が食べられます。皆様も是非ご賞味くださいね。

2014/05/12

シミそばかす?「水菜」を食べれば大丈夫!? お肌にうれしい栄養たっぷり【水菜】のお話

世の中には見た目と中身ではえらい違いのものもたくさんありますよね。今日ご紹介する「水菜」もそんなものの代表です。ほそくて、うすくて、こんなんに栄養なんてあるの??なんて侮ってはいけません。水菜は、女性に必要なビタミン・ミネラルが豊富に含まれた、「食べるサプリ」なんです(前にも言ったな・・・)。
今日はそんな「水菜」のお話をしたいと思います。

fresh mizuna
fresh mizuna / AsianLifestyleDesign

 

見た目よりかなり栄養豊富

水菜はビタミンC、βカロチン、ポリフェノール、カルシウム、鉄分、カリウム、食物繊維が豊富なとっても栄養価の高い緑黄色野菜です。ビタミンCコラーゲンの合成を助ける働きがあり、日焼けによるシミそばかすを抑えてくれる効果がありますβカロチンは体内でビタミンAとなり、粘膜を保護し、肌トラブルを解消してくれます。さらにさらにポリフェノールは、酵素を活性化し細胞の老化を阻止し、シミしわたるみからお肌を守ってくれます。食物繊維は、そのほとんどが不溶性で、整腸作用があります。不溶性の食物繊維は、腸内の余分なものを絡め取り、腸をきれいにしてくれます。腸内をきれいにしておくことは、綺麗なお肌への基礎作りにとっても大切ですよね!その他、利尿作用をもち余分な塩分を外に排出してくれるカリウムや、貧血予防によい鉄分も豊富と、美容にも健康にもとっても良い素敵なお野菜なんです。
もちろんこれらのビタミン・ミネラルは男性にとっても必要不可欠な栄養素です。毎日の紫外線はなにも女性ばかりを狙っているわけではありません。紫外線によるダメージを防ぎ、清潔感と潤いのあるお肌を保ちましょう。

水菜
水菜 / masahiko

水菜は、日本古来の伝統的な京野菜

水菜は元々、京都で古くから栽培されてきた、伝統的な京野菜です。昔は「京菜」とも言われていました。同じ仲間に「壬生菜」というのもありますが、壬生菜は葉のギザギザが少ないです。今ではハウス栽培が発達しており一年中食べられますが、本来の旬は12月頃から3月。冬場に食べるのがおいしい野菜なので、ちょっと旬は過ぎてしまってますね。でも価格もお手ごろで、しゃきしゃきとした触感が食欲をそそり、夏バテ予防にも、夏の紫外線対策としてもおすすめな野菜ですので、今からしっかり食べておきたいですね。
 

Mizuna in Dashi Broth 水菜のおひたし
Mizuna in Dashi Broth 水菜のおひたし / naotakem

水菜を中医学的に見ると

水菜の性味は涼性で、辛・甘。脾、肝、肺に行き、余分な熱をとり、身体に必要な潤いを補い、潤す効果ががあります。中医学的に見ても夏場には最適のお野菜ですね。辛があることで、冷えを飛ばしてくれる効果があるといえますが、辛味は品種改良で薄まってしまっているものが多いので、それほど強くはないでしょう。甘味は胃腸を養ってくれます。また血流を良くしてくれる効果もありますので、潤いを補う効果と相まって、血液サラサラ対策にももってこいですね。
 

IMG_4582
IMG_4582 / takaokun

おいしい水菜を食べるには

葉が深い緑色で、しおれたり、茶色になっていない瑞々しいものを選んでください。茎の部分はまっすぐ伸びていて、白くて艶があるものが新鮮でおいしいとされています。
保存は、葉野菜ほとんどにいえますが、葉から水分が蒸発するので、湿らせた新聞紙に包んでからポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室に立てて入れるようにしましょう。余り日持ちはしないので、出来るだけ早く食べるようにしましょう。
 

Mystery Green
Mystery Green / MMChicago

水菜に多く含まれるビタミンCは水溶性ですので、ゆで時間は最小限にしましょう。茹でるとビタミンCが大幅に減ってしまいますが、それでも100gぐらい食べれば1日に必要量のビタミンC約半分が摂取できます。パリッとした歯ざわりが特徴的な野菜なので、硬めにさっとゆでておひたしにするのもいいですし、生のまま食べてもおいしいです。本来の水菜は茎の部部が硬く、ピリッとした辛味がありますが、全国的に流通しているものは、やわらかく、辛味もないのでサラダにもぴったりです。我が家では夏バテの防止には、豚肉と水菜の冷しゃぶサラダを作って胡麻ダレでいただ九のが定番となっています。豚肉をゆでるだけでとっても簡単なので是非ご賞味ください。もう一つおすすめレシピは、これまた豚肉と一緒にさっと炒めた、炒め物。炒めることで脂溶性のβカロチンの吸収率があがりますし、コチラもおすすめです。
紫外線対策もできて、夏バテ予防にもなり、デトックスしてくれて、栄養と潤いの補給もしてくれる。尚且つお手頃価格。こんな素晴らしい食材を食べないのはもったいない!ほんとに簡単に短時間に調理できますので、是非献立に一品加えてみてくださいね!
 

2014/04/28

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
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設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売