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季節の薬膳・養生法 の記事一覧

春の贈り物「ふきのとう」がもつ「苦味」の意味

こんにちは、店長の櫻井です。先日の大雪は本当にひどいものでした。東京で降り積もった雪が風で舞い視界が悪くなる「地吹雪」に見舞われるとは思ってもみませんでした。下は当日の六本木ミッドタウン前の風景です。信じられますか?これが東京ですよ???今日も解けた雪が凍って転倒してけがをする方が続出しております。都内では、36人も病院に搬送されたそうです。外出時はくれぐれもご注意ください。
 

 
さてさて、そんな猛吹雪も去って、こんどこそ、春に向けて徐々に暖かくなってくることでしょう。そうなると待ち遠しいのは、春の食材。そう、山菜たちです。タラの芽、ふきのとう、うど、わらび、私はこの春の山菜が大好きです。ということで今日は春の山菜の一つ、ふきのとうのお話をしたいと思います。ちなみに今日、2月10日は「ふきのとうの日」だそうです。210でふ(きの)とう というごろ合わせ、だそうです。
 


あ、ふきのとう / chidorian

春は苦味!

「春は苦味、夏は酸味、秋は辛味、冬は脂(あぶら)と合点して食え」これは、明治の医者であり、薬剤師でもあった食養学の始、石塚左玄が書いた「食物養生法」にある言葉です。
中医学にも、味にはそれぞれ力があるというお話をしたことがあります。ざっとおさらいをすると、
酸味には、正常な体液を体内にとどめる作用。出過ぎるものを止める作用。肝に導き、自律神経の働きを整え、ストレスを解消する作用。
甘味には、胃腸の働きを助け、力をつける作用。痛みや緊張を緩和させる作用。
辛味には、肺や呼吸器を強め、発汗を促進する作用、気や血を巡らせ、体の中にある寒けや熱、湿気を発散させる作用。
鹹味(塩からい味)には、硬いものを柔らかくする作用や通便作用があり、腎の働きをよくします。
苦味には、心や循環器を強化し、身体に溜まった余分な熱を冷まし、排泄作用や体内の余分な水分や老廃物を取り除く作用、神経を鎮静させる作用。
 
春には、先のブログでも書きましたが、ともすると活発になりすぎる陽気を鎮め、冬の間に溜めこんだものを排泄する事がとても大切です。そのために、「苦味」をとることが大切です。そしてその苦味は、自然が提供してくれます。それがふきのとうに代表される、春の山菜たちです。
 


れんこん、ふきのとう、たらの芽。 / yoppy

先人の知恵、ふきのとう

冬眠から目覚めた熊は、まず初めにふきのとうなどの山菜を食べると言います。それはきっと春の山菜が持つ苦味を利用し、冬場に溜まった宿便や「毒」を排泄しようとしているのでしょう。私たち人間も春になると、ふきのとうや、タラの芽、うど、ワラビ、つくし、タケノコなど、苦味を持った山菜を昔から食べてきました。私たちは、何千年という時間の中で、経験的に春の山菜の効能を知り、食文化に取り入れてきたのです。
ふきのとうは、キク科フキ族の多年草で、ふきの芽のことです。日本原産、日本に古来からある植物で、最古の野菜ともいわれています。ふきのとうが食用とされてきた歴史は古く、縄文時代にもその痕がみられたそうです。
ふきのとうのあの独特の苦みには、沢山のポリフェノール類が含まれており、胃腸を元気にして働きを整えてくれます。その他、発がん性物質の除去、花粉症の予防の力を持ち合わせており、春には欠かせない食材です。その他、ビタミンB1、B2、E、K、パントテン酸、カリウム、リン、鉄、銅、食物繊維なども多く含んでいます。ふきのとうが持つ解毒の効果は、これらミネラルを多く含んでいることからもわかります。
ふきのとうはふきの芽ですが、βカロチンやビタミンB群、C、E、Kなど、ほとんどのビタミンを、ふきの数倍から十倍以上含んでいるそうです。ふきのとうの持つ香りには、健胃作用のある成分も含まれているそうです。春の胃腸機能改善にふきのとうはピッタリですね。


ふきのとうスタンバイ。 / yukop

美味しいふきのとうを食べる

なるべく小ぶりのも、締りがあって、つぼみが硬く閉じているものを選びましょう。大きいものは苦味が強いです。乾燥しやすいので、ジッパー付きのポリ袋に入れて冷蔵庫へ。なるべく早めに食べましょう。冷凍するときは、灰汁をぬいてから冷凍しましょう。

 


ふきのとう! / chidorian

 

自然はそれぞれの季節に合った食材を提供してくれます。そして私たちもそれを長い経験をへて、親から子へ、子から孫へ伝えてきたのです。旬のものは摂らないよりとったほうが良いどころか、健康に暮らすためには、むしろ進んで摂るべき食材です。ふきのとうだけでなく、うど、タラの芽、せり、タケノコ、行者にんにくなどもおすすめです。
最後に石原左玄の食養学から一言 「食は本なり、体は末なり、心はまたその末なり」。心身の病気の原因は食にあり、人の心を清いものにするには血を清浄にすること。そして血を清浄にするには、食物を清浄にすることが大切である。といったそうです。それでは皆様、今日も体に、心においしい食事を食べてくださいね。

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2014/02/10

春の養生第二弾 【春は「風」に注意】

立春を過ぎ、あとは春の訪れを待つばかり。とはいうもののまっだまだ寒い日が続きます。こんにちは、店長の櫻井です。明日は去年の成人式並の大雪という予報ですが、どうなるんでしょうね。
さてさて、中医学では、大体2月から4月ぐらいまでを「春の季節」と捉えています。冬や夏の養生があるように、春にも季節に合わせた養生方法があります。それを知るためには、まず春とはどういうものか?というのを中医学してみましょう。


Golden flowers / Takashi(aes256)

春の特徴:陽気が上昇しやすい・肝を痛めやすい

春になると草木や花が芽吹き、生長し、枝葉もぐんぐん伸びていきます。また動物たちも冬眠から目覚め、動き出す季節です。春はあらゆるものを活動的にする季節です。

私たちの体内でも様々な動きが起こり始めます。まず動き始めるのは肝の陽気です。肝の陽気は、生長する木のように、のびやかに動き出すのが好きな陽気です。そのためには、冬場しっかりと陽気を体内に蓄えておくことが大切です。なので、冬場はしっかり防寒して、運動や情緒の変化を極力抑えて、陽気を蓄えておく必要があるんですね。
 


菜の花とミツバチ2 Rape blossoms and honeybee / “KIUKO”

春は肝の季節

肝は、西洋医学でいうところの肝臓の役割もありますが、その他、自律神経中枢神経系など神経の一部の機能血液の循環の調節貯蔵などの機能も持ち合わせています。肝はさらにと関係が深い臓器です。もし肝の陽気が十分でなかったり、のびのびとした活動が妨げらえることがあったら、情緒活動や自律神経系にトラブルを起こしやすくなります。頭痛や目の充血、のぼせ、イライラ、不眠、不安、耳鳴り、パニック、ヒステリー、足がつったり、目がかゆくなったりなども春に多い症状です。


20080325 菜の花 2 / BONGURI

体の中に「風」が吹く

春になると日差しが強くなり、大地が温められ、空気が上昇します。すると上昇する空気の流れ「風」が生まれます。中医学では、私たちの体の中でも陽気が上昇するにしたがって同じく「風」が起こると考えます。それが「内風(ないふう)」です。
肝はこの「風」を嫌います。もし肝が風に影響されてしまうと、ヒステリックに怒り出したり、イライラしたり、感情的になったり、気分が落ち込んだり、倒れたり、めまいやふらつきが起こったりなどの「風」の病気にかかってしまいます。そんな場合は、目の下が青くなってしまっていたりします。この肝の不調は、胃腸状態にも影響して、食べたばっかりなのに、まだお腹が空いていたり、食欲がわかなかったり、ガスが溜まりやすくなったり、げっぷが出やすくなったり、便秘や下痢を繰り返したりします。


菜の花まつり その2 / suneko

春眠暁を覚えずとは言いますが、春は冬と違って、遅く寝ても朝は早く起きて、活動的になったほうが良いとされています。朝の綺麗な空気で深呼吸して、身体をしっかりと伸ばしましょう。心や情緒にはいつもより気を配り、こまめにストレス発散するように心がけましょう。


菜の花1 Rape blossoms / “KIUKO”

春の食養生は「省酸増甘、以養脾気」

酸味を少な目にして、少し甘いものを増やしましょう。この場合の甘いものは砂糖の甘さではなく、かぼちゃやイモなどの自然な甘みです。甘みは肝の動きによって傷つけられた胃腸を労わってくれます。胃腸機能の低下を感じたら、酸味を控えて、甘みを増やしてください。
そして、春の野菜や果物をたっぷりと食べましょう。春になると体の新陳代謝が盛んになり、溜まった毒素を出そうとします。その働きを助けてくれるのが、苦味のある春の野菜です。フキやタラの芽、ウドやセリ、春たけのこの芽などはとても良いですね。その他、肝を補う力があるアサリ・ハマグリ・シジミ・アワビ・レバー・ほうれん草・にんじんや、陽気を巡らせる力のあるネギ、ショウガ、紫蘇、ミント、春菊、三つ葉や、クコの実、菊花などもよいですよ。
自然のサイクルは本当にうまくできていて、その季節に必要なものを与えてくれます。「自然の恵み」とは本当にうまくいったものです。


20080119 渥美半島菜の花祭り 12 / BONGURI

 
春はなるべく怒らないように、イライラしないように、心を穏やかにするよう心がけましょう。そのためにはこまめにストレス発散しましょう。ストレスの発散方法は運動で少し汗をかくのがとても理にかかなっており、効果的ですが、それぞれの体質・体調・性格に合った方法を見つけておきましょう。人と話すのがストレス発散になる人もいれば、大事な人と同じ時間を過ごすだけで発散になるひ人もいます。買い物や食べ物で発散になる人もいますし、少々のお酒も良いストレス発散になるとおもいます。しかし、ものにあたったり、暴言を吐いたり、他人や自分を傷つけたりする発散方法は間違っています。自分にとってプラスになる発散方法を見つけておくことがとても大切ですよ。
 
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2014/02/07

まだまだ寒いですが、今からしっかり春養生

どうもこんにちは。店長の櫻井です。先日2月4日は立春でしたね。まだまだ寒いですが、ここからは春になるのを待つばかり、、とは言えない気温の低下に皆様ご苦労なさっていると思います。先日は雪も積もりましたしね。。。
 

 

 まだまだ冷えや寒さに注意

外の気温が低くなる「寒さ」は、中医学では「寒邪(かんじゃ)」といって、自然界に存在する6つの発病原因(寒、湿、燥、風、暑、火)の一つとして捉えています。寒邪は陰邪で、陽気を損傷しやすく、性質は凝滞と収引です。わかりやすく説明すると、寒邪とは、陰陽の陰の邪気で、食べ物からエネルギーを造り出したり、身体を温める陽気を作り出したりする機能(「臓腑の気化機能」と言います)を、阻害したり、滞らせたりする種類の邪気です。寒邪に侵されると、冷えや、寒気、悪寒、疲労、防御力の低下、気分が塞いだり、抑鬱やため息、月経の異常などがみられるようになります。
寒邪から身を守るには、とにかく冷やさないようにすること。寒邪は毛穴から侵入してくるので、肌を露出させないことが大切です。加えて、『三暖』を心掛けることです。『三暖』とは、「頭部」、「背部」、「脚部(腰部を含む)」を温めしっかり防寒することです。詳しくはこちら→【温める、そして守る! 大寒の養生法】もご参照ください。
 

 

花粉症は【防衛力の弱い人】

そしてこれから春にかけて気になるのは、花粉症ではないでしょうか。花粉は外部からやってきた邪気です。花粉症になりやすい人は、花粉などの邪気に侵されやすい、防衛力の低い人といえます。
花粉症の症状と言えば、鼻水や鼻づまりという鼻の症状。鼻は中医学では、肺ともっとも関係の深い器官です。肺の働きが正常であれば、つまって臭いが解らなくなることもなく、呼吸もしずらくなることは有りません。逆に肺の機能が低下すると、鼻炎や蓄膿症など鼻の不調が起こりやすくなります。さらに、肺は体の防衛機能である「衛気(えき)」を生み、鼻やのど、皮膚などにバリアを張って花粉などの邪気の侵入を防ぐ役割も担っています。肺の機能低下により、衛気の不足が起こると花粉の影響も受けやすくなります
 


pollen / tsuda

鼻水・涙 体内の余分な水分が原因

花粉症の症状である、鼻水や涙のもとになるものは、体内に排泄されずに残ってしまった水分や汚れたドロドロとした不純物などです。余分な水分や不純物がドロドロになって溜まる原因は、普段の生活にあります。冷たいものをとり過ぎたり、精神情緒の不安定さ、働きすぎ、遊びすぎなどが続いて体調を崩すと、食べたものの消化吸収が不十分となり、養分や水分が排泄されず、体内に残ってしまいます。これがあちこちで体の正常な働きを邪魔して、防衛力を低下させてしまいます。花粉症の場合は、花粉がこのドロドロの不要物と結びついて、鼻水や鼻づまり、涙やくしゃみなどを引き起こすのです。
ドロドロの不要物を作らせないようにするには食べたものを栄養の水分に変える脾(消化器系)その水分を熱で気に変換するのが腎(泌尿器系)、それを全身にくまなく送り出す肺(呼吸器系)の三つの臓腑を健全な状態に保つ必要があります。どこかにトラブルがあると、食べたものがうまく気であるエネルギーに変換できず、体内にとどまってしまいます。
 


Pollen from Scots Pine / goforchris

 

あなたは冷えタイプ?熱タイプ?

中医学から見る花粉症の症状は大きく分けて二つ。と症状熱の症状です。冷えの症状の特徴は、くしゃみ、透明で水っぽい鼻水、若干の鼻づまりプラス、冷え、手足の冷え、喉は余り渇かない、渇いても温かいものを飲みたいなどで、熱の症状の特徴は、くしゃみ、白または黄色くて粘っこい鼻水、ひどい鼻づまりプラス眼のかゆみ、赤ら顔、喉が渇いて冷たいものを欲しがるなどです。冷えが特徴の症状の原因は肺と腎が弱っていることが多く、熱の症状の原因は肺と脾に問題が有る場合が多いです。
 
肺と腎が弱い冷え症状タイプは、温かい食事や暖かい服装に心がけ、入浴などの工夫で身体を芯から温め、冷えを改善することを第一に考えましょう。食の養生では、ネギや生姜、三つ葉や大葉、春菊、シナモン、香菜、こぶし(辛夷)茶などがおすすめです。
肺と脾が弱い熱の症状のタイプは、身体の熱を冷まし、目やのどの炎症を和らげる工夫が大切です。食の養生では、熱を冷まし、身体をすっきりさせる食材を選びましょう。ミント、菊花茶、ごぼう、セロリ、クレソン、キュウリ、タケノコなどがおすすめです。
花粉症対策はこちらもご参考ください→冬から始めるのが効果的 花粉症対策


Pollen Laden / peasap

 
春の養生ではもう一つ大切なことに、「風邪(ふうじゃ)」への対策っというのがあります。
イライラや、落ち込み、春に情緒が不安定になるのにも、実は原因があるんです。。
今日は長くなったので、この辺で終わりにして、風邪のお話はまた今度にしましょう。
 
 
日に日に、日照時間も長くなり、徐々に暖かくはなってきますが、まだまだ寒邪が猛威を振るっている今日この頃です。しっかり温め、健康を維持していきたいですね。
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2014/02/06

春節:春へ向けての養生

新年好!在新的一年里也请多多关照!愿新的一年有新气象!

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。今年も良い年でありますように。


Grrr [Yokohama China Town] / d’n’c

今日は旧暦のお正月、春節です。

中国では暦通りの新年ではなく、旧暦のこの春節を祝います。中国のお正月は日本の厳かな静かなものとは違い、爆竹が鳴り響きとても賑やかなものです。これは日本の豆まきと同じ意味合いで、鬼を祓うためと言われています。日本では年越しにお蕎麦を食べますが、中国では餃子を食べるところもあるようです。この餃子は、天に一年の報告に行っていた竈(かまど)の神様が帰ってくる日である春節に、神様を迎えるためのお供えものとして造られます。餃子には新と旧が入れ替わる「更歳交子」という意味もあるそうです。


A street Scene of Beijing / INABA Tomoaki

春節は一年の始まりで、文字通り春の訪れを祝う儀式です。春節を過ぎると次は立春。外はまだまだ寒く、冬まっただ中ですが、暦の上ではこれから春が始まります。中国古来の哲学である、「陰陽学」では、冬は陰が極まる季節。陰とは静と動でいうと静。春からは徐々に陽気が高まり、陰から陽に転化していく季節です。陽は活動のエネルギーなので、植物は芽を出し、動物は動き出します。自然の一部である人間も陽気を取り込み、活動的になっていきます。
しかし、まだまだ寒さもたくさん残っています。今日の様に不意に暖かくなったかと思えば、次の日は一気に真冬日に戻ったりします。そうなると、体の調節が追い付かず、体と自然をつないでいる穴(腠理・そうり:一般的には毛穴のことと捉えられています)の開閉のコントロールがうまくいかなくなり、取り込んだり、発散したりさせないといけない陽気が体内に閉じ込められてしまいます。陽気は活動のエネルギーなので、体内に閉じ込めるのは良いのではないか?と思ってしまいますが、陽気とは常に動き、巡るもので、一か所に閉じ込めておくものではありません。
閉じ込めてしまうと、陽気が強くなり、熱を帯びるようになり、喉が痛い、喉が渇く、咳が止まらない、血圧が高くなる、イライラする、気分が滅入るなどの症状が起きることもあります。熱の鬱積がひどい場合は火を起こします。火が起きると熱は上に向かい、風を起こします。そうなるとフラフラとめまいがしたりするようにもなります。そうならないためにも陽気はうまく発散させることが大切です。そんな時は、少し汗ばむ程度の運動をするか、足湯などをして少しだけ汗をかくのも良いですね。余りやりすぎると潤いを消耗してしまうので、ほどほどにしましょう。


Rose, Harunomai, バラ, 春の舞, / T.Kiya

春は、春一番という言葉からもわかる通り、風の季節です。外に吹く風は身体にも影響を及ぼします。この時期のイライラ、不安、頭に血が上りやすい、めまい、肌トラブル、出ては消える痛みなどというのは、この風の影響によるものといえます。風の3大特徴は、「突然起こる」、「体の上の方に症状が現れやすい」、「変化しやすい」の3つ。先ほどのめまい、イライラ、血が上りやすい、皮膚トラブル、出ては消える痛みなどというのもこの特徴に当てはまりますね。
風の影響を受けやすい臓腑は「肝」。肝は感情では「怒」とつながりがありますので、これまたイライラ、カーッとなるといった症状が出やすくなる季節というのを裏付けます。中医学での「肝」は西洋医学で考える肝臓としての機能、解毒や血や糖の貯蔵の他、自律神経の調整もしています。春はこの肝が影響を受けやすい季節なので、ストレスなどによる自律神経のアンバランスを引き起こしやすい季節です。
そんな春の養生法は、香りのよい食材を取り入れて、気をしっかり巡らせ肝の状態を良くすること。みかんの皮を干すだけで作れる陳皮もおすすめですよ。その他、アサリ、シジミ、百合根、レバー、発芽玄米、ミント茶、ラベンダー茶、ジャスミン茶なども良いでしょう。春のお花を部屋に飾るのもよいですね。
もう一つ、陽気が強まってくるときには、あらかじめ陰を補っておくことも大切です。「秋冬養陰」というのは、この季節の養生の基本です。陰とは身体にとっての潤いのことです。陰を補う食材は、豚肉、カモ肉、鶏肉、すっぽん、ハマグリ、アワビ、黒豆、豆乳、豆腐、レンコン、キュウリ、トマト、百合根、胡麻、白きくらげ、レモン、メロン、ミント茶、緑茶などです。
 


千鳥ヶ淵の春 / slash__

小さな自然である人間は、大きな自然の影響を受け、四季が変化するように、刻一刻と変化し続けています。万物は常に流転しており、変わらないものなどありません。そして、変わることで変化に適応できているのです。新しい一年の始まりです。今年も変化に備え、健康な体を維持しましょう!
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2014/01/31

発症する人/しない人 『五行草』のお話

こんにちは。店長の櫻井です。ノロウィルスの感染者が続出しておりますね。しかもその殆どが仕出しや給食などによるものとあっちゃあ、これはもう防ぎようがないように感じられます。しかし、みんな同じものを食べたはずなのに、症状を発症する人もいれば、そうでない人もいたはずです。これはどういうことでしょうか。
同じ環境に置かれても、同じウィルスに侵されても、症状が発症する人とそうでない人がいます。簡単に言ってしまうと「体力の差」なんですが、ではその「体力」とはどういうことでしょう。
ウィルスや病原菌が体内に入ってくるのは主に、口や鼻など、外とつながっている場所から体内に侵入してきます。インフルエンザやカゼ、ノロウィルスなどの「ウィルス」は主に、口や鼻、喉などの粘膜、消化管の粘膜を通して人体に侵入してきます。感染者のくしゃみや鼻水、吐しゃ物・便などから空気中に散布されたウィルスが体内に侵入するもの。飛沫感染・空気感染というやつです。その他、ウィルスに侵された飲食物を食べることによる食中毒などもあります。
インフルエンザ等は主に鼻やのどなど呼吸器系の粘膜から体内に侵入し、ノロウィルスは主に消化器系(十二指腸)の粘膜から侵入すると言われていますが、ウィルスは少量でも空気から呼吸などで体内に侵入し、集団感染を引き起こすので厄介です。体には免疫と呼ばれるこれらのウィルスなどを駆逐する機能が備わっています。ここでいう『体力の有り無し』とは、まさにこの『免疫力の強弱』といえます。
 

発症する人しない人

では、どうすれば症状の『発症しない人』になれるのかを中医学的に考えていきたいと思います。「体力の有り無し」を中医学で言い換えると、「気が充実しているか否か」ということになります。中医学の古典『黄帝内経』には、「正気、内に存せば、邪、侵すことあたわず」という言葉があります。これは、「正気が充実していれば、邪気に侵されることはない」という意味です。『正気』とは身体を動かすためのエネルギーのことで、『邪気』とは身体に悪影響を与え、病菌のものになるエネルギーのことです。つまり、正気が十分に体を満たしておれば病気にならないというわけで、正気には、西洋医学でいう「免疫」という意味合いが含まれています
 

正気を充実させる

中医学で正気は、呼吸によって取り込んだきれいな空気と、新鮮な栄養たっぷりの食べ物を食べるから生まれます。この二つを管轄する『肺』(呼吸器系)と『脾胃』(消化器系)が元気であることも、正気を充実させる条件です。よって中医学で「体力をつける」というのは、肺や脾胃を健康な状態に保ち、綺麗な空気を吸って、栄養バランスの取れた食事をすることが基本になります。たばこを沢山吸ったり、ファストフードや加工食品、甘いもの、塩辛いもの、脂っこいもの、冷たいものなどを沢山摂っていると、体力が落ちる原因を自ら作り出してしまうことになります。もちろん、十分な休息をとってこその体力ですので、質の良い睡眠もとても大切です。正気を補うには、長芋、豆類、うなぎ、栗、ネギ、もち米、鶏肉、鶏卵、しいたけ、りんご、えびなどがおすすめです。
 

免疫を助ける漢方のお話

では、同じ中医学でも、今度は薬学の面から考えていきましょう。今度は免疫を助ける漢方のお話です。
体をウィルスなどの邪気から護るためには様々なアプローチが考えられます。胃腸系が弱い方には、胃腸を強めつつエネルギーを補える漢方薬を。呼吸器系が弱い人には、呼吸器系を強化しつつ、エネルギーを補える漢方薬を。そして、体内に入ってきたウィルスを直接撃退する力を持つ生薬を摂ることも、その一つです。ここでは、そんなウィルスを撃退する力を持つ生薬「五行草(ごぎょうそう)」を紹介します。
 

 

五行草・馬歯莧・スベリヒユ

五行草の名前の由来は、葉が緑で茎が赤色、鼻が黄色で、根が白、そして種が黒と、五行説のそれぞれの色をもっているで、『五行草』と呼ばれいます。生薬名は「馬歯莧(ばしけん)」と呼ばれています。馬歯莧とは葉が馬の葉の形の様だからだそうです。日本では、ゆでると独特のぬめりがでることから、「スベリヒユ」と呼ばれ、あぜ道や畑など日当たりのよいところに生える雑草の一つで、抜いても抜いても生えてきて、とても生命力が強く、畑の作物の育成を邪魔するので、嫌われているところもあるようですが、地方によっては食用のために畑作されており、おひたしや和え物にして食べるところもあるそうです。日本では、古くから食用とされてきた歴史があり、平安時代の 「和名抄」という文献にに「ウマヒユ」とうい名で食材として登場しています。 茎を干すと干しぜんまいのようになり、ヨーロッパなどでは、サラダとしても食されているそうです。
 

スベリヒユ(画像wikipedia)

 

下痢・炎症を抑え、抗ウィルスの力もある

五行草は、日本でも昔から民間薬として解熱、解毒、虫刺されに使われてきました。中医学では乾燥した全草を煮出すことでその作用を強め、発熱を伴う細菌性の下痢の特効薬として使われてきたほか、皮膚の炎症、腫れ、痒み、ジュクジュクを改善する薬としても使われています。
五行草は寒性で、炎症や感染による熱をとり去り、腫れや痛みを緩和し、解毒し下痢をとめる力があるとされています。まさに下痢や嘔吐などから身を護るためにぴったりの生薬といえます。そして、昨今の研究から五行草は大腸菌、赤痢菌、黄色ブドウ球菌などに対して、優れた抗細菌作用を持ち、さらに、ウィルスを撃退する力があることが明らかになっています。
 
五行草は、生を絞った液体をそのまま飲んでも良いですし、上記のようにお浸しや和え物にして、日々の食事の一皿として加えるのも良いでしょう。乾燥させた草をそのまま飲んでも良いです。当店では、五行草エキスを飲みやすい粉状にしたものをご用意しております。お湯にさっと溶けて、クセもなく飲みやすいですよ。

 
インフルエンザやノロウィルスから身を護るためには、しっかり睡眠をとり、毎朝窓を開けて、きれいな空気を体内に取り込み、バランスの取れた良い食事を心がけて、体内の正気を充実させることがなによりも大切です。それに加えて、五行草などでしっかり防御することもお忘れなく。
 
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2014/01/27

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売