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季節の薬膳・養生法 の記事一覧

『食』 給食から見る日本の『食』の変容について

こんにちは。店長の櫻井です。 【全国学校給食週間(1月30日まで)】だそうです。給食週間なるものがあることを初めて知りました。せっかくなので、給食と食文化について書いてみたいと思います。
 


Heiwa elementary school 平和小学校 _16 / ajari


/ chris_harber

 
日本の学校給食の起源は1889年山形の私立忠愛小学校で無料で食事を配ったのがルーツとされる(wiki参照)だそうです。その後欠食児童対策として、パンが一部の学校で配られるようになり、1930年代に臨時の学校給食臨時施設法が制定されたことにより、一部で学校給食が始まります。当時は、給食といってもおにぎりと漬物と、今から考えると簡素なものでしたが、当時ではそれが一般的な昼食としてのメニューでもありました。その後、戦中戦後の食糧事情から一時中断されますが、1945年以降、アメリカの〝援助″により復活しました。しかし、このアメリカによる援助が和食から洋食へと日本の食卓事情を大きく変える転機となったことをご存知の方は少ないのではないでしょうか。学校給食には、米に変わってパンや脱脂粉乳が導入され、民間にはパンに合うこってりとした味付けの洋食を広めるため、「キッチンカー」がアメリカ政府の全面支援の元、日本全国を駆け巡ります。
食の欧米化は、欧米人との体格差を目の当たりにした当時の日本人たちの焦りともかさなり、和食・伝統食の否定による洋食の肯定へとつながっていったようです。「米を食べると馬鹿になる」とか「米食いは早死にする」とまで言われていたようですね。
戦後間もない昭和31年、日本人の1日当たり肉食量はなんと2g。もちろんこれは食べるものが全くない時代なので、当たり前の数字ですが、35年になると、18.7gとなり、4年間で実に9倍にも増えています。その後も肉食は右肩上がりに増え続け、40年には29.5g、50年には一気に倍以上になり64gとなり、平成14年には77g、平成22年には80.7gまで増加しています。それに伴うように、牛乳の消費も増え続け、昭和35年では1人当たり1日32.9gだったものが、平成14年では168.51gまで増加しています。(厚生労働省の調査を参照)
 


meat or death II / procsilas


おちち / “KIUKO”

上記を踏まえたうえで、下の表を見てみてください。これも同じく厚生労働省が出している死因別にみた死亡率の年次推移です。
 

主な死因別にみた死亡率の年次推移

厚生労働省 平成23年人口動態統計月報年計(概数)の概況 より

関係があるかないかというのは皆さんのご判断にお任せしますが、日本の食卓に洋食が広がり、小麦や肉類、乳類の消費が増えた、昭和50年代頃から、癌や心疾患での死亡率は急上昇しています。一概にすべて食事のせいとは言い切れるはずもありませんが、様々な影響の一つに食事が大きく関与していることは十分に考えられることだと思います。

中医学の観点から考えても、食と言うのは健康と一体のものです。健康のためにはまず良い食事をとらなくてはいけません。そしてその「食」はあくまでも日本人の体質に合った、そして日本の気候風土(高温多湿)に合ったものでなければなりません。日本の伝統的な和食、すなわち旬の野菜を中心にした食事をもう一度見直すべきだと考えます。

「食」という基礎がしっかりしていれば、胃腸が元気になり、内臓も精神も安定し、脳も活性化します。そうなればたとえ病気になっても、薬は良く効き、病状も酷くならず、早く治るようになるでしょう。「食」とは「命を養う源」です。食を軽視し、粗末にすることは命を軽視し、粗末にすることになるのではないでしょうか。

 


Heiwa elementary school 平和小学校 _24 / ajari

 
学校給食法第2条で学校給食の目標が以下のように制定されています。

  1. 適切な栄養の摂取による健康の保持増進を図ること。
  2. 日常生活における食事について正しい理解を深め、健全な食生活を営むことができる判断力を培い、及び望ましい食習慣を養うこと。
  3. 学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと。
  4. 食生活が自然の恩恵の上に成り立つものであることについての理解を深め、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  5. 食生活が食にかかわる人々の様々な活動に支えられていることについての理解を深め、勤労を重んずる態度を養うこと。
  6. 我が国や各地域の優れた伝統的な食文化についての理解を深めること。
  7. 食料の生産、流通及び消費について、正しい理解に導くこと。


2003_0224_123825AA / Hanenosuke

学校給食は、伝統的な食文化への理解を深めることや、適切で健全な食生活と食習慣を重要視したもののはずです。学校で出されるものが、子供の人気や偏った知識によるものでなく、本当に大切な「食」と「健康」と「伝統」を伝えるものであることを願ってやみません。

現在22億円もの給食費の滞納が問題になっています。未納の原因としては、「保護者の責任感や規範意識の問題」と半数以上の学校からの回答があったそうです。滞納した世帯の子どもに対し、給食の提供を停止する動きも出ています。もしこのようなことが続けば健全な身体の発育への影響だけでなく、心の問題にも大きく影響してくるでしょう。世界でも数少ない、給食という制度を継続させていくためにも、そして、流通や消費、勤労や伝統文化への理解を深める機会を失わないようにしてほしいものです。

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2014/01/24

葉酸たっぷり!抗がん作用も!?今が旬【ブロッコリー】

冬は寒い!とはわかっていても、毎日寒い寒いと言ってしまっています。みなさん、養生してらっしゃいますか?こんにちは。店長の櫻井です。
最近はスーパーに行くたびに、どんな食品を今はよく見かけるんだろ?とか、みんなどんな食べ物に興味があるんだろ?とかなどと、主婦とはちょっと違った目線でブログネタを探しております。そんな中でも今日は先日食べて思いのほかおいしかったブロッコリーのお話をしたいと思います。
 

 

 
ブロッコリーがおいしくなる時期は、11月から3月でまさに今が旬の野菜です。ブロッコリーと良く似た野菜にカリフラワーがありますが、ブロッコリーはカリフラワーの変種で、カリフラワーの方が原種に近いそうです。さらにそのルーツをたどると、キャベツに行きつくそうで、ブロッコリーはキャベツの遠い親戚です。


BROCCOLI / whologwhy

ブロッコリーやカリフラワーは「はなやさい」と言われ、私たちが食べているところはブロッコリーの花のつぼみです。収穫されずそのままにしておくとクリーム色や黄色の花が咲きます。つぼみの部分は確かに柔らかくておいしいですが、茎や葉の部分にも栄養がたっぷり含まれているので是非食べていただきたいです。茎はちょっと堅くて食べにくいので敬遠されがちですが、厚めに皮をそいで食べれば柔らかく食べられます。そして普段は捨ててしまっている葉の部分も栄養価が高いので、できれば一緒に食べるようにしてください。葉の部分は茎のように堅くなく、おいしく食べられるはずです。


Broccoli / Linda N.

日本にブロッコリーが入ってきたの明治の初期頃。しかし当時は余り普及しませんでした。近年になってその栄養価の高さに注目され、需要が高まってきた野菜です。きっとそあの鮮やかな緑色も好まれる要因でしょうね。
 


ブロッコリー茹で上がり #dinner / is_kyoto_jp

ビタミンC、βカロチンが豊富な美容食品

ブロッコリーはとっても栄養価が高い食品です。生のブロッコリーに含まれるビタミンCはなんとレモンの約2倍!キャベツと比べると約3~5倍も含まれています。その他、βカロチン、ビタミンB1、B2、カリウム、リン、食物繊維なども豊富に含む、栄養満点の野菜です。
ビタミンCの効果は数えきれないほど沢山ありますが、今回その中でも注目したいのは、免疫力の強化と、シミやそばかすの予防効果。ビタミンCは非常に色素沈着予防効果が高いビタミンで、某化粧品会社さんのシミ対策化粧品の中身は、濃度の濃いビタミンCだというのを聞いたことがあります。美白化粧品として使用できるほど、ビタミンCの色素沈着予防の力は高いのです。
そしてこちらもブロッコリーには多分に含まれるβカロチン。粘膜を強化し、カゼなどの感染を予防する働きがあります。空気が乾燥し、カゼが流行るこの時期にはうってつけですし、粘膜を保護するということは、もちろんお肌にも良いので、ブロッコリーも先日の小松菜と同じく、食べる美容サプリといえます。
 


ブロッコリー / penpenpen

抗がん作用にも注目!

近年ブロッコリーのもつ抗がん作用が注目されています。ビタミンCなどによる活性酸素の除去はもちろんですが、ブロッコリーには、癌を引き起こす原因となる突然変異を抑える物質、メチルメタンチオスルホネート(MMTS)という物質が含まれているそうです。しかしこの、MMTSはゆでて食べるだけでは簡単に摂取できないそうで、細かく刻んだり、水と一緒にすり粒ことで初めて生まれる物質なんだそうです。抗がん作用を狙うなら、ブロッコリーをミキサーにかけてジュースにして摂るというのがおススメですね。注意いただきたいのは、時間がたつと変質してしまうので、ジュースにしたら新鮮な間に素早く飲むようにししましょう。ブロッコリーはその他にも、スルホラファンという発がん性物質の作用を抑え、ピロリ菌抑制効果もある物質を含んでおり、健康管理のためには最高の野菜の一つといえます。
さらにさらに、葉酸の含有率がとっても高い食材でもあります。葉酸は、細胞が増えていく時や赤血球が増えるときに必要不可欠なビタミンで、貧血の予防や動脈硬化の予防に効果があるほか、妊娠中やべビ待ちの方にも必ず取ってほしいビタミンですし、離乳食としてもおすすめです。
 


Fresh Broccoli / mallydally

中医学的にみると

ブロッコリーは平性なので、毎日食べても冷えたり火照ったりすることがありません。中医学的効能では、五臓を養い調整し、関節を強く丈夫にして、気を巡らせ、動きを滑らかにするとあります。また、虚弱体質を改善し、胃腸を元気にして、身体に元気を与える食材で、胃腸機能低下時やお年寄りにもおすすめの食材です。中医学でもガンを抑制する「制癌」という力を認めている食材でもあります。潤し、便通を良くする作用があるので、お腹が冷える、または下痢気味の場合は食べ過ぎないようにしましょう。
 


ブロッコリーが丸ごとすぎる。 / TAKA@P.P.R.S

日本では茹でてから、マヨネーズなどと一緒に食べられることも多いですが、ヨーロッパではそのまま生をサラダで食べるところもあるそうです。ブロッコリーは長く茹でてしまうと、せっかくたくさん含まれているビタミンCが損なわれてしまうので、若干堅め、歯ごたえが残るぐらいに、ざっとゆでるのがおススメです。アメリカでは、子供のころにお母さんから無理やり食べさせられる野菜の代表ですが、大人になってからはとってもおいしいことに気が付く野菜の一つではないでしょうか。ゆですぎると変な甘さもでて、おいしくなくなるので、固めでゆでてお食べくださいね。そして茎も葉も是非食べてください。
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2014/01/16

年末年始で疲れた胃腸に優しい「食」のお話

今日は1月11日。鏡開きの日です。鏡開きの説明はこちらに→任せるとして、新年も11日になると、もう普段通りの生活に戻られているころでしょうか。こんにちは、櫻井です。
新年あけてからのご相談内容で一番多いのは、1位はやっぱりカゼにまつわるご相談です。咳や鼻水、妊娠中に飲めるかぜ薬など様々な症状でご相談にいらっしゃいます。その次は、冷え。これは冬の間ずっとある相談ですが、寒い今年はいつもにも増して多いような気がします。その次は、胃腸のトラブル。年末年始で食べ過ぎ、飲みすぎが重なったせいか、食欲がない、胃もたれ、胃痛、便秘、下痢など様々な問題を抱えてご相談にいらっしゃいます。新年会もある事ですし、胃腸の養生しっかりしておきたいですね。今から胃腸の調子を整えておくことは、春の花粉症予防にもつながりますよ!
 

食のトラブル

食欲がない、食が細い、疲れやすい、そんなご相談はこの時期とても多いです。体も寒さに耐えるために食べようとしますし、じめっとした湿気もなく、本来冬は比較的食欲が増加する傾向にある季節なもに、どうも食べられない。高齢者の方にもこうした方は数多くいらっしゃいます。食は健康の基本なので、しっかり食べて元気を養い、健やかに毎日を過ごしたいものです。
【医食同源】という言葉は良く耳にしますが、これは中医学の【薬食同源】から発想を得て、近年に日本で作られた造語です。【薬食同源】とは、「日々の食事こそ良薬」という意味です。食材にはそれぞれに味*(酸・苦・甘・辛・鹹)と性質*(温・熱・寒・涼・平)があり、それが身体に作用して自然と調子を整えてくれます。そのため、しっかりと食事をとることが出来れば、健やかな体を作ることが出来きるはずなんですが、胃腸の調子をおかしくして、食欲もなく、食べてもしっかり消化できていなければ、体力は低下し、臓腑もきちんと仕事が出来なくなります。その結果は、様々な症状となって出てくるようになります。
* 味と性質はこちらをご参考ください→【元気に食べるための脾胃と食のお話
 

「脾胃」を養う

口から入ってきた食べ物はいったん「胃」に受け止められます。そこで小さく「消化」され、吸収のために「脾」へと運ばれます。吸収された栄養素や潤いは、肺に運ばれた後、全身へと送り出されていきます。脾胃の機能が低下するとこうした栄養や潤いの輸送も低下し、疲れや体の各部の機能低下、乾燥、免疫力の低下なども出てくるようになり、カゼをひきやすくなったり、疲れやすくなったり、髪や肌や粘膜が乾燥するようになってしまいます。
脾胃は温かく、乾燥した状態を好む臓腑です。冷蔵庫から出したばかりの飲み物やアイスクリームなど、日ごろから冷たいものをとる習慣がある方は要注意です。レストラン等で出される氷が入ったお水なども、できれば避けてほしいものです。
 
 

脾胃の養生のポイント

なるべく温かいものをとるようにし、水分を摂りすぎないことです。辛いもの・脂っぽい食事は控えることが良いでしょう。葉野菜を中心に、加熱してたくさん食べることをお勧めします。ストレスは、こまめに発散する方が良いでしょ。偏食はやめましょう。魚も肉も野菜もバランスよく食べることが大切です。家族や友人と一緒に、楽しみながら食事をする工夫をしてみてください。便秘は脾胃を健康に保つための最大の敵です。とにかく脾胃を健康にするためには便秘は禁物。もし便秘薬を飲まないと出ない状態なら、脾胃はかなり疲弊してしまっています。食生活を根本的に見直し、カタカナ食(パン、コーヒー、パスタ)を避けて、和食を中心に、野菜をたっぷり食べてください。なるべく身体を動かし、運動をして、食欲を増進するようにしましょう。運動をする時間をつくれなくても、階段を使う、一駅歩くなど普段の生活に運動を取り入れてください。
 
食べ方のポイントとしては、
暖食:温かく、消化に良いものを食べる
淡食:塩分を控えめに薄味で食べる
暢食:食事は楽しく、気持ち良く食べる
専食:食事に専念する。ながら食べをやめる
少食:腹八分目の量を食べる
慢食:食事はゆっくり時間をかけて食べる
潔食:新鮮で清潔な食材を選ぶ、食べる
を意識してくださいね。
 
その他、味(五味)・性質(五性)を考え、季節や体調に合わせた食べ物をそれぞれバランス良く食べることも大切です。そのへんは前回のブログにまとめてありますので、こちらのリンク→元気に食べるための脾胃と食のお話 をご参考下さい。
 

「おひたし」はかさばってしまう葉物野菜を沢山食べられ、調理も湯がくだけなのでおすすめです。写真は「春菊のおひたし」です。枝の太い部分を先に10秒ほど熱湯につけてから、葉の部分もさっと湯がいて、冷水でしめてから水けを絞り、出汁をかけて、たっぷりの鰹節と柚子を散らしてお召し上がりください。柚子の香りと春菊の香りが気の巡りを改善し、胃腸を動かし食欲をださせてくれますよ。すっごく簡単ですっごくおいしいです。

 
 

 
中医学が考える食の基本は「脾胃」という臓腑です。脾胃とは、消化器系全般の働きを指しており、胃は飲食の受け皿として主に消化を担当し、脾は栄養や水分を吸収して体各部に送る役割をしています。暴飲暴食やストレス、睡眠不足、加齢などによって、脾胃のこうした機能が低下すると、食欲不振や下痢・軟便、疲れ、胃もたれなど様々な症状になって出てきます。
食べるものがなかった大昔ならいざ知らず、「食」があふれかえっている現代では「飽食」にこそ注意を向ける必要があります。食べ過ぎは脾胃に負担をかけ、機能を低下させます。そして偏食や不摂生にも勿論気をつけなくてはいけません。ファストフード、お菓子、炭酸飲料、脂肪分や味付けの濃い食事、冷凍・加工食品などなど、脾胃の力を奪ってしまう「食」は私たちの周りにあふれかえっています。
元気で充実した毎日を送るためにも、おいしく楽しく食べるためにも、脾胃を養い、健やかに保ちましょう。
 

2014/01/11

【風邪の日】にちなんで「板藍根」(ばんらんこん)のお話

こんにちは、櫻井です。今日1月9日は【風邪の日】だそうです。風邪に記念日なんてあるのか!と驚きつつその由来を調べてみると、『1795(寛政7)年、横綱・谷風梶之介が流感であっけなくこの世を去った。』ということから、1月9日は【風邪の日】となったそうです。ちなみにインフルエンザのことを「谷風」というそうなんですが、これもこの横綱の名前から来ているそうです。世の中まだまだ知らない事だらけですね。
さてさて、風邪の日の今日ですが、200年以上経った現代でも人類と風邪の戦いは続いております。そんな中なんと、札幌でタミフルに耐性を持ったウィルスが見つかったとのこと。来るとは思ってましたが、こんなに早く出てきてしまったんですね。ウィルスの進化のスピードにはほんと毎度ながら驚かされます。人間もこれぐらい早く進化できないもんでしょうかね。そろそろインフルエンザにかからない人間が出てきてもよさそうなものなのに、そう簡単にはいかないようです。
ちなみに、タミフル以外の抗ウィルス剤のリレンザやイナビルには耐性をもっていないようですが、まぁそんなのは時間の問題でしょうね。さらに強いウィルスが出現して、それに勝てる薬が開発されてといたちごっこは続くのでしょう。
 
そんな時にこそ漢方の出番では無いでしょうか。とにかく、カゼやインフルエンザは予防すること、かかっても初期で治すことが大切です。そこで一番にお勧めしたい生薬は、やはり【板藍根】(ばんらんこん)です。最近になって耳にする機会も増えて、ずいぶんと板藍根の知名度は上がってきたかと思われますが、まだまだ知らない方も多いと思うので、ここでもう一度板藍根についておさらいしてみましょう。

Woad (Isatis tinctoria)
Woad (Isatis tinctoria) / echoe69

 
 

板藍根とは

【ホソバタイセイ】という黄色い花をつけるアブラナ科の植物の根を乾燥させたものです。漢方と言えば中国のイメージが強いですが、板藍根はヨーロッパ原産の植物で、14~15世紀ごろにドイツで栽培されていました。現在の主な原産地は河北省、江蘇省などです。中国ではこれ以外にもキツネノマゴ科の植物であるリュウキュウアイの根を板藍根として使われています。

どんな生薬?

板藍根は、中国では古くから、カゼやインフルエンザの常備薬として利用されており、SARSウィルスが2003年に大流行した際に中国の衛生部(日本の厚生労働省にあたる役所)が、SARSの予防に効果があると発表した漢方の一つで、WHO(世界保健機構)もその対策を評価していました。
板藍根には、涼血解毒、清利咽喉という力があり、細菌やウィルスによる炎症や感染による発熱、腫れ、痛み、鼻血、のぼせ、充血、のどの痛みなど抑える働きがあります。板藍根から抽出した水溶液をつかった基礎実験でも、インフルエンザウィルスを抑制する効果が確認されています。http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21774246
板藍根の性質は、寒性なので、ぞくぞくと寒気がするような風邪の症状には、大量に使うべきではありませんが、短期間にウィルスの力を抑えるのに使う場合もあるので、ご使用をお考えの方は専門家にご相談ください。
 
 

手軽に板藍エキス

その板藍根から抽出したエキスを使った製品が、「板藍茶」(ばんらんちゃ)や「板藍のど飴」です。板藍根の抽出エキスから作ったお茶は香ばしい風味があり、臭みもなく、飲みやすいです。お茶といえども粉状なので、お湯に溶かしても、そのままでもお飲みいただけます。板藍のど飴は、板藍根から抽出したエキスを食べやすい飴にしたものです。お湯が無いところでも口に入れるだけで、お手軽に風邪・インフル対策が出来る製品です。
 

 
「板藍茶は寒性なので、どんなタイプのカゼにも、どんな人にも使えるというのは間違いですか???」というご質問をいただいたことがあります。確かに生薬の性質だけをみれば、その通りですが、実際に使用する量や期間などを考えると一概にはそういえないこともあります。板藍茶をお試しいただく際には、今どういった症状で、どういう体質なのかを、漢方に詳しい専門家にご相談の上、ご使用くださいね。
 

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2014/01/09

明日1月7日は「七草」 『七草粥』の体に良いお話

おはようございます。店長の櫻井です。
 
突然ですが、
芹、薺、御形、繁縷、仏の座、菘、蘿蔔とは、
“春の七草”七草粥に入る植物の事なんですが、いくつ読めましたでしょうか。ちなみに私は、漢方を生業にしておきながら一つも読めませんでした!
読み方は、、
 
芹 (せり) =セリ
薺 (なずな) =ペンペン草
御形(ごぎょう)=ハハコグサ
繁縷(はこべら)=コハコベ
仏の座(ほとけのざ)=コオニタビラコ
菘 (すずな) =カブ
蘿蔔(すずしろ)=ダイコン
 
となります。全く漢字は難解ですね。恥ずかしながら蘿蔔(すずしろ)なんて、「ぶどうか??」と思ったぐらいです(ちなみにぶどうは葡萄と書きます)。「春の七草」とか「七草粥」などとは昔からよく耳にしましたが、それらが何を指しているのは、このブログを書くために調べて初めて知った次第です。
 

某大型スーパーで鉢ごと売っていた「七草」です。

ところでこの『七草の行事』は、いったいいつから始まって、何が由来なのでしょうか?そして、『七草』たちにはどんな力があるのでしょうか。

 
七草の由来
『春の七草』は、日本に古くからある、年初めに雪の下から芽を出した若草をつむ「若菜摘み」その原点と考えられています。そこに、中国の「七種菜羹」という7種類の野菜を入れた羹(あつもの、とろみのある汁物)を食べて邪気を払い、無病息災を祈るという習慣がかさなり、定着していったようです。
昔は、前日(1月6日)の夜にまな板に載せて「七草なずな 唐土の鳥が、日本の土地に、渡らぬ先に、合わせて、ストトントン」(地方により多少の違いがあり)と囃し歌を歌いながら包丁でたたき、7日の朝に粥に入れて炊いていたようです(wiki参照)。この歌から見ても、中国(唐)の習慣と日本の風習とまじわりできた習慣じゃなかろうか?という想像ができますね。
 
 
春の七草の効能
手もとの資料によると、
セリは余分な熱をとり、おしっこやおりもののトラブルに良いとされ、
ナズナは、胃腸を元気にし、むくみや胃の不快感、目の充血などにも良いようです。
オギョウ(別名 ははこぐさ)は、咳を鎮め、痰を出すのに良く、
ハコベラは利尿によく、産後の浄血によいとされ、
ホトケノザは胃腸に良く、
スズナ(かぶら)スズシロ(だいこん)は解毒や、消化不良によいとされています。
春の七草は、お正月料理で疲れた胃腸にはぴったりのお粥といえますね。
 
 
ちなみに、、、
春の七草はご存知の通り1月7日ですが、これは旧暦の1月7日の事を指しています。となると、旧暦の正月は2月初旬ですので、実際の七草粥は2月初旬に食べられていたようです。実際にこれら『七草』も、2月ごろ、春先に食べごろを迎える植物たちですので、今スーパーに並んでいる『七草粥セット』なるものは温室栽培のものや、中には多少違った植物が入っているものあるようです。
元々は邪気を払い無病息災を祈るための粥でしたが、正月のごちそうで疲れた胃腸を癒すため、溜まった毒を除くためという意味合いもあります。実際に、緑たっぷりのおかゆは解毒の力に優れていますし、おかゆは疲れた胃腸を回復させる絶好の養生食ですし、正月太りも改善してくれる(かもしれない)ので、安心して七草粥を楽しんでください。
 
 
 
それでは14世紀、時は南北朝時代の四辻の左大臣(よつつじのさだいじん)が源氏物語の注釈書「河海抄(かかいしょう)」の記載から良く知られる一句をご紹介します。『春の七草』は歌になったことで世に広く知れ渡ったといわれています。

『芹なずな 御形はこべら 仏の座 すずなすずしろ これぞ七草』

 

2014/01/06

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売