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中医学 の記事一覧

中医学で考える鼻水・鼻づまりについて

風邪による鼻水、鼻炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、蓄膿症など、鼻水にまつわるトラブルはいろいろありますね。自分の体のどこにこれだけ水分が溜まっているのかとびっくりするぐらいだらだらと流れ出ることもあります。そこで、今日は、なかなかつらい鼻水のお話をしますね。

 

 
鼻水のトラブルを考えるときに一番最初に確認しなくてはいけないものがあります。それは、色です。透明なのか、黄色くなっているか。この鼻水の色の違いは体内の熱の状態を表しています。熱があると鼻水は濃くなり、冷えていると薄く透明になります。透明で水っぽいものは、身体が冷えているので、温めて治します。濃く黄色いものや青いものは熱があるため、熱をとることで治療します。鼻がトラブルを起こす理由は風邪などウィルスの感染によるものや、花粉などのアレルゲンによる防衛反応過剰による炎症のほか、ストレスによるもの、飲食の不摂生によるもの、体のバリア機能が低下によるもの、老化によるものなど原因を分けて考えその対策法を変えています。

 

鼻水・鼻づまりを中医学で考える

 
ウィルスやアレルゲンによるもの
まず風邪のウィルスや花粉などのアレルゲンによる場合は、鼻やのどなどの肺系がやられ、炎症性の熱をもっている状態です。目の充血や、目・鼻・喉・肌のかゆみ、口の渇きを感じ、鼻水は黄色っぽく粘性が高い状態ですは熱をとる漢方を使いますが、水っぽく流れ出るなら温めるお薬をつかいます。炎症をとる漢方を加えると効果的です。
 
バリア機能低下によるもの
上記に似たような症状ですが、体を外敵から守るためのバリア機能が低下している場合も鼻水や鼻づまりなどの症状がみられます。このタイプはざっくりいうと虚弱体質。胃腸機能が弱く、胃もたれ、食欲低下、軟便、下痢などがみられます。カゼをひきやすかったり、つかれやすかったりなども見られます。寒暖の差にやられてて鼻水くしゃみが止まらなくなるものこのタイプ。鼻水対策のお薬に加え、バリア機能を高める漢方を併用します。

 
ストレスによるもの
ストレスが身体にかかると、気の巡りが悪くなります。流れが悪くなると、ちょうど詰まったポンプでモーターに負荷がかかったように熱を帯びます。熱なので黄色く粘り気のある鼻水・鼻づまりに。口のかなに苦味を感じたり、イライラしたり、口が乾いたり、お腹にガスがたまりやすかったり、便秘や下痢、女性では生理前に胸が張って痛んだりします。鼻水鼻づまり対策の漢方に加え、ストレス対策の漢方も併用すると効果的です。
 
生活習慣・飲食の不摂生によるもの
飲食の不摂生により、胃腸機能が低下し、湿熱病邪(湿熱病邪についてはクリックしてください)が生まれ、それが肺系(鼻・口・器官・肺など)に影響し、鼻づまりや痰などが出るというタイプもあります。ストレスが飲食の不摂生の原因になっている場合もあります。全身のだるさや重さ、倦怠感、頭重感なども見られます。ここでも、黄色っぽい場合は冷ます薬、水っぽい時は温める薬を使います。胃腸を元気して、湿熱病邪をとり去る漢方も併用します。
 
 加齢によるもの
もう一点、加齢に伴ってみられるエネルギー不足による鼻水、鼻づまりもあります。薄く白い痰が多かったり、耳鳴り、健忘、冷え、多尿、スグ座りたくなる、けつまづくなども見られることがあります。冷えや熱に対する鼻水処方に加え、身体の根本的なエネルギーを補う漢方も併用します。
 

 

 
鼻炎の多くの場合は、水っぽい鼻水、水っぽい鼻水と鼻づまり、鼻づまりと3タイプに分かれます。水っぽいのは、「冷え」が原因。温めて直すタイプです。水っぽいのと、詰まった感じががある場合は、併発しているので、温めつつも通りを良くすることを同時にできる漢方を選びます。ずっと詰まっている鼻炎や蓄膿症は熱なので、冷まして炎症をとる漢方を主につかいます。
鼻水、鼻づまりは、まずは色をみます。他の症状と合わせて考え、それが熱なのか、冷えなのかを見定めます。そして、その他の症状から原因を探ります。原因が解ればおのずと処方は決まってきます。鼻水などネバネバした物体は、中医学では「痰」や「痰湿」と呼ばれるものです。多くは飲食の不摂生により作り出されます。胃腸が元気であれば、痰や痰湿は便や尿となって体外に正常に排泄されます。鼻水や鼻づまり、痰などが気になる方は、脂っこいもの、甘いものを控えて、葉野菜多めの和食を腹八分目を意識して食べるようにしてくださいね。詳しくはこちらのブログをご参照ください→【元気になるための食養生】
 
 
 

2013/12/07

「仏滅」「大安」に根拠はない??『暦』のお話

こんにちは。櫻井です。今日は「暦」についてのお話を少し。今日は12月4日水曜日、六曜でいうと「赤口」(しゃっこう)で、「とても良く無い日」と仏滅についで凶とされている日です。ちなみに午前までは吉だそうです。
 
wikipediaによると、

先勝

「先んずれば即ち勝つ」の意味。かつては「速喜」「即吉」とも書かれた。万事に急ぐことが良いとされる。

友引

「凶事に友を引く」の意味。かつては「勝負なき日と知るべし」といわれ、勝負事で何事も引分けになる日、つまり「共引」とされており、現在のような意味はなかった。陰陽道で、ある日ある方向に事を行うと災いが友に及ぶとする「友引日」というものがあり、これが六曜の友引と混同されたものと考えられている。

先負

「先んずれば即ち負ける」の意味。かつては「小吉」「周吉」と書かれ吉日とされていたが、字面に連られて現在のような解釈がされるようになった。万事に平静であることが良いとされ、勝負事や急用は避けるべきとされる。

仏滅

「仏も滅するような大凶日」の意味。元は「空亡」「虚亡」と言っていたが、これを全てが虚しいと解釈して「物滅」と呼ぶようになり、これに近年になって「佛(仏)」の字が当てられたものである。

大安

「大いに安し」の意味。六曜の中で最も吉の日とされる。何事においても吉、成功しないことはない日とされ、特に婚礼は大安の日に行われることが多い。また、内閣組閣も大安の日を選んで行われるという。しかし、本来はこの日に何も行うべきではないとする説もある。この点で、キリスト教やユダヤ教における安息日にほぼ相当するといえる。

赤口

陰陽道の「赤舌日」という凶日に由来する。六曜の中では唯一名称が変わっていない。午の刻(午前11時ごろから午後1時ごろまで)のみ吉で、それ以外は凶とされる。この日は「赤」という字が付くため、火の元、刃物に気をつける。つまり「死」を連想される物に注意する日とされる。
だそうです。

 

 根拠がない!
ところで、この決まり、だれが何を根拠に決めたのでしょうか?ちなみに、六曜とは、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6つのことで、かつては、即吉→共引→周吉→虚亡→泰安→赤口だったそうです。赤口以外はすべて字が変わっていますね。元々の字を見てもわかるように、仏教とは全く関係ありません。それどころか元々仏教では、釈迦を始め、占いの類を禁じています。日本では親鸞も「日の吉凶を選ぶことは良くない」と説いていて、迷信・俗説の類を禁じました。私も知りませんでしたが、行政をはじめ、公共機関が出すカレンダーでは採用されておらず、「根拠のない迷信」として無用な混乱を避けるため、使わないように指導しているところもあるそうです。
 
月火水木金土日と同じく、分けているだけだった
六曜はもともと中国で考えられたとされていますが、だれがいつ考え出したのかはまったくわかっていません。元々は単純に一月を6日ずつ5等分したときに分けるのに使われた、現代の七曜(月・火・水・木・金・土・日)と同じものだったそうです。しかし、それがいつのまにやら意味を持つようになり、吉凶を占うものになったようです。日本には、鎌倉時代に中国から入ってきた考えとされていわれてるところもありますが、これも良くわかっていません。わかっているのは、第二次大戦後に爆発的な人気になったということだけです。とかく日本人は占いが大好きですね。それにしても仏滅も大安も根拠がないっていうのはびっくりですね。これによって金額が大きく違う結婚式場などは、どうしたらいいのでしょう。まぁ、暦に限らず、思い込みにより価格が変わるのなんていうのは世の常ですね。残念ながら。
 


本日届きましたパンダカレンダー / torisan3500 **写真はイメージです。

 
それでも暦は面白い
暦の歴史をひも解くと、とても面白い話がいろいろ隠されています。江戸のころでは、暦は一つではなく、伊勢神宮が出す「伊勢暦」、幕府が公認していた三島大社の「三島暦」、そして朝廷の庇護をうけた京都の大経師が出していた「京暦」など異なる暦を使っていました。そのころではまだ、どの暦を公式な暦日として扱うべきかで熱い議論が交わされていたそうです。というのも、同じ月でも29日と、30日の暦があり、どの暦を採用しているかで、月末と月初がかわってしまい、借金や利息のことから、祭礼や年貢の取り立てに至るまで、様々な影響があったようです。それを避けるためにも幕府は「三島暦」を公認としていたそうですが、混乱はのちの改暦まで続いていたようです。小説「天地明察」に、詳しい話が書かれていますので、ご興味があった方は是非読んでみてくださいね。
これらの暦以外にも、各地で暦は作られ販売されていたようで、今のように薬局や花屋などの広告が載ったものもあったというから驚きです。ということで、ずいぶんと前置きが長くなりましたが、カレンダー届きました!(笑)。壁掛けタイプがやっと届いたので、お知らせいたします^^当店でお買い物をされた方には、前回のパンダ卓上カレンダーか、壁掛けカレンダーをお配りしております。もちろん六曜もばっちり入ってます(笑)。是非毎日の健康増進のお役だてにご活用ください!
 
 

カバーには、中医学の基礎、五行学説と臓腑のお話イラスト入りでわかりやすく書いてあります。

中身は四川パンダセンターの「冠元ちゃん」の写真と、中国の世界遺産が。

各月におすすめ食材とその月の簡単薬膳レシピも掲載されています。

 
 
 
 
 

2013/12/04

忘年会でもやっぱり話題は中医学

昨日はイスクラ薬局直営4店舗合同の忘年会でした。やっぱり気の合う仲間との会合は楽しいですね。
 

相変わらず出席率が高い元日本橋店長今井は右端です。

いまは文京区本郷で「後楽堂薬局」をやられています。

 
こんな飲み会で話題に上がるのも、やはり漢方のお話。せっかくの飲み会なんだから、仕事を忘れて、、、という気分で臨むんですが、そのうちあちらこちらで症例検討が始まり、こんな症状にこんな漢方が良かった話や、困った症例に関して先生への質問コーナーになったり、プチ店長会議が始まってしまうのは、やっぱりみんなお店が、中医学が大好きなんでしょうね。
そして、話題はその日飲んできた「飲み会対策漢方」の話に。この日はB医師が、新商品の木鶏丹(もっけいたん)初体験。先生曰く「全然頭が痛くならない!」とのこと。
木鶏丹は、核桃楸皮(かくとうしゅうひ:マンシュウグルミの樹皮)と、雲芝(うんし:カワラタケの子実体)という二つの生薬からできた健康食品で、核桃楸皮は微寒で、肝・胆系に働きかけ、清熱解毒、瀉肝明目、燥湿利水の働きがあり、余分な熱や水分をとり、肝を養う力があるとされています。雲芝は寒性で、心・肝・脾・腎に働きかけ、養肝益気、清熱解毒、きょ湿散結の働きを持ち、やはりこちらも肝を養い、余分な熱と湿をとり、塊をとる力があるとされていますので、湿熱が強いお酒の愛称ともぴったりですね。
 

その他、田七人参や、黄連解毒湯と五苓散など、皆さん個々の体調・体質に合わせたオリジナルセットを飲んできていたようです。そんな中でも飲み会の定番と言えば、お酒に「田七人参(でんしちにんじん)」、食べ過ぎに「晶三仙(しょうさんせん)」は鉄板ですね。写真のように誰かが必ず、他のスタッフの分も含めて、持参してきます。まぁ、大体みんな事前に自前のものを飲んできてますので、必要がないことが多いですが、飲みすぎ・食べ過ぎはうっかりやってしまいますので、やっぱり予備に持っていくと重宝されますね。

残念ながら裏返っている「晶三仙」。

楽しく飲んで、食べて、また今日から元気に働いてます。漢方のおかげで翌日もすっきりです!皆様も、ぜひお試しあれ。

 

2013/11/28

痰湿タイプの冬の養生

こんにちは。櫻井です。今日はまたまたTwitter(@IskraRoppongi)に寄せられたご質問から「痰湿体質の人の冬対策」について書いてみたいと思います。
 

 

「痰湿体質」とは

痰湿体質(たんしつたいしつ)新陳代謝が悪く、余分な水分が溜まりやすい方に多く見られます。溜まった老廃物である「痰湿」が外に出ようとするため、ニキビや吹き出物、痰、おりものの増加、肥満、または水太り、だるさ、吐き気、めまい、むくみなどの症状がみられます。西洋医学的に見ると、高脂血症、糖尿病、肥満の予備軍だったり、現在そういった疾患にかかっている場合もこのタイプになります。痰湿タイプには、熱がこもる熱タイプと、冷えがある寒タイプがありますが、どちらのタイプも基本的な対策は、「利水」。水分代謝を良くすることです。痰湿体質の方の舌は黄色や白の苔で覆われています。一般的に白い苔は冷えタイプ、黄色い苔は熱タイプと言われています。



 

食養生のポイント

食物繊維に富んだ雑穀類、玄米などの穀物類や、海藻類、根菜類(蒟蒻を含む)などを良く噛んで積極的に摂り、甘味(砂糖ではない自然な甘み**果物も注意)・辛味・鹹味(塩辛い・海藻や海産物)味を基本として、寒熱の偏りの少ない平性の食材を選びましょう。冷えタイプには温性、熱がこもるタイプには涼性・寒性を追加することも大切です。そして、すべてのものを食べすぎない、飲みすぎないようにしましょう。溜まってしまっている老廃物である痰湿を掃除するには、食物繊維が欠かせません。食物繊維は消化液や酵素でも消化されにくく、腸内で老廃物や水分を吸収し、からめ取りながら便として体外に排出する力があります。食物繊維には体内を掃除する働きがあるので、痰湿タイプにはぴったりです。
痰湿体質の方は、早食いや、大量に水分や食事をとってしまう方が多いようです。大量に摂った飲食物は、胃腸が健全に消化吸収できる許容範囲を超えてしまい、胃腸を疲れさせ、「必要なものと、不必要なものを分ける」という能力を低下させてしまいます。そうなると、不必要な水分や老廃物である「痰湿」が溜まっていきます。もしあまり食欲がないのに、お昼だからとか、朝だからとか、習慣的に食べてしまっているようなら、それも痰湿を溜めこむ原因となっています。食欲がないというのは、胃腸が疲れているというサインです。消化に良いものにする、一食抜くなどを試してみてください。
 

良く噛んで食べること

食事を良く噛んで食べると、血糖値が徐々に上げいくことができ、脳内の満腹中枢が刺激されて過度に食べ過ぎてしまわないようにストップがかかります(満腹感を感じます)。食べ始めてから満腹中枢が動き出すまで大体20分程度と言われているので、最低20分ぐらいかけて食事をゆっくりとることがとても大切です。かき込むように食べると、このセンサーが働く前に食べ物を胃腸に詰め込んでしまうので、本来の許容量以上に食べて過ぎてしまいます。食べ過ぎの方はゆっくり食べることが大切です。そして、汁物と一緒にご飯を食べないようにするのも大切です。汁物と一緒にたべるとどうしても噛み終わるまえに飲み込んでしまうからです。良く噛むことは、それだけで胃腸の仕事を一つ減らせます。口はとても大切な消化器官の一つだと考えてください。噛むことから消化は始まっています。汁物は、先に摂ることをお勧めします。そうすることで、胃腸が水分で満たされ、もう一つの満腹中枢センサーである胃のふくらみ刺激がつたわるので、食べ過ぎを防止できます。
 

症状別おすすめ食材

むくみや水太りの人は、利尿作用を強化する、緑豆、春雨、冬瓜、ハトムギなどがおすすめです。
中性脂肪やコレステロールの高い方は、タンパク質の摂取としては肉や卵より、いわし、さんま、さばなどの青魚をお勧めします。EDA、DHAなどが悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化を改善します。
普段のお茶には、ウーロン茶、プーアル茶、ハトムギ茶、杜仲茶、ドクダミ茶、五行草茶などが体内の老廃物を取りのぞく働きがあり、食後に温かくしてのむようにしましょう。冷たいものは胃腸機能を低下させ、逆効果になるので要注意です。体が冷えやすい人は特に注意しましょう。
 

避けてほしいのは、

肉の脂身などの動物性の脂肪
チョコレートや生クリームなどの砂糖を(たくさん)使った甘いもの
果物や炭酸飲料の摂りすぎ
お酒の飲みすぎ、たばこの吸い過ぎなどです。


Icecream beauty / Ari Helminen

脂肪分が多く、冷たいアイスは避けて!!

おすすめ食材は、

緑豆もやし、緑豆はるさめ、さんざし、玄米、昆布・わかめ・のり、ひじきなどの海藻類、あさり、しじみなどの貝類サバ、あじ、いわし、さんまなどの青魚、にんじん、かぶ、ごぼう、大根などの根菜類、シイタケ、エノキタケ、マツタケ、マッシュルームなどのキノコ類、小松菜、青梗菜などの葉物野菜なども良いでしょう。
上記の食材は、寒性・涼性は青温性は赤平性は緑で書いてあります。熱がこもりやすい方は、涼性・寒性の食材を取りれてください。冷えを感じる方は温性の食材を積極的に食べるようにすると良いでしょう。
 
 
ご質問は「痰湿タイプの冬対策」ということですが、冬というのは、基本的に温存の季節です。身体はどうしても溜めこもうとします。なので、普段以上に食に気を使うことが大切だと言えます。そして冷たいものは絶対に摂らないこと。熱がこもりやすい場合も、冷たい飲食をとるのではなく、食材が持つ力を利用して熱をとるようにしましょう。氷の入った飲みもの、冷たいサラダ、フルーツ、アイスクリームなどは胃腸機能を低下させてしまい、痰湿を溜まりやすくするので、季節に問わずさけたほうが良いでしょう。痰湿は一度溜まってしまうと、なかなか排泄できません。そして、溜まってしまった痰湿は、食物の栄養吸収を邪魔するだけでなく、厄介な症状とも関連しています。中医学のなかには、「わけのわからない症状は大体痰のしわざ」という考えもあるぐらいです。胃腸の消化吸収を邪魔する痰湿はもちろん漢方薬の吸収率も低下させますので、普段の食養生がとても重要になります。食物繊維たっぷりで、動物性の脂肪の少ない温かい食事をしっかり噛んでたべるのをお忘れなく。
 

2013/11/18

葛根湯と頭痛

普段から食養生食養生と口を酸っぱくして言っているのに、朝からマフィンとコーヒーの誘惑にまけてしまい、胃もたれと若干の腹痛を感じている櫻井です。どうもこんにちは。やっぱり食養生、大事ですね!って説得力無いですが、体験したことで自信を持って言えます!    ・・・反省しています。
今日のお話は、先日またツイッター上で、勉強熱心なフォロワーさんから「頭痛に葛根湯が効くのはなぜ?」という簡単そうで、なかなか難解なご質問をいただいたので、今日は葛根湯について、私ももう一度勉強し直しながら、お話させていただきます。

 

葛根湯

葛根湯は、漢方を飲んだことがないという人でも1回は飲んだことがあるぐらい、もっともメジャーな漢方薬ではないでしょうか。落語の枕詞(なんでもかんでも葛根湯を出す藪医者の話)にもなるほど、日本人にはなじみが深い漢方薬ですが、本場中国では同じような症状に対して、麻黄湯や桂枝湯の方が良く使われており、葛根湯の登場機会は日本ほど多くありません。
葛根湯は今からおよそ1800年ほど前に書かれた「傷寒論」という中医学の古典に掲載されている処方です。1800年前と言えば日本はまだ医療どころか文献すらないような卑弥呼の時代です。そのころの医療といえば、もっぱら神頼みだったと思われます。その時代に中国ではすでにある程度体系化されていた「医学」が存在されていることには驚きを隠せません。著者は張仲景(ちょうちゅうけい)。張仲景は、親族の大半を【傷寒】で亡くしたことを嘆き、そんな状況を克服するべく古代から伝わる医術をもとに「傷寒論」を編残したものと言われています。「傷寒」には二つの意味があり、広義では「湿熱を含めた一切の外感熱病」で、狭義では、「風寒の邪の侵入により身体が傷つくもの」で湿熱は含まれません。傷寒は広義の意味では、腸チフスやインフルエンザなどの高熱を伴う感染性の疾患を指します。狭義ではカゼなどがその範疇になります。
 

 

葛根湯の分類

葛根湯は「解表薬」(かいひょうやく・げひょうやく)という種類のお薬です。「解表」には「発表・発汗」という意味があります。なので、解表薬は(ウィルスなどの病原体を)「外(表)に出す」、または、「汗をかかせる」ためのお薬です。「表証」(ひょうしょう)は、感染症の初期に見られる、悪寒・頭痛・身体痛・発熱などの症状がみられる状態を指していて、このような状態に対して、発汗させ熱の放散を強める方法をとることが、症状を緩和させるのに有効だと考えられています。ただ、発汗の程度はそれら症状の状態や体力などに応じて変える必要があるため、様々な解表方法が工夫され、様々な包剤が考え出されてきました。
中医学では、病邪が体の表面の浅い部分(皮膚の少し下ぐらい)を侵す「表証」という状態になると考えていて、その病邪の種類には、風寒、風熱、風湿、燥邪などがありますが、大きく分けると、風寒表証(表寒)と、風熱表証(表熱)の二つになります。
葛根湯は、風寒表証に対して用いられる辛温解表薬で、悪寒・頭痛・身体痛などの寒証の症状がみられる「表寒」に対して使われるお薬です。
 

 

 葛根湯の適応

中医学解説書による、葛根湯の適応を見てみると、「悪寒・無汗・発熱・頭痛・身体痛・咳嗽あるいは呼吸困難・口渇がないなどで、鼻閉、鼻水、ふるえなどに、項背部のこわばりをともなうもの」とあります。葛根湯は、確かに悪寒をともなうカゼの初期に使う薬ですが、上記適応の最後にある「項背部のこわばりをともなうもの」という部分がポイントです。この適応は麻黄湯や桂枝湯などのほかの辛温解表薬にはありません。違いは、「葛根」という生薬の有無です。
 

葛根とは

葛根は、マメ科のクズの塊根を乾燥させたものです。性味は平性で寒熱の偏りがなく、味は甘・辛で、補う力と同時に、発散する力があります。薬理基礎実験では、解熱作用、冠状動脈拡張作用、脳血管拡張作用による脳血流量の増加作用、筋弛緩作用などがあるとされ、臨床的には、首や背中の上の方にこわばり・緊張がある場合や、潤いを補いたい場合、下痢、湿疹が出きらない場合、高血圧、狭心痛や突発性難聴の初期などに使われます。
葛根は、血管を拡張させ、血流を良くして、潤してくれる生薬です。
 
 

痛みと葛根湯

痛みの原因を中医学では、「不通則痛」(通じざれば即ち痛む)と、「不栄則痛」(栄養がいきわたらなければ即ち痛む)という二つに分けています。葛根湯と頭痛や身体痛の関係を考えると、寒さや潤いの消耗などによる血流悪化が原因の、頭痛や肩こり、身体の各部分の痛み(不通則痛)を、麻黄や桂皮、生姜などで温めながら、葛根、白芍、大棗、甘草などで潤いを作り出すことで血流を良くし、痛みを緩和しているのではなかろうかと考えることができます。もっとよく効かせるためには、血流改善薬(活血剤)をプラスすると良いでしょう。

 
葛根湯は肩こりや寝違い、五十肩、神経痛などの痛みはもとより、頭部や顔面の化膿性炎症、皮膚炎、じんましん、乳汁不足、大腸炎とその応用範囲の広さから、様々な症状の改善に使われてきています。どれにもある一定の効果がみられることから、何にたしても葛根湯っというのは藪というわけでもないかもしれません。実際「葛根湯医」という言葉には、なんでもかんでも葛根湯を出す藪医者という意味と、葛根湯にさらに生薬を加えたり、抜いたりした数あるバリエーションを使いこなせる名医という二つの意味があるそうです。今回、葛根湯をもう一度見直してみたことで、また応用範囲がひろがったと感じます。知ってる処方も、もう一度しっかり考え直してみることはとても大切ですね。

2013/11/16

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売