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知ってみよう!中医学 ~第5回:気・血・津液~/重原淳一

これまで4回にわたり、整体観念、弁証論治、陰陽論、五行論といった中医学の導入部分についてお話しました。これらは中国古代の自然哲学思想に基づいたもので、概念的な内容が多かったと思います。今回からはリアルな人体の気・血・津液(き・けつ・しんえき)の話にうつります。


これまでのまとめ

整体観念
あらゆるものはひとつに統一され、互いに関連しているという考え方で、人体内部の統一性と、人体と自然界の相互関係のふたつがあります。

弁証論治
お悩みの症状や病気の治療を検討する際に、さまざまな現象(症状)を関連づけて分析し証を導き出し、その証にしたがって治療します。

陰陽論
世の中のすべてのものを、水や物質的なイメージである陰と、火や機能的なイメージである陽に分けて、人体の仕組みや病気のメカニズムを説明したり、治療方法を導き出したりします。

五行論
人体の五臓や関連する器官、物質などの大きなまとまり・システムを「木・火・土・金・水(もく・か・ど・こん・すい)」の5つの要素に分類しています。

 

気・血・津液

人体を構成し、生命活動を維持する基本要素を気・血・津液といいます。

気は原気(げんき)・宗気(そうき)・営気(えいき)・衛気(えき)の4種類があり、それぞれ異なる役割を持って全身に分布しています。たとえば衛気は比較的体表に存在し、外部(の邪気)から体を守ったり、温めたりする役割を担っています。防衛の“衛”の文字からイメージしやすいでしょうか。

血は“脈管内を正常に流れる鉄サビ臭のする赤い液体” とされており、現代でいう血液に近いものです。赤血球とか血小板といった個別の概念は無く、それらの働きを含めて血といいます。このように、中医学と現代医学で似たような言葉でも、完全にイコールではないことが多々あります。中医学において血は、全身を栄養するとともに、精神活動を安定させるはたらきがあるとされています。

津液は、滋潤作用のある正常な体液のうち、血以外のすべての水分を指します。涙、唾液、リンパ液などはすべて津液です。体内に停滞している余分な水分は、痰(たん)、飲(いん)、水(すい)、湿(しつ)と呼び、病理産物として区別しています。ちなみに日本漢方では気血水といって、津液のことを水(すい)と表現しています。

気・血・津液のほかに、精(腎精)という生命活動におけるもっとも根本的な物質があります。成長、発育、生殖などを担っている物質で、老化とともに減少していきます。腎精を補うために、補腎薬と呼ばれる漢方薬を使います。

気・血・津液は相互扶助するとともに、病理的にも影響しやすい関係を持っています。たとえば気の流れと血の流れは同調するため、血流を改善するために気の流れも整える漢方を併用することがあります。

次回は気についてもう少しくわしくみていきましょう。

2025/04/01

薬膳 de おやつ~栄養餅~/三上洋子

こんにちは、三上洋子です。
私はお菓子やパンを作ることが大好きなので、食の養生「薬膳」をとり入れたおやつをご紹介していきたいと思います。

薬膳というと、生薬が入っているお料理を思い浮かべられるかもしれませんが、生薬を全く使わなくても薬膳は作ることができます。「薬食同源」というように、いつも食べている食材にも薬のような効果があります。食材を、体質や環境、体調などに合わせて料理を作ることで立派な薬膳になります。

先日は最近気に入っている韓国のお菓子、栄養餅(ヨンヤンチャルトック)を作りました。韓国には日本のお餅のようなお菓子がたくさんありますが、栄養餅は、黒豆、棗、かぼちゃなどの具材がのっていて、その名の通り、栄養たっぷり軽食にもなるお餅です。今回は、黒豆、黒胡麻、小豆、かぼちゃ、さつまいも、棗、松の実、ひまわりの種をのせました。餅米は、胃腸を健康にする、元気を補う、胃腸が冷えて下痢をしている時の改善につながります。

餅と言ってもいろいろあり、日本のものとは随分違います。韓国は稲と雑穀をともに耕作し、豆、小豆、そばなどを利用して餅を作り、その作り方や材料により、餅の種類が多様です。一方日本は米で作った多様な餅が発達し、四季の趣きが美しい形と色があります。

韓国にも古代中国の医学を基礎に韓国の風土や気候、体質などに合わせて発展した韓医学があるので、食文化を学ぶのも楽しいです。お店などで見かけることがあれば、是非お試しください。

<食材の主な作用>

黒豆: 平/甘 老化防止、貧血予防食材の主な作用
黒豆: 平/甘 老化防止、貧血予防
黒胡麻: 平/甘 滋養強壮,老化防止
小豆: 微寒/甘酸 デトックス、便秘改善、
かぼちゃ: 温/甘 疲労回復、風邪予防
さつまいも: 平/甘 便秘改善、疲労回復
棗: 温/甘 滋養強壮、精神安定
松の実:温/甘  便秘改善、滋養強壮
ひまわりの種: 平/甘 便秘改善、老化防止

2025/03/10

中医学から養生~立春~/加藤百合子

こんにちは 加藤百合子です。

花粉症はつらくはありませんか?1ヶ月前倒しで季節の病が動いているようで、1月より花粉症が始まりました。早く、桜の春が待ち遠しい限りです。

冬になると、私の楽しみにしている食材に“わかさぎ”があります。小さい頃は、釣れる産地に行かないと食べれないものでした。おいしく感じるこの時期が好きです。

わかさぎ(若鷺)は、全長15-17cmくらいですので、小さいとか若いというイメージがあり、鷺が捕食する魚であったことから名前の由来があるようです。また、公魚という書き方でわかさぎとも読みます。

これは、公儀御用魚であったことから当てられた名前で、茨城の藩主が徳川家へ年貢にしていたことから由来しています。

寒い氷の湖に穴をあけて釣るのが特徴で、淡水魚と思われるのですが、もとはキュウリのようなにおいがする、鮎やししゃもと同じキュウリウオ科の魚類です。産卵で河川を上りますが、成長とともに海に戻るものと、環境の影響で湖や河川に留まるものがあり、湖に一生生存できることから、食用魚として湖に放流して育てるようになりました。

漁獲量は多い順に、秋田、青森、北海道、滋賀、茨城(2021年)で、茨城は霞ヶ浦です。3年前くらいでしょうか、東京のスーパーマーケットで夏にワカサギのお惣菜を見て、冬の食べ物では?と不思議に思いました。それから、毎年7月以降にスーパーマッケットで見かけます。

漁猟時期は、いろいろな理由で違っていました。秋田(八郎潟)は9月に解禁し翌3月まで、北海道(網走湖をはじめ道内の湖と川)は9-10月と1-3月、青森(小川原湖)は4-6月と9月-翌3月、滋賀(琵琶湖)は11月-翌1月、茨城(霞ヶ浦)は7月-12月と、場所で少しずつ漁猟時期が異なります。

どこも寒い時期より少し前に漁猟が始まっています。これは、栄養価が時期によって異なっていたことがわかったからです。霞ヶ浦を例にしますと、7月はワカナツと呼ばれ、まだまだ若いのですが魚油(EPA・DHA)がとても多く、脂ののったおいしさだそうです。翌年の2月頃には、成長にともないカルシウム、タンパク質や炭水化物が多くなるようです。体の成長とともにうまみと食べごたえがあるので、それを私たちは旬と感じていたのかもしれません。また、栄養価では、時期を問わずに、カリウム・ビタミン(中でもビタミンAとビタミンB12)・鉄が多いようです。

献上されてまで江戸時代より好まれてきたわかさぎは、料理として、天ぷらや甘露煮があります。私もほとんど天ぷらでいただきますが、焼いたワカサギを醤油につけて食べるのも美味しいそうで、今年は挑戦してみようと思います。

 

 

2025/02/03

薬膳ガーデニングのすすめ~レモン~/金村瑛美

こんにちは、金村です。

先日、自宅のレモンを収穫しました。3年前にいただいたレモンの木には、レモンと言って良いのか悩む程丸くて大きな実がなります。

柑橘類には、「隔年結果」という一年おきに豊作と不作を繰り返す現象があるそうです。

初めて収穫した昨年は、色味が微妙なものが2個のみでしたが、今年はしっかりとした大きな実が4個でき、一番大きいものでは直径15㎝もありました。(品種はいまだに不明です。)

自宅で収穫したレモンです⇓(通常サイズのレモン3個分に相当します)

 

通年手に入るレモンですが、国産レモンの旬は秋~冬頃です。レモンは、家庭でも育てやすく、私の実家では一つの木(プランターで育てています)から、今年は通常サイズのレモンが30個も収穫できました。

スーパーで無農薬のレモンを買うと結構な値段がするので、自宅で採れたレモンを料理に使う時は、とても得したようで嬉しくなります。

たくさん採れた場合に困るのは保存方法ですが、レモンは一か月程冷凍保存が可能です。丸ごと冷凍もできますし、輪切りやくし切りにして冷凍しても重宝します。

 

レモンの木の害虫

育てやすい植物といっても、やはり害虫はいます。

レモンの木をいただいてからしばらくすると、自宅のテラスでアゲハ蝶を見かけるようになりました。

最初の頃は、美しいアゲハ蝶の訪問を喜んでいましたが、しばらくしてレモンの葉に異変が起こり始めました。

虫食いの葉が多発し、一部茎のみになっている箇所が!

害虫の正体は、レモンに植え付けられた卵から孵化したアゲハの幼虫でした。

葉っぱが食い尽くされないよう、1匹だけを残し、あとは申し訳ないと思いながらも...

それ以降も薬剤などは使わず、水やりの際、毎回新たな幼虫が増えていないか確認し対処しました。

 

薬膳的効能

レモンは、潤いを生み出し、食欲を高め、消化を助けてくれます。

皮の部分は気の巡りを良くし、胃の機能を高めてくれます。

※胃酸過多の方は摂りすぎないようご注意ください。

 

レモンとショウガのはちみつ漬け

今回はレモンの爽やかさを生かしつつ、冬に飲みたいレモンとショウガのはちみつ漬けをご紹介します。

ショウガは温性が強く、胃腸を温めてくれる冬に最適の食材です。

漢方薬にも生姜や乾姜(蒸して乾燥したもの)としてよく使用されています。

ショウガが苦手な方は、ショウガを入れずレモンのはちみつ漬けにしても構いませんが、レモンの性質は涼性のため、冷え性の方やこれからの時期はホットドリンクにするのがおすすめです。

中医学では、酸味のものと甘味のものを合わせて陰(潤い)を生み出すことを「酸甘化陰」といい、レモンの酸味とハチミツの甘味は相性◎です。

<材料>
レモン  通常サイズ3個 輪切り
ショウガ 1個 スライス
はちみつ 200-300g

<作り方>
・レモン→ショウガ→はちみつの順に繰り返し層を重ねます。
・はちみつの量は目安で記載しましたが、レモンとショウガがはちみつに浸っていれ ば問題ありません。
・ショウガの量や皮を剥くか等もお好みで加減ください。
・冷蔵庫で2晩置いたら完成です。

 

 

 

 

前回記事:薬膳ガーデニングのススメ~ミニトマト~

2025/01/09

体に嬉しい発酵ばなし~甘酒~/勝俣薫

こんにちは、勝俣薫です。
例年より気温が高い日が続き、深まる秋を感じたのは束の間、冷たい北風や乾燥が気になる冬がやってきました。
今回は、朝晩冷え込む時に飲むと温まりホッとする嬉しい飲みもの、甘酒についてお話しします。

甘酒には、米麹を原料にした「麹甘酒」と、酒粕を原料にした「酒粕甘酒」の二種類があり、どちらも古代から作られる発酵食品ですが、 工程や歴史に違いがあります。

 

工程

・米麹…蒸したお米に麹菌を繁殖させ完成させます。
・酒粕…日本酒の原料である米と米麹が発酵してドロドロに溶けた状態(もろみ)になり、それを搾った液体が日本酒、残った固形物の方が酒粕です。

 

歴史

奈良時代に情報収集して作られた『日本書紀』の記述に、米や麹で作った「醴酒(こさけ)」を応神天皇に捧げたという内容が記されているようです。この製造方法から考えると、現在の米麹甘酒に繋がります。
一方、奈良時代『万葉集』に納められている「貧窮問答歌」の中に「糟湯酒(かすゆざけ)」についての記載があります。その和歌の一部を訳すと「雨や雪が降る寒い夜、暖をとるために塩を舐めながら湯に溶いた酒粕を啜った」とあり、酒粕甘酒との繋がりを感じます。ちなみに糟湯酒は下級庶民のお酒とされていたようです。

 

薬膳的効能

薬膳的な効能では微妙な違いはありますが、似通っています。

☆米麹麴
【性味】辛甘/温 【帰経】脾・胃
【効能】
体をあたため気の巡りを良くする/肌や粘膜を乾燥から守る/消化を促進し便通を整える/疲労回復

☆酒粕
【性味】辛甘/温 【帰経】脾・胃
【効能】
体をあたため気血の巡りをよくする/肌や粘膜を乾燥から守る/腸を整え老廃物の排出を助ける/ 疲労回復

栄養素においては、共通してアミノ酸・ビタミンB群・食物繊維・オリゴ糖などが含まれています。それらの含有量の違いによって整肌に良い成分が多いのが米麹、ダイエットに向いている成分が多いのが酒粕です。どちらにしようか迷った時の参考になれば幸いです(砂糖が添加されている製品もありますので、お好みでご確認ください)。

※酒粕にはアルコールが含まれています。お子様やアルコールを控えている方はお気をつけください。

歴史を辿ると面白い違いがある甘酒は身体を温め、胃腸にやさしく栄養も豊富です。
寒さがますます厳しくなるこれからの時期、甘酒をお供に養生いただき、活き活き元気に年末年始をお過ごしください。

2024/12/09

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