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知ってみよう!中医学~陰陽論~/重原淳一

これまで2回にわたり、中医学の根幹である“整体観念”と“弁証論治”についてお話しました。
整体観念とは、人体の臓腑・組織・器官は互いに有機的に連絡していて、また自然界とも密接な関係があるという考え方です。お悩みの症状や病気の治療を検討する際に、さまざまな現象(症状)を関連づけて分析し証を導き出し、その証にしたがって治療することを弁証論治といいます。

今回と次回では、中医学の理論においてもっとも基礎となる、“陰陽論” と“五行論”についてお話します。

中医学の基礎理論の根底には、中国古代の自然哲学思想があります。ひとつめは陰陽論です。昔の人は、一日のなかで昼と夜の変化や、季節の移り変わりのなかで、さまざまな自然現象や人体に起こることを、陰と陽のバランスとして考えていました。

どこかで見たことがある下の絵は、陰陽の関係性を表現しています。

人と自然界との統一体の中には、陰と陽というふたつの概念があり、互いに対立したり制約したり依存したりしながら存在しています。下と上、裏と表、暗と明、夜と昼、冬と夏、寒と熱、静と動など、あらゆるものを陰と陽に分けて捉えています。
少し分かりづらいかもしれませんが、端的に言えば、陰は水のイメージで、陽は火のイメージです。あるいは、陰は物質的なイメージで、陽は機能的なイメージです。

人が健康なときは、陰と陽のバランスがうまく保たれています。しかし、どちらかが強すぎたり弱すぎたりするとバランスが悪くなり、体調を崩します。例えば、陽が強すぎたり陰が弱すぎると熱っぽくほてりが出て、逆に陰が強すぎたり陽が弱すぎると冷えの症状が出ます。
もう少し突っ込んだ話をすると、陰が弱くなる・不足している状態を陰虚といい、代表的な臨床所見として、ほてり・口渇・寝汗・舌が赤くて表面にひび割れのような溝がある、などがあります。体の潤いである陰が不足すると相対的に陽が優勢になるため、前述のほてりなどが出るのです。そして、陰の時間帯となる夕方以降に症状が強く出るケースが多いです。

このように私たちの漢方相談では、人体だけでなく季節や時間など全て含めて、基本となる陰陽の観点から考えて分析しています。世の中のすべてのものを、水や物質的なイメージである陰と、火や機能的なイメージである陽に分けて、人体の仕組みや病気のメカニズムを説明したり、治療方法を導き出したりするうえで基本的な理論根拠となっているのです。

2024/06/10

中医学から養生ー初夏ー/加藤百合子

こんにちは 加藤百合子です。

5月のGWには、筍料理を頂くのがとても楽しみです。

筍には孟宗竹(モウソウチク)、真竹(マダケ)、淡竹(ハチク)、寒竹(カンチク)など、種類がありますが、東京で簡易に購入できるのは孟宗竹でしょう。

一度、筍掘りを経験したことがあります。指で土を掘り分け、出てきた細くやわらかい筍は、美しく、成長という生命のような力を感じ、とても神秘的でした。

筍は、歯触りがよく、甘みと少しえぐみがあり、焼いても煮ても炊いてもおいしいですね。こんなに美味しい筍に栄養はあるのかな、という疑問を聞いたことがあります。

調べてみますと、生筍100gには、水分90.8g、タンパク質3.6g、炭水化物4.3g、カリウム0.52g、マグネシウム0.013g が含まれているそうです。生筍100gの大きさは、中くらいの筍1本(皮付き)730gなので、そのだいたい7分の1量に相当します。

100g当たりの成分が同等量の食材ですと、タンパク質では豆腐や豆乳、炭水化物ではブロッコリーや菜の花、カリウムでは焼いたサツマイモが当てはまります。もう少しわかりやすい例では、カリウムの多いバナナ1本(126g)にはカリウム454mg(0.454g)が含まれています。

これらのことから、筍は、水分が90%と非常に多く、カリウムが高く、タンパク質や炭水化物を十分に摂れる食品と言えるのでしょう。

おいしさの秘訣は成分にあったようですね。

生薬では淡竹の葉や竹竿を用いますが、そのうちの葉は竹葉(ちくよう)と言います。
竹葉は、体の上部分の熱を取ってくれる働きがあり、喉が痛い、などの風邪の熱症状に良いと言われております。
喉がおかしいかなと言う時に飲むと、スッと心地よい涼感とともに、竹葉のすばらしさが伝わります。

2024/05/02

中医学コスメレポート⑧紫根リップ/金村 瑛美

こんにちは、金村です。
今回の中医学コスメレポートは、紫根リップです。

 

紫根とは

紫根は、ムラサキ科ムラサキという多年草の植物の根です。
ムラサキは万葉集にも詠まれ、紫根の成分は古くから染料や薬の原料として使われてきました。
十数年前には、テレビ番組でシミが消えるとして取り上げられ、一時期ブームとなりましたので、ご存知の方もいらっしゃるのでは?

漢方好きの方であれば、紫根が名前の元となった「紫雲膏(しうんこう)」を常備しているという方も多いかもしれません。
「紫雲膏」は、江戸時代の名医である華岡青洲が、中国・明代の「潤肌膏」を改良して考案した漢方の代表的な外用薬です。紫根と当帰に、ごま油、蜜蝋(ミツロウ)、豚油を含み、ひび、あかぎれ、しもやけ、魚の目、あせも、ただれ、外傷、火傷、痔核のよる疼痛、肛門裂傷、湿疹・皮膚炎など、幅広く使用でき、家庭の常備薬として備えておきたい薬の一つです。

中薬学の教科書にも、紫根は『熬膏(煮た油)を外敷(塗る)すると湿瘡(湿疹)潰瘍に有効である』と記載されています。

性味:甘・鹹,寒
帰経:心・肝
効能:涼血活血・解毒透疹、利小便滑腸

紫根より抽出される主要成分「シコニン」には、抗炎症作用・抗アレルギー作用、創傷治癒促進作用、抗菌作用などがあるとされています。

リップや化粧品には、シコンエキス(またはムラサキ根エキス)として成分表記され、イスクラの瑞花露シリーズ(ソープ、ローション、クリーム)にも配合されています。

 

私が使用してみた感想…

紫根リップの素晴らしいところは、ほんのり自然に色づくのに、しっかり唇ケアをしてくれるところです。
薬用のものも含め様々なリップを使用してきましたが、唇が乾燥したり荒れている時には、紫根リップに戻ってきます。
また、口紅、リップティントやグロスが使えない程唇の状態が良くない時でも、血色良く見せたいですよね。そんな時にも、紫根リップが活躍します。特に紫根の配合量が多いものは、よりきれいな紅色に発色してくれます。

紫根リップは、ドラッグストアやコスメショップの店頭ではあまり販売されておらず、基本ネット販売のものがほとんどのようです。
手作りコスメが好きな方は、YouTubeやネットで作り方を参考にしながら、作ってみるのも良いですね。

2024/04/02

体に嬉しい発酵ばなし~味噌~/勝俣薫

こんにちは、勝俣薫です。

私は以前から味噌や納豆などの発酵食品が好きで、「〇〇は身体に対してどの様な良い影響があるのかな?」と考えることがあります。

これから、こちらのコーナーでは、皆様の身近にある食材の「体に嬉しい発酵ばなし」を紹介していきたいと思います。

今回は、お味噌汁でお馴染みの「味噌」です。味噌といえば発酵食品の代表選手みたいな調味料なので、皆様も常備しているのではないでしょうか?

 

味噌の嬉しい栄養成分

☆イソフラボン
主原料である大豆は、イソフラボンを豊富に含み、美容や健康に良いことに加え、抗酸化作用もあり、老化防止をサポートしてくれます。

☆乳酸菌
麹や塩を混ぜて熟成させているので、乳酸菌が豊富です。

☆その他
アミノ酸、ビタミン、カリウム、マグネシウム、繊維質など、たくさんの栄養素が含まれているので、お味噌汁や煮込み等だけではなく、万能調味料として活用したい優れものです。
ちなみに、味噌といえば塩分が多いというイメージですが、味噌には余分な塩分を排出する働きがあるカリウムも含まれている事も嬉しいところです。

 

薬膳的効能

胃腸を温める「温中」、不要なものを降ろす「降気」、「解毒」などがあるといわれているので、お腹の冷え予防の他、身体の「気」が逆流すると起こりやすいストレス・のぼせ等の症状緩和も期待できそうです。

最後に、味噌には、江戸時代から「医者に金を払うよりも、味噌屋に払え」ということわざがありました。病気になってお医者様に行くより、まずは良質な栄養源である味噌を食べて予防しておきなさいという考えは、まさに「薬食同源」ですね!

味噌には、その土地の季節や風土、歴史などで様々な個性があります。次回は、私が気に入っている味噌の特徴を紹介します。

2024/03/07

知ってみよう!中医学~弁証論治~/重原淳一

前回、中医学の特徴である“整体観念”についてお話しました。整体観念とは、あらゆるものはひとつに統一され、互いに関連しているという考え方で、人体内部の統一性と、人体と自然界の相互関係のふたつがありました。

今回は、中医学におけるもう一つの根幹である、“弁証論治”についてお話します。

 

弁証論治とは、「証を弁別して証にあった治療をおこなう」ということです。証とは病因の分類のことで、①何によって、②どの部分の、③なにが、④どうなって発病したのか、を示しています。

この時期まだカゼが流行っていますね。寒い日に薄着で出歩くと悪寒・発熱・頭痛があらわれます。病名は「カゼ(感冒)」となり、症状は「悪寒・発熱・頭痛」です。この場合の証は、①寒邪を受けることにより②体表に③冷えが④停滞して発病した、「外感表寒証(がいかんひょうかんしょう)」と分類します。治療には、体表の冷えを取り除く「辛温解表(しんおんげひょう)」の薬物を用い、葛根湯などを使います。

いっぽう同じカゼでも、悪寒が無くて熱感が強く出ていたり、喉に炎症が起きて腫れたり痛む場合は、体表に熱がある外感表熱証(がいかんひょうねつしょう)と分類します。治療は体表の熱を取り除く辛涼解表(しんりょうげひょう)となり、涼解楽などを使用します。このケースで温性の葛根湯を使うと、喉の炎症が悪化する可能性があります。よく「カゼには葛根湯」とか、「葛根湯は効かない」といった声が聞こえますが、多くの場合、使い方(使うタイミング)が間違っているのです。ところで、冷えて血行不良による頭痛・肩こりはカゼではありませんが、証は同じ外感表寒証なので、葛根湯を使うと良くなります。

このように、同じような病気であっても異なる漢方薬を使うことや、異なる病気に同じ漢方薬を使うことがあり、前者を「同病異治(どうびょういち)」、後者を「異病同治(いびょうどうち)」といいます。

弁証には何種類もの方法があり、ここで細部までお話することはできませんが、私たちの漢方相談では症状や体質についてさまざまな観点から分析しています。前述したように、ひとつの病名に対してひとつの漢方薬が結びついているわけではありませんし、限られた種類の漢方薬でいくつもの症状や体質が改善するよう最大限の効果を得られるように組み立てています。

 

前回と今回で、中医学の2つの大きな特徴についてお話しました。中医学が「バランス医学」「オーダーメイド医学」といわれる所以を少しでもみなさまにお届けできたなら幸いです。

2024/02/19

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売