今回は『頸管粘液』(おりもの、中医学では「帯下」という)についてご説明いたします。
「おりもの」とは・・
子宮頸管より分泌される粘液で、白色あるいは無色、透明か卵の白身のようで多少粘性があります。女性ホルモンのエストロゲンによる影響を大きく受けるので、特に排卵期には性状が大きく変化します。これによって排卵期の精子の疏通性が著しく高められます。排卵期に量と透明度、そして精子受容性が最大になります。
頸管粘液の性状
卵胞前期
量 ~ 微量
粘稠度 ~ 大
牽引性 ~ 少
透明度 ~ 白濁
羊歯状結晶 ~ 陰性
精子受容性 ~ 少
卵胞後期
量 ~ 漸増
粘稠度 ~ 漸減
牽引性 ~ 漸増
透明度 ~ 軽度混濁
羊歯状結晶 ~ 非定型
精子受容性 ~ 漸増
排卵期
量 ~ 著増
粘稠度 ~ 小
牽引性 ~ 著増
透明度 ~ 透明
羊歯状結晶 ~ 定型
精子受容性 ~ 最大
黄体前期
量 ~ 漸減
粘稠度 ~ 漸増
牽引性 ~ 少
透明度 ~ 軽度混濁
羊歯状結晶 ~ 非定型
精子受容性 ~ 漸減
黄体後期
量 ~ 微量
粘稠度 ~ 大
牽引性 ~ 少
透明度 ~ 白濁
羊歯状結晶 ~ 陰性
精子受容性 ~ 少
「おりもの」チェック項目=量・質・色・におい
【1】 量 初潮から閉経まで、いわゆる女性ホルモンが分泌している約35~40年間はおりものの分泌があり、また表-1にあるように排卵期を中心に量の増減があります。このような生理的な分泌量ではなく極端に多い・少ないときは、病理的な要素が強くなります。
多い場合:主に「湿濁」によるもの。「湿濁」は脾虚や腎虚から生じるが、黄色であったりにおいが強いものは生殖器の炎症(細菌・真菌感染など)が考えられる。
少ない場合:腎精の不足による。つまり女性ホルモンの低下が主な原因と考えられる。早発閉経や排卵機能の低下時にみられる。
【2】 質 粘るか稀薄かのちがいで、一般に粘りが強いときには実証・熱証、稀薄なのは虚証・寒証とみます。豆腐状のものはカンジダによる腟炎で、やや粘り泡状のものはトリコモナスが原因です。
【3】 色 色の変化は複雑で、昔の人は白・黄・赤・ 青・黒の五色あると言っていたそうですが、一般には白色が正常です。白色でも湿濁・寒湿・脾虚・腎虚と関係することもあり、また黄色や赤色と濃くなる場合は湿熱・熱毒が関係します。
【4】 におい 一般的ににおいはないのが正常です。においがある場合は多くは実証・熱証で、生臭かったり悪臭の場合は悪性疾患も考えられるので要注意です。
(表-2)
帯下病の特徴と中医学的証型
ふだんあまり注意したことがなかったかもしれませんが、上の表-2を参考にこれからよく観察してみて、体質をチェックしましょう。
次回は月経から判断できる体質チェックです、乞うご期待!!
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