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月経痛(生理痛)の治療に使われる漢方薬は?体質・症状ごとのおすすめ

月経痛(生理痛)は多くの女性が経験したことのある不快な症状ですよね。毎月経験して慣れてしまい、生理痛があるのが当たり前になっている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、本来生理痛はないのが当たり前!(驚かれている方はいらっしゃいませんか?(笑))なのです。只、生理痛の中には子宮内膜症や子宮筋腫といった婦人科の病気が原因となっているものもあるので、まずは婦人科の検査を受けてくださいね。しかしながら原因がはっきりしない生理痛もあるので、その際は体質、症状に応じて対策を立てることができる漢方薬がおすすめです。では、これから生理痛の症状による体質タイプとおすすめの漢方薬をご紹介します。

体調不良の女性



月経痛の症状による体質タイプ


一口に生理痛と言っても、痛みの性質や発生する時期などによって体質タイプが異なります。体質タイプが異なれば、使用する漢方薬、養生法も異なってきます。では、月経痛の症状によってどのような体質タイプがあるのかを見ていきましょう。

 

生理の前半に刺すような痛み


 →血行が悪い「血瘀タイプ」です

瘀は血の動きが悪くなって体内の一部に滞って生じる病態です。その原因は、血の巡りを先導する気が不足した気虚、気が滞った気滞、熱の不足や熱の過剰により血がドロドロになる、津液が病的な塊になった湿などが血の巡りをさえぎるなど、様々なものが考えられます。女性は特に子宮部分に血瘀が生じやすく、「不通則痛(通じざれば則ち痛む)」という痛みのメカニズムで痛みが生じます。この生理痛のほかに、血瘀タイプの方は慢性的な肩凝り、頑固な頭痛や関節痛、生理の血に黒っぽいレバー状のかたまりが混じることが多くなります。舌の色は紫色がかり、また黒いしみのような斑点が見えます。舌の裏側の静脈は太く、時には静脈瘤のようなこぶが見えることもあります。

 

生理の後半にシクシクする痛み


 →血が足りない「血虚タイプ」です

血虚は体に栄養とうるおいを届ける血が不足して起こる病態です。血の生成に関わる腎、脾、肺などに問題があったり、出血や月経などの血の消費が著しかったりすると、血の全体量が不足して血虚になります。また、血を生み出す際は気がエネルギーとして使われるため、気が不足した気虚も血虚を引き起こす一因となります。

血虚の主な症状は、顔色が悪い、皮膚の乾燥、めまい、目のかすみ、こむら返り、不眠、動悸、手足のしびれ、過少月経などです。肌荒れや抜け毛、爪がかけたり、こむらがえりといった不調も起こりがちで、集中力の低下や不眠のほか、精神的にも不安定になりやすくなります。生理痛は激しい痛みではなく、シクシクと生理の後半に痛みます。舌は全体的に色が淡くて小さめです。

 

温めると月経痛が楽になる


 →体が冷えている「陽虚タイプ」です

体を温め活性化する陽気が不足している状態です。陽気が不足することによって人体の機能の減退や衰弱が生じ、代謝活動が減退します。そして人体の反応性が低下した、陽熱不足の病理状態です。多くは栄養不足、過労、加齢、不摂生、慢性病などが原因となります。主な症状は、疲れやすい、冷え、下痢、むくみ、消化不良、風邪ひきやすい、皮下出血などです。月経痛の特徴は月経前、月経中の下腹部の冷え、痛み、冷えると痛みが強くなる、温めると痛みが緩和する、経血の色が暗い、黒ずんだ血塊があるなどです。顔色は白っぽく、舌は色が淡くて全体は厚く腫れぼったい、舌の縁に歯形がつくこともあります。

 

生理前に胸が張ったりイライラ・落ち込みがある


 →臓器の動きや循環が悪い「気滞タイプ」です。

気滞は体を動かすエネルギーである気が滞ることで生じる病態で、ストレスや考えすぎ、運動不足などが原因で起こります。主な症状は、胸やおなかが張る、ゲップやガスが出やすく、出ると症状が軽くなる、月経の前後に胸が張る、のどや胃が痞える、胸焼け、目の充血などがあります。眠れない、怒りっぽくなるといった精神的な不調も現れやすくなります。婦人科の検査をしても何の異常もみられない生理痛患者の大半は,この気滞タイプに属しています。



 

月経痛におすすめの体質タイプ別漢方薬


では次に、上記の体質別のおすすめの漢方薬をご紹介します。生理痛も上述のように様々なタイプがあるので、体質に合わせた漢方薬を使用しないと効果的ではありません。

 

血瘀タイプ


血を巡らす漢方薬を中心に対策を行います。川芎、紅花、丹参といった生薬を多く使用します。

 

「おすすめの漢方薬」


冠元顆粒、田七人参、爽月宝、水快宝など


「養生ポイント」


生理や閉経、妊娠・出産は、すべて血の機能にかかわっているため、女性は瘀血になりがちなので気をつけましょう。ストレスをためないよう、趣味や運動で発散を。体を冷やす冷たいもののとり過ぎや、薄着も控えて。体を温めることが瘀血解消につながります。


 

血虚タイプ


血を養う漢方薬を中心に対策を行います。当帰、芍薬、阿膠、熟地黄などの生薬を多く使用します。

 

「おすすめの漢方薬」


婦宝当帰膠、心脾顆粒、亀鹿仙など



「養生ポイント」


女性は毎月生理があるため、男性よりも血虚になりやすいといわれています。また、血虚の状態が慢性化すると、妊娠しにくくなる可能性があるので要注意です。
食事の偏りや無理なダイエット、寝不足や過労は、血が不足する大きな要因となるので、注意しましょう。



 

 陽虚タイプ


陽気を養い、身体を温める作用のある漢方薬を中心に対策を行います。鹿茸、附子、肉桂などの生薬を多く使用します。

 

「おすすめの漢方薬」


参茸補血丸、参馬補腎丸、双料参茸丸など



「養生ポイント」


気は、食べ物が胃腸で消化吸収されて作られます。気虚体質は胃や腸が弱く、消化吸収機能が低下しているため、上手に気が作られない状態のこと。過労も気虚の原因となります。その結果、風邪などのウイルスに対する抵抗力も落ちてしまいます。
胃腸を冷やす食べ物や消化しにくい生ものは、できるだけ避けるようにしましょう。また、食べ過ぎも禁物。温かく消化のよいものを適度に食べるようにしてください。

 

「おすすめの食材」


胃腸の消化吸収機能を高め、気を徐々に補う、殺類、いも類、豆類などをおすすめします。
特に長いも、大和いも、じねんじょなどの山いも頭は胃陽のはたらきをたすけます。これらをすりおろしてとろろにし、、味噌汁や野菜スープに入れたり、おこのみやきに入れたりして加熱して食べましょう。

 

「養生生活」


中国には「労即傷気(過労は気を傷める)」という言葉があります。適労は気を消耗して気の働きを弱めることです。気虚タイプに限らずどのタイプにでも言えることですか、過労を避け、休息や睡眠を十分にとることは健康にとって大切なことです。また自然の中でのウォーキングや適度な運動を行うことは肺の機能を高め、酸素を効率的に取り入れて体内のエネルギー、気を増やすことになり、毎日行うことをおすすめします。

 

気滞タイプ


気の巡りを整える作用のある漢方薬を中心に対策を行います。木香、柴胡、香附子などの生薬を多く使用します。

 

「おすすめの漢方薬」


逍遥顆粒、加味逍遙散、開気丸など


「養生ポイント」


ゆっくり休養をとって、ストレスを上手に発散すれば、気の巡りはよくなります。また、薬味やハーブ、スパイスには、気の流れを促す効果があるのでおすすめです。
なお、気滞の状態を放置していると、気とともに体内を巡る血と津液の流れも悪くなってしまうので、早めに対処しましよう。
気滞のタイプは体に熱がこもりやすいので、熱性・辛味の強すぎるものなど熱を生じる食材はなるべく控えましょう。

 

「おすすめの食材」


香りのある春菊、 三つ葉、せり、セロリ、バセリなどの「香味野菜」をあすすめします。それらの香りの精油成分は、気のめぐりを改善してストレスを発散させるはたらきがあります。

 

「養生生活」


ストレスの蓄積は気のめぐりを悪くする一番の原因です。どんなに忙しくても心のゆとりを忘れないでください。時には映画や音楽を鑑賞をしたり、親しい友人と会話をしたりしてリラックスしたひと時を設けて気分を上手に転換してください。また適度な運動を行い、汗を流せば気分も爽快になります。

 

まとめ


以上、生理痛の症状別の体質タイプ、おすすめの漢方薬や養生法をご紹介しました。体質によって対策法が違ってくるので、ご自分の生理痛の症状をよく把握することが鍵となります。

中国では、生理中に冷たい水を使わない、冷たいものは食べないことが習慣となっています。反面、日本の気候は湿度が高く、生もの冷たいものをよく食べる食習慣ですが、生理痛がある方は,こうした点も注意したほうがよいですね。

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参考資料:「体質別食養生」「東洋医学 基本としくみ」「薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖」
監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

*不妊、二人目不妊、子宮筋腫、卵巣嚢腫、月経痛、更年期

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