三焦とは
これまで、五蔵(肝、心、脾、肺、腎)と五腑(胆、小腸、胃、大腸、膀胱)についてご説明しました。腑の最後「三焦」は、そのすべてを包み通じ合わせる腑であり、気や水液のめぐる通路です。
三焦の裏は心包
「心」には、血脈を主り神を主る、というすべてを統括したはたらきがありました。この五臓六腑の大主である大切な「心」を、邪の侵入から守っている膜のことを「心包」といいます。「心包」の病は「心」の病と同じとして扱われるため、「心包」はそれほど注目されませんが、一対の陰陽をなす表裏関係において、腑(表、陽)である「三焦」に対するのはこの「心包」であるとされています。
三焦の生理
三焦は上焦・中焦・下焦の三部からなります。
上焦
体の上部、胸膈までの部分を指し、肺、心が含まれます。水穀の精気を全身に行き渡らせて臓府組織を滋養します。そのため、上焦は「霧のようなもの」と表現されています。
中焦
中部、上腹腔のおへそまでの部分を指し、脾胃を包括します。脾胃を助け、水穀の腐熟、糟粕の泌別、津液を蒸す、水穀精微をつくりだすなどのはたらきがあり、血液栄養の生化の源となります。中焦は「泡のようなもの」とされ、これは水穀が腐熟するときのポコポコした状態を指しています。
下焦
下部、中焦の下から二陰までの部分を指し、小腸、大腸、肝、腎、膀胱はここに属します。精濁を分別し、廃物を外に排出します。下焦は
「溝のようなもの」とされ、排水溝をイメージするとよいでしょう。
三焦は決とく(けつとく)の官、行水を主る
三焦は水液の運行と気の昇降出入を支えるところであり、このはたらきは肝の疏泄により維持されています。各臓器、とくに腎・脾・肺などと密接に関係していて、これらの臓が機能障害をおこして三焦が通利しなくなると、気化作用を失い、水湿の邪が発生し、腫脹や小便不利などの症状を生じることとなります。三焦が正常にはたらくことで、津液代謝も気機(=気の運動)も正常に維持されるのです。
