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季節の薬膳・養生法 の記事一覧

体に嬉しい発酵ばなし~甘酒~/勝俣薫

こんにちは、勝俣薫です。
例年より気温が高い日が続き、深まる秋を感じたのは束の間、冷たい北風や乾燥が気になる冬がやってきました。
今回は、朝晩冷え込む時に飲むと温まりホッとする嬉しい飲みもの、甘酒についてお話しします。

甘酒には、米麹を原料にした「麹甘酒」と、酒粕を原料にした「酒粕甘酒」の二種類があり、どちらも古代から作られる発酵食品ですが、 工程や歴史に違いがあります。

 

工程

・米麹…蒸したお米に麹菌を繁殖させ完成させます。
・酒粕…日本酒の原料である米と米麹が発酵してドロドロに溶けた状態(もろみ)になり、それを搾った液体が日本酒、残った固形物の方が酒粕です。

 

歴史

奈良時代に情報収集して作られた『日本書紀』の記述に、米や麹で作った「醴酒(こさけ)」を応神天皇に捧げたという内容が記されているようです。この製造方法から考えると、現在の米麹甘酒に繋がります。
一方、奈良時代『万葉集』に納められている「貧窮問答歌」の中に「糟湯酒(かすゆざけ)」についての記載があります。その和歌の一部を訳すと「雨や雪が降る寒い夜、暖をとるために塩を舐めながら湯に溶いた酒粕を啜った」とあり、酒粕甘酒との繋がりを感じます。ちなみに糟湯酒は下級庶民のお酒とされていたようです。

 

薬膳的効能

薬膳的な効能では微妙な違いはありますが、似通っています。

☆米麹麴
【性味】辛甘/温 【帰経】脾・胃
【効能】
体をあたため気の巡りを良くする/肌や粘膜を乾燥から守る/消化を促進し便通を整える/疲労回復

☆酒粕
【性味】辛甘/温 【帰経】脾・胃
【効能】
体をあたため気血の巡りをよくする/肌や粘膜を乾燥から守る/腸を整え老廃物の排出を助ける/ 疲労回復

栄養素においては、共通してアミノ酸・ビタミンB群・食物繊維・オリゴ糖などが含まれています。それらの含有量の違いによって整肌に良い成分が多いのが米麹、ダイエットに向いている成分が多いのが酒粕です。どちらにしようか迷った時の参考になれば幸いです(砂糖が添加されている製品もありますので、お好みでご確認ください)。

※酒粕にはアルコールが含まれています。お子様やアルコールを控えている方はお気をつけください。

歴史を辿ると面白い違いがある甘酒は身体を温め、胃腸にやさしく栄養も豊富です。
寒さがますます厳しくなるこれからの時期、甘酒をお供に養生いただき、活き活き元気に年末年始をお過ごしください。

2024/12/09

中医学から養生ー秋ー/加藤百合子

こんにちは 加藤百合子です。

今年の夏はとても暑かったですね。体がだるいなど、夏のつかれが出ていませんか?

9月に入ると、いろいろな野菜や果物が収穫されて、お店の食材も一変しますので、心もわくわくしてきます。

秋の七草、はぎ、なでしこ、すすき、くず、ふじばかま、おみなえし、あさがお(ききょう)は、秋のおくゆかしい野の花として、その美しさで、私たちの目を楽しませてくれます。

このうち、くず(葛)はマメ科の蔓状の植物で、あちこちにのびた蔓に葉がたくさん付き、8月から9月に鮮やかな赤紫色の花を咲かせます。

葉が大きいことも特徴で、秋の日差しが強い時には、葉の白い裏が見え、秋風に吹かれる様を、“葛の裏見”と、古今集にも起用されています。

葛の根の部分は、皮を取り、つぶして濾過することをくりかえし精製して、葛粉にします。葛きり、葛餅、葛湯と、なじみの深い食べ物に変化し、初秋、仲秋、晩秋と長く、愛着を持たれます。

また、葛の根は、生薬名を葛根と言います。性質は涼の分類になり、脾と胃の経に入り、胃の経を主として力を発揮するようです。

胃の機能を奮い起こして、体に水分を潤し、熱のこもった口の渇きを軽減したり、胃腸の弱い方の腸の動きをサポートしたり、発熱や頭痛や筋肉のこわばりなどの体の表面の出来事を発散させて飛ばしてしまう、そんなイメージの作用が言われています。

葛根を成分とした葛根湯のパッケージに“風邪の引きはじめ”なんて、書いてありますね。

江戸時代には、秋に入り夏の疲れで食欲が落ちていると、白がゆをたき、かつおぶしと醤油とくずで作ったくずあんを、白がゆにかけて食べたそうです。

現代の私もお気に入りです。民間の知恵なのでしょうね。

2024/09/06

薬膳ガーデニングのすすめ~ミニトマト~/金村瑛美

こんにちは、金村です。
以前は興味がなかったものに関心を示すようになることがありますが、私にとってガーデニングがそれです。

植物が大好きな母は、季節ごとに様々な植物を植え、それらを料理にも活用してくれていましたが、実家に住んでいる時にはほとんど関心がなく、植物に対する知識も乏しいものでした。

ですがここ数年、リビングに飾る花を欠かすと物足りなさを感じる様になり、昨年からはハーブを栽培し、実のなる植物を育ててみたいとまで思うようになりました。

中医学の考えは整体観念*から始まり、自然とのつながりを重視します。

*整体観念:人体内部の統一性と、人体と自然界との相互関係のこと。

季節の移ろいに合わせて変化する植物たちを見ていると、自宅にいながら自然を感じることができます。

そして、今年はハーブに加え、ミニトマトやピーマンなど実のなる植物を中心に栽培し始め、その場で収穫して食べる喜びを知りました。

これからは、薬膳やガーデニング、それらの食材を使ったレシピなどを皆様にご紹介していきます。

今回ご紹介するのは、ミニトマトです。

 

薬膳的効能

トマトは、潤いを生み、渇きを止めてくれます。

また、夏の暑さによる熱を冷まし、食欲を高めてくれます。旬は6月~8月で、高温多湿で食欲が低下しがちなこれからの時期におすすめの食材です。

ミニトマトと普通のトマトの薬膳的な効能は一緒ですが、栄養価の点では、ミニトマトの方がより栄養が凝縮されており栄養価が高いとされています。

 

コンパニオンプランツ

近くで栽培すると互いによい影響を与え合う植物のことをコンパニオンプランツといいます。

コンパニオンプランツを取り入れると、生育促進、虫よけ、病気の予防、空間の利用といった効果が期待できるため、近年では家庭菜園でも活用する方が増えています。
ミニトマトのコンパニオンプランツとしてよくあげられるのがバジルです。

バジル独特の香りでトマトに害虫を寄せ付けないことに加えて、水分を好むバジルが土の水分量を適度な状態にしてくれるため、水分が少ないと甘みが増すトマトとはとても相性が良いとされています。

 

ミニトマトとバジルと卵のスープ

栽培だけでなく、料理でも相性ピッタリなトマトとバジルを使った簡単レシピをご紹介します。

消化を助けてデトックス効果もあるバジル気血を補ってくれる卵を加えることで、食欲がないときでも食べやすく、栄養を補えます。
抗酸化作用がありトマトに含まれていることで有名なリコピンは、熱に強く、脂溶性のため、油を使って加熱調理することでより効果的に摂取できますよ。

<材料(2人分)>
・水 500mL
・ミニトマト15-20個程またはトマト1個
・バジル 10枚
・卵 2個
・コンソメ顆粒1本
・オリーブオイル少々
・塩コショウ少々

<作り方>
鍋に水、コンソメを加えひと煮立ちさせ、ミニトマトとオリーブオイルを加え再び煮立ったら、溶いた卵を加えます。

最後に塩コショウを加え、バジルを乗せて完成です。

2024/08/02

体に嬉しい発酵ばなし~味噌の歴史と玉造り味噌~/勝俣薫

こんにちは、勝俣薫です。
前回に引き続き、今回は味噌の歴史と味噌玉づくりに魅力を感じた、信州の「玉造り味噌」についてお話したいと思います。

 

味噌についての歴史

奈良時代に中国から伝来した醤という調味料から始まったという説が有力です。その味付けが日本風に変わったものを「未醤」と言い、味噌の前身とされています。平安時代は日本独自の味噌が登場して“ぜいたく品”とされ、そのまま舐めていたようです。
鎌倉時代には、中国から来た僧侶がすり鉢で磨り潰した影響で、新たな調理法として味噌汁が誕生し、蒸した玄米などを単品で食していた武士の食事スタイルが「一汁一菜」に変わり、室町時代には、農民の中でも味噌の自家醸造が広まった事で「一汁一菜」の食事がさらに広まりました。

 

信州の“玉造り味噌“

自家醸造が始まった頃からの作り方を現在も続けている古代醸造方法の味噌です。その工程は、蒸して潰した大豆を手作業で丸めたものを藁で縛って軒下や土間に吊るし、酵母や乳酸菌を取り込ませた味噌玉を作り、その味噌玉を塩・麹・米と共に樽へ仕込み、数年熟成させます。(現在は蔵の中での醸造のようです。)
味噌玉づくりは、味噌の発酵を促すために必要な工程で、標高が高く湿度が低い信州の気候に合わせたこの作り方が「玉造り」という名前の由来ではないかとも考えられています。作る土地の風土に合わせて原料や製造方法は様々なので、その特徴や違いに合わせて具材や調理法を変えたり、数種の味噌を組み合わせて味の幅が広がる事も味噌の嬉しいところです。

写真:みそ玉(塩屋醸造HPより)

これから、ますます暑さが厳しくなりそうです。熱中症の予防には、大量の発汗で失われる水分とミネラルやビタミンのこまめな補給が大切。酵素とともにミネラルやビタミンたっぷりな味噌は強い味方になりそうです。ただ味噌にはカリウムが足りないのでナスやオクラなどカリウム豊富な夏野菜をお味噌汁の具材にして戴くのがオススメです。
季節の野菜たっぷりのお味噌汁とおかずで、一汁一菜にとどまらず、一汁三菜を心がけ元気に夏を乗り
越えたいですね。

2024/07/23

中医学から養生ー初夏ー/加藤百合子

こんにちは 加藤百合子です。

5月のGWには、筍料理を頂くのがとても楽しみです。

筍には孟宗竹(モウソウチク)、真竹(マダケ)、淡竹(ハチク)、寒竹(カンチク)など、種類がありますが、東京で簡易に購入できるのは孟宗竹でしょう。

一度、筍掘りを経験したことがあります。指で土を掘り分け、出てきた細くやわらかい筍は、美しく、成長という生命のような力を感じ、とても神秘的でした。

筍は、歯触りがよく、甘みと少しえぐみがあり、焼いても煮ても炊いてもおいしいですね。こんなに美味しい筍に栄養はあるのかな、という疑問を聞いたことがあります。

調べてみますと、生筍100gには、水分90.8g、タンパク質3.6g、炭水化物4.3g、カリウム0.52g、マグネシウム0.013g が含まれているそうです。生筍100gの大きさは、中くらいの筍1本(皮付き)730gなので、そのだいたい7分の1量に相当します。

100g当たりの成分が同等量の食材ですと、タンパク質では豆腐や豆乳、炭水化物ではブロッコリーや菜の花、カリウムでは焼いたサツマイモが当てはまります。もう少しわかりやすい例では、カリウムの多いバナナ1本(126g)にはカリウム454mg(0.454g)が含まれています。

これらのことから、筍は、水分が90%と非常に多く、カリウムが高く、タンパク質や炭水化物を十分に摂れる食品と言えるのでしょう。

おいしさの秘訣は成分にあったようですね。

生薬では淡竹の葉や竹竿を用いますが、そのうちの葉は竹葉(ちくよう)と言います。
竹葉は、体の上部分の熱を取ってくれる働きがあり、喉が痛い、などの風邪の熱症状に良いと言われております。
喉がおかしいかなと言う時に飲むと、スッと心地よい涼感とともに、竹葉のすばらしさが伝わります。

2024/05/02

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中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売