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中医学 の記事一覧

むくみ、頭重、胃腸トラブル・・・ 湿気が多い日の養生法

こんにちは、六本木店店長の櫻井です。昨日はあんなにも晴れ渡って暑かったのに、今日は雨で肌寒い一日となりました。中医学では、雨など、大気に水っ気が増えた状態を「湿(しつ)」と呼びます。そしてこの湿が増えると体に悪さをする「湿邪(しつじゃ)」となるので注意を促しています。特に体の中にも余分な水分(=湿)がある方だと、その影響は強くあらわれやすくなります。
今日は普段あまり耳にしないこの「湿」という中医学の独特な考え方のお話です。

Rain rain rain rain rain...
Rain rain rain rain rain… / GreyHobbit

 

重い・だるい・胃腸が不快、は「湿」のせい!

さわやかな春が終わり、夏の日差しが感じられるような日が続くと、ぽつぽつと雨の日が増えてきます。するとそろそろ梅雨の季節です。毎日毎日降り続く雨、洗濯物も乾きにくく、カビも生えやすく、気温も日を追うごとに上昇するので、大気は蒸せて熱いうっとおしい季節です。
そんな毎日が少しずつ私たちの体に悪影響を及ぼしていきます。湿気と暑さの影響で食欲も低下し、寝苦しさは体力を低下させ疲労がたまります。日中はいつもだるくて眠く、お腹もなんだかぐずぐずして、吐き気をもよおしたりします。中医学ではこのように体に悪影響を及ぼす自然の変化を「邪気(じゃき)」と呼び警戒します。梅雨から夏にかけては湿気が悪影響を及ぼすので、「湿邪(しつじゃ)」と呼んでいます。湿邪は特に胃腸系に悪影響を及ぼし、食欲の低下や軟便、下痢などを引き起こし、続くと外の湿だけでなく、体内にも湿邪が溜まってしまい、むくみなどが現れます。もし舌を見て表面にびっしりと白い苔がついていたり、黄色く粘つくような状態になっているような方は湿が溜まっているので要注意です。
 

Rain & Bike
Rain & Bike / Pietro Zuco

不調をもたらす「湿邪(しつじゃ)」とは、、、

自然界には風邪(ふうじゃ)・暑邪(しょじゃ)・湿邪(しつじゃ)・燥邪(そうじゃ)・寒邪(かんじゃ)・熱邪(ねつじゃ)という六淫邪気(ろくいんじゃき)という6つの病気の原因になりうる環境変化があります。この邪気が口や鼻、そして毛穴などから体内に入り込むことで体内のバランスを崩し、様々な症状を発生させます。
梅雨から夏にかけては、「湿邪(しつじゃ)」が強くなります。湿邪は脾胃の機能を低下させ、重く濁り、粘着して停滞し、下降しやすく体の下部に症状が出やすいことから、胸やお腹がすっきりしない、残便・残尿感、腹水、下痢、浮腫、頭・手足・体の重だるさ、関節の痛み、尿の濁り、オリモノが増える、食欲不振、目やに、痰、鼻水などがみられることが考えられます。
湿を理解するには、スポンジを想像してみてください。スポンジが水を吸うと重たくなります。水を含んだスポンジは冷たくなります。これが湿の影響です。体が重たくなり、冷えやすくなります。そして体にとって不必要な水分である「湿」は、気血の流れを邪魔して痛みを生じさせたり、溜まってむくんだりします。湿は下に沈む性質があるので、むくみは足に出やすいのですが、たまにその他の部位にも出ます。もし頭がむくんでしまうと、圧迫されて頭痛がおきますし、関節でおきると関節痛が生じます。
そとの湿気にくわえて、体内でも湿邪は発生します。湿邪は体内では、肺、脾胃などの内臓機能の低下によって生まれますが、この大きな原因は【飲食の不摂生】です。冷たい麦茶などや、氷の入った飲み物、冷たいビール、冷蔵庫で冷えたフルーツやサラダ、刺身、アイスクリームなど、特に冷たいものの摂りすぎや、水分の摂りすぎがにより、脾胃(消化器系)の機能が低下してしまうと、脾胃が持っている水分の吸収と運搬機能が低下し、水分代謝が低下して、むくみや体の重さ、下痢や消化不良などの症状になって現れます。
湿邪に侵されている人の舌は、苔が分厚く、舌自体が大きく膨らみ、縁に歯形が付いている方が多いです。そして、体の中に湿が溜まっている人は、外の湿の影響を受けやすいと言われており、中医学ではこれを「内湿が外湿を呼ぶ」といいます。むくみ、頭重などがあり内湿が溜まっている人は、外の湿度が上がる夏場や梅雨時期、台風時期などに影響を受けやすく、湿邪由来の症状(重い、だるい、めまい、胃腸の不快感など)が出やすいと考えられます。

Asakusa Rain wtmk
Asakusa Rain wtmk / Live Action Hero / Michele Marcolin

 

湿邪に侵されていませんか?

食欲不振、体や手足が重だるい、頭重・頭痛・関節痛、胃もたれがする、便がべっとりしてスッキリできらない、むくみ、口の中のべたつき、口臭がある、生理の量が多いまたは、止まりにくい、オリモノが多い、皮膚の色が黄色っぽい。これらは胃腸機能の低下や湿をはらう臓腑の機能低下により、湿邪(=余分な水分)が体内に発生していることが考えられます。
 

食べ物で湿邪対策

・生姜やネギ、三つ葉やセリなどの香味野菜かんきつ類は、その香りで、胃腸の働きを活発にし、体内の余分な水分である湿の排出を助けてくれます。冷やして食べると湿を生む原因ともなりかねないので、かんきつ類などは冷蔵庫に入れずに、常温で食べるようにしましょう。
しそ、葱、ショウガ、柚子、三つ葉、山椒、唐辛子、ニンニク、にら、柚子、レモンなど。
 
・キュウリやスイカなど、利水作用のある食材もおすすめです。気を付けたいのは、トマトやキュウリ、冬瓜など、これらの食材の中には、利水作用と同時に、身体の余分な熱も奪うものもあるので、冷え気味の方は常温または火を通して摂るようにしましょう。
春雨、黒豆、西瓜、メロン、蛤、白菜、アスパラガス、きゅうり、グリーンピース、高菜、とうもろこしのひげ、インゲンマメなどの豆類、ハトムギ、とうもろこし、冬瓜、スイカ、セロリなど。
 
・米や棗などが持つ自然の甘味は、脾胃の働きを助け、弱った機能を元気にしてくれます。
米、棗、山芋、キャベツ、サツマイモ、かぼちゃ、人参など
 
・唐辛子や生姜など辛いもは汗をかかせ余分な水分を発散させてくれます
とうがらし、ショウガ、香辛料など。ただ市販のルーを使ったカレーは脂肪が多いので要注意です。
 

Rain Drops
Rain Drops / Douglas R Witt

 
脾胃は、食べたものからエネルギーをつくり出す源なので、脾胃が弱ると、体内でエネルギーが十分に作られず、ついついすぐエネルギーになる甘いものに手が行きます。しかし食べ過ぎてしまい、肥満になってしまうこともあります。砂糖の甘さは、その時は良いですが、少しすると喉が渇き、水分がほしくなります。水分を摂ることで、胃腸はまた弱ってしまい、さらに湿邪が生まれる原因をつくってしまいます。甘いもの・水分はほどほどにしましょう。
冷たいもの、水分はとにかく摂りすぎ注意です。特に外が暑くなってくると冷たいものを欲してしまいますが、冷たいものや水分は胃腸機能を低下させてしまうことを覚えておきましょう。養生法では「井戸水より冷たいものは摂るな」と言われています。冷たいものが増える夏こそ温かいものを摂りたいものです。同じ理由から野菜も生で食べるより、火を通して食べるほうがおすすめです。
湿の影響を最小限にするためには、食べるものも、飲むものも、生のまま、冷たい状態で摂らず、加熱して摂るようにしましょう。そして辛いものを少し摂り、汗をかいて余分な水分を発散するようにしましょう。
一年を通して考えると、夏というのは厳しい冬を乗り切るためにしっかりと栄養を蓄え、身体を整える大切な季節です。梅雨の影響を残さず、気持ちよく夏を迎え、その後の秋・冬に備えるためにも、今から日ごろの養生が大切です。「そんな先のことなんて」と油断して暑さにかまけて冷たいものばかり摂っていると、夏バテしてしまい美味しく食べられず疲労がたまり、冬場も体調を崩してしまい、忙しい年末を乗り切ることが出来ません。
中医学が言う「未病を治す」というのはこうした先を見越した養生法で、日々の生活の心がけです。そしてこの時期にすべきことは、冷たいものを控えることです。身体を労わり、いつまでも健康でありましょう。

2014/05/21

頭痛・生理痛・高血圧・不妊、どろどろ血は諸悪の根源。『高血圧とお血』のお話

高血圧 の日だそうです。世界高血圧デーと言われると高血圧が奨励されているみたいに聞こえてしまいますが、勿論そうではありません。高血圧を健康診断などで指摘されていても、毎日の食生活を変更して、運動を取り入れて、早寝早起きして、、って簡単に出来る人はそうそういないですよね。ほとんどの方が結局降圧剤のお世話になっているのではないでしょうか。人によっては何種類もの″血圧の薬″を飲んでいるかたもいらっしゃいますね。

そんな高血圧ですが、いったい高血圧とはなんなんでしょうか。

Medicine 01
Medicine 01 / takacsi75

 

高血圧とは

高血圧とは、(日本高血圧学会の基準によると)収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上のものを「高血圧」と定義しています。高血圧の弊害を考えると、何となく血管に高い圧力がかかって破裂してしまうようなイメージがあるのではないでしょうか。確かにそういったこともあり得ますが、それよりも深刻なのは血管が硬くなってしまう「動脈硬化」です。
 

高血圧が動脈硬化を作る

血圧が上がると血管には高い圧力がかかります。そうすると、血管はその圧力に対応できるよう堅く強いものになります。これが「動脈硬化」です。「堅く強い血管」というとなんだかよいことのように聞こえますが、決してそうではありません。血液はポンプである心臓から送られて全身を巡っているわけですが、心臓一つで約10万キロ(地球2周半!!)もある血管網を巡らせられるわけではなく、血管自体がもつ筋肉のしなやかな動きや、弁の作用によってその流れを助けることで、血液は全身をくまなく巡ったあと、心臓に戻ってくることができます。
血管が硬くなってしまうと、筋肉や弁のしなやかさが失われ、血液はうまく運ばれず血流が低下してしまうというわけです。
 

硬くなった血管はもろい

さらに、血管が硬くなると血管の内側はもろく、崩れやすくなります。これは古くなった鉄パイプをイメージしていただけるとわかりやすいかと思いますが、鉄のパイプも古くなるともろくなり、内側に錆が溜まって、例えばその中に水を流すと、狭くなっているところでは流れは急になり、溜まった錆が剥がれて、流れ出したりします。もしその先に狭くなっているところがあれば、つまったり引っかかってしまいます。動脈硬化が起こっている血管でも同じようなことが起きます。
血管が錆のような老廃物により詰まってしまうことを「梗塞」といいます。これが脳で起これば「脳梗塞」となり、心臓で起これば「心筋梗塞」になります。詰まってしまったところから先は栄養と酸素の供給が絶たれるので、細胞は死んでしまいます。脳梗塞では神経細胞がやられ、言語や運動神経等に障害が出て、しゃべったり、歩いたりするのが困難になります。心臓を動かす筋肉が壊死してしまうと、突然の痛みに襲われたり、ひどい時は心臓が止まってしまいます。
60兆個あると言われるありとあらゆる細胞は、血液から栄養と酸素を供給されて生きています。もし血液の流れが悪くなると、その細胞の機能は低下したり、場合によっては死んでしまい、その機能は二度と戻らなくなってしまいます。細胞の死はすなわち人の死に繋がります。
 

 / omoon

 

中医学から考える高血圧

中医学では高血圧を、質が悪くスムーズに流れない血、「瘀血(おけつ)」が原因だと考えています。血がドロドロと流れなくなった状態が瘀血(おけつ)です。 瘀血の概念を理解するには、指先に輪ゴムをまいてみるとわかりやすいです。血流が止められると、冷えて、紫色になります。そのままゴムを巻いたまま放っておくとしびれてきて、やがて底から先の細胞は壊死してしまいます。これが体内で起こっていると考えると怖いですね。
瘀血の特徴は、黒ずみや紫などの色、こりやしこりと、痛みやしびれです。
頭痛や腰痛、関節痛などの痛みは瘀血が原因と考えられます。その他、女性では生理痛や子宮筋腫、卵巣嚢腫なども瘀血が原因と中医学では考えられています。瘀血は臓腑や組織への栄養の供給と老廃物の回収を低下させるので、様々な機能の低下を招きます。中医学では不妊もこの瘀血が大きな原因の一つと考えています。

瘀血(おけつ)の原因

瘀血(おけつ)が生み出される原因の一つは食べ物です。脂っこいものや味の濃いもの、糖分の多いものなどを好んで食べていると、血が汚れてドロドロになってしまい流れにくくなります。てんぷらや揚げ物、チョコレート、糖分が入った飲み物などを摂取する機会が多い人は注意が必要です。
また、体内の潤いが不足している場合も同じく流れにくくなります。血液は赤血球や白血球などの顆粒状のものと水分が混ざり合った液体です。この水分が減ってしまうと、血はドロドロになります。辛いものが好きな方、寝汗や口の渇きがある方などは注意が必要です。
その他、血の量が少ない状態でも流れが悪くなりますし、血を流すエネルギーが足りなくても瘀血(おけつ)が生まれます。そしてストレスや、睡眠不足、そして過労でも血の流れは悪くなってしまいます。水が冷えると固まってしまうように、血も冷えると流れにくくなります。冷えも瘀血(おけつ)がつくられる原因の一つです。

Blood Flow
Blood Flow / Gellscom

 

瘀血(おけつ)度チェック!

・肩や背中のこり
・傷あとやにきびあとが残りやすい
・目の周りの黒ずみや目の下のクマ
・手足のしびれ
・手・足・腰の冷え
・静脈瘤
・頭痛・めまい・耳鳴りがある
・足が冷えて上半身や顔はほてる
・あざが出来やすい
・舌の裏に静脈が紫色に浮き出ている
・唇や歯ぐきの色が紫っぽい・暗い
・顔色がどす黒い・暗い
・しみやそばかすが多い・増えた
・生理不順や生理痛がある
・生理の血の色が黒っぽい、レバー状の塊が混じる
・子宮筋腫や子宮内膜症がある
一つでも当てはまるものがあれば、あなたの血はドロドロと流れにくくなっています!!
 

Smoke Art - Hearts (red on white)
Smoke Art – Hearts (red on white) / MattysFlicks

瘀血(おけつ)の対策

瘀血(おけつ)の可能性がある方は、まず食事を見直してください。外食・洋食・加工食品・ファーストフード・辛いもの・甘いもの・脂っこいものを好んで食べていませんか?理想的な食事は穀類、野菜の多い和食です。火を通した野菜をたっぷりたべることです。パンやパスタなどカタカナの食材が少なく、米やうどんなど漢字やひらがなの食材が多い食事です。
瘀血(おけつ)におススメな食材は、イワシ、サンマなどの青魚、かに、ドジョウ、玄米、玉ねぎ、にんにく、ラッキョウ、韮、葱、ショウガ、黒きくらげ、黒酢、桃などです。避けたい食材は、脂質、特に肉の脂身、バター、砂糖の多いもの、塩辛いもの、味の濃いもの、冷たい飲み物、アイスなど。
勿論、運動をすれば血流は良くなります。仕事の間座っていることが多い方は特に適度な運動を取り入れるのが効果的です。そして早寝早起き、休息も大切にしましょう。
一度にすべて健康なものに変えるのは難しいので、まずは朝食をパンとコーヒーから米と野菜を入れた味噌汁を飲むことに変える、もしくはおひたしを沢山作って毎食にプラスする、一駅歩く、階段を使うなど日常で出来る事をやってみてください。そしてそれを続けてください。
 

Under A Blood Red Sky
Under A Blood Red Sky / Ian Sane

高血圧も瘀血も、なってから治すのはとても難しいので、予防がとても大切です。体に栄養を供給している血の汚れや流れの低下する瘀血(おけつ)はあらゆる病気の原因となりえます。血液は、きれいでスムーズに流れている状態が良い状態です。これがストレスや疲労、食事や運動不足、冷えなどでドロドロと流れにくくなってしまった状態が続くと、頭痛や、腰痛、関節痛、生理痛などの痛み、そして冷えなどが現れやすくなります。長期に渡れば内臓にもその影響は及びます。もしそれらの症状がすこしでも見られたら、食事を見直し、軽い運動と休息を心がけるようにしてください。
 

2014/05/17

レバーに匹敵する栄養価 今が旬の「鰹」の話

昨日は母の日でしたが、電話で言うのも恥ずかしいので私はメールで感謝の意を伝えたんですが、「まーねー\(@_@)」っとまったくわけのわからない返事と絵文字が返ってきて、昨日から困惑気味な六本木店店長櫻井です。こんにちは。
さてさて、今年はカツオが不漁だそうですね。海水温の低下が原因ではないかと言われているそうですが、脂がすくないさっぱりとした初夏の味、是非堪能したいものです。

鰹の刺身
鰹の刺身 / ayustety

女房 子供を質にいれても 初鰹

「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」と山口素堂も謡ったように、初夏の訪れを告げる初鰹はまさに今が旬です。鰹は毎年2月から5月頃に黒潮に乗って日本の南から北上してきます。「鎌倉を生きて出けむ初鰹」という芭蕉の句をみてもわかりますが、昔は鎌倉が鰹の出荷地だったようです。2~3月頃に瀬戸内を通って、ちょうど今頃、5月初旬に関東沖合に来た鰹を「初鰹」と言っていたそうですが、現在では航空便で仕入れられるので、2~3月頃に瀬戸内海で獲れ、築地に入荷されたものが『初鰹』と言われています。とはいえ、『初鰹』と言えば初夏の季語、『鰹』は夏の季語です。
日本の文化には「季語」など季節をめでる言葉があるように、日本人は自然から四季を感じ、その季節を味わうことに喜びを感じられる民族といえます。江戸っ子は″女房・子供を質にいれて″も初鰹を食べたかったそうですが、初夏の味を誰よりも先にいち早くいただくことは、せっかちな江戸っ子の気性にぴったりだっただけでなく、自然を感じ、季節を味わうことが「粋」だったんでしょうね。初鰹は脂がのっておらず、血の香りも強くてあまりおいしいというわけではなく、もう少し待った方が脂ものり値段も手ごろになるんですが、そんなものを待つのは野暮というわけです。
そして、「初物」は縁起が良いと信じられてきたことも江戸っ子が初鰹を愛した理由かもしれません。農作物でもその年、初めて収穫されたものを神様にささげるなどの風習がありますし、「初物七十五日」(初物を食べると寿命が75日のびる)なんて言葉もあるぐらいで、昔から初物には精気がみなぎり無病息災、不老長寿のご利益があると信じられていたようです。ちょっと前までは、その年に初めて出荷される商品を「初荷」といって祝っていて、正月明けには「初荷」と書いた旗やのぼりを目にしたものですが、最近ではあまり見ませんね。今では、「初売り」の「福袋」のほうが身近でしょうか。

bonito
bonito / maaco

栄養価はレバーなみ

そんな縁起の良い鰹ですが、季節のものをその時に食べるというのは、縁起や粋なだけではないようです。
初鰹は秋に南下してくる戻鰹と比べると、脂質が少なく水分が多いヘルシーな食材です。鰹は良質なたんぱく質がたっぷりと含まれており、背骨に近い「血合い」には、ビタミンB12、ナイアシン、鉄、ビタミンD、タウリンなどが豊富で、栄養価の高さはレバー並と言われています。
豊富な鉄分ビタミンB12赤血球の生成を助けてくれるので、貧血予防に効果的。ビタミンB3と言われるナイアシン血行を良くして、心を落ち着かせてくれる栄養素です。某栄養ドリンクで有名なアミノ酸の一つタウリンは、血中コレステロールを抑え、動脈硬化を防いでくれます。さらに肝機能の強化、眼精疲労緩和と作用は多岐にわたります。
前回のブログでもその重要性を書いたビタミンDも、鰹には豊富に含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を促して骨を強くするだけでなく、癌の予防にも効果的な栄養素です。
戻り鰹には、初鰹よりも脂質が多く含まれていますが、その脂質も栄養価が高いEPADHAなどの不飽和脂肪酸で、血液をサラサラにしたり、脳の働きを高めたり、コレステロールを抑え血栓を防ぐ働きがあるので、お腹いっぱい食べてもなんら問題ないでしょう。

その他カリウムもたっぷりなので、余分な塩分や水分を体の外に排出してくれむくみ対策にも効果的です。
これらから鰹は、高血圧、動脈硬化、肝疾患、貧血、発育不全、不妊、ボケなどを予防する食材として、是非食べておきたい初夏の味覚ですね。
 

かつおのたたき
かつおのたたき / sabamiso

中医学でみる『鰹』

鰹は平性で寒熱の偏りがなく、冷え性の方も、ほてりが気になる方もどなたでも食べられます。エネルギーや血を補い、体力低下時や貧血、不眠や心が不安定な場合にもおすすめです。胃腸を元気にして、精をつける力もあり、老若男女問わず食べていただきたい健康食材といえます。
 

カツオのたたきのカルパッチョ
カツオのたたきのカルパッチョ / Dakiny

鰹はやっぱり「たたき」で

鰹は是非「たたき」で食べていただきたいです。というのも、皮に近いところには、必須アミノ酸のリジンが含まれており、タンパク質の合成に必要なだけなく、肝機能を高めたり、カルシウムの吸収を良くしたりなど、とってもいいことづくめなので、是非皮ごと食べる「たたき」で食べてください。
生のカツオの皮よりちょっと内側に串をさして、皮にさっと塩を振り、コンロで炙って、ざっと氷水をくぐらせれば完了です。氷水だと水っぽくなるのが嫌な方は、濡らしたキッチンペーパーで包んで粗熱をとってください。藁で炙ると香ばしい風味がつき、より一層おいしくなります。
つけだれは、市販のポン酢にちょっと醤油と鰹節を足したものを。買ってきたたたきでも、酢橘、柚子、カボスなどをふると生臭さがなくなります。玉ねぎ、にんにく、しょうが、みょうが、大葉など、香味野菜と一緒にいただくとさらにおいしいです。さっぱりとした初鰹に香味野菜がとってもあいます。香味野菜やかんきつ類は、気の巡りを良くしたいこの時期にはおススメですし、たたきにもとても合います。たくさんの野菜と一緒に摂れるのもうれしいですね。さらにそれらは鰹に足りないビタミンCも補ってくれ、より理想的な食材となります。
美味しい鰹を選ぶには身が引き締まっていて、色に深みがあり、ドリップの少ないものを選びましょう。

Bonito
Bonito / pelican

江戸のころは1本10万円の値がつくことも珍しくなかった初鰹。江戸時代の大商人、紀伊国屋文左衛門は、初鰹になんと五十両(現在の値で約150万円)の値段を付けたとも言われています。長屋の家賃が1か月1万円程度だったそうなので、宵越しの銭は持たない江戸っ子にとって初鰹は一生に一度はたべてみたい高嶺の花。もし手に入れられたのなら、娯楽の少ない当時ですからきっと1年は地域の人気者になれたんでしょうね。
今はそんな苦労もなしに、おいしい鰹が食べられます。皆様も是非ご賞味くださいね。

2014/05/12

中医学的スキンケアのお話

>>>昨年7月に上げた記事を加筆して再アップしました<<<
 
少しお休みをいただいていたら、今日の夢で子宝漢方相談をして、婦宝当帰膠と参茸補血丸をお勧めしていた櫻井です。加味逍遙散の注意事項に頭を悩ませていたのはなんだったのか記憶はあいまいです。こんにちは。唐突ですが、蝉も鳴きはじめ、夏もそろそろ本番となってきたので、ちょっとだけスキンケアのお話を。
 

 
暑い一日、肌も大変なストレスにさらされています。私たちが汗をかきすぎて脱水を起こすように、肌も脱水状態です。水分を含まない物はすぐ発火するように、肌も潤いが少ないとすぐに焼けて荒れてしまいます。まずはしっかり水分補給してあげることがこの季節に一番肝心なスキンケアです。
しかし、肌は強固な生体バリアーなので、そう簡単に潤いは外から肌に浸透してくれません。殆どの化粧水は肌の表面、死んだ細胞が層になって付着している角質層を潤しているだけです。それでは本来の『肌の弾力性』は回復できません。もちろん、外からの潤い補給は大切ですが、それには限界があります。
では、どうするかと言うと、中から補給するのです。
この「中から補給」の説明でよく使われるのは「コラーゲン」ですが、コラーゲンは肉や大豆と同じタンパク質なので、食べると一度アミノ酸に分解されます。分解されたアミノ酸はまた同じくコラーゲンになるとは限りません。「コラーゲンを食べれば翌朝お肌ぷるぷる☆」など、そうは簡単にはいかないようです。
 
 

 
 

肌を潤すものは血や津液という潤いの元。

まずはこ血や津液(しんえき・水分)を補う食生活を心がけましょう。血が足りない方は、肌がしろく、冷えがあり、便秘、もしくは胃腸虚弱の傾向がある方が多く見られます。黒色のものや色の濃い緑黄色野菜をたくさん摂りましょう。黒豆、黒米、プルーン、黒きくらげ、黒ゴマ、枝豆、ホウレンソウ、ちんげんさい、にんじん、ぶどう、くり、イワシ、カキ、イカ、黒砂糖、紅茶など。女性は生理があるので血が不足しがちです。サラダやパスタばかりの食事など、食の偏りや無理なダイエットなどには注意が必要です。
津液(潤い)が足りない方は、ほてりがあったり、肌が赤かったり、肌や喉、口が乾燥したり、唇がまっかだったりします。寝汗をかく方もいらっしゃいます。白ごま、豆腐、白きくらげ、大根、白菜、山芋、なし、リンゴ、カニなどや昆布、豚にく、卵、はちみつなどを毎日の食事に摂りいれましょう。辛いもの、薬味などはできるだけ避けましょう。果物など、自然な酸味と甘味の組み合わせは「酸甘化陰」といって、潤い(陰)を生みます。陰の時間の夜に身体をしっかり補うことも大切なので、早寝もとっても大切です。
 
 

スキンケアで大事なことは、

肌に熱をこもらせないことと、しっかり解毒すること

熱のこもりや肌荒れの原因となる便秘はお肌の大敵です。そのためには、葉野菜をたっぷり摂りましょう。胃腸に負担をかけないように火を通してたっぷり食べることをお勧めします。夏はどうしても冷たいものを摂りがちですが、胃腸機能低下から便秘や下痢を招かないためにも、夏こそあったかいものを食べてしっかり発汗しましょう。
 
 

 

睡眠不足はお肌の大敵です

睡眠は、肌の機能調整を整えるホルモンが分泌される時間です。そして細胞の新陳代謝は寝ている間にこそ活性化されます。睡眠不足は、肌が再生し回復するために必要な時間を奪います。睡眠は、量より質です。お肌にとって最適な睡眠時間は10時から2時。この時間帯にできるだけ身体を横にして、脳に血流を増やし、休憩態勢に入ったことを認識させ、しっかり修復させましょう。
 

次はスキンケア対策を見直してみましょう

特に乾燥がひどい人はコットンなどを使って化粧水をつけるのもNGです。手でつけるようにしましょう。その時はくれぐれもパンパン叩かないように!ぎゅっと浸透させるように肌の上からかるく抑えて入れます。クレンジングもごしごしこすると乾燥で弱った肌をさらに傷つけます。ニキビがあっても決してごしごしこすらないよう気をつけてください。
乾燥には洗顔方法を変える事が一番効果的です。メイク、洗顔のしすぎ、すすぎ過ぎなどはとにかく避けましょう。水に近いぬるま湯でTゾーンの部分をメインに優しく洗いましょう。人間の肌は汚れが落ちるようにできていますので、メイクしていないなら、本来はぬるま湯洗いだけで十分汚れは落ちます。
 

とにかく肌に負担をかけないように

メイクも日焼け止め以外は出来るだけしないほうがイイでしょう。クレンジングも、どうしてもメイクをしなくてはいけない時だけにしましょう。特にオイルクレンジングは必要な皮脂まで洗い流してしまうので、使用は最小限にしましょう。しみる化粧水はやめてください。そして化粧水をアレコレ変えるのも、肌の回復をまってからの方が賢明です。
 
洗顔後に残ってみえるふやけた肌は、ちょっと日焼けみたいにぽろぽろカサカサがふやけてはがれやすくなってますが、絶対につめなどではがさないようにしましょう。ただでさえ弱っている肌にさらに傷がつきます。
 
乾燥が特にひどい人は石鹸や洗顔料などを使わない、ぬるま湯の素洗いを心がけましょう。シャワーを直接かけるのも禁物です。手に掬ってからお肌を洗うようにしましょう。
 
しみやくすみの原因にもなるので、肌にはとにかくやさしくする事が大事です。やさしく、やさしく。絶対こすらないように!!
 
 
早速今日から、外と中から素肌ケア実践してみてくださいね。
まずは、睡眠から始められませんか?
 
 
☆あわせてよみたい☆
さらにニキビにはこちらもチェック→『ニキビのタイプと対処方法』

2014/04/30

シミそばかす?「水菜」を食べれば大丈夫!? お肌にうれしい栄養たっぷり【水菜】のお話

世の中には見た目と中身ではえらい違いのものもたくさんありますよね。今日ご紹介する「水菜」もそんなものの代表です。ほそくて、うすくて、こんなんに栄養なんてあるの??なんて侮ってはいけません。水菜は、女性に必要なビタミン・ミネラルが豊富に含まれた、「食べるサプリ」なんです(前にも言ったな・・・)。
今日はそんな「水菜」のお話をしたいと思います。

fresh mizuna
fresh mizuna / AsianLifestyleDesign

 

見た目よりかなり栄養豊富

水菜はビタミンC、βカロチン、ポリフェノール、カルシウム、鉄分、カリウム、食物繊維が豊富なとっても栄養価の高い緑黄色野菜です。ビタミンCコラーゲンの合成を助ける働きがあり、日焼けによるシミそばかすを抑えてくれる効果がありますβカロチンは体内でビタミンAとなり、粘膜を保護し、肌トラブルを解消してくれます。さらにさらにポリフェノールは、酵素を活性化し細胞の老化を阻止し、シミしわたるみからお肌を守ってくれます。食物繊維は、そのほとんどが不溶性で、整腸作用があります。不溶性の食物繊維は、腸内の余分なものを絡め取り、腸をきれいにしてくれます。腸内をきれいにしておくことは、綺麗なお肌への基礎作りにとっても大切ですよね!その他、利尿作用をもち余分な塩分を外に排出してくれるカリウムや、貧血予防によい鉄分も豊富と、美容にも健康にもとっても良い素敵なお野菜なんです。
もちろんこれらのビタミン・ミネラルは男性にとっても必要不可欠な栄養素です。毎日の紫外線はなにも女性ばかりを狙っているわけではありません。紫外線によるダメージを防ぎ、清潔感と潤いのあるお肌を保ちましょう。

水菜
水菜 / masahiko

水菜は、日本古来の伝統的な京野菜

水菜は元々、京都で古くから栽培されてきた、伝統的な京野菜です。昔は「京菜」とも言われていました。同じ仲間に「壬生菜」というのもありますが、壬生菜は葉のギザギザが少ないです。今ではハウス栽培が発達しており一年中食べられますが、本来の旬は12月頃から3月。冬場に食べるのがおいしい野菜なので、ちょっと旬は過ぎてしまってますね。でも価格もお手ごろで、しゃきしゃきとした触感が食欲をそそり、夏バテ予防にも、夏の紫外線対策としてもおすすめな野菜ですので、今からしっかり食べておきたいですね。
 

Mizuna in Dashi Broth 水菜のおひたし
Mizuna in Dashi Broth 水菜のおひたし / naotakem

水菜を中医学的に見ると

水菜の性味は涼性で、辛・甘。脾、肝、肺に行き、余分な熱をとり、身体に必要な潤いを補い、潤す効果ががあります。中医学的に見ても夏場には最適のお野菜ですね。辛があることで、冷えを飛ばしてくれる効果があるといえますが、辛味は品種改良で薄まってしまっているものが多いので、それほど強くはないでしょう。甘味は胃腸を養ってくれます。また血流を良くしてくれる効果もありますので、潤いを補う効果と相まって、血液サラサラ対策にももってこいですね。
 

IMG_4582
IMG_4582 / takaokun

おいしい水菜を食べるには

葉が深い緑色で、しおれたり、茶色になっていない瑞々しいものを選んでください。茎の部分はまっすぐ伸びていて、白くて艶があるものが新鮮でおいしいとされています。
保存は、葉野菜ほとんどにいえますが、葉から水分が蒸発するので、湿らせた新聞紙に包んでからポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室に立てて入れるようにしましょう。余り日持ちはしないので、出来るだけ早く食べるようにしましょう。
 

Mystery Green
Mystery Green / MMChicago

水菜に多く含まれるビタミンCは水溶性ですので、ゆで時間は最小限にしましょう。茹でるとビタミンCが大幅に減ってしまいますが、それでも100gぐらい食べれば1日に必要量のビタミンC約半分が摂取できます。パリッとした歯ざわりが特徴的な野菜なので、硬めにさっとゆでておひたしにするのもいいですし、生のまま食べてもおいしいです。本来の水菜は茎の部部が硬く、ピリッとした辛味がありますが、全国的に流通しているものは、やわらかく、辛味もないのでサラダにもぴったりです。我が家では夏バテの防止には、豚肉と水菜の冷しゃぶサラダを作って胡麻ダレでいただ九のが定番となっています。豚肉をゆでるだけでとっても簡単なので是非ご賞味ください。もう一つおすすめレシピは、これまた豚肉と一緒にさっと炒めた、炒め物。炒めることで脂溶性のβカロチンの吸収率があがりますし、コチラもおすすめです。
紫外線対策もできて、夏バテ予防にもなり、デトックスしてくれて、栄養と潤いの補給もしてくれる。尚且つお手頃価格。こんな素晴らしい食材を食べないのはもったいない!ほんとに簡単に短時間に調理できますので、是非献立に一品加えてみてくださいね!
 

2014/04/28

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