生理(月経)と頭痛
女性は男性と違って月経周期によって体調が変化します。月経は主に2つのホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)によりコントロールされており、月経前はプロゲステロンが多く、月経中はどちらも少なくなります。そのため、月経前後はホルモンバランスの変化により、生理痛・発熱・頭痛・下痢・鼻血・浮腫・胸が張るなどの症状がでることがあります。
漢方では痛みに対して“不通則痛”“不栄則痛”(通じないと痛む、栄養されないと痛む)という考え方があります。例えば、一般的な頭痛には外の寒さ(寒邪)が体表を襲い、寒邪によって脉管が収縮し、通じなくなり痛むことがあります。また、生理痛には血不足の体質により月経の時に血が更に不足し、子宮を血が栄養できなくなるため痛むこともあります。
月経の度の頭痛には、通じない・栄養されない痛み以外に五臓の「肝」に火がある人に起こる傾向があるようです。
ここでいくつかの体質について紹介します。
『血虚(けっきょ)』
[症状]
月経中または月経後に何となく頭が痛い(痛みの程度はひどくない)。
めまい、動悸、倦怠感など。
[原因]
もともと血虚の体質があり、月経により血が子宮(下部)へ流れてしまうことで、血虚が悪化し、脳(上部)が血によって栄養されず、
頭痛が起こる。
[漢方薬]
婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)
十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
[使われる生薬]
当帰、川キュウ、白芍、熟地、人参、白朮、茯苓、炙甘草など
『肝火(かんか)』
[症状]
月経中または月経前に張ったような、刺すような頭痛。場所は頭の頂上。
めまい、イライラして怒り易い、口が苦く、喉が渇くなど。
[原因]
ストレスなどのイライラ・怒りにより五臓の肝の気が鬱結し、火に変化。肝火が頭(上部)へ上り頭痛が起こる。
肝の経絡は頭の頂上を通っています。
[漢方薬]
双料杞菊顆粒(そりょうこぎくかりゅう)
双料杞菊地黄丸
瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)
[生薬]
熟地黄、山茱肉、山薬、沢瀉、丹皮、茯苓、枸杞、菊花、苦丁茶、夏枯草、など
『血オ(けつお)』
[症状]
月経前または月経中に激烈な頭痛。
経血の色は暗く塊がある。お腹に疼痛があり触りたくない。
[原因]
ストレスにより肝の働きが悪くなり、気の巡りが滞り、血の流れも影響を受けて滞りオケツとなる。
頭の方の絡脈がオケツに阻まれると、毎回の月経で血と一緒にオケツが動き、痛みが激烈になる。
また、気血が子宮へ流れるのをオケツが阻むと経血が暗くなったり、塊があったり、お腹が痛くなる。
[漢方薬]
血府逐オ丸(けっぷちくおがん)
冠元顆粒(かんげんかりゅう)
[使われる生薬]
赤芍、川キュウ、桃仁、紅花、老葱、生姜、紅棗など
とりあげた漢方薬は代表的に使用されるものです。服用される場合はお近くの漢方薬局にてご相談下さい。
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