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不妊症について

不妊と漢方(1) 子宮筋腫

「なかなか赤ちゃんを授からない・・」不妊症に悩む夫婦が年々増加傾向にあり10組に1組の夫婦が不妊症で悩んでいると言われています。その原因は男性にも女性にもありますが、ここでは女性側のケースを見ていきます。日本では、不妊を心配したことがある夫婦は39.2%で、夫婦全体の約2.6組に1組の割合になります。また、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある(または現在受けている)夫婦は22.7%で、夫婦全体の約4.4組に1組の割合になります。

一般的に2年間夫婦生活を営んでいても妊娠しない場合を「不妊症」といい、その原因は男女ともにありますが、精神的・身体的に大変複雑です。そのうち不妊原因が女性側にある場合、例えば子宮に問題があることで着床が阻害される・排卵がうまくいかない・卵管や子宮頚管に障害があるといったことがあげられます。その中でよく見られる病態をいくつかご紹介いたします。

第1回は「子宮筋腫」です。

Amor
Amor / Ana Patrícia Almeida


子宮筋腫ってどんなもの?


子宮筋腫とは子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、30代~40代でもっとも多くみられ、小さなものまで含めるとなんと3人に1人の成人女性がもっているといわれています。できる場所によって3つのタイプにわけられます。



  1. 筋層内筋腫:子宮の筋肉内で育つ筋腫。もっとも多いタイプで全体の80%を占める。月経量が多く出血期間も延長する

  2. 漿膜下筋腫:外側を漿膜方向にふくらむ。かなり大きくなっても症状が出にくい

  3. 粘膜下筋腫:子宮の内側に向かって育つ筋腫。ときに不正出血がありダラダラと止まらない。


自覚症状は、月経量が多い・レバー状の血塊がある・月経痛がひどい・立ちくらみやめまい倦怠感がある・貧血がある・腹部の圧迫感やしこりがある・排便が困難・おりものが多いなどがあります。

子宮筋腫はなぜできる?


今のところ筋腫ができる詳しい原因はわかっていません。ただエストロゲン(卵胞ホルモン)による過度な刺激が原因といわれ、またある学者によると長期間にわたる不規則な生活から慢性的に子宮内が充血しそれが筋腫誘発の原因ではないか・・と。

中医学では昔から腫瘍が形成される原因は、血瘀(けつお・血流が滞った状態)と気滞(気がスムーズに流れない状態)と痰湿(余計な水分が溜まっている状態)であるとされ、筋腫は特に血瘀が主な原因で次第に気血両虚・肝腎不足の状態になると言われています。つまり女性の晩婚化で出産年齢も高くなったことや未婚で出産を経験しないことで、エストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を受ける期間が長くなったことや、女性の社会進出で男性と同じようなストレスを受ける不規則な生活がこのような病態を引き起こしていると考えられます。



筋腫がなぜ不妊の原因になるの?


子宮筋腫が不妊の原因になる可能性として、以下の点が考えられます。

  1. 排卵、受精障害(卵管の圧迫)

  2. 子宮内腔の変形(拡大・延長)

  3. 子宮内膜組織の異変(血流障害・出血・炎症の併発)

  4. 子宮内分泌機能の失調

  5. 子宮筋の活動異常(収縮障害、異常収縮)及び筋層循環機能異常

  6. 多発性筋腫による着床障害

  7. 流産と早産、死産のリスクが高くなる


そして何より、受精卵をしっかりと着床させるためには温かでフワフワした子宮内膜が必要です。しかし筋腫に血液をとられ身体は貧血状態な上、血流が悪い「血瘀」であると良い内膜をつくることはできません。また運良く着床できても子宮内腔にせり出した大きなコブが胎児の発育を邪魔する可能性は大です。赤ちゃんが押しのけてくれたらラッキーですよね。



子宮筋腫の治療方法は?


西洋医学ではホルモン剤で一時的に月経を止め筋腫を小さくする薬物療法と筋腫のみを取る核出術などの外科的療法があります。身体に悪影響を及ぼし筋腫を持ち続けることが困難である場合には取り除いたほうがよいかと思いますが、切迫した状況でなければ、筋腫の原因である血瘀・気滞・痰湿を取り除き、気血や肝腎を補うような漢方薬を服用することが、より妊娠しやすい身体作りにつながるのです。またふだんから快食快眠快便の生活を心がけてストレスをうまく発散させ、身体を冷やすような服装や飲食は避けましょう。

子宮筋腫によく使う漢方の一例


血瘀・気滞・痰湿を取り除く漢方薬:芎帰調血飲第一加減、冠元顆粒、桂枝茯苓丸、水快宝、爽月宝など

気血や肝腎を補う漢方薬:杞菊地黄丸、二至丹、参茸補血丸など


まとめ


以上、不妊の原因となる子宮筋腫の概要、原因、漢方での対策などをご紹介しました。実際に漢方薬の服用を希望される場合、漢方の専門家へ相談されるのが確実です。漢方薬局の漢方の専門家を大いに活用しましょう。

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監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

*不妊、二人目不妊、子宮筋腫、卵巣嚢腫、月経痛、更年期

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