ストレスとホルモンの関係
◎ストレス時に活動体勢をとらせるホルモンの分泌経路
視床下部→(CRH)→下垂体→(ACTH)→副腎皮質
◎毎周期の生殖活動を働かせるホルモンの分泌経路
視床下部→(GnRH)→下垂体→(FSH・LH)→卵巣
上の表をみて何か気づきませんか?そうです。生殖ホルモンの分泌経路とストレス時の分泌経路の司令塔は全く同じということです。最終の標的は、副腎皮質か卵巣かで異なりますが、司令塔は“視床下部-下垂体”です。
平常時であれば、きちんと生殖機能をコントロールできるのですが、過度のストレスが長引くと、自分の身体の緊急事態に対処する生体反応を最優先し、生殖機能を含む他の日常的な生命活動が犠牲になってしまうのです。つまりは、ストレスの対応でいっぱいいっぱいになってしまい、生殖ホルモンのコントロールをおろそかにするということです。その結果、生殖ホルモンがきちんと分泌されなくなって、卵巣の反応も鈍くなり、排卵障害、場合によっては無排卵をひき起こすことさえあるのです。
また、もう一方では自律神経にも影響を及ぼします。ストレスがかかると自律神経では、交感神経が活性化され、副交感神経が抑制されてしまいます。その結果、血管が収縮されると血流が悪くなり、“冷え”へとつながっていきます。ある文献によると、副交感神経が抑制されることで、月経量が逆流し子宮内膜症を起こし血流障害が長引くことで子宮筋腫が出来やすくなり、さらには顆粒球が多くなることで卵管に炎症が起きやすくなると指摘されています。ストレス、侮れませんよね。
ストレスとの付き合い方
しかし、ストレスが良くないことはわかっていても、ストレスが降りかかってきてしまう現状ですよね。では、うけたストレスを長引かせず、どう付き合っていくかを前向きに考えてみてはいかがでしょう?まず、不妊治療では時間的な余裕を持つことが大切です。多くの人は約1~2年前後の時間をかけて治療に取り組んでいます。
漢方を服用されている方なら、最初の半年ほどは妊娠へ向けての身体作り、準備期間というぐらいの気持ちで望んでみてはどうでしょう?急がば回れとも言いますように、じっくりと良い体作りをしていけば、妊娠のみならず、健康な赤ちゃんにもつながります。
手ごろなストレス解消法としては、ペパーミント茶やジャスミン茶などの香りのあるお茶や柑橘類(オレンジやグレープフルーツなど)をとるようにしたり、好みの香りの入浴剤を入れてリラックス効果のある音楽を聴きながらのんびり入浴したり。漢方薬もストレス対策になる様々な種類がありますので、服用を検討される場合は、漢方薬局で是非詳細ご相談くださいね。