
排卵障害とは?
排卵障害とは、卵巣の中で卵胞が育たない、育っても排卵しない状態のことです。
妊娠は、女性の体内において「視床下部―脳下垂体―卵巣(性腺軸)」のホルモンを介しての絶妙な連携プレイによって成立します。その生理的なリズムを知るひとつの手がかりとして「基礎体温の計測」があります。継続して計測していくことによって自分自身の傾向が見えてきます。一般的に正常とされるグラフとどう違うのか比較しながらまた自覚する症状も一緒に記載していくとよいでしょう。基礎体温の読み方は下記にご紹介しております。
女性不妊にはいくつかの原因がありますがその中の「排卵障害」は、ある程度基礎体温から推測されます。
1. 卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌低下:脳下垂体やそれを刺激する視床下部の働きが十分でないと卵胞発育に必要なFSHの分泌が低下し卵胞が育たず排卵が起こらないか(無排卵)、排卵までに時間がかかる。
2. 早発卵巣不全:40歳未満で月経がなくなり閉経後と同じホルモン状態になる。
3. 高プロラクチン血症:乳汁を出すホルモンだが出産していないのにプロラクチン血中濃度が上がりこれが排卵を抑制する。
4. 多嚢胞性卵巣症候群:卵巣の表面が硬くなり、小さな嚢胞がたくさんできて排卵できない。
5. 黄体化非破裂卵胞症候群:卵胞は成熟しているけれど卵胞が破れず卵子が外に出られない。
6. 排卵困難:脳下垂体から分泌される黄体化刺激ホルモン(LH)が不足しているためか或いはプロラクチンが高いため排卵が抑えられ、排卵に時間がかかる。
などがあります。

排卵障害?まずはセルフチェックしてみよう
ご自分が排卵障害を起こしているかどうか、まずはセルフチェックしてみましょう。

基礎体温のグラフから推察される状態
一相性…低温、高温の差がない→無排卵、早発卵巣不全、多のう胞卵巣
二相性…
1. 周期が長い(35日以上)→卵胞発育に時間がかかっている
2. 周期が短い(25日以内)→卵胞が未成熟のまま排卵する
3. ギザギザと変動が激しい(0.2度以上)→プロラクチンが高い
4. 排卵に3日以上かかる→排卵困難
5. 高温期が11日未満、低温高温の差が0.3度以下→黄体機能不全
ただし、黄体化非破裂卵胞症候群の場合は二相性になります。
自覚症状
・ 排卵期におりものが少ない→卵胞発育不全、排卵誘発剤の使用
・ 乳房が張って痛い、理由なくイライラする→プロラクチンが高い
・ 排卵痛がひどい→排卵困難
以上は可能性として考えられることなので確実なところは病院で検査を受けることをお勧めします。

中医学的に排卵障害を考えると…
中医学では、この「排卵障害」の状態を、妊娠に必要なものは不足していて(正虚)、妊娠を邪魔するものがある(邪実)「虚実混雑」とみます。正虚はすなわち性機能を司る「腎虚」を示します。養い、動きを推し進める力が不足している状態で、エンジンがかかりにくく性腺軸の働きが活発でないのです。ところがエンジンはかかるけれど、ブレーキの方がより強いとやはり性腺軸の働きは抑えられてしまいます。これが実邪にあたり、ストレス等によって気血の流れが阻害され停滞したもの「気滞血瘀」が、性腺軸の流れを邪魔するのです。
おすすめの漢方
漢方薬では、不足するもの対しては補っていき停滞するものはスムーズに流すような薬を用いて、排卵しやすい状態へ導きます。
漢方の一例:頂調顆粒、逍遥顆粒、温清飲、加味逍遥散、芎帰調血飲第一加減、柴胡桂枝乾姜湯、女神散、四物湯、桂枝茯苓丸加薏苡仁
※ 詳しくは
「高齢での妊娠について」
「不妊とストレス」
「高プロラクチン血症」
をご参照ください。
中医学では「養生」をとても重んじます。いくら薬を服用しても普段の生活が乱れていると、それは目的から離れてしまうことにつながります。現代社会はどうしてもストレスフルで睡眠時間も十分にとれないような状況ですが、「快食・快眠・快便・快心」を心がけてみてください。
中医食養生法の詳細はこちらからどうぞ
以上、排卵障害の原因と中医学における対策法などご紹介しました。セルフチェックをしてみて「もしかして・・・?」と思われたら、まずは病院での検査をお勧めします。その上で、中医学の対策などご希望でしたら、是非イスクラ薬局までお気軽にご相談くださいませ♡前述の漢方薬はあくまでも一例です。カウンセリングによってご体調ご体質にピッタリの漢方をお選び致します。
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