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季節の薬膳・養生法 の記事一覧

夏に負けるな!肌食養生のお話 その①紫外線と肌に悪い食べ物のお話

こんにちは。店長の櫻井です。 毎年のことですが、眩しいほど太陽がじりじりと照り付けるくせに、湿度も高い8月過ぎのこの暑さには本当にやられますね。こんな時は海に行って、かき氷でも食べたいところですが、そうは簡単にいかないのが大人のつらいところです。皆様の夏はいかがでしょうか。
 
これだけ暑い日が続くと、お肌への負担も気になってまいります。「夏になると肌トラブルが出やすい!」っという方も多いのでは無いでしょうか。実際に薬局でもアトピーやニキビ、湿疹やあせも等、肌トラブルによる相談はこの時期とても多くなります。強い紫外線、汗による刺激、そしてこの暑さと肌にとってはとてもつらく負担のかかる季節です。しかも、今対策を怠っていると、秋に肌トラブルを起こしてしまいます。
今日は実際にトラブルが起きてしまっている方はもちろん、予防のためにも、そして美肌をキープするためにも大切な活性酸素、紫外線、そしてその対策についてのお話を前半と後半に分けてしてみます。前半は肌にトラブルが起こる仕組みと、避けたい食品類のお話を、後半は肌に疲れを残さないために是非摂りたい食品のお話です。
 

Lifeguards
Lifeguards / Scott Ableman

肌トラブルと活性酸素

夏場の肌トラブルの一番の敵はもちろん紫外線です。紫外線を浴びると肌細胞の中に活性酸素が生まれます。活性酸素は皆さんご存知の通りの悪者です。肌細胞を傷つけ、コラーゲンの分泌を低下させます。肌の弾力性が低下させて、たるみやシワをできやすくします。さらに新陳代謝を低下させ、ニキビや吹き出物、湿疹などを治りくくします。
また、活性酸素の発生以外にも紫外線は肌にとっては良くない作用を持っています。紫外線は、肌が黒くなったり、シミやそばかすの原因となるメラノサイトという細胞を増やしたり、色の濃いメラニン色素を作らせたりします。
 
 
活性酸素というのは、細胞が活動する限り発生する厄介なものです。ちょうど私たちが活動すれば二酸化炭素を発生してしまうようなものです。ただ考えたりして脳が活動するだけでも活性酸素は生まれます。生まれた活性酸素は体内でいろんな悪さをするのですが、活性酸素が増え続けると大変なことになるので、人体にはちゃんと活性酸素から身を守るため、活性酸素を分解する力が備わっています。これが体内に存在する抗酸化酵素です。肌対策で大事になるのがこの抗酸化酵素をどんどん働かせることです。 そこで重要になるのが、ミネラルです。抗酸化酵素は亜鉛セレンなどの微量元素(ミネラル)があって初めて動き出します。ミネラルは人の体の中では作り出せないので、ミネラルを含んだ食品を食べることが、抗酸化酵素を活性化させ、お肌を守る鍵になります。
その他にも体外から摂れるもので、この活性酸素から守ってくれるものがあります。それが、ビタミンCやビタミンE、そしてβカロチンなどの抗酸化物質です。
なので、紫外線による肌へのダメージを最小限に食い止めるには、第一に日焼け止めなどで紫外線をブロックすること第二に活性酸素を分解することの二つが鍵です。日焼け止めを塗る事ももちろん大切ですが、『食べる日焼け止め』と言われる、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンなどの抗酸化物質や、活性酸素分解酵素を動かす、必須ミネラルのセレン銅、亜鉛をしっかり食べることが大切です。これらが紫外線により作られる活性酸素をやっつけてくれて、お肌の老化やトラブル悪化に歯止めをかけてくれます。

Peace
Peace / Alyssa L. Miller

 

中医学的肌養生

中医学的に見ると、夏は暑さによる熱が体内にこもりやすく、元々熱がトラブルの原因となっている湿疹やアトピー性皮膚炎、ニキビなどが悪化しやすい環境が整っています。さらにこの暑さは、肌にとってとても重要な質の良い睡眠を奪い、発汗で熱を押さえる潤いを損ない、さらにエアコンで血流を悪くして老廃物の回収も悪くして、肌の状態をさらに悪化させてしまいます。 また、肌を元気に保つには、栄養に富み、サラサラとよどみなく流れる血が十分にあることが大切ですが、高い湿度や気温、そしてそれに伴う冷たい飲食物の増加は胃腸を弱らせ、血の生産能力を著しく低下させます。さらに、汗は血とその源を同じくしているため、発汗が増える夏場は血の消耗も激しくなり、肌にとっては二重にも三重にも苦しい季節です。
また、お肌の状態と食生活に密接な関係があります。下記のものの食べ過ぎには注意しましょう。

甘いもの:チョコレートやケーキなど

油ものや肉類:とんかつ、てんぷらなど

香辛料の多いもの:キムチ、カレーライスなど

加工食品:ポテトチップス、ファストフード、インスタントフード、スナック菓子など

生もの:サラダ、刺身など

冷たいもの:アイスクリーム、ジュース、ビール、かき氷など

その他体質に合わせて:牛乳、コーヒー、アルコール、そばなど

肌トラブルを誘発する「発物」

また中医学では、古来から肌トラブルを発症させる食べ物を「発物(はつもの)」といって注意しています。

☆発物とは、、、
食べると皮膚の症状を発生または悪化させるものとして、古来中国で皮膚病の禁忌となっている食べ物の事。
現代の化学添加物も皮膚病を悪化させる性質があるので発物に属しています。
発物による病気の特徴として、発熱、かゆみ、ただれ、のどの痛み、痰、脹痛(張って痛む)、便秘、下痢などです。

☆発物の例☆

動物性のタンパク質 魚介類、牛肉、羊肉、あひる、カモ肉、牛乳、卵など

野菜・穀物類 ねぎ、たまねぎ、とうがらし、こしょう、セロリ、大豆、そら豆などの一部の豆類、そば、小麦など

くだもの: バナナ、パイナップル、マンゴー、柑橘類、銀杏、パパイヤなど

 
 
 
夏場に起こる肌トラブルを回避し、秋にも肌トラブルを持ちこさないためには、日焼け止めなどで対策するほか、ビタミンC、E、βカロチンやセレン、銅、亜鉛などの微量元素が豊富で、体の余分な熱を取り、胃腸を元気にしてくれる食べ物をしっかりとることが大切です。
 
その②では、お肌を守る食品のお話をします その②へ⇒

2014/08/22

今が旬の食べ物で食養生をしましょう!

こんにちは。店長の櫻井です。数日カラッとした暑さが気持ち良い日が続きましたが、もう蒸し暑さが戻ってきました。今年は冷夏になるといわれていたのに、そんなのはもう無かったことにされているようで、今年も猛暑の夏が来るそうです。夏の疲れは溜めこまないようにしておかないと、秋冬に体調を崩すことにもなりますので、今からしっかり対策しておきたいですね。
ということで今日は、夏の養生に摂っておきたい、今が旬の食べ物をいろいろ中医学的に調べてきましたので、よろしければ毎日の献立に是非ご活用ください。
 
 

秋葵(おくら/陸蓮根)

オクラは中国語で『秋葵』と書くアオイ科の植物で、日本では『陸蓮根』と書くそうです。オクラは日本語に聞こえますが、アフリカ原産でアメリカに伝わって広まったもので、Okraというのは実は英語。6~9月が旬の夏野菜で、まさに今が食べごろです。薬膳では「消食類」に分類され、消化を助ける食材とされています。
【秋葵】
【性味/帰経】 
涼、辛、苦/肺、肝、胃
【働き】 
健脾消食:胃腸を元気にし、消化を助けて食欲不振を良くする。
潤腸通便:胃腸を潤し、便を出しやすくする。

【禁忌】

胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

DSC05101.JPG
DSC05101.JPG / hide10

隠元豆(インゲンマメ)

インゲンマメは成長が早く痛みやすいので、買ってきたら早めにたべるのようにしましょう。これも6~9月、太陽をたっぷり浴びた今の時期が旬の夏野菜です。胃腸に優しく、疲れた胃腸も元気して、体に溜まった余分な水分を排出してくれます。食欲不振や胃もたれなどを感じているときには是非摂りたい食材です。
【隠元豆】
【性味/帰経】
平、甘/脾、胃
【働き】 
健脾利湿:胃腸を元気にして身体の湿気をとり去り、食欲不振、口の中のネバネバ、軟便、下痢、身体の重だるさを改善。
胃腸機能低下で湿が溜り、暑さと重なって口が乾いたり、嘔吐感があったり下痢などを防ぐ。

Green Beans Eastern Market
Green Beans Eastern Market / Mike Licht, NotionsCapital.com

枝豆

枝豆は大豆が熟す前に収穫したもので、生長しきって成熟したものが大豆になり、未熟な状態で収穫されたのが枝豆になります。収穫すると一気に甘さが落ちてしまうので、朝どれの物をその日のうちに食べるのが一番おいしい食べた方です。アルコールを分解する酵素を含み、湿気を取り除く力もあるため、ビールには最適のおつまみですが、中医学の古典には、「食べ過ぎると気が詰まり、痰を生じて体が重くなる」とあるそうなので、食べ過ぎには注意してください。
【枝豆】
【性味/帰経】
平、甘/脾、大腸
【働き】 
健脾寛中:胃腸の機能を助け腸の状態を整える。
益気養血:気血を補う。 潤燥利水:胃腸を潤し、利尿する。
排膿解毒:膿を排除して、毒を消す。

枝豆をもっと詳しく知りたい方はこちら→夏とビールと相性最高!おつまみの定番「枝豆」のすごい話。

Edamame
Edamame / UnitedSoybeanBoard

 

黄瓜(きゅうり・胡瓜)

ヒマラヤ地方原産で、平安時代に日本に伝来したそうです。当時は「下等な瓜」とされてあまり人気が無かったようです。今ではハウス栽培が盛んとなり、一年中手に入りますが、旬は6~8月で、やはり太陽をしっかり浴びた夏の胡瓜はとてもおいしいです。熱を取り、むくみをとる力があり、生でも炒めてもおいしいので、夏にはぴったりの食材です。 冷えが気になる方はショウガや唐辛子と一緒に炒めて食べましょう。
【黄瓜】
【性味/帰経】
寒(涼)、甘/脾、胃、大腸
【働き】 
清熱:体に溜まった余分な熱をとる。
止渇:渇きを止める。
利水:尿を出やすくする。
消腫:熱性の腫れを解消する。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

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R0011336 / duck75

獅子唐辛子(ししとうがらし・ししとう)

獅子唐辛子は成熟すると赤くなりますが、その前の未成熟の青い段階で収穫されたものです。分類的にはナス科の植物です。先端が獅子に似ているので獅子唐辛子と言われているそうです。ハウス栽培が盛んなので一年中手に入りますが、やはりおいしいのは太陽を沢山浴びたこの季節。熱帯アメリカ原産で、メキシコでは、7,000年前の遺跡から唐辛子が出土したという報告もあるほど人類との歴史が古い野菜の一つです。また、全世界の料理に取り込まれ、「唐辛子ほど国境のない野菜はない」とも言われています。胃腸を温めてくれるので、冷たいものの摂取がどうしても増えてしまう夏には是非摂っておきたい食材です。
【唐辛子】
【 性味/帰経】
温(唐辛子は熱)、辛/心・脾
【働き】
温中散寒:お腹を温め、冷えを飛ばしてくれます。
開胃消食:食欲を増し、消化を助けてくれます。

green chillies
green chillies / Dèsirèe Tonus

紫蘇(しそ)

古来から日本に自生していたとされており、平安時代に書かれた現存する日本最古の薬物辞典『本草和名』にも「イヌエ」として載っており、古代から紫蘇は薬草として認知されてきました。紫蘇はその香りにこそ薬効があるとされているので、香りが立ちやすくするために細かく刻んで使いましょう。また、出来るだけ早く使うことも大切で、香りが飛んでしまう加熱も最小限にしましょう。紫蘇や生姜、冥加など香りの良い香味野菜には、気を巡らせモヤモヤとした気分を晴らす効果があるとされています。
【紫蘇】
【性味/帰経】
温、辛/肺、脾
【働き】
発表散寒:肌の表面にこもった寒邪を発汗とともに取り除く。また寒邪による熱や咳などの感冒症状にも効果的。
行気寛中:気の巡りがわるく、胸のモヤモヤ感や吐き気を改善する。
解魚蟹毒:魚介類や甲殻類などの中毒にもよい。

タイトルなし
タイトルなし / titanium22

紫蘇
紫蘇 / snak

冬瓜(とうがん)

冬瓜は他の瓜類と同様に7~10月頃に旬を迎える食材ですが、熟すと皮が厚くなって冬まで貯蔵できることから、「冬瓜」という名前が付いたそうです。冬は野菜が少なくなるので、保存がきく冬瓜は珍重されてきました。身体を冷やす作用を持っているので、乾燥しやすい冬場に食べるなら、必ず加熱し、温熱性のショウガなどと一緒に食べると、潤い補給の良い部分の恩恵を受けることが出来ます。
【冬瓜】
【性味/帰経】
微寒、甘、淡/肺、大腸、膀胱
【働き】 
清熱解毒・利尿:余分な熱をとり去り、体内に溜まった余分な水分を排泄し、むくみや尿量減少を助ける。
生津止渇:潤いを生み、体内や喉の乾きを癒す。

とうがん!
とうがん! / is_kyoto_jp

西紅柿( トマト)

トマトはナス科の植物で、南アメリカ、ペルー・アンデス地方などの乾燥した高地の原産なので、日本のような高温多湿な場所では栽培が難しいとされていましたが、品種改良や栽培の様々な工夫により、今では日本各地で多種多様な品種のトマトが栽培されるようになりました。熱をとりさり、潤いを与え、消化を助けてくれて、手軽に食べられる暑気払い、夏バテ予防の食材です。熱中症予防に岩塩をかけていただきましょう。
【西紅柿】
【性味/帰経】
微寒、甘、酸/肝、脾、胃
【働き】
生津止渇:潤いを生み渇きを止める。イライラや喉の乾きをよくする。
健胃消食:胃腸を元気にして、食欲を戻す。消化不良を改善する。

tomatoes squaredcircle
tomatoes squaredcircle / Muffet

茄子(なす)

ハウス栽培で一年中見かけるナスの旬も7~9月の夏です。暑熱を冷ます寒性の野菜で、夏バテには良いですが、冷え症の方や妊婦さんは控えたい食材です。「秋茄子は嫁に食わすな」というのは、美味しい秋茄子を嫁に食わしてたまるか!ではなく、寒くなってくる秋に寒性のナスを食べては、体が冷やされ子が出来づらくなってしまうというやさしさから。ちなみにこの「秋」とは旧暦で、今の9月頃を指しています。
【茄子】
【性味/帰経】
寒、甘/脾、胃、大腸
【働き】 
清熱:体にこもった熱をとる。
活血止血:血流の滞りを改善し、出血を防ぐ。
消腫止痛:熱っぽい腫れを止めて痛みを取る。
祛風活絡:風寒の邪気を除き、手足のしびれ、痛みを改善する。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

Chinese-Style Eggplant
Chinese-Style Eggplant / Stacy Spensley

 

苦瓜(にがうり)

苦瓜は和名、「蔓茘枝(つるれいし)」といって、完熟すると仮種皮が甘くなることや、いぼいぼの外観などが、茘枝(レイシ・ライチのこと)に似ているから、「蔓になる茘枝」ということで「蔓茘枝」という名前が付いたそうです。ちなみに中国語では「苦瓜」と書きます。体にこもった熱をさまして夏バテを解消する夏の代表的な野菜です。暑さで悪化する肌トラブルにも良い食材です。
【苦瓜】
【性味/帰経】
寒、苦、微甘/心、肺、脾、胃、肝
【働き】
清暑熱:暑気あたりを解消する。
解毒消腫:毒を消し、腫れを無くす。
清肝火:肝の異常な火を消す。イライラの鎮静にもよい。
【禁忌】
苦瓜は流産、早産を引き起こしやすいので妊婦の方は注意が必要です。

s-R0015089
s-R0015089 / eiko_eiko

西胡芦(ズッキーニ)

ズッキーニは見た目から胡瓜などの仲間に思われがちですが、実はメキシコの巨大かぼちゃから作られたと考えられていて、「ツルナシカボチャ」といってかぼちゃの仲間です。日本で普及し始めたのは1980年ごろからとされ、なじみが浅い食材ですが、栽培しやすいので、近年では家庭菜園でも人気の食材です。働きから見ると、余分な熱を取り湿気をとってれるので、瓜類とにています。寒性なのでサラダより加熱して食べるのがおススメです。
【西葫芦】
【性味/帰経】
寒、甘/肺、胃、腎
【働き】 
清熱生津:潤いを生み、余分な熱をとり去る。空咳や喉の渇き、イライラを癒し、痰を切れやすくする。
消腫散結・利尿通淋:傷やしこりを散らし、むくみやお腹の張り、排尿痛などにも効果的。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

Zucchini
Zucchini / adactio

無花果(イチジク)

そろそろスーパーにも顔を出すイチジクは夏と秋の2回収穫される果物です。一般的に9~10月に摂れる秋物の方がおいしいとされていますが、薬膳では潤下類に分類される大便を排泄しやすくする食材なので、夏場の便秘にも是非食べていただきたい果物です。乾燥品もまた栄養豊富で、緩く便をだす作用があります。
【無花果】
【性味/帰経】平、甘/小腸、膀胱、大腸
【働き】
健脾益胃・通便:胃腸を元気にして食欲不振を良くする。便通を良くする。
潤肺止咳:肺を潤し咳を止める。痰を出やすくする。
消腫解毒:のどの痛みや腫れ、声枯れにも良い。痔の腫れにも良い。

イチジク(fig)
イチジク(fig) / kanonn

梨(なし)

梨は「生は六腑の熱を冷まし、熟(加熱したもの)は五臓を滋陰する」とあり、渇きや乾燥にとても優れた効果を持つ果物です。夏の潤い不足や秋の乾燥にとてもおススメの果物です。
【梨】
【性味/帰経】
涼、甘、微酸/肺、胃
【働き】
清熱化痰、生津潤燥:余分な熱をとり去り、渇きを癒す。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

Kosui nashi
Kosui nashi / kimubert

 

菠蘿(パイナップル)

国内で流通している殆どのパイナップルはフィリピンからの輸入物で、通年供給されていますが、沖縄で採れるものは6~8月の今頃が旬です。石垣島産のものはもう少し早い5月~8月が旬とされています。日本では昔「鳳梨」とよばれていて、昔の日本の影響が色濃く残る台湾では今も鳳梨とよばれています。熱帯アメリカ~ブラジルあたりが原産で、日本には1845年ごろオランダ船により持ち込まれたそうです。甘味は強いですがカロリーは控えめとダイエットをしている方にも嬉しい果物です。タンパク質分酵素を持っているので、肉類や豆類などの消化を助けてくれます。このため、中華料理の酢豚など、肉を柔らかくするために加えられることも多い果物です。
【菠蘿】
【性味/帰経】
平・微寒、甘、微酸/胃、膀胱
【働き】 
清熱通便:余分な熱をとり、便通を良くする。
健脾和胃・消食止瀉:胃腸を元気にして食欲を増進する。消化不良や食べ過ぎによる下痢などを改善する。
消腫祛湿:むくみをとり尿を排出する。痰の多い咳や喘息を改善する。
清熱解暑:熱射病や暑気あたりの予防にもよい。

pineapple
pineapple / yto

葡萄(ぶどう)

ブドウの品種は数多くありますが、マスカット、デラウェアなどはちょうど今が旬の時期です。巨峰、ピオーネはこれからで9月が旬です。ブドウには、その名の通りブドウ糖が豊富で、そのままエネルギーとして活用できるので、夏の疲れにも是非食べたい果物です。寒熱の偏りは有りませんが、糖分が多いので食べ過ぎると熱がこもるので注意が必要です。
【葡萄】
【性味/帰経】
平、甘、酸/肺、脾、肝、腎
【働き】
止渇除煩:渇きを癒し、イライラを抑える。
益気養血:気血を補う。
滋補肝腎:肝と腎を潤い養う。
利尿:尿を出させる。
安胎:胎児を安定させる。

Grepe
Grepe “Fujiminori” (Fujisawa, Kanagawa, Japan) / t-mizo

哈蜜瓜(メロン)

夏バテ、暑気あたりにおススメの果物です。とっても甘いですが、胡瓜(きゅうり)と同じ瓜類の仲間です。エネルギー不足を補うには即効性があり、体力消耗時のスタミナ補給に最適です。そういえば高校のとき、部活でマネージャーがメロンを差し入れてくれたのを思い出しました。私の地元は北海道で、メロンを作っている農家さんが多かったからでしょうね。熱を取る力、潤す力が強く、暑いこの時期にはぜひ摂りたい果物です。寒性なので冷蔵庫で冷やしすぎないようにしましょう。
【哈蜜瓜】
【性味/帰経】
寒、甘/脾、胃、肺
【働き】
止渇除煩:渇きを止めて、イライラを収める。
利尿解暑:溺を出して暑気あたりを良くする。
【禁忌】
寒性で冷やす性質が強いので、胃腸が弱い方や冷え症の方、小児、高齢者、妊婦は控えること。
メロンの詳しいお話はこちら→夏バテ、むくみにはコレ『メロン』のお話

melon / 夕張メロン
melon / 夕張メロン / Kanko*

桃(もも)

桃は古代から「長寿果」や「仙桃」と呼ばれ、長寿に効果があると考えられてきた果物です。桃はこれからお盆前までがおいしい時期です。夏に旬を迎える果物としては珍しく温性で、身体を冷やしません。胃腸を元気にして、便通を良くする桃は、胃腸の弱い方や高齢者、お子様の潤い補給にもおすすめです。果肉が硬めで甘みが強いのは白桃、やわらかく果汁たっぷりが白鳳という種類です。お好みにあわせてどうぞ。
【桃】
【性味/帰経】
温、甘、酸/肺、脾、肝
【働き】 
生津潤腸:体や腸を潤し、便通を良くする。
補脾活血:胃腸を元気にして、血の巡りを良くする。
消積:体内の老廃物を外へ流す。

2891 : Peach!
2891 : Peach! / sakura_chihaya+

鮎(あゆ)

日本を代表する川魚は通年取れますが資源確保の理由から6~10月の漁獲が定められています。一番おいしいとされているのは7月の若鮎。骨まで軟らかく美味とされています。胃腸に優しく、むくみ対策にもよい食材なので、おいしい今の時期に是非食べてください。
【鮎】
【性味】
温、甘
【働き】 
養陰開胃:潤いを補い、食欲を出させる。
利尿消腫:尿量を増やしむくみを取り去る。
催乳:母乳の出を良くする。

鮎
鮎 / yoppy

昆布(こんぶ)

天然ものの昆布のほとんどは北海道で採られています。夏に採取されて、砂利の上に長い昆布を重ならないように敷いて天日干しします。そうすることで旨味成分が凝縮され、最高の昆布が出来上がります。昆布はきちんと包装したうえで密封せずに通気のよいところにおきましょう。降圧降脂作用があるので、高血圧や心臓病、肥満にもおすすめですが、ヨウ素が多く含まれているので、摂りすぎても欠乏しても甲状腺腫が起こりやすくなるので注意が必要です。
【昆布】
【性味/帰経】
寒、鹹/肝、胃、腎
【働き】
消痰軟堅:痰をなくし、固まり、腫瘍、しこりを散らす。睾丸の腫大疼痛などにも用いられる。
行水消腫:むくみや水腫をなくす。血便、脚気にも使われる。
【禁忌】
昆布を余り生のまま食べることは少ないですが、胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

 
 

海胆(うに・雲丹)

ウニの旬は産卵期のお盆までと言われいるので、おいしいウニを食べるなら是非今食べましょう。お盆過ぎの産卵期を過ぎるとおいしくなくなってしまいます。ウニの食用部分は生殖巣と呼ばれるもので、肝臓や脳ではありません。海の物共通する、しこりや塊を散らすという作用があります。
【海胆】
【性味/帰経】
平、鹹/心、肺
【働き】
軟堅散結:腫瘍やできもの、しこりを散らす。
制酸止痛:胃痛、胸やけを和らげ、腹痛を癒す。
化痰止咳:痰をとりさり、咳を止める。
【禁忌】
風寒、水溶性の薄い痰の喘息の場合は食べてはいけません。生の多食は控えましょう。

Sea urchin roe
Sea urchin roe / sigusr0

食養生はバランスが大事

暑い夏は涼性、寒性の食べ物を毎日の献立に取り入れて、体にこもった熱を取り去り暑気払いをするのが良いですね。また、夏はどうしても冷たいものを摂る機会が増えてしまいますが、冷たいものや水分を摂りすぎると胃腸が弱り、だるさや疲れなどの症状のほか、秋冬に体調を崩すことにもなりかねないので、寒・涼性の物は加熱する、もしくは温性、熱性の物も少し一緒に摂って、寒熱のバランスを取るようにしてくださいね。

2014/07/31

夏バテ、むくみにはコレ『メロン』のお話

こんにちは。店長の櫻井です。
台風一過でいきなり猛暑と熱帯夜となった関東地方ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。気温・湿度の上昇は肌トラブルを抱えている人、のぼせのある人、胃腸トラブルを抱えている方々にとって、とっても辛い日々なだけでなく、汗をかかせ、安眠を妨害し、体力を低下させるので、どんな人にも辛く、負担になる環境です。またエアコンを使用することも増えるので、喉がやられたり、寒暖差により体調を崩してカゼを引いたりなど、夏は一年の中でも養生がとっても大切な時期なんです。
 

水遊び
水遊び / tab2_dawa

古典に見る「夏の養生」

夏と夏の養生について、中医学の古典『黄帝内経』にはこう書かれています。
『夏の三ヶ月を「蕃秀(ばんしゅう/成長の意味)という。天地の陰陽の気が盛んに交流し、万物がどんどん成長して咲き栄える。夜は遅く寝て朝は早く起きる。日の長さと暑さを厭わず、物事に怒らずに気持ちよく過ごすべきである。つまりは、夏に咲きそろう花のように、体の陽気を気持ちよく発散させる。これに背くと夏の気である心気が傷み、秋になって瘧(おこり)となるのである。』
中医学では、「自然とともにある」ことを何よりも大切にしています。夏は夏らしく汗をかくこと。日の入りが遅く日の出が早いように、遅く寝ても早く起きること。花々が咲き誇るように穏やかに過ごすことを良しとしています。夏は遅く寝ても朝は日の出とともに起きて、暑くても活動し、適度に運動も取り入れて汗をかき、陽気を発散し、身体こもらせないようにしましょう。もしこれが出来ず陽気が体内にこもってしまうと、身体の中で熱を持つようになり、元々陽気が多い心や肺を傷つけてしまいます。秋になると出てくる空咳の原因は夏の陽気のこもりにもその原因の一端があります。
現代ではエアコンが一般的になり、どこへ行っても寒いぐらいに空調が効いています。となると、毛穴は閉じてしまい、汗をかいたり、陽気を発散することが出来ません。陽気がこもり、熱がこもってしまうのでどうしても冷たいものもに手が伸びます。そうすると今度は胃腸が冷えてしまい、下痢になったり体力が低下したりしてしまい夏バテになるだけでなく、これも秋冬に体調を崩す要因の一つとなります。

夏の食養生では、熱を体内にこもらせないこと、水分を排出することが肝心です。夏に旬を迎える数多くの野菜や果物には、身体にこもった熱や水分をとり去り、身体の外へ出してくれるものがたくさんあります。今日ご紹介する『メロン』もその一つです。

melon / 夕張メロン
melon / 夕張メロン / Kanko*

メロンの歴史

メロンがもつ上品さと荒々しい大地や砂漠のイメージとが結びつきませんが、メロンの原産地はなんとアフリカや中近東地方だそうです。そこから西の方へ伝わったものを「メロン」、東へ伝わったものを「瓜」と呼ぶそうで、日本にもある「マクワウリ」がそれです。また、胡瓜ももともとはこの瓜から派生したものだそうです。一般的に私たちが思い描くあの「メロン」が持ち込まれたのは明治中頃。ヨーロッパから持ち込まれ、大正にかけて普及したそうです。
これは全くの余談ですが、「アンデスメロン」と南米にある「アンデス山脈」は全く関係がなく、あれはなんと、「安心ですメロン」の略(?)だそうです。そして、「マスクメロン」の「マスク」はあの縞々のことではなく、麝香の香り、「ムスク」に似ているからだそうです。ご存知でしたか???

110809
110809 / yoco**

ほてりやむくみに最適

メロンには、果物の中でも特に多いカリウムが含まれているので、体内の水分バランスを調節し、水分とともに余分な塩分を排出してくれ、むくみや高血圧、動脈硬化の予防に効果的です。ビタミンCも多く夏の強い紫外線によるシミやそばかすの予防や美白、そしてストレス対策や、疲労回復、抗酸化などにも是非食べておきたい食材です。また、赤肉のメロンにはβカロチンも多く含まれており、これまた抗酸化作用による老化防止や癌の予防にも効果が期待できます。

中医学から見たメロン

メロンは寒性で甘味。心、脾、胃、肺、大腸に行き渡り、喉の渇きを収めて、いらいらを解消してくれます。また尿とともに体にこもった熱も排出してくれるので、ほてりやのぼせ、むくみにも効果的です
メロンは種や花、葉、へたにもそれぞれ効能があります。種は、肺にこもった熱を取り、便通を良くしてくれます。また胃腸も丈夫にしてくれる力もあるとされています。ヘタには、全身のむくみをとる力や利尿の力があります。花は胸の痛みや咳に良いとされ、葉は脱毛や打撲によいとされています。
メロンの寒性は強く、暑気あたりや体内にこもった熱を取るには効果的ですが、冷え症の人が食べると冷えてしまい、体調を崩す原因になります。また、胃腸が弱い方、小児、妊婦なども冷蔵庫で冷やしたものは避けて常温の物を控えめに摂るのがよいでしょう。
暑い夏、汗となって消耗してしまう潤いの補給や、こもった熱を排出するのに即効性のあるメロンはとても有効ですが、食べ過ぎると逆に冷えてしまいます。冷え性の人はさらに悪化することも考えられます。また、メロンを食べ過ぎると黄疸を引き起こしやすく、病の回復期に食べると胃を荒らすとも古典には書かれています。体調が優れないとき、冷えたり胃腸が弱っているときには避けたほうが良い食材ですね。
 

prosciutto with melon
prosciutto with melon / Pen Waggener

生ハムメロン、賛否両論ありますが、私は好きです。これにワインがあればしばらくおとなしくしていられますw
 

美味しいメロンを選ぶ・保存するには

縞々のメロンの場合は、いびつではなく丸みがきれいで縞々がくっきりとしていて、細かく均等に広がっているものを選びましょう。色は均一に色づいているもので、見た目よりもずっしりと重いものが肉厚で美味しいそうです。
完熟していないメロンはお尻を押すとまだ固いです。そんな時は室温で、軟らかくなるまで置いておきましょう。食べごろになるとお尻が柔らかくなり、メロンの甘い香りがしてきます。食べる前、2~3時間に冷やしましょう。切ってから保存する場合は、種は取っておきましょう。
 

 
夏バテだけでなく、秋冬に体調を崩さないためにも、夏は冷たいものを控えて、ただでさえ湿気によって弱ってしまう胃腸を労わる必要があります。メロンに限らずスイカや苦瓜、胡瓜などの瓜類は暑い地方原産の食物らしく、身体の熱を取ってくれる力があります。これからの暑い季節はどうしても冷たいものをとりがちですが、瓜類など、熱を取り除く食材を毎日のメニューにうまく取り入れて、上手に熱さ対策をしていきましょう。

2014/07/11

冷たいもの摂りすぎてませんか?【夏バテにはニンニクで陽を補ぎなおう!】

こんにちは。六本木店店長、櫻井です。最近はなんだか不安定なお天気が続いていますね。気温が穏やかなのは夏が苦手な私にとってはうれしいことですが、ぐずぐずと続く雨や集中豪雨は困ったものです。先日ツィッターで、「雨や低気圧で影響を受けやすく、頭痛やだるさ、気分の落ち込みなんかが出やすい人はアイスクリームや冷たいヨーグルト、氷の入ったの飲み物、などなど、冷たいものはひかえたほうが良いですよ。夏の冷えは秋冬の体調不良につながりますよ」というものを呟いたところ、なんと2300回以上RT(RT=見た人がさらに自分の知り合いに広めてくれること)されました。夏の冷えや雨・低気圧で体調を崩されるかたはほんとに多いんですね。
 

Hydrangea after rain
Hydrangea after rain / Takashi(aes256)

″冷たいもの″が体調を崩す

中医学では胃腸を「脾胃」といいますが、この脾胃が冷えてしまうと、本来持っている食べたものを必要なものとそうでないものに分けて、しっかり排泄する機能や、食べたものからエネルギーやエネルギーを運ぶ血、そして潤いを作り出す機能が低下してしまうので、中医学では冷たいものを摂りすぎてはいけないと注意を促しています。。

脾胃の機能が低下してしまうと、不要な水などが体内に溜まってしまいます。さらにエネルギーや血、潤いの不足もおこり、身体が正常に働かなくなってきます。そうすると、重だるさを感じたり、疲れが抜けなくなったり、気が滅入ったり、冷えやすくなったり、頭痛や腰痛、むくみや気分の落ち込み、めまいなどがでやすくなります。それが続いてしまいそのまま秋や冬に突入すると、今度は寒さや乾燥にやられ、さらに体調を崩してしまいます。なので、脾胃が元気をなくすような冷たいものは控えるようにした方がよいことになります。

暑い時期はどうしても冷たいものを摂ることが増えます。さらに現代では、買い物に行っても、仕事に行っても、移動中でも、どこへ行っても冷房がガンガンに効いています。外からも中からも体は常に冷やされ、そのせいで脾胃の状態が悪化し、体調不良が続くことにもなります。

塩沢プロパンのかき氷
塩沢プロパンのかき氷 / yoppy

夏こそ「温かいもの」を

中医学の古典、『黄帝内経』には、養生の基本として「春夏補陽」という言葉があります。これは、「春夏こそ陽気を補う」という意味です。しかし、春や夏は陽気が高まり暑くなる季節です。そんなときさらに陽気を補うのと身体はどんどん暑くなってほてりや熱症状が出たり、熱がこもったりしてしまいそうですが、実はそうではなさそうです。
この『春夏補陽』という考えは、とても実践的な教えで、夏は暑く、必然的に冷たいものを飲食することが増えてお腹の陽気が傷つけられるから、しっかりと陽を補うことが大切なのだっと言っているのです。夏が旬のものには、身体の余分な熱をとる「涼性」や「寒性」のものがたくさんあります。しかし、そればかりを食べていると、冷えすぎてしまうことも考えられます。さらに現代では、冷たい飲み物や食べ物はいたるところにあり、それらを口にする機会もとても多いです。そんな中、体内の陰陽のバランスをとり、ちょうど暑くもなく、寒くもない状態に保つために、陽を補うもことも忘れてはいけません。
前振りがながくなってしまいましたが、そんな夏に旬を迎えてしっかりと陽を補ってくれる「にんにく」のお話をしたいと思います。

Garlic
Garlic / Robert Benner Sr.

 

ニンニクは古代から知られた強壮剤

ニンニクの原産地は中央アジアと言われていますが、正確なところはわかっていないようです。ニンニクは、紀元前1500年以前に書かかれた現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス(The Papyrus Evers)』ですでに、疲労、衰弱、手足のふるえを伴う神経系疾患、 月経不順や心臓・循環系の疾患などに効くとして、ニンニクを含む沢山の処方が紹介されている程栄養満点の食材です。日本にやってきたのは8世紀ごろ、飛鳥時代後期に中国を経由して伝わったと言われています。
 

Garlic on old breadboard...
Garlic on old breadboard… / nessguide

ニンニクは身体を元気にしてくれる

ニンニクには、疲労回復を助けて、新陳代謝を活発にしてくれる「スコルジニン」や、ビタミンB1の吸収を高めたり、強い殺菌力をもつ「アリシン」と言う成分が含まれていますので、疲れやすく、食中毒の危険が高い夏場には最適な食材です。
スコルジニンは新陳代謝を活発にしてくれるので、一緒に食べた食材の栄養吸収も助けてくれる働きもあります。また、ニンニクのあの独特の香りは、硫化アリルの一種、「アリシン」によるものですが、この香り成分には、強い殺菌力と体内でビタミンB1の吸収を助ける力があります。ビタミンB1は糖質からのエネルギー生みだしたり、皮膚や粘膜の健康な状態維持するのを助ける働きをし、脳神経系を正常な働きを維持してくれます。アリシンは、動脈硬化を抑制する働き、脂肪の塊を縮小させる、カゼや気管支炎の原因になる連鎖球菌やブドウ状球菌などを殺すなど、強い殺菌・抗菌力があります。また、胃潰瘍の原因となるピロリ菌や、食中毒の原因のO-157菌にもこの殺菌力は有効だそうです。
このアリシンは食用油にとけると「アホエン」という何とも間抜けな名前の物質が生まれるのですが、このアホエンには高い抗酸化力があり、血栓を予防・改善する効果や、抗がんの効果などがあることがわかっています。ニンニクを良く食べるのニンニクの生産地では、胃がんの発生率が低いそうです。これはアリシンのピロリ菌への殺菌作用やアホエンの抗がん作用によるものと考えられています。
また美肌効果も高く、ビタミンB1の粘膜の健康維持のほか、ニンニクの有効成分が皮膚の内部に適度な脂分を溜め、水分と脂分を良いバランスでとどめて小じわやたるみを目立たないようにしてくれるようです。
 
このような効果は、生で食べた場合に一番強い力を発揮します。風邪の初期で寒気がするような場合に生のニンニクの1片を摩り下ろして食べると、さっと汗がでてスッキリします。加熱すると効果は少し落ちますが、匂いが和らぐので食べやすくなるはずです。
しかしニンニクは強い効果を持つ一方、食べ過ぎると胃が荒れて気持ち悪くなったり、血圧が上昇して目が充血したり、肝機能障害を引き起こす危険もあるので、生なら一日に1片程度、加熱したものでも2~3片程度にしましょう。また、ニンニクの健康効果は一度食べると2~3日は持続するようですので、毎日食べなる必要はなく、1週間に1~2回で十分です。
 

Garlic
Garlic / srqpix

 

中医学から見たニンニク

ニンニクは漢字で「大蒜」と書きます。生薬では、同じ字を書いて「大蒜(たいさん)」と読みます。性味は、温性で、辛味。昇らせ散らせる性質を持つとされています。中医学的薬効では、寒気を伴うカゼの予防や治療、胃を温め、食べ物のつまりを取り除いたり、下痢を止めて寄生虫を退治したり、咳を止めて、腫れや痛みを取り除く効果があるとされています。
夏場冷たいものを摂りすぎて、脾胃の陽気が低下し、どうにも体に余分な湿が溜まってしまってむくむ、体がだるい、お腹が冷えてうまく働かない、下痢や軟便が続いている。そんなときにはこのニンニクの胃腸を温め、発汗を即して余分な水分を発散してくれる働きはとてもありがたいものです。
上にも書いたように、食べ過ぎると胃腸を痛めるので、胃腸機能が弱っている方は加熱して少量から食べるようにしてください。また、温性で身体を温める力があるため、アトピー性皮膚炎や、ニキビ、高血圧の方は食べ過ぎないようにしましょう。
 
 

Italian still life
Italian still life / Muffet

ニンニクの臭いには、、

ニンニクの臭いが手について取れないときは、酢を入れた水につけると良いそうですよ。後、ステンレスにも匂いがうつるそうなので、手を洗った後濡れたままステンレスシンクを触るのもいいかもしれませんね。
ニンニクの臭いを消してくれるのに有効なのは、緑茶や紅茶、烏龍茶などが良いそうですよ。
 

Garlic!
Garlic! / jeffreyw

 暑い夏こそ陽気を補う

夏は暑いのでどうしても冷たいものを摂りすぎてしまったり、冷房の効いた室内に多くいることが増えるため、陽を補い、体を中から温めておくことが大切です。そうすることで、胃腸は元気に働けてエネルギーを造り出してくれるので、夏バテ予防にもなります。そして秋冬の冷えや体力低下で体調を崩してくれるのも防いでくれます。先々に起こりうる変化を予想して先手先手で対策していく中医学の「未病先防」の教えを実践して、健康に過ごしましょう。

2014/07/07

夏とビールと相性最高!おつまみの定番「枝豆」のすごい話。

こんにちは。六本木店長櫻井です。気象庁から3か月天気予報が出されました。エルニーニョ現象の影響から梅雨明けが遅くなり、冷夏が予想されていましたが、その心配はどうやら無くなったみたいで、今年も暑い夏がやってくるようです。特に西日本は猛暑の予報ですので、熱中症対策はしっかりとしておきたいですね。(暑い日の食と養生方はこちら

Rainbow Deliciousness
Rainbow Deliciousness / JFXie

 
暑くなってくると、やっぱり冷たいビールがおいしいですよね。中医学的には、脾胃は冷たいものや水分を嫌うので、キンキンに冷えたビールは天敵なのですが、夏の暑い日に外で飲むビールは何とも格別の喜びを感じられます。でも、やっぱり体調も気になりますよね。そんなときには是非おつまみを活用して養生してください。
今日はそんな定番ビールのおつまみ、「枝豆」のお話をしたいとおもいますが、実は枝豆はビールのお供に最適だったなんてみなさんご存知でした??
 

Edamame
Edamame / viviandnguyen_

実は「大豆」

枝豆、っというと、鞘に入ったあの緑色の豆ですが、枝豆は実は大豆だということを知らない人も多いのではないでしょうか。枝豆を成熟させると大豆になり、未成熟の段階に収穫したものが枝豆なんだそうです。成熟させて大豆にするか、途中で収穫して枝豆にするか、どちらにするか適した種類というのはあるそうです。
 

Edamame
Edamame / Carrie Frizzlechicken

 

中国からやってきた「枝付きの豆」

枝豆のルーツは中国の北部地方で、日本には約2千年ほど前に持ち込まれたとされています。枝豆として食べられたいたことがわかっているのは、平安の時代ごろから。江戸時代になると、豆腐売りならぬ、「枝豆売り」の姿も見られたそうで、今も昔も夏の訪れを知らせてくれる定番おつまみであることに変わりなかったようです。当時は、枝についたまま売らており、歩きながらそのままちぎって食べていたようで、そこから「枝付き豆」と呼ばれ、略して「枝豆」と呼ばれるようになったそうです。その昔は田んぼの畔などにも植えられていたようで、「畔豆」と呼ばれていた時期もあったそうです。

Edamame
Edamame / insatiablemunch

むくみ、便秘、美肌によい!そして悪酔いや二日酔い予防にも良い!

枝豆はなんといっても畑の肉ともいわれる大豆ですから、良質なタンパク質が豊富です。さらに糖質や脂質、そしてカルシウム鉄分、疲労回復やお肌をきれいにしてくれるビタミンB1、B2、そして大豆には含まれていないビタミンCも豊富なのも特筆すべき特徴でしょう。ビタミンCとタンパク質はコラーゲンの元を作ってくれるので、他のビタミンとも相まって、枝豆単体で美肌効果も期待できます。葉酸も豊富なので、貧血の気味のかたや妊婦のかたも摂っておきたい食材ですね。
枝豆の中に含まれるたんぱく質の中には、メチオニンというアルコールを分解してくれる成分が入っていますし、前出のビタミンB1にもアルコールの代謝を促進させる力があります。さらに肝臓の働きを固めてくれるコリンも豊富で、二日酔いや悪酔いの予防も最適です。イソフラボンという大豆に含まれているポリフェノールの一種や、そのイソフラボンの一種のダイゼンには、女性ホルモン様作用があるので、更年期特有ののぼせの緩和や、骨粗しょう症の予防や改善、そして、がんの抑制作用、免疫機能を高める作用がなどが確認されており、今後の研究に期待です。
さらにサポニンとレシチンも含まれており、コレステロールを下げて中性脂肪を減らしてくれるので、他のおつまみが脂っこくても対処してくれますし、高脂血症予防効果も期待できます。枝豆にはビタミンCや食物繊維も豊富なので、便秘の解消にも一役買ってくれますし、カリウムもたっぷり含まれているので、体に溜まった余分な水分を外に出してくれる働きもあり、むくみも改善してくれます。さらにビタミンB1が疲労回復にも働いてくれ、まさに夏にぴったりの食材なんです。
 
 

Edamame
Edamame / UnitedSoybeanBoard

中医学で見る枝豆

枝豆は甘味で平性寒熱の偏りがなく、どんな方でも食べられます胃腸の働きを助けて、腸を整え、血やエネルギーを与えてくれて、必要なだけ胃腸を潤し、余分な水分は排出してくれて、膿を排除して毒を消してくれます。中医学的にみても、夏バテや食あたり、下痢やむくみによいなど、とにかく夏にぴったりの食材です。
古典には、「食べ過ぎると気が詰まり、痰を生じて体が重くなる」とあるそうです。確かに豆は消化しにくいので、食べ過ぎると胃腸の負担になってしまいます。美味しいから身体に良いからといって食べ過ぎないように注意しましょう。
 

Soban Restaurant Whitecourt Alberta Edamame
Soban Restaurant Whitecourt Alberta Edamame / elsie.hui

まとめると、枝豆は、、、

胃腸を元気にして身体に気力を補ってくれ、
利水作用で身体の余分な水分を出してくれて、
アルコールの分解を助けてくれる!!
あつらえたかのように夏に、そしてビールにぴったりの食材ですね。

Beer and edamame
Beer and edamame / adactio

枝豆の選びかた・保存法

美味しい枝豆を選ぶには、さやの色が濃く鮮やかで、うぶ毛がまんべんなくついていて、枝が付いているものなら、さやがたくさんついていて密集していて、葉や茎の色が鮮やかなものを選びましょう。枝豆は鮮度が落ちやすく、時間がたつごとに甘味が減っていきます。できれば買ってきたその日のうちに食べてしまいましょう。保存する場合は、硬めにゆでて、さやに入ったまま冷凍してください。食べるときは自然解凍したのち、さっと熱湯に通して食べてくださいね。

green soybean
green soybean / potaufeu

今や枝豆は世界中で食べられているおつまみです。昨年Googleで検索された和食キーワードで1位の「寿司」に次いで多かったのが、「えだまめ」だったそうです。胃腸の働きを促進して、利尿作用もある枝豆。ビールのお供にはとても合理的な組み合わせですね。でもやっぱり冷たいものは飲みすぎないようにしてくださいね。

 

2014/06/26

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売