大雪のち雨で、歩道が大きな水たまりになっていて、出勤するだけで靴下びちょびちょです。こんにちは、食養生、肌養生、子宝相談どんとこい!漢方のイスクラ薬局六本木店 櫻井です。ほんとに都内は酷い有様です。目の前の道路も水深10cmオーバーでございます。外出時は長靴必須です。お店は予想通り暇でございます。予約もキャンセルが相次いでおります。店舗経営はこんな暇な時こそ何をやるかにかかっていると言われますが、どうも相談しないとスィッチが入りません。それでもがんばって事務作業やPOPづくり、DM作成を頑張ります。
今日は、春一番の日だそうです。
気象庁の定義によると春一番とは、「立春から春分までの間で、日本海で低気圧が発達し、初めて南よりの強風が吹き、気温が上昇する現象」だそうです。まさに日本海の低気圧の発達で、台風並みの大雪、大雨に見舞われた春一番の日となりました。この春一番、もともとは壱岐や瀬戸内海の漁師言葉だったようですね。春一番が吹くともう春もそこまで来ています。と言っても大雪、さらに今週水曜日頃も雪の予報となっており、どうもまだまだ春は近くはないようです。しかし、春は確実にやってくるので、季節の変化による体調不良には注意しなくてはいけません。
このブログでも再三にわたって注意を促しておりますが、春は風の季節で、自律神経や情緒トラブルを起こしやすい季節です。ご相談も、イライラや、不安、抑うつなどのご相談が増える季節でもあります。「春になると変なひとが・・・」というのは昔から良く耳にしますが、これもまた春の風のせいでしょうか。春は春一番のような、外の風も吹きますが、体内でも風が起こります。これを内風と言います。これが自律神経や情緒トラブルの原因となります。「内風」が吹く理由は、こちらのブログをご参照ください→【春は風に注意】。風への対処法、養生法などなどいろいろ載せてありますので、是非ご覧になってください。
さらにその風は花粉も運んできて、体内に入り込もうとします。この結果が花粉症です。となると、外からくる風からも身を守らなくてはいけません。そのためには体表を護っているエネルギー、「衛気(えき)」を強化するのが大切です。中医学には、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という処方があります。「玉」とは、宝石のことで、高級なとか素晴らしいという意味、そして屏風は屏風。風を防ぐ衝立。玉でできた屏風で身体を護るという素敵な処方です。イスクラでは「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」という名前で商品化しております。味も甘くて飲みやすい処方です。
味から見る中医学
漢方薬で、解毒や体から熱や湿などいらないものを排泄させる処方というのは、一般的に苦くて飲みづらく、身体を元気にする処方は甘くて飲みやすい傾向にあります。中医学で味は『五味』と言う、甘味、苦味、酸味、鹹味(塩辛い)、辛味の五つの味があり、それぞれに薬効があると考えています。
酸味には、正常な体液を体内にとどめる作用。出過ぎるものを止める作用。肝に導き、自律神経の働きを整え、ストレスを解消する作用。
甘味には、胃腸の働きを助け、力をつける作用。痛みや緊張を緩和させる作用。
辛味には、肺や呼吸器を強め、発汗を促進する作用、気や血を巡らせ、体の中にある寒けや熱、湿気を発散させる作用。
鹹味(塩からい味)には、硬いものを柔らかくする作用や通便作用があり、腎の働きをよくします。
苦味には、心や循環器を強化し、身体に溜まった余分な熱を冷まし、排泄作用や体内の余分な水分や老廃物を取り除く作用、神経を鎮静させる作用。
五味の根拠
この五味、様々な食物に対してその「味」が決められているのですが(豚は鹹味、山芋は甘味など)、その根拠というのには、3つあると言われています。
一つ目はその食物の自然属性、いわゆる食べた時に感じる味により定められるということ。例えば、棗は甘く、スモモは酸っぱい、ネギは辛いなどがそうです。
二つ目は、五行学説によって定められるもの、北京中医薬大学日本校の韓先生によると、それは例えば、「豚の色は黒く、五行の中では水に対応し、水が鹹味に対応し、ゆえに豚は鹹味に帰属する」というもの。牛なら、うちは黄色く(ホルスタインでなく、昔から中国にいる牛)、五行の中では土に対応し、土は甘味に対応するので、牛肉は甘味に帰属するというものです。
三つ目は、長期間の生活実践の中で、その食物の働きを経験することで定められたもの。食べると元気になるから甘味だとか、便通がよくなるから苦味だとかそういうことです。そして食を薬として考える食養生では、この五味がすべての基本となります。
五味は五臓を養います
五味は五臓に帰属しています。五臓とは肝、心、脾、肺、腎の五つの臓器のこと。どの味がどの臓器に入るというのは、飲食物の本性、味の特徴がそれぞれに対応する場所があるということです。『素問 宣明五気』には、酸味は肝に、辛味が肺に、苦味は心に、鹹味は腎に、甘味は脾にはいり、これを五入という と書かれています。中医学の 酸味は肝を補充し、苦味が心を補充、甘味が脾を補充し、辛味が肺を補充するというこれら味の五臓への帰属の理論は、食養生理論の要といえます。
五味は過ぎると五臓を傷つけます(損じる)
酸味のものを多食すると、肝気が大いに盛んになり、脾気は衰竭する。鹹味のものを多食すると、大骨は損なわれ、肌肉は委縮し、心気は抑鬱します。甘味のものを多食すると、心気は煩悶し、安定せず、顔は黒ずみ、腎気は平衡が取れなくなります。苦味のものを多食すると、脾気は潤沢ではなくなり、消化は悪く、胃部は膨張します。辛味のものを多食すると、筋脈は緩み、精神も同時に損なわれると、『素問』には書かれています。
春は肝の陽気が強まる季節です。肝を働きを強めようと、酸っぱいものを沢山食べると、肝の気が強くなりすぎ、脾(消化器系)を傷つけ、食欲を減退させます。そうなっては、これから来る夏場にも食欲低下などをおこし、夏バテになってしまいます。胃腸をまもるためにも、春は酸っぱいものを減らして甘いものを少し増やしましょう。春に肝の陽気を暴れさせないためには、冬場に陰を養っておく必要があります。『秋冬養陰』が大切です。言い換えてみれば、夏バテの養生は、冬に陰をしっかり補っておくことから始まっているのです。陰とは『潤い』のことです。陰を補う食材は、豚肉、カモ肉、鶏肉、すっぽん、ハマグリ、アワビ、豆乳、豆腐、レンコン、百合根、白きくらげ、レモン、緑茶など。まだまだ寒いので温めて食べてくださいね。
食べ物は、私たちの体を作り、心を元気にしてくれます。食物の五味に気を付け、穀物、肉類、果物、野菜をまんべんなく食べることで、健康を維持でき、長寿を全うできると、古代中国医学の知恵は教えてくれています。大雨、大雪、春の風、乾燥どんな時も、強い体と心を持っていれば、対応できます。偏食・過食をせず、五味に気をつけ、丈夫な体を作ることで、健康な毎日を過ごしましょう。
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