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店長櫻井、雲南中医医院に行く!

6月に雲南省へ皮膚科研修に行ってきました!
今年は、ゴールデンウィークの直営店4店舗合同北京研修についで2回目の訪中。まずはこんなすばらしい機会を与えてくれた上司、会社に感謝。そして私の留守中にお店を手伝ってくれた他店スタッフ、店長不在の中、奮闘してくれた当店スタッフにも感謝です。
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さて、今回の旅の目的は、雲南省中医院での皮膚科研修。漢方専門の病院である中医医院で現地の中医師(漢方医)の横について患者さんの病態、診察、処方などの勉強や、入院病棟での回診、皮膚科部長や教授、副院長の講義と、かなり盛りだくさん。中医学を学ぶ私達にとっては、とっても贅沢な内容で、ほかではなしえない貴重な体験をさせていただきました。
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中国の病院は、日本と違って基本なんでもオープン。先の患者さんがいようが、次の患者さん、さっき検査に回された患者さんが、各々好き勝手に先生に話しかけます。先生も研修医もなれたもので、大きな声でさくさくと処理していきます。
そんな日本人の私から見たら混沌とした状況の中でも、一人一人の症状をしっかり診断しつつ、私達にも細部にわたって病態・病状、処方等を説明してくださり、もちろん患者さんにも判りやすい説明、養生のアドバイスなさっていて、そして、優しい笑顔と共に、「大丈夫。よくなりますよ。」と勇気付けることも忘れない先生の姿といったら、神々しささえ感じられました。患者さんも絶大なる信頼を先生や、出された薬(煎じ薬の内服と漢方の外用薬)に持たれていたこともまた印象深く、私達も、日本でもっと漢方の認知度と信頼度を上げるために、日々努力しなくてはいけないと痛感しました。
 
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中国での漢方治療は、とにかくすごいの一言。入院という選択肢も視野にいれつつ、西洋医学の検査、そして治療法も効果的におり混ぜながら(中西医結合といいます)、外用、内服とてきぱきと処置が施されていました。一番驚いたことは、診察から入院、そして治療の開始までがとにかく早いこと。日本で入院というと、検査検査のイメージですが、ここでは、診察中に検査に回ってデータを持ってまた戻るように言われ、戻ってきたらそれを診ながら治療方針を決定し、すぐ治療を開始していました。私達が初日に診た尋常性乾癬の患者さんはかなり酷い状態でいらしていましたが(先生を頼って地方の農村部から飛行機で3~4時間かけていらしたそうです)、次の日の入院患者の回診時には、もう既に症状が落ち着いていました。効果的な使い方をマスターすれば、漢方は十分即効性が期待できるということも実感しました。
 
 
 
雲南省では、空港、地元のお土産屋さん、スーパーなどありとあらゆる場所で生薬、特に田七人参、西洋人参、天麻などの高級生薬が販売されており、『生薬の一大産地』の雲南省という場所を体感しました。
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研修の後は観光!ということで、麗江という世界遺産の町へ。写真は麗江にある「玉竜雪山」という標高4600m以上の山。因みにこのポイントは4500mぐらい。富士山より高い標高なので、空気が薄く、ちょっと昇るだけで息切れ、休まないと動けないほどでしたが、周りの景色に圧倒されっぱなしで、辛さはまったく感じませんでした。
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写真の後に見える白い雪の様なものは氷河です。氷河、初めて見ました。写真の二人は今回の研修旅行をまとめてくださった楊達(ヨウタツ)、楊暁波(ヨウキョウハ)先生夫妻。お二人はここ、雲南省の出身で、楊達先生は私達が研修に行った「雲南省中医院」の出身です。先生はエリートでお偉いさんだった様子(もちろん自分ではそんなことは言いませんが)。だから私達の無理難題も難なく通ったんですね(笑)。
そんな楊達、楊暁波夫妻は皮膚のスペシャリストとして、講演や店頭相談のために、全国を飛び回っております。
今回の研修を通して一番心にのこった事は、中国の壮大な自然とそれに負けない中医師達のおおらかで、心優しい治療者としての人柄です。私達も店頭でお客様のご相談を受けるときに、お客様に頼られる存在でなくてはいけません。お客様に安心してご相談いただけるために、お悩みが少しでも軽くなるようアドバイスできるように、日々の研鑽を怠ってはいけないということを改めて決心する良い機会となりました。
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2012/07/20

「脾胃」(胃腸系)の元気は健康の基本

tm_71これからの季節、梅雨から夏にかけては湿気や厚さで「脾胃(ひい)」の不調を感じやすい時期。
食欲不振や胃もたれといった症状が続くと体力が落ち、体調を崩し易くなってしまいます。
暑い夏を元気に乗り切るためにも、日ごろの養生で脾胃を元気に保ちましょう! 
 
 
 
 
 
「食べる」事は健康の基本
 
中医学では、「脾(ひ)」は栄養素や水分を吸収し、全身に運ぶ「運化」を、「胃」は飲食物の消化をそれぞれ受け持っていると考えます。つまり、脾胃は西洋医学で 考える「胃腸(胃、小腸、大腸の機能)」のようなもの。食事から栄養を吸収し、生命活動の基本となる「気(き・エネルギー)・血(けつ)」を生み出す大切な役割を担っています。
脾胃が元気で栄養をしっかりとることが出来れば、基本的な体力、免疫力が養われ、健康な身体をつくることが出来ます。一方、脾胃の機能が弱くなると、食欲不振や消化不良、下痢といった症状を招き、栄養やエネルギーが不足しがちに。体調を崩し易くなり、夏バテや疲労、冷えといった不調もおきやすくなってしまいます。
また、消化・吸収のほか、脾胃には「血液が血管から漏れないように保護し、血尿や月経過多などを防ぐ」、「胃下垂などの内臓下垂を防ぐ」、「全身の筋肉や四肢を養う」といった役割もあります。
脾胃の働きを良くすることは、健康の土台作りにつながる大切なこと。しっかり栄養を摂って元気な身体をつくるためにも、脾胃を健やかに保つよう心がけましょう。
 
 
「脾胃」の働きと養生法
中医学には「内傷脾胃、百病由生」という言葉があります。これは、脾胃が傷ついて食事をしっかりとれなくなると、元気な身体を保てず病気にかかりやすくなってしまう、ということ。夏は冷たいものの摂りすぎなどから、脾胃が傷つき易くなります。日ごろの養生を心がけ、食欲不振や夏ばてを防ぎましょう。
 
 
 
* 食べ物の消化吸収*
kiken_img2「脾胃」は体内の「気(き・エネルギー)・血(けつ)」を生み出す源。飲食物を消化して栄養分や水分を吸収し、気や血に変えて全身に運びます。
脾胃が元気なら、食欲は旺盛。栄養をしっかり摂ることが出来るので、身体全体が元気になります。水分もスムーズに吸収、運搬されるので、「痰湿(たんしつ・体内の余分な水分や汚れ)」が溜まることもありません。基本的な体力が養われ免疫力も高まるので、病気にもかかりにくくなります。
反対に脾胃の働きが弱くなると食欲が落ち、胃もたれや消化不良、疲労感といった症状が現れるように。水分がスムーズに処理できず痰湿が溜まり易くなるため、下痢や浮腫みなどの症状が現れることもあります。
痰湿は脾胃の機能をさらに低下させてしまうので、早めに取り除くことが大切です。また、脾胃は冷えに弱いため、冷たいものの摂り過ぎに注意しましょう。日ごろから温かい食べ物、飲み物を摂るよう心がけるだけで、脾胃をいたわることが出来まず。まずは氷水を止めましょう!
 
[ワンポイント]
脾胃には栄養素を肺などに運び上げる働きがありますが、この機能は、内蔵を持ち上げて正しい位置に保つ役割も果たしています。そのため、脾胃の働きが弱くなると、胃下垂など内臓下垂の症状が現れることもあります。
 
[こんな症状に注意!]
食欲不振、軟便、おなかの張り、胃もたれ、ゲップ、吐き気、下痢、むくみ、疲労感、息切れ、眩暈、便秘、内臓下垂
 
[食の養生]
脾胃を補い、機能を高める食材
米、インゲン豆、大豆製品(豆腐など)、豚肉、鯵、山芋、かぼちゃ、ジャガイモ、キャベツ、りんごなど
脾胃の痰湿を取り除く食材
しょうが、キュウリ、冬瓜、ハトムギ、緑豆、小豆、もやし、春雨、茶、うめぼし、こんにゃくなど
 
良く使われるのは・・・
健胃顆粒、健脾散エキス顆粒、補中丸、勝湿顆粒、平胃散、五苓散、半夏瀉心湯、小半夏加茯苓湯、晶三仙など
 
 
 
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* 血液の運行管理*
「脾胃」には、血液が血管から漏れないように保護し、必要な器官に必要な量を届ける運行管理の働きがあります。
脾胃が弱くなりこの機能が低下すると、血尿や血便、皮下出血、月経過多などの症状が現れることも。慢性的な出血の症状は、原因に応じた治療を行いながら、脾胃の機能を整えて根本的な改善を心がけることも大切です。
 
 
[こんな症状に注意]
血尿、血便、皮下出血、月経過多など
 
[食の養生]
脾胃の気・血を補う食材
棗、ぶどう、卵、枸杞の実、レバー、鮭、竜眼肉、鶏肉、黒砂糖など
 
良く使われるのは・・・
婦宝当帰膠、帰脾湯
 
 
 
* 筋肉や四肢のサポート*

2012/06/18

花粉症のお話

花粉症、今年は漢方で乗り切  ろう!   kahun2

厚生省が発表している調査結果によると花粉症の罹患率は『全国平均では15.6%で地域別の有病率では東北13.7%、北関東21.0%、南関東23.6%、東海28.7%、北陸17.4%、甲信越19.1%、近畿17.4%、四国16.9%、中国16.4%、九州12.8%で北海道、沖縄はごく少ない有病率』ということですので、都心ほど花粉症に悩んでいる方が多いという結果が出ています。これは田舎に比べ都会は花粉が吸着できる土が少ないことが大きな原因と考えられています。マスク、めがねは確かに有効ですが、ほかにも普段の生活上で出来ることもあるんです。

 

 

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【花粉症に負けない強い粘膜を作る!】

花粉症は、スギ、ヒノキ、イネ科の植物、キク科の植物の花粉を原因として発症します。主な原因は粘膜の免疫の異常反応で、花粉などが粘膜に付くと、アレルギー反応として、脂肪細胞(マスト細胞)からヒスタミンが遊離され、花粉症の諸症状を引き起こします。

では粘膜の異常反応を減らすためには何ができるでしょうか。

それには大事なことが二つあります。

 

まず第一に『身体を冷やさないこと』が大切です。 hie

人の身体にとって冷えは大敵。とくに胃腸の冷えは免疫機能を狂わせる大きな原因に。そのためには冷たいもの、冷やすものを飲まない、食べないことが大切です。真冬に氷が入った水や、つめたいビール、また胃を冷やすといわれている刺身、生野菜のサラダなどを摂ることは、免疫のバランスを欠く大きな原因となります。

防寒に対して関心が薄いことも身体を冷やしてしまっている要因でしょう。家の中でも靴下を履く、腹巻をするなど普段の薄着を改善することが大切です。衣類で効果的に体を温めるポイントは、“3つの首”。手首、足首、首を寒さからしっかりガードしましょう。特に女性にとって冷えは大敵。不妊や月経のトラブルなどの原因になりやすいので、防寒対策を常に意識しましょう。

 

 

第二に『動物性たんぱく質を減らすこと』が上げられます。

kiken_img2くしゃみや鼻水などのアレルギー反応は、脂肪細胞から遊離したヒスタミンによって起こされるというのは前に述べましたが、魚介類以外の動物性たんぱく質には脂肪細胞からヒスタミンを遊離させる作用があることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。なので、動物性たんぱく質を極力さけることが大切です。動物性たんぱく質は全般的に消化に時間がかかります。消化に時間がかかるということはそれだけ胃腸への負担になるということです。この面だけから考えても、胃腸を弱らせ、免疫機能の失調を招くことは容易に想像できます。動物性たんぱく質で見落としがちなのは、乳製品や卵の存在です。牛乳や卵、チーズなどにも動物性たんぱく質が沢山含まれています。特に牛乳、ヨーグルト等は冷たい状態で摂ることが多いため、ここでも胃腸へのダメージ、花粉症への悪影響が懸念されます。牛乳や卵の量にも気をつけましょう。さらに体内に入った動物性たんぱく質は身体が『異物』として捕らえるため、免疫反応を起こすきっかけとなり、同じ免疫反応で起こる花粉症症状を悪化させる原因になってしまいます。

漢方では…

eieki漢方では花粉症や弱った粘膜の改善に「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」という漢方が使われてきました。玉とは高級な、品質の高いという意味で、屏は屏風(びょうぶ)のことで、外敵から守るという意味です。よって「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」とは質の高い屏風で風などの邪気(じゃき・ウィルスや花粉などの外敵)から身を守るという意味の漢方です。使われている生薬をみても黄耆(おうぎ)、防風(ぼうふう)、白朮(びゃくじゅつ)といった3つの生薬から出来たとってもシンプルな処方です。黄耆には胃腸機能を高めつつ防御機能を回復する力があり、防風はその名の通り風から身をまもります。白朮は湿気をとりながら胃腸機能を改善する生薬です。花粉症の代表漢方薬が胃腸機能を重視していることをみても、花粉症の対策、免疫機能の回復には胃腸が大切ということがご理解いただけますでしょうか。

『玉屏風散』は皮膚や鼻から、肺、口、腸までのすべての粘膜にバリアをはりウィルスなどから守る効果があります。『玉屏風散』をイスクラでは『衛益顆粒(えいえきかりゅう)』という名前で販売しております。

 

 

漢方の花粉症対策は早目が肝心

粘膜を含めすべての肌が新しく入れ替わるのには、年齢によりばらつきがありますが、平均して約2ヶ月。よって強く新しい粘膜を作るのにも大体2ヶ月ほどの時間を必要とします。早めは早めの対策が肝腎なのです。

花粉症状がもう出てしまってるときは?

ここまでは予防に重点をおいてお話してきましたが、花粉症状がもう出ている場合も、基本的な対策は同じで、冷やさない、動物性たんぱく質をひかえ

2012/02/22

『周先生に聞いてみよう』 ~更年期(不眠・火照り)~

皆様こんにちは。店長の櫻井です。
今回のブログも周先生 の更年期についてのお話です。
 
お時間のあるときに是非お目を通してみてください。
 
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Q. おはようございます。先生。また更年期についてお話を聞かせてもらえますか?
 
周. おはようございます。更年期のお話はいろんなことが関連してくるので、私もまとめてお話しないといけませんね。
 
 
Q. そうですね。前回お話いただいたように『不定愁訴』は沢山ありますからね。前回の復習も踏まえて、今回は『不眠や火照り』に対する中医学的な考えをお聞かせ願います。
 
周. 判りました。まずは前回のおさらいから。
更年期とは、人の一生のある時期の事。幼少期や思春期が誰にでもあるように、誰にでも更年期は訪れます。そして、この時期に起こる特有の火照り、のぼせ、イライラ、不安、不眠などの様々なトラブルのことを総称して『更年期障害』と言います。この『更年期障害』は、軽い人もいますし、異常な体調不良を訴える人もいます。
更年期というのは、壮年期から老年期に入る入り口です。
 
スムーズに順調にこの時期に入ることができれば、気持ちよく老年期を迎えられます。しかし、ここでバランスを崩してしまうと更年期が終わっても、バランスをくずしたままで老年期に入ってしまう。病気ではないですが、様々な体調不良を感じることになります。これが問題になるんですね。
 
 
 
Q. では更年期の不眠についてお話願います。
 
周. はい。不眠は感情の高ぶりやストレスによるものなど、一時的なものもありますね。嬉しいことがあっても興奮して眠れませんね。では、眠れないとはどういうことでしょうか?中医学的に考えると、からだの中のバランスの問題なんです。陰と陽のバランスがうまくとれないと眠れなくなるんです。そんなときは安定剤や睡眠導入剤を飲めば、眠れるかもしれないけど、それは決して自然の状態ではありません。そういう不自然なものはどこかにしわ寄せがきます。
 
 
 
Q. では、更年期での不眠とその他での不眠とはどのように違いますか?
 
周. 更年期の不眠というのは、中医学的に言うと、陰虚(いんきょ: 潤い不足)により『虚熱(きょねつ)』が起きた状態。『虚熱』とは、バランスの崩れによる相対的な熱過剰状態のこと。本来体には温める作用と、これを押さえ安定させる作用があります。温める作用を火として、抑える作用を水とします。更年期の症状は水不足(陰虚)の問題が根本にあります。水が不足すると相対的に火が多くなる。これが『虚熱』の状態です。これとは逆に、基準値よりも火が過剰になる場合もある、これは『実熱(じつねつ)』と呼び、働き盛りでエネルギーが盛んな方、仕事やプライベートなどでストレスを抱えている方におこりやすい熱です。
 
熱には上にあがる性質があります。自然でも一緒ですよね。燃え上がる炎の熱は特に上に上ります。虚熱による熱の問題も、不眠やイライラやほてり、めまいなど、やっぱり上半身に出やすいんです。五臓で言えば心にあたるところ。ここが熱されると不安になります。そわそわします。中医学では、心には神がいるといいますが、この神は精神の神。感情や情緒などのことを指しています。この神は熱に弱いんです。神に熱せられると、イライラしたり、不安になったり、緊張したり、落ち着かない状態になります。これはお水でたとえるとわかりやすいんです。水に熱を加え沸騰させるとグラグラ煮立って不安定になりますね。こんなときどうしたらいいかというと、水を注ぐんです。挿し水をして、熱をとってあげるとスッと落ち着きます。それでも駄目なら火を弱める。人の体も同じです。潤してあげて、熱を取り去ることでバランスを取り戻すことが大事なんですね。
 
 
 
Q. 不眠は大きく分けると、虚熱によるものと、実熱によるものがあるのですね。
 
周. そうなんです。もし不眠に悩んでいて、その原因がストレスならば、ストレスを緩和する、または排除することが第一条件。さらに漢方薬や生活養生等でストレスから生まれる余分な熱を取ることが大切(この方法を清熱・せいねつといいます)。まずは燃え上がっている火を消さないといけない。このような不眠は外からの影響で熱がうまれ、不眠になる。これは実熱による不眠です。体が実熱の状態の方は、暑がりだったり、汗を沢山かいたり、イライラしたり、じっとしていられなかったり、目が充血したり、冷たいものを欲しがったり、尿の色がこくなったりします。
 
それとは逆に、水が足りない陰虚の状態の不眠が更年期に良く見られる不眠です。虚熱による不眠ですね。これは体の中に問題があり、加齢や消耗による潤い不足から相対的に熱が強くなった状態です。虚熱状態の方は、寝汗が出たり、便秘になったり、目が乾燥したりという乾きの症状を感じることが多いですね。
 
熱の原因が外なのか中なのか。不眠はまずこの見極めが大切ですね。
 
 
 
Q. なるほど。その見分けが肝心なんですね。では『火照り』ついてお話願います。
 
周. はい。人は、恒温動物で、暑さ、寒さでは体温は変わりません。熱があれば汗がでて温度を下げるし、寒ければ鳥肌がたって体温を温存する。人が本来持っている恒常性という機能です。でも体内のバランスが崩
れることによってそのコントロールが出来なくなる。これが中医学が得意とする、「検査で数値には出ないが、何らかのトラブルを抱えている状態」です。
 
頑張りすぎると水分や栄養分を消耗します頑張りすぎる人は脳がオーバーヒートを起こし易い。睡眠や休みをとることで回復しますが、それが出来ないと熱が常に体にこもるようになり、ノボセや乾燥やイライラを招くんですね。
 
『水分が少ないから冷やせない。』
そういう場合は、少し水を加えてあげると落ち着きます。体質によっては火を先に消すことが大切かもしれません。もしかすると水を加えながら、火を消すことを同時にしなくてはいけないかもしれません。中医学は個々の体質の違いから、何がどれくらい必要か、又は不必要化を重視しているので、それぞれの体に合った漢方薬や食材を旨く使うことが大切です。
 
 
私達が生きていくためには体の消耗は止められません。なのでそれをどうして行くか。どう消耗に対処していくかが課題となります。ストレスとか、からだのバランスとか、生活習慣など、消耗を早める原因をまずは探り排除することが大切です。楽しいことをする、規則正しい生活を送る、体にあった食品を摂るなどして極力消耗させないように守ることがまず大事なんです。
更年期は、病気ではなくて、一時的に体が不安定な状態です。若い人でも安定剤を飲み続けないといけないぐらい不眠だったり、どきどきしたり、緊張しすぎたり、生理が不順になったりなどは、体の中のバランスが崩れている状態です。漢方はそういうアンバランスを調整することに長けてるんです。内臓や寒さや暑さ、水分、エネルギーそれらのバランスをとる力が漢方にはあるんです。
 
 
 
Q. 最後にもう一点。良く「健康のために水を毎日2L水を飲みましょう」というのを見かけますが、虚熱の場合は潤いが減っているので、沢山水を飲んだほうがよいでしょうか?
 
周. それはあっていますし、間違っています。水分は体にとってとっても大事なもの。でも誰にどれぐらい必要かはわかりません。一律で2Lだと、少ない場合もあるだろうし、足りないことも出てきます。一番大事なのは、からだの声ですね。喉がかわいたら飲むように心がけましょう。まずは自分自身の感覚を大切にしてください。食べたいとか飲みたいとか、からだはサインを出しているはずです。無理して飲んだりするとむくんだり、胃腸を弱め、体力を逆に落とすことになるので気をつけてくださいね。そしてできるだけ野菜や果物など食べ物からも水分を補うようにしましょう。
 
 
 
 
Q. なるほど。個々の体質の差を考える必要があるんですね。では最後に更年期障害でお悩みの方に一言お願いします。
 
周.はい。更年期障害は病気ではないですが、ご本人とってはつらい症状です。つらい気持ちはお話することで、聞いてもらうで大分楽になります。さらに個々の体にあった対処をすることでその症状は緩和されます。からだの中のバランスを大事にしてください。
 
太陽がつづけば、植物はかれるし、
雨がつづいても腐ってしまう。
人の体も自然界と一緒でバランスが大事なんです。
 
 
Q. すばらしい言葉ですね。先生、本日もありがとうございました!
 
周. 私も楽しかったです。ありがとうございました。
 
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周先生はいつも優しく、難しい中医学のお話をどうにかして判り易く伝えられるように、説明してくれます。たとえ方一つとっても勉強になりました。神と水の話は是非私もお客様に説明時につかわしていただきたいと思いました。
 
 
 
 
***周先生は毎週木曜日が相談日です。***
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2011/10/14

『周先生に聞いてみよう! 第二弾  ~更年期~

周先生syu90 へのインタビュー第二弾は更年期についてです。前回は『子宝』についてお伺いしました。リンクはこちらから→ 『周先生に聞いてみよう~子宝編~』
更年期は男女ともに通過するもの。どんな人にも更年期はやってきます。今日はそんな誰しもが通過する更年期について先生にお話をお伺いしました。
 
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Q: 先生、宜しくお願いします。
周: よろしくお願いします。
 
Q: 今日のテーマ更年期ですが。先生は更年期障害の対策について長い臨床経験をお持ちですよね。
周: そうです。私の得意な分野の一つですね。話が広がりすぎてしまいそうです(笑
 
Q: いえいえ。是非いろんな話をお聞かせ下さい。少しぐらい脱線したほうがおもしろいので (笑
周: なら安心です。
 
Q: ではよろしくお願いします。
周: お願いします。
 
 
 
 
Q: まずは中医学からみた更年期とはどういうものですか?全体的な先生のお考えをお聞かせ下さい。
 
周: 更年期とは簡単にいうと『腎精』(腎に蓄えられた体の基本物質)が低下することによって起こる体の変化のことです。
『腎』というのは、西洋医学でいう腎臓の働きだけではなく、成長や発育そして老化、骨、生殖系などとも関係が深い臓器です。ここに『腎精』が電池の電気のように蓄えられています。この『腎精』によって人の体は成長して発育していき、『腎精』が少なくなってくると骨が弱り、髪が薄くなり、目や耳が遠くなり、泌尿器や生殖器も弱くなります。すなわち老化していくということですね。この『腎』が弱くなりはじめる過程に『更年期』という時期があります。
 
中医学では、女性は思春期から35歳までの間が最も腎が充実している時期と考えています。35歳から腎精は徐々に低下し、肌の艶や髪の衰えを感じはじめ、42歳では白髪が目立ち始めます。そしておおよそ49歳で閉経するとしています。ここから老化のスピードが速くなります。しかし、35歳ぐらいからしっかり更年期への準備をしておけば、更年期の変化はそれほど酷いものにはならないでしょう。さらにそうすることで老化のスピードも遅くなるんですね。
 
更年期の症状は沢山あるので、一つ一つの症状を考えるよりは体の中のバランスを考えなくてはいけません。全体のバランスを整えることで沢山ある症状が一気に無くなることもあります。一つの症状だけで判断してはいけないんです。体のバランスが崩れている原因、そして、どう崩れているのかを検討し対処する必要があります。
 
そういう時に一つの処方の中に沢山の生薬が入っている漢方は効果的なんです。いろいろな生薬がいろいろな効果をもっているので、様々な症状の改善につながるんです。
 
 
 
Q: 「いろんな症状」は、『不定愁訴』といいますね。
 
周: そう。『不定愁訴』。
『不定愁訴』っておもしろい言葉ですね。いろいろ検査しても何の病気もみつからない。病名がつかない。でもいろんな症状を訴えている。定まらない訴えという意味ですね。こういう病名がつかないものに対して西洋医学ではなかなか対応が難しいです。
 
 
 
 
Q: そうですね。西洋医学での更年期障害の治療はエストロゲン補充療法が一般的ですが、それについて先生の考えをおきかせください。
 
周: ホルモン剤って、使ったらいつまで続けるかを判断するのが難しいですね。
50歳を超えて生理が止まるのは当たり前。なので、不定愁訴の緩和のためにホルモン剤をつかって生理がある期間を伸ばしても、やっぱりそれは自然な方法で伸びた訳ではないので、体の中では別の問題が出てきたりもします。肝機能や腎機能の問題、さらに乳がんの問題が一番怖いですね。エストロゲンは開発されて30年とちょっとと、まだまだ若い薬です。その点中国漢方は3000年以上の歴史の中で、様々な症状の改善にしっかり使われてきた。それこそが安全性の証明だと思います。
 
 
 
 
Q: なるほど。症状は良くなったように感じるかもしれないけど、ほかの問題を引き起こす可能性があると。
 
周: そうです。さらに個々の訴えに対して、ホルモン剤プラスαのお薬が出ますね。不安には抗不安薬、不眠に睡眠薬といったように。それらは症状の緩和にはなりますが、根本的な治療ではありません。後、更年期障害で病院に行くと、漢方が出されることも多いですね。【加味逍遙散・かみしょうようさん】がよく使われているようですが、それも一部の人にしか本来は使えない処方です。【加味逍遙散】は不定愁訴の万能薬ではないので、個別に対応していく必要があるんです。漢方では皆それぞれの症状に合わせた対応・処方があります。症状にあわせた薬があるので、旨く選んであげることが大切ですね。
 
 
 
 
Q: 個別の対応というのはどういったことでしょうか?
 
周: 例えば不眠。この不眠は安定剤や睡眠導入剤で眠れるには眠れるけど、止められなくなる。では将来はどうするのか?そんなに長く飲んで副作用はどうなるのか?疑問ですよね。それでは本当の改善といえるのでしょうか。まずは腎の衰えによって傾いたバランスを自然の形に整えるのが大事なんです。
 
 
 
Q: なるほど。不眠のお話が出ましたが、漢方薬局では更年期での冷えのぼせでのご相談も多いのですが、その場合はどういったことを考えなくてはいけませんか?
 
周: 暑くなるとすぐのぼせる。ちょっと寒いとすぐ寒くなる。これが冷えのぼせ。夏でも外は暑くて室内はクーラーが効いていて冷えている。外から中に入ったりすると温度調整が出来ず、上半身は暑くて汗をかいて、下半身は冷える。体温のコントロールが効かなくなってますね。実は、腎の機能と自律神経は近いものがあって、腎の衰え(腎虚)がコントロール機能を低下させているんです。
人の体は暑いと毛穴を開いて熱を発散して汗をかき体温を調整します。寒いとちぢこまって体力と熱を温存します。それは自律神経という神経が勝手に判断して行っていますが、腎虚になるとこのコントロールが弱くなる。なのでこういった症状の改善には、補腎薬という種類の漢方をつかって腎を強くして、自分で調節できるようにするんです。
補腎薬は目的によって杞菊地黄丸、知柏壮健丸、八仙丸、金匱腎気丸、牛車腎気丸、参馬補腎丸、海馬補腎丸など沢山あります。なので、詳しく症状を見てちゃんと選ばないといけない。しかし、沢山あるのでそれぞれの体質や症状に合わせられるんです。
 
 
周: 少し難しくなりますが、もう少し詳しく話してもいいですか? (笑
Q: 是非。
 
 
周: 腎陽(腎が持つ体を温める力であり、生命活動の源)は脾陽(胃腸の動き)の根源。腎陽が下がれば脾陽も下がる。
後、腎虚になると心を抑制(腎と心は特定の臓腑が特定の臓腑を抑制する働きである相克関係にあるため)できないので、心の熱が上昇して(熱は上昇する)顔や上半身が暑くなる。
さらに心には神(精神活動)がいます。神は熱に弱くて、潤いや血が充実していると落ち着くんです。腎虚(腎のよわり)で腎陰(腎が蓄えている潤い)が不足してくると、心への潤い供給が低下します。そうすると神は不安になる。ちょっとの衝撃やストレスですぐどきどきしたりする。不安やどきどき、これも更年期の不定愁訴につながりますね。
 
 
 
Q: なるほど。漢方ではそういった理論のもとに更年期に対応していくわけですね。
周: そうです。『更年期』とは誰にでもある人生のある一つの時期。思春期などと同じです。日常生活に支障をきたすような病的な問題がなければ、更年期に差し掛かる少し前から体のバランスを調整して、穏やかな変化になるようにしておければ、『更年期』が『更年期障害」とはなりにくいんです。ソフトランディングする事が大切ですね。
更年期とは今まで体の中を駆け巡っていたホルモンの量が低下することによって感じられる体の変化です。腎を強くすることでホルモンの変化が穏やかになるので、変化がそれほど激しくなくうまく乗り越えることができます。更年期に対しては早めに補腎が大事なんです。
 
 
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話はつきませんが、今回はこの辺で。
さすが得意な分野というだけあり、本当にお話はいろんなことにつながっていきました。こちらの少ない知識でも分かり易いようにお話いただけました。
今回は専門的な用語や知識などが少し多かったので、難しかったかも知れません。
もしご質問などございましたら、下記連絡先まで、お気軽にご連絡下さい。
周先生のご予約などもメールやFax、お電話でどうぞ。
 
次回は、不眠や不安、高脂血症や肥満、さらに今回は女性のお話がメインでしたが、男性更年期についてもお伺いする予定です。
お楽しみに!!!
 
 
 
 
***周先生は毎週木曜日が相談日です。***
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イスクラ薬局 六本木店
港区六本木7-3-12
六本木インターナショナルビル1F
 
TEL:03-3478-4382
FAX:03-3478-4731
Email roppongi@iskra.co.jp

2011/09/02

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売