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夏に負けるな!肌食養生のお話 その①紫外線と肌に悪い食べ物のお話

こんにちは。店長の櫻井です。 毎年のことですが、眩しいほど太陽がじりじりと照り付けるくせに、湿度も高い8月過ぎのこの暑さには本当にやられますね。こんな時は海に行って、かき氷でも食べたいところですが、そうは簡単にいかないのが大人のつらいところです。皆様の夏はいかがでしょうか。
 
これだけ暑い日が続くと、お肌への負担も気になってまいります。「夏になると肌トラブルが出やすい!」っという方も多いのでは無いでしょうか。実際に薬局でもアトピーやニキビ、湿疹やあせも等、肌トラブルによる相談はこの時期とても多くなります。強い紫外線、汗による刺激、そしてこの暑さと肌にとってはとてもつらく負担のかかる季節です。しかも、今対策を怠っていると、秋に肌トラブルを起こしてしまいます。
今日は実際にトラブルが起きてしまっている方はもちろん、予防のためにも、そして美肌をキープするためにも大切な活性酸素、紫外線、そしてその対策についてのお話を前半と後半に分けてしてみます。前半は肌にトラブルが起こる仕組みと、避けたい食品類のお話を、後半は肌に疲れを残さないために是非摂りたい食品のお話です。
 

Lifeguards
Lifeguards / Scott Ableman

肌トラブルと活性酸素

夏場の肌トラブルの一番の敵はもちろん紫外線です。紫外線を浴びると肌細胞の中に活性酸素が生まれます。活性酸素は皆さんご存知の通りの悪者です。肌細胞を傷つけ、コラーゲンの分泌を低下させます。肌の弾力性が低下させて、たるみやシワをできやすくします。さらに新陳代謝を低下させ、ニキビや吹き出物、湿疹などを治りくくします。
また、活性酸素の発生以外にも紫外線は肌にとっては良くない作用を持っています。紫外線は、肌が黒くなったり、シミやそばかすの原因となるメラノサイトという細胞を増やしたり、色の濃いメラニン色素を作らせたりします。
 
 
活性酸素というのは、細胞が活動する限り発生する厄介なものです。ちょうど私たちが活動すれば二酸化炭素を発生してしまうようなものです。ただ考えたりして脳が活動するだけでも活性酸素は生まれます。生まれた活性酸素は体内でいろんな悪さをするのですが、活性酸素が増え続けると大変なことになるので、人体にはちゃんと活性酸素から身を守るため、活性酸素を分解する力が備わっています。これが体内に存在する抗酸化酵素です。肌対策で大事になるのがこの抗酸化酵素をどんどん働かせることです。 そこで重要になるのが、ミネラルです。抗酸化酵素は亜鉛セレンなどの微量元素(ミネラル)があって初めて動き出します。ミネラルは人の体の中では作り出せないので、ミネラルを含んだ食品を食べることが、抗酸化酵素を活性化させ、お肌を守る鍵になります。
その他にも体外から摂れるもので、この活性酸素から守ってくれるものがあります。それが、ビタミンCやビタミンE、そしてβカロチンなどの抗酸化物質です。
なので、紫外線による肌へのダメージを最小限に食い止めるには、第一に日焼け止めなどで紫外線をブロックすること第二に活性酸素を分解することの二つが鍵です。日焼け止めを塗る事ももちろん大切ですが、『食べる日焼け止め』と言われる、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンなどの抗酸化物質や、活性酸素分解酵素を動かす、必須ミネラルのセレン銅、亜鉛をしっかり食べることが大切です。これらが紫外線により作られる活性酸素をやっつけてくれて、お肌の老化やトラブル悪化に歯止めをかけてくれます。

Peace
Peace / Alyssa L. Miller

 

中医学的肌養生

中医学的に見ると、夏は暑さによる熱が体内にこもりやすく、元々熱がトラブルの原因となっている湿疹やアトピー性皮膚炎、ニキビなどが悪化しやすい環境が整っています。さらにこの暑さは、肌にとってとても重要な質の良い睡眠を奪い、発汗で熱を押さえる潤いを損ない、さらにエアコンで血流を悪くして老廃物の回収も悪くして、肌の状態をさらに悪化させてしまいます。 また、肌を元気に保つには、栄養に富み、サラサラとよどみなく流れる血が十分にあることが大切ですが、高い湿度や気温、そしてそれに伴う冷たい飲食物の増加は胃腸を弱らせ、血の生産能力を著しく低下させます。さらに、汗は血とその源を同じくしているため、発汗が増える夏場は血の消耗も激しくなり、肌にとっては二重にも三重にも苦しい季節です。
また、お肌の状態と食生活に密接な関係があります。下記のものの食べ過ぎには注意しましょう。

甘いもの:チョコレートやケーキなど

油ものや肉類:とんかつ、てんぷらなど

香辛料の多いもの:キムチ、カレーライスなど

加工食品:ポテトチップス、ファストフード、インスタントフード、スナック菓子など

生もの:サラダ、刺身など

冷たいもの:アイスクリーム、ジュース、ビール、かき氷など

その他体質に合わせて:牛乳、コーヒー、アルコール、そばなど

肌トラブルを誘発する「発物」

また中医学では、古来から肌トラブルを発症させる食べ物を「発物(はつもの)」といって注意しています。

☆発物とは、、、
食べると皮膚の症状を発生または悪化させるものとして、古来中国で皮膚病の禁忌となっている食べ物の事。
現代の化学添加物も皮膚病を悪化させる性質があるので発物に属しています。
発物による病気の特徴として、発熱、かゆみ、ただれ、のどの痛み、痰、脹痛(張って痛む)、便秘、下痢などです。

☆発物の例☆

動物性のタンパク質 魚介類、牛肉、羊肉、あひる、カモ肉、牛乳、卵など

野菜・穀物類 ねぎ、たまねぎ、とうがらし、こしょう、セロリ、大豆、そら豆などの一部の豆類、そば、小麦など

くだもの: バナナ、パイナップル、マンゴー、柑橘類、銀杏、パパイヤなど

 
 
 
夏場に起こる肌トラブルを回避し、秋にも肌トラブルを持ちこさないためには、日焼け止めなどで対策するほか、ビタミンC、E、βカロチンやセレン、銅、亜鉛などの微量元素が豊富で、体の余分な熱を取り、胃腸を元気にしてくれる食べ物をしっかりとることが大切です。
 
その②では、お肌を守る食品のお話をします その②へ⇒

2014/08/22

こんな近くに漢方ワールド

暑中お見舞い申し上げます。日本も熱帯地方になったかと思うくらい猛暑が続いております。こんな時にはやっぱり麦味参は効くな~と実感する今日このごろ。こんにちは、木梨です。
この暑さの中できれば涼しい屋内で過ごしたいものです。猛暑から逃れ漢方好きの方に是非オススメしたい場所、港区広尾にある北里大学東洋医学研究所の東洋医学資料展示室です。以前雑誌の一角に紹介されていたのをふいに思い出し先日行ってみました。
研究所の2階に上がってまず目に飛び込んできたのが入り口脇の壁一面に漢方生薬の陳列。見たことない生薬もあってそれだけでテンションアップ⤴
 

 
中に入ると展示室はさほど広くはないですが、壁にはずらり17枚のパネルによって東洋医学の発祥から現代に至るまでの歴史が説明されており
 

 
ガラスケースには遺跡から発掘された竹簡や書物、当時使用されていた医療用具などすべて目を見張るものばかり。
 

 
 
かつて中国医学が日本に伝来し独自に「和漢」として発展した大きな歴史の流れを知りあらためて先人の方たちの偉大なる功績に対し敬意と感謝の気持ちで胸があつくなりました。ワクワクする感動と元気をもらえる場所がこんなに近くにあったとは!しかもうれしいことに入場無料です。
 
 
北里大学東洋医療総合研究所医史学研究部東洋医学資料展示室
〒108-8642 東京都港区白金5丁目9番1号 【アクセス】
[ 開館時間 ]
月~金曜日          10:00~15:00
土曜日(第4土曜日を除く) 10:00~12:00

※但し、祝日、11月5日、12月29日~1月3日は休館

2014/08/05

今が旬の食べ物で食養生をしましょう!

こんにちは。店長の櫻井です。数日カラッとした暑さが気持ち良い日が続きましたが、もう蒸し暑さが戻ってきました。今年は冷夏になるといわれていたのに、そんなのはもう無かったことにされているようで、今年も猛暑の夏が来るそうです。夏の疲れは溜めこまないようにしておかないと、秋冬に体調を崩すことにもなりますので、今からしっかり対策しておきたいですね。
ということで今日は、夏の養生に摂っておきたい、今が旬の食べ物をいろいろ中医学的に調べてきましたので、よろしければ毎日の献立に是非ご活用ください。
 
 

秋葵(おくら/陸蓮根)

オクラは中国語で『秋葵』と書くアオイ科の植物で、日本では『陸蓮根』と書くそうです。オクラは日本語に聞こえますが、アフリカ原産でアメリカに伝わって広まったもので、Okraというのは実は英語。6~9月が旬の夏野菜で、まさに今が食べごろです。薬膳では「消食類」に分類され、消化を助ける食材とされています。
【秋葵】
【性味/帰経】 
涼、辛、苦/肺、肝、胃
【働き】 
健脾消食:胃腸を元気にし、消化を助けて食欲不振を良くする。
潤腸通便:胃腸を潤し、便を出しやすくする。

【禁忌】

胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

DSC05101.JPG
DSC05101.JPG / hide10

隠元豆(インゲンマメ)

インゲンマメは成長が早く痛みやすいので、買ってきたら早めにたべるのようにしましょう。これも6~9月、太陽をたっぷり浴びた今の時期が旬の夏野菜です。胃腸に優しく、疲れた胃腸も元気して、体に溜まった余分な水分を排出してくれます。食欲不振や胃もたれなどを感じているときには是非摂りたい食材です。
【隠元豆】
【性味/帰経】
平、甘/脾、胃
【働き】 
健脾利湿:胃腸を元気にして身体の湿気をとり去り、食欲不振、口の中のネバネバ、軟便、下痢、身体の重だるさを改善。
胃腸機能低下で湿が溜り、暑さと重なって口が乾いたり、嘔吐感があったり下痢などを防ぐ。

Green Beans Eastern Market
Green Beans Eastern Market / Mike Licht, NotionsCapital.com

枝豆

枝豆は大豆が熟す前に収穫したもので、生長しきって成熟したものが大豆になり、未熟な状態で収穫されたのが枝豆になります。収穫すると一気に甘さが落ちてしまうので、朝どれの物をその日のうちに食べるのが一番おいしい食べた方です。アルコールを分解する酵素を含み、湿気を取り除く力もあるため、ビールには最適のおつまみですが、中医学の古典には、「食べ過ぎると気が詰まり、痰を生じて体が重くなる」とあるそうなので、食べ過ぎには注意してください。
【枝豆】
【性味/帰経】
平、甘/脾、大腸
【働き】 
健脾寛中:胃腸の機能を助け腸の状態を整える。
益気養血:気血を補う。 潤燥利水:胃腸を潤し、利尿する。
排膿解毒:膿を排除して、毒を消す。

枝豆をもっと詳しく知りたい方はこちら→夏とビールと相性最高!おつまみの定番「枝豆」のすごい話。

Edamame
Edamame / UnitedSoybeanBoard

 

黄瓜(きゅうり・胡瓜)

ヒマラヤ地方原産で、平安時代に日本に伝来したそうです。当時は「下等な瓜」とされてあまり人気が無かったようです。今ではハウス栽培が盛んとなり、一年中手に入りますが、旬は6~8月で、やはり太陽をしっかり浴びた夏の胡瓜はとてもおいしいです。熱を取り、むくみをとる力があり、生でも炒めてもおいしいので、夏にはぴったりの食材です。 冷えが気になる方はショウガや唐辛子と一緒に炒めて食べましょう。
【黄瓜】
【性味/帰経】
寒(涼)、甘/脾、胃、大腸
【働き】 
清熱:体に溜まった余分な熱をとる。
止渇:渇きを止める。
利水:尿を出やすくする。
消腫:熱性の腫れを解消する。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

R0011336
R0011336 / duck75

獅子唐辛子(ししとうがらし・ししとう)

獅子唐辛子は成熟すると赤くなりますが、その前の未成熟の青い段階で収穫されたものです。分類的にはナス科の植物です。先端が獅子に似ているので獅子唐辛子と言われているそうです。ハウス栽培が盛んなので一年中手に入りますが、やはりおいしいのは太陽を沢山浴びたこの季節。熱帯アメリカ原産で、メキシコでは、7,000年前の遺跡から唐辛子が出土したという報告もあるほど人類との歴史が古い野菜の一つです。また、全世界の料理に取り込まれ、「唐辛子ほど国境のない野菜はない」とも言われています。胃腸を温めてくれるので、冷たいものの摂取がどうしても増えてしまう夏には是非摂っておきたい食材です。
【唐辛子】
【 性味/帰経】
温(唐辛子は熱)、辛/心・脾
【働き】
温中散寒:お腹を温め、冷えを飛ばしてくれます。
開胃消食:食欲を増し、消化を助けてくれます。

green chillies
green chillies / Dèsirèe Tonus

紫蘇(しそ)

古来から日本に自生していたとされており、平安時代に書かれた現存する日本最古の薬物辞典『本草和名』にも「イヌエ」として載っており、古代から紫蘇は薬草として認知されてきました。紫蘇はその香りにこそ薬効があるとされているので、香りが立ちやすくするために細かく刻んで使いましょう。また、出来るだけ早く使うことも大切で、香りが飛んでしまう加熱も最小限にしましょう。紫蘇や生姜、冥加など香りの良い香味野菜には、気を巡らせモヤモヤとした気分を晴らす効果があるとされています。
【紫蘇】
【性味/帰経】
温、辛/肺、脾
【働き】
発表散寒:肌の表面にこもった寒邪を発汗とともに取り除く。また寒邪による熱や咳などの感冒症状にも効果的。
行気寛中:気の巡りがわるく、胸のモヤモヤ感や吐き気を改善する。
解魚蟹毒:魚介類や甲殻類などの中毒にもよい。

タイトルなし
タイトルなし / titanium22

紫蘇
紫蘇 / snak

冬瓜(とうがん)

冬瓜は他の瓜類と同様に7~10月頃に旬を迎える食材ですが、熟すと皮が厚くなって冬まで貯蔵できることから、「冬瓜」という名前が付いたそうです。冬は野菜が少なくなるので、保存がきく冬瓜は珍重されてきました。身体を冷やす作用を持っているので、乾燥しやすい冬場に食べるなら、必ず加熱し、温熱性のショウガなどと一緒に食べると、潤い補給の良い部分の恩恵を受けることが出来ます。
【冬瓜】
【性味/帰経】
微寒、甘、淡/肺、大腸、膀胱
【働き】 
清熱解毒・利尿:余分な熱をとり去り、体内に溜まった余分な水分を排泄し、むくみや尿量減少を助ける。
生津止渇:潤いを生み、体内や喉の乾きを癒す。

とうがん!
とうがん! / is_kyoto_jp

西紅柿( トマト)

トマトはナス科の植物で、南アメリカ、ペルー・アンデス地方などの乾燥した高地の原産なので、日本のような高温多湿な場所では栽培が難しいとされていましたが、品種改良や栽培の様々な工夫により、今では日本各地で多種多様な品種のトマトが栽培されるようになりました。熱をとりさり、潤いを与え、消化を助けてくれて、手軽に食べられる暑気払い、夏バテ予防の食材です。熱中症予防に岩塩をかけていただきましょう。
【西紅柿】
【性味/帰経】
微寒、甘、酸/肝、脾、胃
【働き】
生津止渇:潤いを生み渇きを止める。イライラや喉の乾きをよくする。
健胃消食:胃腸を元気にして、食欲を戻す。消化不良を改善する。

tomatoes squaredcircle
tomatoes squaredcircle / Muffet

茄子(なす)

ハウス栽培で一年中見かけるナスの旬も7~9月の夏です。暑熱を冷ます寒性の野菜で、夏バテには良いですが、冷え症の方や妊婦さんは控えたい食材です。「秋茄子は嫁に食わすな」というのは、美味しい秋茄子を嫁に食わしてたまるか!ではなく、寒くなってくる秋に寒性のナスを食べては、体が冷やされ子が出来づらくなってしまうというやさしさから。ちなみにこの「秋」とは旧暦で、今の9月頃を指しています。
【茄子】
【性味/帰経】
寒、甘/脾、胃、大腸
【働き】 
清熱:体にこもった熱をとる。
活血止血:血流の滞りを改善し、出血を防ぐ。
消腫止痛:熱っぽい腫れを止めて痛みを取る。
祛風活絡:風寒の邪気を除き、手足のしびれ、痛みを改善する。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

Chinese-Style Eggplant
Chinese-Style Eggplant / Stacy Spensley

 

苦瓜(にがうり)

苦瓜は和名、「蔓茘枝(つるれいし)」といって、完熟すると仮種皮が甘くなることや、いぼいぼの外観などが、茘枝(レイシ・ライチのこと)に似ているから、「蔓になる茘枝」ということで「蔓茘枝」という名前が付いたそうです。ちなみに中国語では「苦瓜」と書きます。体にこもった熱をさまして夏バテを解消する夏の代表的な野菜です。暑さで悪化する肌トラブルにも良い食材です。
【苦瓜】
【性味/帰経】
寒、苦、微甘/心、肺、脾、胃、肝
【働き】
清暑熱:暑気あたりを解消する。
解毒消腫:毒を消し、腫れを無くす。
清肝火:肝の異常な火を消す。イライラの鎮静にもよい。
【禁忌】
苦瓜は流産、早産を引き起こしやすいので妊婦の方は注意が必要です。

s-R0015089
s-R0015089 / eiko_eiko

西胡芦(ズッキーニ)

ズッキーニは見た目から胡瓜などの仲間に思われがちですが、実はメキシコの巨大かぼちゃから作られたと考えられていて、「ツルナシカボチャ」といってかぼちゃの仲間です。日本で普及し始めたのは1980年ごろからとされ、なじみが浅い食材ですが、栽培しやすいので、近年では家庭菜園でも人気の食材です。働きから見ると、余分な熱を取り湿気をとってれるので、瓜類とにています。寒性なのでサラダより加熱して食べるのがおススメです。
【西葫芦】
【性味/帰経】
寒、甘/肺、胃、腎
【働き】 
清熱生津:潤いを生み、余分な熱をとり去る。空咳や喉の渇き、イライラを癒し、痰を切れやすくする。
消腫散結・利尿通淋:傷やしこりを散らし、むくみやお腹の張り、排尿痛などにも効果的。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

Zucchini
Zucchini / adactio

無花果(イチジク)

そろそろスーパーにも顔を出すイチジクは夏と秋の2回収穫される果物です。一般的に9~10月に摂れる秋物の方がおいしいとされていますが、薬膳では潤下類に分類される大便を排泄しやすくする食材なので、夏場の便秘にも是非食べていただきたい果物です。乾燥品もまた栄養豊富で、緩く便をだす作用があります。
【無花果】
【性味/帰経】平、甘/小腸、膀胱、大腸
【働き】
健脾益胃・通便:胃腸を元気にして食欲不振を良くする。便通を良くする。
潤肺止咳:肺を潤し咳を止める。痰を出やすくする。
消腫解毒:のどの痛みや腫れ、声枯れにも良い。痔の腫れにも良い。

イチジク(fig)
イチジク(fig) / kanonn

梨(なし)

梨は「生は六腑の熱を冷まし、熟(加熱したもの)は五臓を滋陰する」とあり、渇きや乾燥にとても優れた効果を持つ果物です。夏の潤い不足や秋の乾燥にとてもおススメの果物です。
【梨】
【性味/帰経】
涼、甘、微酸/肺、胃
【働き】
清熱化痰、生津潤燥:余分な熱をとり去り、渇きを癒す。
【禁忌】
胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

Kosui nashi
Kosui nashi / kimubert

 

菠蘿(パイナップル)

国内で流通している殆どのパイナップルはフィリピンからの輸入物で、通年供給されていますが、沖縄で採れるものは6~8月の今頃が旬です。石垣島産のものはもう少し早い5月~8月が旬とされています。日本では昔「鳳梨」とよばれていて、昔の日本の影響が色濃く残る台湾では今も鳳梨とよばれています。熱帯アメリカ~ブラジルあたりが原産で、日本には1845年ごろオランダ船により持ち込まれたそうです。甘味は強いですがカロリーは控えめとダイエットをしている方にも嬉しい果物です。タンパク質分酵素を持っているので、肉類や豆類などの消化を助けてくれます。このため、中華料理の酢豚など、肉を柔らかくするために加えられることも多い果物です。
【菠蘿】
【性味/帰経】
平・微寒、甘、微酸/胃、膀胱
【働き】 
清熱通便:余分な熱をとり、便通を良くする。
健脾和胃・消食止瀉:胃腸を元気にして食欲を増進する。消化不良や食べ過ぎによる下痢などを改善する。
消腫祛湿:むくみをとり尿を排出する。痰の多い咳や喘息を改善する。
清熱解暑:熱射病や暑気あたりの予防にもよい。

pineapple
pineapple / yto

葡萄(ぶどう)

ブドウの品種は数多くありますが、マスカット、デラウェアなどはちょうど今が旬の時期です。巨峰、ピオーネはこれからで9月が旬です。ブドウには、その名の通りブドウ糖が豊富で、そのままエネルギーとして活用できるので、夏の疲れにも是非食べたい果物です。寒熱の偏りは有りませんが、糖分が多いので食べ過ぎると熱がこもるので注意が必要です。
【葡萄】
【性味/帰経】
平、甘、酸/肺、脾、肝、腎
【働き】
止渇除煩:渇きを癒し、イライラを抑える。
益気養血:気血を補う。
滋補肝腎:肝と腎を潤い養う。
利尿:尿を出させる。
安胎:胎児を安定させる。

Grepe
Grepe “Fujiminori” (Fujisawa, Kanagawa, Japan) / t-mizo

哈蜜瓜(メロン)

夏バテ、暑気あたりにおススメの果物です。とっても甘いですが、胡瓜(きゅうり)と同じ瓜類の仲間です。エネルギー不足を補うには即効性があり、体力消耗時のスタミナ補給に最適です。そういえば高校のとき、部活でマネージャーがメロンを差し入れてくれたのを思い出しました。私の地元は北海道で、メロンを作っている農家さんが多かったからでしょうね。熱を取る力、潤す力が強く、暑いこの時期にはぜひ摂りたい果物です。寒性なので冷蔵庫で冷やしすぎないようにしましょう。
【哈蜜瓜】
【性味/帰経】
寒、甘/脾、胃、肺
【働き】
止渇除煩:渇きを止めて、イライラを収める。
利尿解暑:溺を出して暑気あたりを良くする。
【禁忌】
寒性で冷やす性質が強いので、胃腸が弱い方や冷え症の方、小児、高齢者、妊婦は控えること。
メロンの詳しいお話はこちら→夏バテ、むくみにはコレ『メロン』のお話

melon / 夕張メロン
melon / 夕張メロン / Kanko*

桃(もも)

桃は古代から「長寿果」や「仙桃」と呼ばれ、長寿に効果があると考えられてきた果物です。桃はこれからお盆前までがおいしい時期です。夏に旬を迎える果物としては珍しく温性で、身体を冷やしません。胃腸を元気にして、便通を良くする桃は、胃腸の弱い方や高齢者、お子様の潤い補給にもおすすめです。果肉が硬めで甘みが強いのは白桃、やわらかく果汁たっぷりが白鳳という種類です。お好みにあわせてどうぞ。
【桃】
【性味/帰経】
温、甘、酸/肺、脾、肝
【働き】 
生津潤腸:体や腸を潤し、便通を良くする。
補脾活血:胃腸を元気にして、血の巡りを良くする。
消積:体内の老廃物を外へ流す。

2891 : Peach!
2891 : Peach! / sakura_chihaya+

鮎(あゆ)

日本を代表する川魚は通年取れますが資源確保の理由から6~10月の漁獲が定められています。一番おいしいとされているのは7月の若鮎。骨まで軟らかく美味とされています。胃腸に優しく、むくみ対策にもよい食材なので、おいしい今の時期に是非食べてください。
【鮎】
【性味】
温、甘
【働き】 
養陰開胃:潤いを補い、食欲を出させる。
利尿消腫:尿量を増やしむくみを取り去る。
催乳:母乳の出を良くする。

鮎
鮎 / yoppy

昆布(こんぶ)

天然ものの昆布のほとんどは北海道で採られています。夏に採取されて、砂利の上に長い昆布を重ならないように敷いて天日干しします。そうすることで旨味成分が凝縮され、最高の昆布が出来上がります。昆布はきちんと包装したうえで密封せずに通気のよいところにおきましょう。降圧降脂作用があるので、高血圧や心臓病、肥満にもおすすめですが、ヨウ素が多く含まれているので、摂りすぎても欠乏しても甲状腺腫が起こりやすくなるので注意が必要です。
【昆布】
【性味/帰経】
寒、鹹/肝、胃、腎
【働き】
消痰軟堅:痰をなくし、固まり、腫瘍、しこりを散らす。睾丸の腫大疼痛などにも用いられる。
行水消腫:むくみや水腫をなくす。血便、脚気にも使われる。
【禁忌】
昆布を余り生のまま食べることは少ないですが、胃腸機能低下時や軟便、下痢傾向、冷え症の方は控えましょう。

 
 

海胆(うに・雲丹)

ウニの旬は産卵期のお盆までと言われいるので、おいしいウニを食べるなら是非今食べましょう。お盆過ぎの産卵期を過ぎるとおいしくなくなってしまいます。ウニの食用部分は生殖巣と呼ばれるもので、肝臓や脳ではありません。海の物共通する、しこりや塊を散らすという作用があります。
【海胆】
【性味/帰経】
平、鹹/心、肺
【働き】
軟堅散結:腫瘍やできもの、しこりを散らす。
制酸止痛:胃痛、胸やけを和らげ、腹痛を癒す。
化痰止咳:痰をとりさり、咳を止める。
【禁忌】
風寒、水溶性の薄い痰の喘息の場合は食べてはいけません。生の多食は控えましょう。

Sea urchin roe
Sea urchin roe / sigusr0

食養生はバランスが大事

暑い夏は涼性、寒性の食べ物を毎日の献立に取り入れて、体にこもった熱を取り去り暑気払いをするのが良いですね。また、夏はどうしても冷たいものを摂る機会が増えてしまいますが、冷たいものや水分を摂りすぎると胃腸が弱り、だるさや疲れなどの症状のほか、秋冬に体調を崩すことにもなりかねないので、寒・涼性の物は加熱する、もしくは温性、熱性の物も少し一緒に摂って、寒熱のバランスを取るようにしてくださいね。

2014/07/31

気圧の変化と体調不良

こんにちは、店長の櫻井です。
先週は、8号が行ったと思ったら、すぐに9号、10号と忙しい日々でした。そうです、台風の話です。「台風がくると調子が悪くなる」と言う方は結構多いようで、Twitterでもとても反応の多いトピックです。台風が来ると頭痛がする、関節が痛い、身体がだるくなってやる気がおきなくなるなど、人によって症状は様々ですが、台風が近づくことで体調不良を起こす方はとても多いようです。
今日は、中医学とはちょっと離れて、気圧の変化と体調不良について考えていきましょう。

Super Typhoon Utor
Super Typhoon Utor / NASA Goddard Photo and Video

台風と低気圧

まず『台風』とは何なのでしょうか。台風とは、北西太平洋や南シナ海で発生する熱帯低気圧で風速17m/s以上のものを指します。で、この『低気圧』が体調とのつながりをお話しするうえで大切なポイントになります。
低気圧を考えるにはまず『気圧』を知らなくてはいけません。
『気圧』とは、空気の重みが作り出す圧力のことです。目には見えない空気にも、実際には重みがあり、これが天高く積みあがっているので、地球上に存在するすべての物質には、この空気の重みによる圧力がかかっています。この空気の重みによる圧力は大気中の空気の圧力なので、『大気圧』と呼ばれています。標準大気圧は高さがゼロの海面で1気圧、 1013.25 hPa(ヘクトパスカル)とされています。気圧は空気が少なくなればなるほど軽くなり低くなるので、地上よりも空気の層が薄い富士山山頂は、計算上0.7気圧になるそうです。これは1気圧に比べて体全体にかかる圧力が0.3気圧少ない低気圧状態と言うことになります。
 

Storms
Storms / Jerry.Raia

 

高気圧と低気圧

空気は熱されて膨張すると体積は増えますが密度が低下するので、比重が軽くなります。熱された空気は周囲の空気よりも軽くなり上へ上へと登っていきます。これが低気圧の正体です。上昇気流により周りの空気を引っ張るので空気が人の体を地面に押し付ける力が弱くなります。低気圧とは文字通り、空気の層が薄く、軽く、気圧が低いところです。
この気圧の変化は主に太陽光により作られます。地球上で太陽に一番近い赤道付近では空気が温まって上昇気流を作り出して気圧が低下しやすい環境が整っています。これが熱帯(赤道付近)で生まれる低気圧、『熱帯低気圧』となり、冒頭の『台風』となるわけです。なので、台風は常に赤道付近で生まれて風にのってやってきます。日本から見ると下から上がってくるんですね。
逆に『高気圧』では、上空で空気が冷やされて重くなり、下降気流が発生します。空気が地表に押し付けられるので気圧が上がった状態が高気圧です。
というのが、低気圧と高気圧のお話です。低気圧は体を押し付ける力が弱いもの、高気圧は体を押し付ける力が強いものという理解は何となくしていただけたでしょうか。
 

Storm Cell Over the Southern Appalachian Mountains
Storm Cell Over the Southern Appalachian Mountains / NASA Goddard Photo and Video

人体は繊細なセンサーの塊

気圧は空気の重みが生み出す圧力ですが、この圧力が変化することで体調に影響を及ぼします。人間の体というのはほんの少しの変化も敏感に感じとることができる、ものすごく繊細なセンサーの塊です。様々な物を作る職人が、仕上がりをチェックするのに最後は指で触って確かめるというのを良く耳にしますが、どんなに正確な機械も人間の感覚の敏感さを超えることは出来ない程、人の身体は微小な違いも感じ取ります。その超敏感センサーの塊である人体にかかる圧力が変化すれば、もちろんその変化を敏感に感じ取り、様々な反応がおこり体調に影響をおよぼすことは用意に想像が付きます。
 

Towson, MD on 695
Towson, MD on 695 / Forsaken Fotos

気圧の変化と体調不良

人の体は今現在の気圧状態に順応しています。この「順応している状態」というのは、「内側から同じ力で押している状態」です。もしこの力が無ければ気圧にまけてぺしゃんこにつぶれてしまいます。
写真の袋入りスナック菓子を御覧ください。破れんばかりにパンパンに膨らんでいます。これは空気の層が薄くなる高所で撮影されたものです。高所では物体にのしかかる空気量が少なくなるので、空気の重み減り、圧力(気圧)が低下したます。そうすると、平地で作られたスナック菓子の袋は平地の気圧に順応されているので、高地に持って行くと、外からかかる力(大気圧)よりも、内側からの圧力の方が勝ってしまい、お菓子の袋は下の写真のように膨らみます。飛行機の中に袋入りのお菓子を持って行っても同じことが起きるので、機会が有れば観察してみてください。

untitled
untitled / holisticmonkey

これが人の体だとどうなるでしょうか。人の体がパンパンに膨れるわけではないですが、体にかかる圧力が弱くなるということは、例えば常に着ているゴム製のスーツを脱いだような状態になります。そうすると抑え込む力から解放されて、体は若干ですが、膨張します。さらに60%以上が水でできている人の体は、その細胞内の水分も外に出ようとしますし、血液の水分も血管から細胞の隙間ににじみ出てきます。これらは体のあちこちで「むくみ」になります。これがもし頭蓋骨の中で起これば、圧力が逃げる場所がないので、周りの細胞を圧迫してしまいます。人によってはその圧迫で頭痛が起きてしまいますし、関節で起これば関節痛になります。これが喉で起これば喉が腫れて気管が圧迫されて喘息っぽくなったりもします。
また、血管が拡張するということは一時的に圧力(血圧)が低下します。急な血圧の低下は、血流の低下を招き、細胞に行き渡る酸素や栄養素が少なくなり、肩こり・頭痛だけでなく、身体のだるさなども引き起こすか可能性があります。そして、血圧が低下すると、人の体はバランスを取ってもとに戻そうと血圧を上げようとするので、自律神経の一つで興奮を司る『交感神経』が介入してきます。そうすると人によってはイライラしたり、神経が過敏になったり、動悸が起きたりするようなこともあります。
逆に高気圧の場合は、身体を外から押す力が高まるので、ちょっとした血管もほんのちょこっとですが、圧迫されるので、血圧も上げられる、一種の興奮状態になります。もしかしたらそれによって、気圧の低下時とは違う頭痛を感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、いらいらしたり、そわそわしたり、ドキドキしたりするかたもいらっしゃるかもしれません。
人間の体には「恒常性/ホメオスタシス」といって、身体を常に一定のバランスが取れた状態に保つ機能があり、気圧が変わればその都度順応できるようにできています。高山でも低い土地でも、低気圧も高気圧も時間があれば順応できます。でも台風のように急激な気圧変化にはその調節が追い付きません。
 

Typhoon
Typhoon / Jun Acullador

まとめると、

気圧が低下すると、体に対する外からの力が弱まることで内側から外に向けて力の方が強まり、血管や細胞が膨張して水分が染み出てむくみになったり、圧迫して痛みを起こしたり、だるくさせたりする。さらに下がった血圧を回復させようと自律神経が混乱し、イライラやほてりなども起こりやすくなるっというのが低気圧と体調不良の関係です。
また、低気圧は大体雨を降らせるので、湿度が上がります。これも体調に影響するのですが、長くなったので今日はこの辺で。
 
 

2014/07/23

夏バテ、むくみにはコレ『メロン』のお話

こんにちは。店長の櫻井です。
台風一過でいきなり猛暑と熱帯夜となった関東地方ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。気温・湿度の上昇は肌トラブルを抱えている人、のぼせのある人、胃腸トラブルを抱えている方々にとって、とっても辛い日々なだけでなく、汗をかかせ、安眠を妨害し、体力を低下させるので、どんな人にも辛く、負担になる環境です。またエアコンを使用することも増えるので、喉がやられたり、寒暖差により体調を崩してカゼを引いたりなど、夏は一年の中でも養生がとっても大切な時期なんです。
 

水遊び
水遊び / tab2_dawa

古典に見る「夏の養生」

夏と夏の養生について、中医学の古典『黄帝内経』にはこう書かれています。
『夏の三ヶ月を「蕃秀(ばんしゅう/成長の意味)という。天地の陰陽の気が盛んに交流し、万物がどんどん成長して咲き栄える。夜は遅く寝て朝は早く起きる。日の長さと暑さを厭わず、物事に怒らずに気持ちよく過ごすべきである。つまりは、夏に咲きそろう花のように、体の陽気を気持ちよく発散させる。これに背くと夏の気である心気が傷み、秋になって瘧(おこり)となるのである。』
中医学では、「自然とともにある」ことを何よりも大切にしています。夏は夏らしく汗をかくこと。日の入りが遅く日の出が早いように、遅く寝ても早く起きること。花々が咲き誇るように穏やかに過ごすことを良しとしています。夏は遅く寝ても朝は日の出とともに起きて、暑くても活動し、適度に運動も取り入れて汗をかき、陽気を発散し、身体こもらせないようにしましょう。もしこれが出来ず陽気が体内にこもってしまうと、身体の中で熱を持つようになり、元々陽気が多い心や肺を傷つけてしまいます。秋になると出てくる空咳の原因は夏の陽気のこもりにもその原因の一端があります。
現代ではエアコンが一般的になり、どこへ行っても寒いぐらいに空調が効いています。となると、毛穴は閉じてしまい、汗をかいたり、陽気を発散することが出来ません。陽気がこもり、熱がこもってしまうのでどうしても冷たいものもに手が伸びます。そうすると今度は胃腸が冷えてしまい、下痢になったり体力が低下したりしてしまい夏バテになるだけでなく、これも秋冬に体調を崩す要因の一つとなります。

夏の食養生では、熱を体内にこもらせないこと、水分を排出することが肝心です。夏に旬を迎える数多くの野菜や果物には、身体にこもった熱や水分をとり去り、身体の外へ出してくれるものがたくさんあります。今日ご紹介する『メロン』もその一つです。

melon / 夕張メロン
melon / 夕張メロン / Kanko*

メロンの歴史

メロンがもつ上品さと荒々しい大地や砂漠のイメージとが結びつきませんが、メロンの原産地はなんとアフリカや中近東地方だそうです。そこから西の方へ伝わったものを「メロン」、東へ伝わったものを「瓜」と呼ぶそうで、日本にもある「マクワウリ」がそれです。また、胡瓜ももともとはこの瓜から派生したものだそうです。一般的に私たちが思い描くあの「メロン」が持ち込まれたのは明治中頃。ヨーロッパから持ち込まれ、大正にかけて普及したそうです。
これは全くの余談ですが、「アンデスメロン」と南米にある「アンデス山脈」は全く関係がなく、あれはなんと、「安心ですメロン」の略(?)だそうです。そして、「マスクメロン」の「マスク」はあの縞々のことではなく、麝香の香り、「ムスク」に似ているからだそうです。ご存知でしたか???

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110809 / yoco**

ほてりやむくみに最適

メロンには、果物の中でも特に多いカリウムが含まれているので、体内の水分バランスを調節し、水分とともに余分な塩分を排出してくれ、むくみや高血圧、動脈硬化の予防に効果的です。ビタミンCも多く夏の強い紫外線によるシミやそばかすの予防や美白、そしてストレス対策や、疲労回復、抗酸化などにも是非食べておきたい食材です。また、赤肉のメロンにはβカロチンも多く含まれており、これまた抗酸化作用による老化防止や癌の予防にも効果が期待できます。

中医学から見たメロン

メロンは寒性で甘味。心、脾、胃、肺、大腸に行き渡り、喉の渇きを収めて、いらいらを解消してくれます。また尿とともに体にこもった熱も排出してくれるので、ほてりやのぼせ、むくみにも効果的です
メロンは種や花、葉、へたにもそれぞれ効能があります。種は、肺にこもった熱を取り、便通を良くしてくれます。また胃腸も丈夫にしてくれる力もあるとされています。ヘタには、全身のむくみをとる力や利尿の力があります。花は胸の痛みや咳に良いとされ、葉は脱毛や打撲によいとされています。
メロンの寒性は強く、暑気あたりや体内にこもった熱を取るには効果的ですが、冷え症の人が食べると冷えてしまい、体調を崩す原因になります。また、胃腸が弱い方、小児、妊婦なども冷蔵庫で冷やしたものは避けて常温の物を控えめに摂るのがよいでしょう。
暑い夏、汗となって消耗してしまう潤いの補給や、こもった熱を排出するのに即効性のあるメロンはとても有効ですが、食べ過ぎると逆に冷えてしまいます。冷え性の人はさらに悪化することも考えられます。また、メロンを食べ過ぎると黄疸を引き起こしやすく、病の回復期に食べると胃を荒らすとも古典には書かれています。体調が優れないとき、冷えたり胃腸が弱っているときには避けたほうが良い食材ですね。
 

prosciutto with melon
prosciutto with melon / Pen Waggener

生ハムメロン、賛否両論ありますが、私は好きです。これにワインがあればしばらくおとなしくしていられますw
 

美味しいメロンを選ぶ・保存するには

縞々のメロンの場合は、いびつではなく丸みがきれいで縞々がくっきりとしていて、細かく均等に広がっているものを選びましょう。色は均一に色づいているもので、見た目よりもずっしりと重いものが肉厚で美味しいそうです。
完熟していないメロンはお尻を押すとまだ固いです。そんな時は室温で、軟らかくなるまで置いておきましょう。食べごろになるとお尻が柔らかくなり、メロンの甘い香りがしてきます。食べる前、2~3時間に冷やしましょう。切ってから保存する場合は、種は取っておきましょう。
 

 
夏バテだけでなく、秋冬に体調を崩さないためにも、夏は冷たいものを控えて、ただでさえ湿気によって弱ってしまう胃腸を労わる必要があります。メロンに限らずスイカや苦瓜、胡瓜などの瓜類は暑い地方原産の食物らしく、身体の熱を取ってくれる力があります。これからの暑い季節はどうしても冷たいものをとりがちですが、瓜類など、熱を取り除く食材を毎日のメニューにうまく取り入れて、上手に熱さ対策をしていきましょう。

2014/07/11

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋二丁目10番6号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売