イスクラ薬局(東京)

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気圧の変化と体調不良

こんにちは、店長の櫻井です。
先週は、8号が行ったと思ったら、すぐに9号、10号と忙しい日々でした。そうです、台風の話です。「台風がくると調子が悪くなる」と言う方は結構多いようで、Twitterでもとても反応の多いトピックです。台風が来ると頭痛がする、関節が痛い、身体がだるくなってやる気がおきなくなるなど、人によって症状は様々ですが、台風が近づくことで体調不良を起こす方はとても多いようです。
今日は、中医学とはちょっと離れて、気圧の変化と体調不良について考えていきましょう。

Super Typhoon Utor
Super Typhoon Utor / NASA Goddard Photo and Video

台風と低気圧

まず『台風』とは何なのでしょうか。台風とは、北西太平洋や南シナ海で発生する熱帯低気圧で風速17m/s以上のものを指します。で、この『低気圧』が体調とのつながりをお話しするうえで大切なポイントになります。
低気圧を考えるにはまず『気圧』を知らなくてはいけません。
『気圧』とは、空気の重みが作り出す圧力のことです。目には見えない空気にも、実際には重みがあり、これが天高く積みあがっているので、地球上に存在するすべての物質には、この空気の重みによる圧力がかかっています。この空気の重みによる圧力は大気中の空気の圧力なので、『大気圧』と呼ばれています。標準大気圧は高さがゼロの海面で1気圧、 1013.25 hPa(ヘクトパスカル)とされています。気圧は空気が少なくなればなるほど軽くなり低くなるので、地上よりも空気の層が薄い富士山山頂は、計算上0.7気圧になるそうです。これは1気圧に比べて体全体にかかる圧力が0.3気圧少ない低気圧状態と言うことになります。
 

Storms
Storms / Jerry.Raia

 

高気圧と低気圧

空気は熱されて膨張すると体積は増えますが密度が低下するので、比重が軽くなります。熱された空気は周囲の空気よりも軽くなり上へ上へと登っていきます。これが低気圧の正体です。上昇気流により周りの空気を引っ張るので空気が人の体を地面に押し付ける力が弱くなります。低気圧とは文字通り、空気の層が薄く、軽く、気圧が低いところです。
この気圧の変化は主に太陽光により作られます。地球上で太陽に一番近い赤道付近では空気が温まって上昇気流を作り出して気圧が低下しやすい環境が整っています。これが熱帯(赤道付近)で生まれる低気圧、『熱帯低気圧』となり、冒頭の『台風』となるわけです。なので、台風は常に赤道付近で生まれて風にのってやってきます。日本から見ると下から上がってくるんですね。
逆に『高気圧』では、上空で空気が冷やされて重くなり、下降気流が発生します。空気が地表に押し付けられるので気圧が上がった状態が高気圧です。
というのが、低気圧と高気圧のお話です。低気圧は体を押し付ける力が弱いもの、高気圧は体を押し付ける力が強いものという理解は何となくしていただけたでしょうか。
 

Storm Cell Over the Southern Appalachian Mountains
Storm Cell Over the Southern Appalachian Mountains / NASA Goddard Photo and Video

人体は繊細なセンサーの塊

気圧は空気の重みが生み出す圧力ですが、この圧力が変化することで体調に影響を及ぼします。人間の体というのはほんの少しの変化も敏感に感じとることができる、ものすごく繊細なセンサーの塊です。様々な物を作る職人が、仕上がりをチェックするのに最後は指で触って確かめるというのを良く耳にしますが、どんなに正確な機械も人間の感覚の敏感さを超えることは出来ない程、人の身体は微小な違いも感じ取ります。その超敏感センサーの塊である人体にかかる圧力が変化すれば、もちろんその変化を敏感に感じ取り、様々な反応がおこり体調に影響をおよぼすことは用意に想像が付きます。
 

Towson, MD on 695
Towson, MD on 695 / Forsaken Fotos

気圧の変化と体調不良

人の体は今現在の気圧状態に順応しています。この「順応している状態」というのは、「内側から同じ力で押している状態」です。もしこの力が無ければ気圧にまけてぺしゃんこにつぶれてしまいます。
写真の袋入りスナック菓子を御覧ください。破れんばかりにパンパンに膨らんでいます。これは空気の層が薄くなる高所で撮影されたものです。高所では物体にのしかかる空気量が少なくなるので、空気の重み減り、圧力(気圧)が低下したます。そうすると、平地で作られたスナック菓子の袋は平地の気圧に順応されているので、高地に持って行くと、外からかかる力(大気圧)よりも、内側からの圧力の方が勝ってしまい、お菓子の袋は下の写真のように膨らみます。飛行機の中に袋入りのお菓子を持って行っても同じことが起きるので、機会が有れば観察してみてください。

untitled
untitled / holisticmonkey

これが人の体だとどうなるでしょうか。人の体がパンパンに膨れるわけではないですが、体にかかる圧力が弱くなるということは、例えば常に着ているゴム製のスーツを脱いだような状態になります。そうすると抑え込む力から解放されて、体は若干ですが、膨張します。さらに60%以上が水でできている人の体は、その細胞内の水分も外に出ようとしますし、血液の水分も血管から細胞の隙間ににじみ出てきます。これらは体のあちこちで「むくみ」になります。これがもし頭蓋骨の中で起これば、圧力が逃げる場所がないので、周りの細胞を圧迫してしまいます。人によってはその圧迫で頭痛が起きてしまいますし、関節で起これば関節痛になります。これが喉で起これば喉が腫れて気管が圧迫されて喘息っぽくなったりもします。
また、血管が拡張するということは一時的に圧力(血圧)が低下します。急な血圧の低下は、血流の低下を招き、細胞に行き渡る酸素や栄養素が少なくなり、肩こり・頭痛だけでなく、身体のだるさなども引き起こすか可能性があります。そして、血圧が低下すると、人の体はバランスを取ってもとに戻そうと血圧を上げようとするので、自律神経の一つで興奮を司る『交感神経』が介入してきます。そうすると人によってはイライラしたり、神経が過敏になったり、動悸が起きたりするようなこともあります。
逆に高気圧の場合は、身体を外から押す力が高まるので、ちょっとした血管もほんのちょこっとですが、圧迫されるので、血圧も上げられる、一種の興奮状態になります。もしかしたらそれによって、気圧の低下時とは違う頭痛を感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、いらいらしたり、そわそわしたり、ドキドキしたりするかたもいらっしゃるかもしれません。
人間の体には「恒常性/ホメオスタシス」といって、身体を常に一定のバランスが取れた状態に保つ機能があり、気圧が変わればその都度順応できるようにできています。高山でも低い土地でも、低気圧も高気圧も時間があれば順応できます。でも台風のように急激な気圧変化にはその調節が追い付きません。
 

Typhoon
Typhoon / Jun Acullador

まとめると、

気圧が低下すると、体に対する外からの力が弱まることで内側から外に向けて力の方が強まり、血管や細胞が膨張して水分が染み出てむくみになったり、圧迫して痛みを起こしたり、だるくさせたりする。さらに下がった血圧を回復させようと自律神経が混乱し、イライラやほてりなども起こりやすくなるっというのが低気圧と体調不良の関係です。
また、低気圧は大体雨を降らせるので、湿度が上がります。これも体調に影響するのですが、長くなったので今日はこの辺で。
 
 

2014/07/23

夏バテ、むくみにはコレ『メロン』のお話

こんにちは。店長の櫻井です。
台風一過でいきなり猛暑と熱帯夜となった関東地方ですが、皆様、いかがお過ごしでしょうか。気温・湿度の上昇は肌トラブルを抱えている人、のぼせのある人、胃腸トラブルを抱えている方々にとって、とっても辛い日々なだけでなく、汗をかかせ、安眠を妨害し、体力を低下させるので、どんな人にも辛く、負担になる環境です。またエアコンを使用することも増えるので、喉がやられたり、寒暖差により体調を崩してカゼを引いたりなど、夏は一年の中でも養生がとっても大切な時期なんです。
 

水遊び
水遊び / tab2_dawa

古典に見る「夏の養生」

夏と夏の養生について、中医学の古典『黄帝内経』にはこう書かれています。
『夏の三ヶ月を「蕃秀(ばんしゅう/成長の意味)という。天地の陰陽の気が盛んに交流し、万物がどんどん成長して咲き栄える。夜は遅く寝て朝は早く起きる。日の長さと暑さを厭わず、物事に怒らずに気持ちよく過ごすべきである。つまりは、夏に咲きそろう花のように、体の陽気を気持ちよく発散させる。これに背くと夏の気である心気が傷み、秋になって瘧(おこり)となるのである。』
中医学では、「自然とともにある」ことを何よりも大切にしています。夏は夏らしく汗をかくこと。日の入りが遅く日の出が早いように、遅く寝ても早く起きること。花々が咲き誇るように穏やかに過ごすことを良しとしています。夏は遅く寝ても朝は日の出とともに起きて、暑くても活動し、適度に運動も取り入れて汗をかき、陽気を発散し、身体こもらせないようにしましょう。もしこれが出来ず陽気が体内にこもってしまうと、身体の中で熱を持つようになり、元々陽気が多い心や肺を傷つけてしまいます。秋になると出てくる空咳の原因は夏の陽気のこもりにもその原因の一端があります。
現代ではエアコンが一般的になり、どこへ行っても寒いぐらいに空調が効いています。となると、毛穴は閉じてしまい、汗をかいたり、陽気を発散することが出来ません。陽気がこもり、熱がこもってしまうのでどうしても冷たいものもに手が伸びます。そうすると今度は胃腸が冷えてしまい、下痢になったり体力が低下したりしてしまい夏バテになるだけでなく、これも秋冬に体調を崩す要因の一つとなります。

夏の食養生では、熱を体内にこもらせないこと、水分を排出することが肝心です。夏に旬を迎える数多くの野菜や果物には、身体にこもった熱や水分をとり去り、身体の外へ出してくれるものがたくさんあります。今日ご紹介する『メロン』もその一つです。

melon / 夕張メロン
melon / 夕張メロン / Kanko*

メロンの歴史

メロンがもつ上品さと荒々しい大地や砂漠のイメージとが結びつきませんが、メロンの原産地はなんとアフリカや中近東地方だそうです。そこから西の方へ伝わったものを「メロン」、東へ伝わったものを「瓜」と呼ぶそうで、日本にもある「マクワウリ」がそれです。また、胡瓜ももともとはこの瓜から派生したものだそうです。一般的に私たちが思い描くあの「メロン」が持ち込まれたのは明治中頃。ヨーロッパから持ち込まれ、大正にかけて普及したそうです。
これは全くの余談ですが、「アンデスメロン」と南米にある「アンデス山脈」は全く関係がなく、あれはなんと、「安心ですメロン」の略(?)だそうです。そして、「マスクメロン」の「マスク」はあの縞々のことではなく、麝香の香り、「ムスク」に似ているからだそうです。ご存知でしたか???

110809
110809 / yoco**

ほてりやむくみに最適

メロンには、果物の中でも特に多いカリウムが含まれているので、体内の水分バランスを調節し、水分とともに余分な塩分を排出してくれ、むくみや高血圧、動脈硬化の予防に効果的です。ビタミンCも多く夏の強い紫外線によるシミやそばかすの予防や美白、そしてストレス対策や、疲労回復、抗酸化などにも是非食べておきたい食材です。また、赤肉のメロンにはβカロチンも多く含まれており、これまた抗酸化作用による老化防止や癌の予防にも効果が期待できます。

中医学から見たメロン

メロンは寒性で甘味。心、脾、胃、肺、大腸に行き渡り、喉の渇きを収めて、いらいらを解消してくれます。また尿とともに体にこもった熱も排出してくれるので、ほてりやのぼせ、むくみにも効果的です
メロンは種や花、葉、へたにもそれぞれ効能があります。種は、肺にこもった熱を取り、便通を良くしてくれます。また胃腸も丈夫にしてくれる力もあるとされています。ヘタには、全身のむくみをとる力や利尿の力があります。花は胸の痛みや咳に良いとされ、葉は脱毛や打撲によいとされています。
メロンの寒性は強く、暑気あたりや体内にこもった熱を取るには効果的ですが、冷え症の人が食べると冷えてしまい、体調を崩す原因になります。また、胃腸が弱い方、小児、妊婦なども冷蔵庫で冷やしたものは避けて常温の物を控えめに摂るのがよいでしょう。
暑い夏、汗となって消耗してしまう潤いの補給や、こもった熱を排出するのに即効性のあるメロンはとても有効ですが、食べ過ぎると逆に冷えてしまいます。冷え性の人はさらに悪化することも考えられます。また、メロンを食べ過ぎると黄疸を引き起こしやすく、病の回復期に食べると胃を荒らすとも古典には書かれています。体調が優れないとき、冷えたり胃腸が弱っているときには避けたほうが良い食材ですね。
 

prosciutto with melon
prosciutto with melon / Pen Waggener

生ハムメロン、賛否両論ありますが、私は好きです。これにワインがあればしばらくおとなしくしていられますw
 

美味しいメロンを選ぶ・保存するには

縞々のメロンの場合は、いびつではなく丸みがきれいで縞々がくっきりとしていて、細かく均等に広がっているものを選びましょう。色は均一に色づいているもので、見た目よりもずっしりと重いものが肉厚で美味しいそうです。
完熟していないメロンはお尻を押すとまだ固いです。そんな時は室温で、軟らかくなるまで置いておきましょう。食べごろになるとお尻が柔らかくなり、メロンの甘い香りがしてきます。食べる前、2~3時間に冷やしましょう。切ってから保存する場合は、種は取っておきましょう。
 

 
夏バテだけでなく、秋冬に体調を崩さないためにも、夏は冷たいものを控えて、ただでさえ湿気によって弱ってしまう胃腸を労わる必要があります。メロンに限らずスイカや苦瓜、胡瓜などの瓜類は暑い地方原産の食物らしく、身体の熱を取ってくれる力があります。これからの暑い季節はどうしても冷たいものをとりがちですが、瓜類など、熱を取り除く食材を毎日のメニューにうまく取り入れて、上手に熱さ対策をしていきましょう。

2014/07/11

冷たいもの摂りすぎてませんか?【夏バテにはニンニクで陽を補ぎなおう!】

こんにちは。六本木店店長、櫻井です。最近はなんだか不安定なお天気が続いていますね。気温が穏やかなのは夏が苦手な私にとってはうれしいことですが、ぐずぐずと続く雨や集中豪雨は困ったものです。先日ツィッターで、「雨や低気圧で影響を受けやすく、頭痛やだるさ、気分の落ち込みなんかが出やすい人はアイスクリームや冷たいヨーグルト、氷の入ったの飲み物、などなど、冷たいものはひかえたほうが良いですよ。夏の冷えは秋冬の体調不良につながりますよ」というものを呟いたところ、なんと2300回以上RT(RT=見た人がさらに自分の知り合いに広めてくれること)されました。夏の冷えや雨・低気圧で体調を崩されるかたはほんとに多いんですね。
 

Hydrangea after rain
Hydrangea after rain / Takashi(aes256)

″冷たいもの″が体調を崩す

中医学では胃腸を「脾胃」といいますが、この脾胃が冷えてしまうと、本来持っている食べたものを必要なものとそうでないものに分けて、しっかり排泄する機能や、食べたものからエネルギーやエネルギーを運ぶ血、そして潤いを作り出す機能が低下してしまうので、中医学では冷たいものを摂りすぎてはいけないと注意を促しています。。

脾胃の機能が低下してしまうと、不要な水などが体内に溜まってしまいます。さらにエネルギーや血、潤いの不足もおこり、身体が正常に働かなくなってきます。そうすると、重だるさを感じたり、疲れが抜けなくなったり、気が滅入ったり、冷えやすくなったり、頭痛や腰痛、むくみや気分の落ち込み、めまいなどがでやすくなります。それが続いてしまいそのまま秋や冬に突入すると、今度は寒さや乾燥にやられ、さらに体調を崩してしまいます。なので、脾胃が元気をなくすような冷たいものは控えるようにした方がよいことになります。

暑い時期はどうしても冷たいものを摂ることが増えます。さらに現代では、買い物に行っても、仕事に行っても、移動中でも、どこへ行っても冷房がガンガンに効いています。外からも中からも体は常に冷やされ、そのせいで脾胃の状態が悪化し、体調不良が続くことにもなります。

塩沢プロパンのかき氷
塩沢プロパンのかき氷 / yoppy

夏こそ「温かいもの」を

中医学の古典、『黄帝内経』には、養生の基本として「春夏補陽」という言葉があります。これは、「春夏こそ陽気を補う」という意味です。しかし、春や夏は陽気が高まり暑くなる季節です。そんなときさらに陽気を補うのと身体はどんどん暑くなってほてりや熱症状が出たり、熱がこもったりしてしまいそうですが、実はそうではなさそうです。
この『春夏補陽』という考えは、とても実践的な教えで、夏は暑く、必然的に冷たいものを飲食することが増えてお腹の陽気が傷つけられるから、しっかりと陽を補うことが大切なのだっと言っているのです。夏が旬のものには、身体の余分な熱をとる「涼性」や「寒性」のものがたくさんあります。しかし、そればかりを食べていると、冷えすぎてしまうことも考えられます。さらに現代では、冷たい飲み物や食べ物はいたるところにあり、それらを口にする機会もとても多いです。そんな中、体内の陰陽のバランスをとり、ちょうど暑くもなく、寒くもない状態に保つために、陽を補うもことも忘れてはいけません。
前振りがながくなってしまいましたが、そんな夏に旬を迎えてしっかりと陽を補ってくれる「にんにく」のお話をしたいと思います。

Garlic
Garlic / Robert Benner Sr.

 

ニンニクは古代から知られた強壮剤

ニンニクの原産地は中央アジアと言われていますが、正確なところはわかっていないようです。ニンニクは、紀元前1500年以前に書かかれた現存する最古の医学書『エーベルス・パピルス(The Papyrus Evers)』ですでに、疲労、衰弱、手足のふるえを伴う神経系疾患、 月経不順や心臓・循環系の疾患などに効くとして、ニンニクを含む沢山の処方が紹介されている程栄養満点の食材です。日本にやってきたのは8世紀ごろ、飛鳥時代後期に中国を経由して伝わったと言われています。
 

Garlic on old breadboard...
Garlic on old breadboard… / nessguide

ニンニクは身体を元気にしてくれる

ニンニクには、疲労回復を助けて、新陳代謝を活発にしてくれる「スコルジニン」や、ビタミンB1の吸収を高めたり、強い殺菌力をもつ「アリシン」と言う成分が含まれていますので、疲れやすく、食中毒の危険が高い夏場には最適な食材です。
スコルジニンは新陳代謝を活発にしてくれるので、一緒に食べた食材の栄養吸収も助けてくれる働きもあります。また、ニンニクのあの独特の香りは、硫化アリルの一種、「アリシン」によるものですが、この香り成分には、強い殺菌力と体内でビタミンB1の吸収を助ける力があります。ビタミンB1は糖質からのエネルギー生みだしたり、皮膚や粘膜の健康な状態維持するのを助ける働きをし、脳神経系を正常な働きを維持してくれます。アリシンは、動脈硬化を抑制する働き、脂肪の塊を縮小させる、カゼや気管支炎の原因になる連鎖球菌やブドウ状球菌などを殺すなど、強い殺菌・抗菌力があります。また、胃潰瘍の原因となるピロリ菌や、食中毒の原因のO-157菌にもこの殺菌力は有効だそうです。
このアリシンは食用油にとけると「アホエン」という何とも間抜けな名前の物質が生まれるのですが、このアホエンには高い抗酸化力があり、血栓を予防・改善する効果や、抗がんの効果などがあることがわかっています。ニンニクを良く食べるのニンニクの生産地では、胃がんの発生率が低いそうです。これはアリシンのピロリ菌への殺菌作用やアホエンの抗がん作用によるものと考えられています。
また美肌効果も高く、ビタミンB1の粘膜の健康維持のほか、ニンニクの有効成分が皮膚の内部に適度な脂分を溜め、水分と脂分を良いバランスでとどめて小じわやたるみを目立たないようにしてくれるようです。
 
このような効果は、生で食べた場合に一番強い力を発揮します。風邪の初期で寒気がするような場合に生のニンニクの1片を摩り下ろして食べると、さっと汗がでてスッキリします。加熱すると効果は少し落ちますが、匂いが和らぐので食べやすくなるはずです。
しかしニンニクは強い効果を持つ一方、食べ過ぎると胃が荒れて気持ち悪くなったり、血圧が上昇して目が充血したり、肝機能障害を引き起こす危険もあるので、生なら一日に1片程度、加熱したものでも2~3片程度にしましょう。また、ニンニクの健康効果は一度食べると2~3日は持続するようですので、毎日食べなる必要はなく、1週間に1~2回で十分です。
 

Garlic
Garlic / srqpix

 

中医学から見たニンニク

ニンニクは漢字で「大蒜」と書きます。生薬では、同じ字を書いて「大蒜(たいさん)」と読みます。性味は、温性で、辛味。昇らせ散らせる性質を持つとされています。中医学的薬効では、寒気を伴うカゼの予防や治療、胃を温め、食べ物のつまりを取り除いたり、下痢を止めて寄生虫を退治したり、咳を止めて、腫れや痛みを取り除く効果があるとされています。
夏場冷たいものを摂りすぎて、脾胃の陽気が低下し、どうにも体に余分な湿が溜まってしまってむくむ、体がだるい、お腹が冷えてうまく働かない、下痢や軟便が続いている。そんなときにはこのニンニクの胃腸を温め、発汗を即して余分な水分を発散してくれる働きはとてもありがたいものです。
上にも書いたように、食べ過ぎると胃腸を痛めるので、胃腸機能が弱っている方は加熱して少量から食べるようにしてください。また、温性で身体を温める力があるため、アトピー性皮膚炎や、ニキビ、高血圧の方は食べ過ぎないようにしましょう。
 
 

Italian still life
Italian still life / Muffet

ニンニクの臭いには、、

ニンニクの臭いが手について取れないときは、酢を入れた水につけると良いそうですよ。後、ステンレスにも匂いがうつるそうなので、手を洗った後濡れたままステンレスシンクを触るのもいいかもしれませんね。
ニンニクの臭いを消してくれるのに有効なのは、緑茶や紅茶、烏龍茶などが良いそうですよ。
 

Garlic!
Garlic! / jeffreyw

 暑い夏こそ陽気を補う

夏は暑いのでどうしても冷たいものを摂りすぎてしまったり、冷房の効いた室内に多くいることが増えるため、陽を補い、体を中から温めておくことが大切です。そうすることで、胃腸は元気に働けてエネルギーを造り出してくれるので、夏バテ予防にもなります。そして秋冬の冷えや体力低下で体調を崩してくれるのも防いでくれます。先々に起こりうる変化を予想して先手先手で対策していく中医学の「未病先防」の教えを実践して、健康に過ごしましょう。

2014/07/07

夏とビールと相性最高!おつまみの定番「枝豆」のすごい話。

こんにちは。六本木店長櫻井です。気象庁から3か月天気予報が出されました。エルニーニョ現象の影響から梅雨明けが遅くなり、冷夏が予想されていましたが、その心配はどうやら無くなったみたいで、今年も暑い夏がやってくるようです。特に西日本は猛暑の予報ですので、熱中症対策はしっかりとしておきたいですね。(暑い日の食と養生方はこちら

Rainbow Deliciousness
Rainbow Deliciousness / JFXie

 
暑くなってくると、やっぱり冷たいビールがおいしいですよね。中医学的には、脾胃は冷たいものや水分を嫌うので、キンキンに冷えたビールは天敵なのですが、夏の暑い日に外で飲むビールは何とも格別の喜びを感じられます。でも、やっぱり体調も気になりますよね。そんなときには是非おつまみを活用して養生してください。
今日はそんな定番ビールのおつまみ、「枝豆」のお話をしたいとおもいますが、実は枝豆はビールのお供に最適だったなんてみなさんご存知でした??
 

Edamame
Edamame / viviandnguyen_

実は「大豆」

枝豆、っというと、鞘に入ったあの緑色の豆ですが、枝豆は実は大豆だということを知らない人も多いのではないでしょうか。枝豆を成熟させると大豆になり、未成熟の段階に収穫したものが枝豆なんだそうです。成熟させて大豆にするか、途中で収穫して枝豆にするか、どちらにするか適した種類というのはあるそうです。
 

Edamame
Edamame / Carrie Frizzlechicken

 

中国からやってきた「枝付きの豆」

枝豆のルーツは中国の北部地方で、日本には約2千年ほど前に持ち込まれたとされています。枝豆として食べられたいたことがわかっているのは、平安の時代ごろから。江戸時代になると、豆腐売りならぬ、「枝豆売り」の姿も見られたそうで、今も昔も夏の訪れを知らせてくれる定番おつまみであることに変わりなかったようです。当時は、枝についたまま売らており、歩きながらそのままちぎって食べていたようで、そこから「枝付き豆」と呼ばれ、略して「枝豆」と呼ばれるようになったそうです。その昔は田んぼの畔などにも植えられていたようで、「畔豆」と呼ばれていた時期もあったそうです。

Edamame
Edamame / insatiablemunch

むくみ、便秘、美肌によい!そして悪酔いや二日酔い予防にも良い!

枝豆はなんといっても畑の肉ともいわれる大豆ですから、良質なタンパク質が豊富です。さらに糖質や脂質、そしてカルシウム鉄分、疲労回復やお肌をきれいにしてくれるビタミンB1、B2、そして大豆には含まれていないビタミンCも豊富なのも特筆すべき特徴でしょう。ビタミンCとタンパク質はコラーゲンの元を作ってくれるので、他のビタミンとも相まって、枝豆単体で美肌効果も期待できます。葉酸も豊富なので、貧血の気味のかたや妊婦のかたも摂っておきたい食材ですね。
枝豆の中に含まれるたんぱく質の中には、メチオニンというアルコールを分解してくれる成分が入っていますし、前出のビタミンB1にもアルコールの代謝を促進させる力があります。さらに肝臓の働きを固めてくれるコリンも豊富で、二日酔いや悪酔いの予防も最適です。イソフラボンという大豆に含まれているポリフェノールの一種や、そのイソフラボンの一種のダイゼンには、女性ホルモン様作用があるので、更年期特有ののぼせの緩和や、骨粗しょう症の予防や改善、そして、がんの抑制作用、免疫機能を高める作用がなどが確認されており、今後の研究に期待です。
さらにサポニンとレシチンも含まれており、コレステロールを下げて中性脂肪を減らしてくれるので、他のおつまみが脂っこくても対処してくれますし、高脂血症予防効果も期待できます。枝豆にはビタミンCや食物繊維も豊富なので、便秘の解消にも一役買ってくれますし、カリウムもたっぷり含まれているので、体に溜まった余分な水分を外に出してくれる働きもあり、むくみも改善してくれます。さらにビタミンB1が疲労回復にも働いてくれ、まさに夏にぴったりの食材なんです。
 
 

Edamame
Edamame / UnitedSoybeanBoard

中医学で見る枝豆

枝豆は甘味で平性寒熱の偏りがなく、どんな方でも食べられます胃腸の働きを助けて、腸を整え、血やエネルギーを与えてくれて、必要なだけ胃腸を潤し、余分な水分は排出してくれて、膿を排除して毒を消してくれます。中医学的にみても、夏バテや食あたり、下痢やむくみによいなど、とにかく夏にぴったりの食材です。
古典には、「食べ過ぎると気が詰まり、痰を生じて体が重くなる」とあるそうです。確かに豆は消化しにくいので、食べ過ぎると胃腸の負担になってしまいます。美味しいから身体に良いからといって食べ過ぎないように注意しましょう。
 

Soban Restaurant Whitecourt Alberta Edamame
Soban Restaurant Whitecourt Alberta Edamame / elsie.hui

まとめると、枝豆は、、、

胃腸を元気にして身体に気力を補ってくれ、
利水作用で身体の余分な水分を出してくれて、
アルコールの分解を助けてくれる!!
あつらえたかのように夏に、そしてビールにぴったりの食材ですね。

Beer and edamame
Beer and edamame / adactio

枝豆の選びかた・保存法

美味しい枝豆を選ぶには、さやの色が濃く鮮やかで、うぶ毛がまんべんなくついていて、枝が付いているものなら、さやがたくさんついていて密集していて、葉や茎の色が鮮やかなものを選びましょう。枝豆は鮮度が落ちやすく、時間がたつごとに甘味が減っていきます。できれば買ってきたその日のうちに食べてしまいましょう。保存する場合は、硬めにゆでて、さやに入ったまま冷凍してください。食べるときは自然解凍したのち、さっと熱湯に通して食べてくださいね。

green soybean
green soybean / potaufeu

今や枝豆は世界中で食べられているおつまみです。昨年Googleで検索された和食キーワードで1位の「寿司」に次いで多かったのが、「えだまめ」だったそうです。胃腸の働きを促進して、利尿作用もある枝豆。ビールのお供にはとても合理的な組み合わせですね。でもやっぱり冷たいものは飲みすぎないようにしてくださいね。

 

2014/06/26

潤いを生み、咳を鎮め、下痢を止める。「梅」の知られざる力

毎日毎日暑いですね。梅雨はいずこへ??っと思っていたら、明日からようやく関東地方も雨が続くようできっと雨を待っていた紫陽花も喜ぶでしょう。まぁそうなったらそうなったで、うっとおしいんですがね。私の地元、北海道では連日35度越えと、日本で一番暑い場所となっております。いやはや、最近の天気はまったくわけがわかりません。
この時期スーパーの野菜コーナーでは、ソラマメが大量に並び、スイカ、ナス、胡瓜など夏の野菜たちで飾られています。その中でもうず高く積まれ、毎年気になってはいるけど、まだ手が出せていないのが「」です。

梅の実 / Fruit of Plum
梅の実 / Fruit of Plum / Dakiny

 

三毒を断つ「梅」の力

梅の原産地は中国の四川省から湖北省あたりとされ、日本には奈良時代に持ち込まれたと考えられています。日本にも、もともと自生していた梅もあったようで、古事記や日本書紀、万葉集などにも登場しており、古くから栽培されていたことがわかります。
古くから梅は健康維持に欠かせない食材でした。戦国時代には、携帯食料として、また、泥水を飲んだ時の感染症の予防として、梅干しの果肉を粒状にしたものがつくられ重宝されていたようです。
梅は三毒を断つ」と言われ(三毒とは、食べ物、血、水の毒の事)、解毒効果、血行促進効果、生水の食あたりを消してくれる効果があります。日の丸弁当しかり、梅のおにぎりしかり、ただおいしくて食欲増進になるだけでなく、殺菌作用も兼ねて、古くから私たちの体を守ってきた食品です。

タイトルなし
タイトルなし / titanium22

疲労回復、殺菌、解毒、梅の栄養

梅の特徴は、なんと言ってもあの独特な酸味。梅と聞くだけで唾液がでてきますよね。あの酸味の主成分はクエン酸を含む有機酸です。特に一番多いクエン酸は、エネルギー代謝に関わり、疲労回復に役立つ他、殺菌作用も強いので、防腐効果や食中毒の予防にも効果があります。クエン酸の他にも、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、などの有機酸を多く含んでおり、これらにも疲労回復や殺菌などの力があります。また整腸効果もあり、新陳代謝を上げてお肌もきれいにしてくれます。
栄養面では、カルシウム、カリウム、リン、鉄、亜鉛などのミネラルも豊富に含んでいます。たとえばリンゴに比べて、梅に含まれるカルシウムは4倍、鉄は6倍も含まれてます。カリウムも身体に溜まった余分な水分を体の外に出してくれる働きもあります。
また、ビタミンA、C、B1、B2も豊富なので、こちらも、疲労回復にはとても有効です。また、これらビタミン類は、紫外線の強い夏場にお肌を守るためにとても重要な役割を担っており、是非取り入れておきたい栄養素です。
 
そして梅は、代表的なアルカリ性食品です。近年、私たちが口にする食品は、野菜や海藻を中心とした和食から、インスタント食品や加工食品、パンや肉など洋食中心の食生活へと変わってきています。これらは「酸性食品」と呼ばれており、私たちの体を流れる体液を酸性化してしまいます。酸性化された体液は、排泄障害や、内臓機能低下などを起こす原因となることが近年の研究でわかっており、人間の体が健康であるためには、体液が弱アルカリ性に保たれている必要があるとされています。梅干しは、酸性に傾いた体液を中和し、弱アルカリ性に傾けてくれる助けをしてくれます

タイトルなし
タイトルなし / tamakisono

中医学から見た梅の力

梅の東洋医学的効能は、唾液を分泌し、口の渇きを止め、肺の機能を回復させて空咳を鎮め、腸の機能を回復させて下痢を止め、虫下しをしてくれます。寒熱はで、冷え症でもほてりの方も食べられます。酸味には収斂作用といって、出過ぎる汗を抑えてくれる力がある反面、寒気を伴うカゼを引いたときなどは、汗を抑えてしまい、治りにくくしてしまいますので、汗をかきにくい方で寒気を伴うカゼを引いた時は、梅干しよりも、ショウガやネギを食べるようにしましょう。

また、梅を焼いて炭にして、すり潰して患部に張りつけることで、傷口の回復が良くなるほか、様々な止血作用があると古典には書かれています。

梅干し umeboshi
梅干し umeboshi / ume-y

梅は、胃腸への刺激がなかなか強い食材でもありますので、夏場、冷たいものを摂りすぎた時や、冷え症の方、小児では控えめに食べるようにしましょう。また、梅の殺菌作用は、生のままより、梅酒や梅干しにするほうが優れています。しかし、梅干しは塩分が多いので高血圧の方は1日2個までにしておいてくださいね。
夏場の食欲低下時、私がおすすめしたいのは、お粥と梅干しです。お米を炊いて多めの水分で薄く延ばしたお粥に梅干しを加えると、それだけで夏場の潤い補給にはもってこいの食事が出来上がります。お米の糖質が体のエネルギーになり、梅干しの塩分が汗で失うミネラルを補給し、酸味が潤いを生んでくれます。また、クエン酸も豊富で、夏バテの予防や、疲労回復にも効果的です。是非、夏バテ時には、冷たい素麺より、温かいお粥と梅干しを思い出してくださいね。

2014/06/04

イスクラ薬局の運営会社情報

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