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夏こそ甘酒!

毎日毎日ほんとに熱いですね。今週になって落ち着くと思っていたのに、まったくそんな気配はなく、来週もまだ暑いようですね。
こんにちは、櫻井です。
そんな暑さの中、都内での熱中症の死者はなんと100人を超えたそうですね。エアコンの使用や、こまめな水分補給が大切ですが、スポーツドリンクは甘すぎて、逆にほんとに体に良いのか心配になりますので、今年の夏の水分補給や夏バテ防止には、「甘酒」をお勧めしたいと思います。
 

出典:wakaba.jugem.cc

甘酒はブドウ糖、必須アミノ酸、パントテン酸、ビタミンB1、B2、B6、ビオチミンや腸内乳酸菌のエサとなるオリゴ糖や、食物繊維などを含み、「のむ点滴」と言われているぐらい実はとっても栄養豊富で、熱中症対策の水分補給にも最適といえるほどの飲み物です。甘酒は初詣の出店っというイメージが(私は)ありますが、冬は温めて、夏は冷やしてと、昔は一年中飲まれていたんだそうです。
 

江戸時代の甘酒売り

といっても、この時期に甘酒ってあまり見かけないですよね。でもご心配なく。甘酒は家庭で簡単に作れます。自家製の甘酒なら、お砂糖を足さずに、麹が作り出す自然な甘みで、アルコールもほとんど入っていませんし、しかも自然酵素がたっぷりな最強の飲み物が出来上がります。 甘酒の作り方さえマスターすれば、高価な酵素ジュースなんて必要なくなるかもしれませんね。しかも超簡単につくれるなんて言うことなしですね。
 

では材料です。

1.  お茶碗半分ぐらいのご飯
2. おかゆを造るための水少々
3. 100gの麹
以上。
たったこれだけです。これでもそこそこの量がつくれます。一人なら十分です。麹は良いものでも1kg1000円ぐらいなので、素晴らしいコスパです。
道具は炊飯器と一応ほこりが入らないためのふきんのみ。
ただ、一つだけ難点なのは、出来上がるまでに10時間ぐらいかかる事でしょうか。そのあいだ炊飯器を占領してしまいますが、それでも寝る前にしこんでおけば、朝起きた時には出来上がっています。
 

 

それでは作り方です

 
1. まずお茶碗半分ぐらいのご飯で、どろどろのおかゆをつくります。
2. 100gの麹をボロボロにほぐして入れます。この時手で麹をつぶさないよう、両手をすりあわすようにほぐしながら入れます。
3. できたおかゆを60度ぐらいに冷まします。水温計があれば便利ですが、無ければ、手の甲で触ってみて5秒ぐらい我慢できる熱さが大体60度です。急いでいるときは少しお水をたしても構いません。
4. おかゆを湯煎します。「保温」にした炊飯器に、60度のお湯を入れ、そこにおかゆが入るにちょうど良い器をいれます。もし途中でかき混ぜることが出来るなら、湯煎しなくてよいので、直接炊飯器に上記3のおかゆをいれてください。
5. 炊飯器に入れた器の中に良くかき混ぜた3のおかゆを入れます。直接入れるときも良くかき混ぜてから入れます。
6. あとは炊飯器にほこりよけのふきんをかぶせて放置するだけです。直接入れた場合は、たまにかき混ぜて温度を均一にしてください。炊飯器のふたはきっちり閉めないようにしてください。
後は10時間発酵されば出来上がりです。基本はおかゆをつくって麹と混ぜて、保温しながら放置です。これだけでできます。簡単ですよね!
 

 
つくった甘酒はそのまま飲むのはもちろんのこと、タッパーに入れて冷蔵庫へ。1週間は保存できます。それ以上は小分けして冷凍庫へ入れておけばさらに長期間保存できます。食べるたびに解凍してください。我が家では製氷皿に入れて冷凍庫保存か、ジップロックに入れて凍らせています。冷えが気になる人はちょこっと生姜をいれてもおいしいですし、甘みがもう少し欲しいなら、黒砂糖をいれても良いでしょう。夏場は冷たくして飲むととってもおいしいです。二日酔いにもおススメです。
 
中医学的にみても、米は粳米(こうべい)といって、れっきとした生薬です。補気健脾の力があり、エネルギーを補い、胃腸の働きをよくします。また心を落ち着かせる力もあるとされています。麹は神麹(しんきく)といってこちらも生薬として使われています。消食行気・健脾止瀉といって、消化を良くして、下痢を止める胃腸薬として使われています。消化酵素もたっぷりです。
 
今年の暑い夏は甘酒で乗り切ってみてはいかがでしょうか???
 
 

2013/08/16

おぼんとお刺身とつま ~優れた日本食の知恵~

今日はお盆ですね。ここ六本木はいつもより人通りが少なく感じられます。お盆に六本木には余りいかないですよね。Uターンラッシュもそろそろピークを迎えるころでしょうか。お盆に実家に帰るのはとっても大変ですが、やはり実家は良いものですよね。懐かしい友人や親せき、家族が集まっての食事は楽しいものです。今日はそんなみんなが集まった時の定番、お刺身のお話をしたいと思います。
 

 
今日は「お刺身の日」だそうです。
「1448(文安5)年、刺身が初めて文書に登場した。室町時代後期の書記官・中原康冨の文安5年のこの日の日記に鯛なら鯛とわかるやうにその魚のひれを刺しておくので刺し身、つまり「さしみなます」の名の起りとあり、これが初めて文書に登場する刺身に関する記録とされている。」そうです。下してしまったら何かわからないのでひれを刺しておくから『刺身』ですか。まぁ、私なんかはひれを刺されたところで結局何の魚かわかる気はしませんが、とにかくそういうことらしいです。
 
余談ですが、お刺身は別名、「お造り」とも言いますね。この「お造り」の「お」は女房言葉と言って、元々は、室町時代のころから宮中に使える女性たちが丁寧な言葉にするために使った言葉が原点だそうです。その他にも、お惣菜の数をそろえるというところからきた「おかず」、「おにぎり」や「おいしい」の「お」もそうなんだそうです。
 
お刺身と言えば、細く切った大根、わさび、菊の花、そして紫蘇などのつまと一緒に盛られているのが定番ですよね。

画像:wikipedia

 
その「つま」ですが、ただの飾りと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとちゃんと意味があるんです。
 
大根には、糖やタンパク質、脂質を分解する酵素がたくさん含まれていて、消化を助けてくれる働きがあります。さらに殺菌作用もあり、痛みやすいお刺身には最高のつまと言えます。中医学的に見ても大根は、消食化痰:消化促進して胃を助ける働きや、下気寛中:お腹の気を緩めて下におろす働きがあり、刺身にはぴったりの食材と言えます。
紫蘇は、防腐作用が非常に高く、殺菌作用も併せ持っているので、食中毒対策には欠かせない食材です。中医学的にみても、解毒:魚介類の解毒の力があり、行気和中:お腹の緊張を取り胃腸を動きやすくする働きもあるとされていますので、こちらも刺身にぴったりの食材です。ちなみ紫蘇は性味は温で辛ですので、冷たいお刺身の胃腸へのダメージを緩和してくれます。
ワサビ古くから殺菌効果や抗菌効果に優れた食材とされ、食中毒や O-157、 また腸炎ビブリオ、ブドウ球菌に対しても強力な殺菌力をもっているとされています。中医学的にみても、温中:お腹を温める働き、殺魚毒と刺身のためにあるようなものですね。
そして菊の花。これこそ単なる飾りだと思ってらっしゃる方は多いのではないでしょうか。菊にももちろん殺菌作用があります。中医学でもその清熱効果(炎症などの熱をとる、イライラを鎮静する)や、解毒作用などから、皮膚病から心身の不調まで様々な症状に使われています。
 

 
現代では冷蔵・冷凍の技術があるので、お刺身をいつでも美味しく食べられますが、本来、刺身や肉のようなタンパク質というのはとても痛みやすく、とくにこんなに暑い季節じゃ、現代の技術がなければ食中毒まっしぐらです。昔の人はどうにかしておいしい刺身を食べようと試行錯誤したんでしょうね。ワサビや菊に殺菌作用があるとは考えなかったでしょうが、これと一緒に食べると腹が痛くならない!っていうのは、知恵となり、そして食文化となり、今日まで受け継がれてきたのでしょう。今となっては、プラスチックのものに変わってたりして、「飾り」の面が大きくなってしまいましたが、刺身の紫蘇や大根しかり、すしのガリしかり、食中毒予防と消化促進のため是非一緒に食べてほしい食材たちです。
 
中医学的にみても、お刺身などの「冷たいもの」というのは総じて胃腸を傷つけますので、温めるもの、温かいものと一緒に食べるのが胃腸の負担も軽くなり、おすすめです。お刺身とつま、そして味噌汁やお茶、こう考えてみると日本食は知恵の塊ですね。和食の姿かたちや調理法には、先人の知恵が詰まっており、無駄がありません。せっかく作り上げてくれた「健康の教え」をまるごといただきたいものです。
 
さぁ、今日は何を食べようかな。。
 

2013/08/15

健康と子宝と家族について

帰省ラッシュは今日あたりからピークを迎えるようですね。どこへ行っても激混みなのはわかっていても、おじいちゃやおばあちゃんに孫の顔を見せるにも、実家に帰って久々に親に甘えるのにも、もちろんお墓参りをするにも、この時しかまとまった休みが取れないので分っていても、行くしかないんですよね。おかげで首都圏では電車も道もずいぶんと空いており、いつも満員電車や満員バスに悩まされる身としては、うれしいホリデーシーズンを感じております。この時期は特に暑いので、少しでも余裕のある空間はうれしいものです。ということで(?)こんにちは、櫻井です。
 

 

12年前の今日、1991年8月14日は、総務庁が1世帯あたりの人数が初めて3人を下ったと発表した日だそうです。

親子3名、またはそれ以下の核家族では、親が子をみる負担の増加、祖父母の不在での子供の感情的逃げ口がなかったり、親も子守りの負担を減らすことができなかったり、伝統や文化の存続への問題が感じられますね。 私の家でも、かつておばあちゃんが元気で一緒に暮らしていたときは、父におこられたときはおばあちゃんが慰めてくれていました。盆暮れ正月の行事や、神棚へのお供えや挨拶、地域の祭りや文化行事への参加なども、おばあちゃんが率先して、父がそれを習って行っていました。暮らしはいつも文化と伝統とともにあった気がします。
正月は羽織袴を着た父への年始のあいさつから始まり、仏壇、神棚への挨拶。お神酒に口を付けて、母がつくったおせち料理とお雑煮を食べて、初詣に行くのが恒例でしたが、おばあちゃんが亡くなり、私たち家族だけで住むようになってからは、簡素に初詣だけになってしまいました。食事もおばあちゃんが作っていた和食中心のものより、子供が食べたがる洋食中心になっていきました。文化によって支えられた日本人らしさの一面は薄くなってしまったかもしれません。時代とともに変わっていくというのは仕方がないことですが、すこし寂しいものも感じます。
 

 
少子化が世間で大きく報じられ始めたのもこのころでしょうか。昔のようにすぐに結婚を選ぶ女性が少なくなったことや、女性の社会進出も増え、経済的自立が確立できたことも一つの要因でしょう。子供を望まない夫婦も増えているようです。しかし、漢方薬局で働いているとなかなかそうは思えないほど、お子さんを欲しいと熱望されるご夫婦がたくさんいらっしゃいます。
晩婚化の波の中、女性の平均出産年齢は、2008年の人口動態調査では29.5歳になりました。2002年の調査では28.3歳でしたので、わずか6年で1歳以上アップしているところを見ると、今はもっと上がっているはずです。中医学的に見ると、女性の身体は7の倍数で変化し、28歳で成熟を迎え35歳から性機能や生殖機能が低下すると考えてるので、29.5歳は子供を産む適齢期といえます。しかし現実的には女性の社会進出やキャリア化、景気の低下など様々な問題から、そう思うようにはいきません。 そこで中医学の考えや知恵を参考にして、適齢期をすぎた妊娠もしっかり維持できてちゃんと出産できる体に備えること、そして妊娠出産がなくても、いつまでも健康で働き、暮らしていけることに備えておくことが大切だと感じています。
 

 

子宝も備えあれば憂いなし・・・

女性の健康に関して中医学的視点から気を付けていただきたいことの第一には冷えです。特に下半身の冷えに気をつけ、子宮、卵巣、輸卵管など直接妊娠に関わる重要な器官が収まっている骨盤に冷えが溜まらないように注意することが大切です。冷えると血流が悪くなり、栄養供給や老廃物の排出も悪くなります。 そのためには、日ごろから冷えに気を付けた服装を心がけること。靴下を着用する、羽織るものを持っておく、温かい食べ物・野菜を沢山を食べる、冷たい食べ物サラダ、ヨーグルト、アイスクリームなどを控えるなどが考えられます。
 
つぎに血流を良くすること下腹部や太ももの付根あたりが硬く感じられる場合、その原因を、中医学では、血の流れが悪くなっているせいと考えます。血流が悪くなると、月経の遅れや、つらい生理痛、月経血の塊、経血の色がどす黒い、粘りがある、月経中に頭痛や肩こりが起きるなど、月経にまつわる不調が多く見られます。また、舌に青紫や赤紫、あるいはどす黒い斑点があったり、目の周りや唇の黒ずみ、舌の裏の静脈が紫色の腫れているなどの症状も見られます。このように血の流れが悪い状態を血瘀(けつお)といいます。血瘀の原因は、冷えやストレス、食事なども血瘀状態の原因となります。洋食を控えて、野菜中心の和食を食べる、冷やさないこと(薄着に気を付ける、冷たいものをとらない、靴下を穿くなど)、体と心に優しいストレス発散を一つでも多く見つける、化学薬品を使いすぎないことも大切です
 
そして、月経不順を放っておかない。月経不順とは、月経周期が一定ではないことです。通常の月経は25~35日程度が正常範囲とされていますが、中医学では周期の長さより変化を重視します。周期が26±2日だった人が、32日前後になった場合、たとえそれが正常な範囲内でも、中医学的にみると何か問題があった、もしくは、本格的な病の前兆と考える場合もあります。その段階で処置できれば病に対して大きな先手を打つことが出来ます。その他、低体温と高体温の差がはっきりしなかったり、ギザギザしていたり、高温期が短い、低温期が高いなども月経の不調、病の予兆としてとらえ、積極的な防御策を打つようにします。そういった予兆を放っておくと、不妊につなることも十分あり得ます。
 
もう一点、実際に子宝でお悩みを伺っていると多いのが、ピルの多用です。ピルを飲んでいてもまったく問題ない、やめればいつでももとの生理の状態に戻ると考え、安易にピルを長期間使っていらっしゃる方にも、子宝のトラブルは多く見られます。中医学的には、血の流れを悪くし、熱をこもらせ、潤いを消耗するので、ピルの長期間の連用は妊娠に悪影響を与えます。アドバイスとしては、生理痛はや内膜症はピルに頼りきらないこと。そしてピルを何年も使い続けないようにすることなどをお勧めします。
 
その他、若い人に多く見られるのは、過激なダイエットによって生理が止まってしまうことです。これは多膿疱性卵巣症候群などの原因にもなりかねませんし、何年たっても悪影響を残しますので、こちらも十分に注意してください。
 

 
お子さんは欲しいからできるものではありません。じゃあそろそろ子供をつくろうと思ったときには、体は答えられなくなっているかもしれません。そうならないために若いうちから出来ることは沢山あります。そして、年齢に限らずできることは今からでも始めてみてくださいね。
 
今回は詳しく書きませんでしたが、不妊は女性だけの問題ではありません。男性も若いうちからのたばこやお酒、睡眠不足や食事の偏食などは大きく影響します。近年、精子の運動率の低下、奇形率も増加傾向にあります。精子は熱に弱いので、サウナや暑いお風呂を避けて、偏食に注意してください。お酒を毎日飲む方は、減らすか、子宝を頑張る間はできればやめてください。なんてったって赤ちゃんを授かるチャンスは年に10~14回しかありません。せめて月経期から排卵期までの2週間は特に気を付けて体調を万全に整えるようにしましょう。

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2013/08/14

病気と食 【木をみて森を見ず】「脚気」の根治からみる食と医療のありかた

こんにちは、櫻井です。連日暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
世間ではもうお盆休み・夏休みに入った方もいらっしゃいますね。電車に乗っている人たちがいつもの会社勤めの方々とは違い、家族連れや、お子さんの姿も目立つようになりました。学生のころの夏休みに対するあのわくわく感はすごかったなぁ、、なんて考えながら出勤しました。とにかく水に入りたいです。
今日は【太平洋横断記念日】だそうです。 1962年、堀江謙一が小型ヨット「マーメイド号」で太平洋単独横断に成功し、サンフランシスコに到着したのが今日、8月12日だったようです。
 

 
長期航海は命を懸けたチャレンジだった
ところで、その昔、長期航海でよく問題になる病気というのがありました。それはビタミンCの不足による壊血病です。当時、新鮮なかんきつ類を常に入手する手段がなかったために、船員の多くがビタミンC欠乏症に悩まされていました。当時は、ビタミンというもの自体が発見されていなかったので、原因不明の奇病とかんがえられていたようです。そして日本でも、同じくビタミンの不足病気が大きな問題になっている時期がありました。
それは現代ではあまり聞かなくなりましたが「脚気(かっけ)」という病気です。脚気がどんな病気かは知らなくても、膝の皿のちょっと下あたりを木槌などでたたいて反応を見る、脚気の検査をご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今ではその原因はビタミンB1不足というのが分っていますが、当時はまだ「ビタミン」というものも発見されておらず、原因不明の病であったようです。脚気は、栄養失調の一種で、初めのうちは足にむくみが見られ、症状が進むと動悸や視力低下などを起こして、ついには心臓麻痺を起して死に至る、当時ではとても怖い病気でした。
 

日本での脚気との戦い
日本で脚気は、白米が食べられ始めた江戸時代からみられるようになり、明治になり一気に増加します。脚気は、白米食がすすめられた兵隊さんに多くみられ、富国強兵策をとっていた当時の日本では大きな問題とされていました。当時の資料を見てみると、明治11年頃の海軍では、総数約4500人の内、年間に30人ぐらいの若い命が脚気で失われていたそうです。
そこで、軍の上層部、そして日本の医療界はこの問題を解決すべく当時の叡智を集め研究を始めました。
海軍は、英国セント・トーマス医学校を首席で卒業した高木兼寛を中心として、脚気撲滅の研究を始めます。高木はヨーロッパでは脚気がまったく見られないことと、日本船舶も海外滞在中には脚気症状がみられないところなどから、これは洋食と和食になにか違いがあるのだろうとして研究を始めました。研究の結果、その差は「窒素分」の違いであると結論付けました。そこで、海軍は白米と野菜主体の食事から、パンと肉主体の食事に切り替えます。そうすると、開始1年で死者数はなんと半減したのです。しかしその後、洋食にすることで膨大に増えてしまう予算の問題や、兵士の嗜好の問題もあり、苦肉の策でパンと同じ麦を使っている麦飯へと変更したところ、海軍では、脚気を撲滅するに至ります。
 

 
細菌説が捨てられず被害が拡大した陸軍
時を同じくして、陸軍でも同じく脚気の問題に頭を抱えておりました。陸軍は、森鴎外大先生が中心となっていた、ドイツ式細菌学が中心で、学理を重視する医学が主流だったので、脚気の原因を栄養失調ではなく、「脚気菌」であるとの仮説をたて、その発見に研究を進めましたが、結果は推して知るべし。脚気患者もそれによる死者もまったく減らないどころか増え続け、とりあえずの策で、兵営の環境改善、食事の栄養改善や転地療法などで対処していたようですが、勿論それらも効果を出せずにいました。結果、脚気による陸軍への被害は拡大し続けました。
それでも陸軍の上層部は、高木の栄養失調説を全く受け入れる様子はありませんでした。しかし大阪で、囚人には脚気が少ないことに着目した堀内利国一等軍医正などが、試験的に麦飯を導入したところ、瞬く間に脚気患者を減らすことに成功しました。その結果をもとに、そして、上層部の見解とは別に、陸軍でもやっと麦飯を導入することで脚気を減らすことに成功します。しかし、その後の日清戦争では、陸軍は中央から配給される白米を食べ続けた結果、海軍の脚気による死者はゼロに対し、戦死者453名に対して 脚気による死者4064名という惨憺たる結果をだしてしまうことになります。それでも陸軍上層部や、東大を中心とした医学界は、細菌説を捨てられず、というか、高木の栄養失調説を受け入れられず、被害が拡大していきました。
 
民間では、その後、ビタミンが発見されてからもなかなか脚気が減ることはなかったのですが、昭和15年に制定された国家総動員法の物、精米が制限され、玄米食が普及するようになって、やっと減少していきました。
 

 
細菌学が中心だったドイツ医学と、生活習慣との関係で考える、統計的な手法をとっていた疫学が中心だったイギリス医学、その違いが大きく結果を変えることになりました。私は今も、この論争の流れがつづいているような気がしてなりません。多くの病気は、菌を退治したり、弱った部位を取り除いたり、薬で治すものではなく、生活習慣や食習慣を変えることで、予防できるものではないでしょうか。
現代では、ビタミン不足で病気になることは少なくなりましたが、飽食・過食など、食べ過ぎや栄養の偏りによる生活習慣病が蔓延しています。食習慣と病気の関係から健康について考えた高木氏に見習い、私たちもまずは日ごろの生活習慣から健康を考えていきたいですね。
毎月12日は【パンの日】だそうですが、ここは日本食の良さを再確認するためにも、同じく毎月12日に制定されている、【豆腐の日】をお勧めしたいとおもいます。
 

2013/08/12

夏・夏・夏 夏の中医養生

こんにちは。櫻井です
今日8月10日は【健康ハートの日】だそうです。
夏の間に心と体のチェックをして、心臓病の多発する冬に備える日として、1985(昭和60年)年に、日本心臓財団と厚生省(当時)が制定したそうです。冬は寒さで血流が悪くなりがちなので、心筋梗塞や心疾患が増えます。そうならないためにもしっかり夏から対策しておこうという日だそうです。
 

 

中医学で夏は、、、

すべてのものが成長し、緑は豊かになり、花も咲き乱れる季節です。陽気が一年で一番盛んになり、ジリジリと太陽の熱が照りつけます。五行説で言うと夏は心と火の季節。火にはとても散りやすく、発散しやすいという特徴があり、火が散ってしまうと、心は力を蓄えたり、自らを守ったりすることができずに、傷つきやすくなってしまいます。
 

夏は、心の気と血不足からくる心の病に注意

暑いと体温調節のために汗をかきますが、多量の発汗は体内の潤いを減らします。この潤いは血の重要な成分の一つなので、発汗は血液を消耗するのと同じようなものと中医学では考え、“血汗同源”と言います。水分を消耗すると、血液がどろどろしていくだけでなく、血管が弛緩して血圧が低くなり、さらにエネルギーも消耗するので、心臓の負担が上がります。血流がわるくなり、血栓ができやすくなります。冬に循環器痿系の疾患が現れやすくなるというのも事実ですが、夏の真っ盛りにも同じく循環器系トラブルは現れやすい環境が整っており、注意が必要です。
 

 

夏の養生では、、

暑さを必要以上に恐れず、汗をかくことです。汗をかかずにいると、熱が逃げずにこもってしまい、体調を崩しまいます。夏の暑さは単に暑いだけでなく、湿度も高く、蒸し暑い状態ですので、汗をかいているからと言って水分を過剰にとってしまうと、かえって体は重だるくなってしまいます。冷房で冷やされ過ぎたり、冷たいものの摂りすぎもやはりよくありません。やはりだるさにつながります。冷たい物とは、氷入りの水、冷蔵庫から出したばかりの麦茶、お刺身、サラダ、素麺なんかも冷たいものと認識されます。火照った体には心地よいですが摂りすぎに注意です。
夏に実りが悪いと、秋冬の蓄えが心もとなくなるように、夏にしっかり養生しておかないと、秋冬で冷えたり、カゼをひきやすくなったりするので注意が必要です。気持ちの上でも、暑さもあり、かっかしがちですが、心を穏やかに保つようにしましょう
日陰や川辺などで適度に汗をかくこと、日に一度は太陽の光をあび陽気を取りれること、冷たいものを控え、温かいものを摂り、内臓も温かく保つこと、気持ちを穏やかに保つことが大切ですね。
 

おすすめ食材

苦い味には熱を摂る力があるとされています。野菜は全般的に涼の性質ですので、ニガウリは夏に最適の食材です。その他、キュウリ、スイカ、冬瓜などの売り系の野菜や、トマト、ナス、大根、カブ、ズッキーニ(ウリ科かな?)などもいいですね。葉野菜もおすすめ。果物では梨、パパイヤ、マンゴー、メロン、スイカなどは良いですね。旬のものは間違いないです。
 
今日は全国で今年一番の猛暑日となりました。こんな日は無理せずできるだけ外出は控え、ゆっくりリラックスして過ごしたいものですね。

 

2013/08/10

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売