イスクラ薬局(東京)

ブログ日記 | イスクラ薬局 六本木店BLOG

ブログ日記BLOG

季節の薬膳・養生法 の記事一覧

痰湿タイプの冬の養生

こんにちは。櫻井です。今日はまたまたTwitter(@IskraRoppongi)に寄せられたご質問から「痰湿体質の人の冬対策」について書いてみたいと思います。
 

 

「痰湿体質」とは

痰湿体質(たんしつたいしつ)新陳代謝が悪く、余分な水分が溜まりやすい方に多く見られます。溜まった老廃物である「痰湿」が外に出ようとするため、ニキビや吹き出物、痰、おりものの増加、肥満、または水太り、だるさ、吐き気、めまい、むくみなどの症状がみられます。西洋医学的に見ると、高脂血症、糖尿病、肥満の予備軍だったり、現在そういった疾患にかかっている場合もこのタイプになります。痰湿タイプには、熱がこもる熱タイプと、冷えがある寒タイプがありますが、どちらのタイプも基本的な対策は、「利水」。水分代謝を良くすることです。痰湿体質の方の舌は黄色や白の苔で覆われています。一般的に白い苔は冷えタイプ、黄色い苔は熱タイプと言われています。



 

食養生のポイント

食物繊維に富んだ雑穀類、玄米などの穀物類や、海藻類、根菜類(蒟蒻を含む)などを良く噛んで積極的に摂り、甘味(砂糖ではない自然な甘み**果物も注意)・辛味・鹹味(塩辛い・海藻や海産物)味を基本として、寒熱の偏りの少ない平性の食材を選びましょう。冷えタイプには温性、熱がこもるタイプには涼性・寒性を追加することも大切です。そして、すべてのものを食べすぎない、飲みすぎないようにしましょう。溜まってしまっている老廃物である痰湿を掃除するには、食物繊維が欠かせません。食物繊維は消化液や酵素でも消化されにくく、腸内で老廃物や水分を吸収し、からめ取りながら便として体外に排出する力があります。食物繊維には体内を掃除する働きがあるので、痰湿タイプにはぴったりです。
痰湿体質の方は、早食いや、大量に水分や食事をとってしまう方が多いようです。大量に摂った飲食物は、胃腸が健全に消化吸収できる許容範囲を超えてしまい、胃腸を疲れさせ、「必要なものと、不必要なものを分ける」という能力を低下させてしまいます。そうなると、不必要な水分や老廃物である「痰湿」が溜まっていきます。もしあまり食欲がないのに、お昼だからとか、朝だからとか、習慣的に食べてしまっているようなら、それも痰湿を溜めこむ原因となっています。食欲がないというのは、胃腸が疲れているというサインです。消化に良いものにする、一食抜くなどを試してみてください。
 

良く噛んで食べること

食事を良く噛んで食べると、血糖値が徐々に上げいくことができ、脳内の満腹中枢が刺激されて過度に食べ過ぎてしまわないようにストップがかかります(満腹感を感じます)。食べ始めてから満腹中枢が動き出すまで大体20分程度と言われているので、最低20分ぐらいかけて食事をゆっくりとることがとても大切です。かき込むように食べると、このセンサーが働く前に食べ物を胃腸に詰め込んでしまうので、本来の許容量以上に食べて過ぎてしまいます。食べ過ぎの方はゆっくり食べることが大切です。そして、汁物と一緒にご飯を食べないようにするのも大切です。汁物と一緒にたべるとどうしても噛み終わるまえに飲み込んでしまうからです。良く噛むことは、それだけで胃腸の仕事を一つ減らせます。口はとても大切な消化器官の一つだと考えてください。噛むことから消化は始まっています。汁物は、先に摂ることをお勧めします。そうすることで、胃腸が水分で満たされ、もう一つの満腹中枢センサーである胃のふくらみ刺激がつたわるので、食べ過ぎを防止できます。
 

症状別おすすめ食材

むくみや水太りの人は、利尿作用を強化する、緑豆、春雨、冬瓜、ハトムギなどがおすすめです。
中性脂肪やコレステロールの高い方は、タンパク質の摂取としては肉や卵より、いわし、さんま、さばなどの青魚をお勧めします。EDA、DHAなどが悪玉コレステロールや中性脂肪を減らし、動脈硬化を改善します。
普段のお茶には、ウーロン茶、プーアル茶、ハトムギ茶、杜仲茶、ドクダミ茶、五行草茶などが体内の老廃物を取りのぞく働きがあり、食後に温かくしてのむようにしましょう。冷たいものは胃腸機能を低下させ、逆効果になるので要注意です。体が冷えやすい人は特に注意しましょう。
 

避けてほしいのは、

肉の脂身などの動物性の脂肪
チョコレートや生クリームなどの砂糖を(たくさん)使った甘いもの
果物や炭酸飲料の摂りすぎ
お酒の飲みすぎ、たばこの吸い過ぎなどです。


Icecream beauty / Ari Helminen

脂肪分が多く、冷たいアイスは避けて!!

おすすめ食材は、

緑豆もやし、緑豆はるさめ、さんざし、玄米、昆布・わかめ・のり、ひじきなどの海藻類、あさり、しじみなどの貝類サバ、あじ、いわし、さんまなどの青魚、にんじん、かぶ、ごぼう、大根などの根菜類、シイタケ、エノキタケ、マツタケ、マッシュルームなどのキノコ類、小松菜、青梗菜などの葉物野菜なども良いでしょう。
上記の食材は、寒性・涼性は青温性は赤平性は緑で書いてあります。熱がこもりやすい方は、涼性・寒性の食材を取りれてください。冷えを感じる方は温性の食材を積極的に食べるようにすると良いでしょう。
 
 
ご質問は「痰湿タイプの冬対策」ということですが、冬というのは、基本的に温存の季節です。身体はどうしても溜めこもうとします。なので、普段以上に食に気を使うことが大切だと言えます。そして冷たいものは絶対に摂らないこと。熱がこもりやすい場合も、冷たい飲食をとるのではなく、食材が持つ力を利用して熱をとるようにしましょう。氷の入った飲みもの、冷たいサラダ、フルーツ、アイスクリームなどは胃腸機能を低下させてしまい、痰湿を溜まりやすくするので、季節に問わずさけたほうが良いでしょう。痰湿は一度溜まってしまうと、なかなか排泄できません。そして、溜まってしまった痰湿は、食物の栄養吸収を邪魔するだけでなく、厄介な症状とも関連しています。中医学のなかには、「わけのわからない症状は大体痰のしわざ」という考えもあるぐらいです。胃腸の消化吸収を邪魔する痰湿はもちろん漢方薬の吸収率も低下させますので、普段の食養生がとても重要になります。食物繊維たっぷりで、動物性の脂肪の少ない温かい食事をしっかり噛んでたべるのをお忘れなく。
 

2013/11/18

「こたつでみかん」はほてりに注意!「みかん」のお話

こんにちは。櫻井です。今日はツイッターでリクエストがあった、「みかん」のお話をしたいと思います。
 
私たちが良く知っている「温州ミカン」はその「温州」という名前から、中国のかんきつの名産地「温州」連想されますが、「温州」とは、名産地にあやかってつけられたもので、中国の原産ではなく、400年ほど前に中国から輸入した「橘」もしくは「小みかん」が、突然変異したものと考えられています。「温州みかん」の原産地は「日本の鹿児島」です。みかんの名前の由来は、中国から輸入された「橘」もしくは「小みかん」が、日本に元々あったかんきつ類より甘かったので「蜜柑」とよばれ「みっかん」と言われていたものが変化したそうです。
 


Mikan picking みかん狩り_06 / nAok0

日本で「みかん」として初めに広まったのは種の多い「紀州みかん」です。これは元々、中国から輸入された「小みかん」を日本で栽培したもの。それを15-16世紀ごろに紀州藩が力を入れて一大産業にしたことから、「紀州みかん」と呼ばれるようになったそうです。そのころ温州ミカンは、その「種が少ない」という特徴を、武士の時代では縁起が悪いとされてあまり広まらなかったそうです。江戸時代後期からその利便性や甘味が重宝され、徐々に広まっていきますが、本格的に温州ミカンが紀州みかんにとって代わってくるのは明治27年頃だそうです。温州ミカンには、その収穫時期により、極早生温州(9月から10月)、早生温州(10月から12月)、中生温州(11月から12月)、普通温州(11月下旬から12月)などがあるようです。


3283 / sakura_chihaya+

 

ビタミンCの話

温州みかんはとにかくビタミンCが豊富。ビタミンCの力はみなさんご存知のとおり、コラーゲンを合成し皮膚や粘膜、血管などの弾力保持、抗ストレス作用を持つ副腎皮質ホルモンの合成を促進、色素沈着の元、メラニン色素の合成を抑え、シミを抑えるなどの働きをしています。 ちなみにビタミンCの一日の推奨摂取量は100mg(妊婦は+10㎎、授乳中は+40㎎)。これを下回る食事を60~90日続けると、出血性の欠乏症状が出てくるとされています。さらに一日2.5㎎のビタミンC摂取を下回る状態が3年続くと、老化が進行すると言われています。
それにしても1日100㎎って意外と少なく感じてしまいます。大体「レモン何個分!」なんてうたってるものには、1000mgぐらい入ってます。ちなみにレモン1個でビタミンCは約20㎎。100mg摂ろうと思うと、レモン約5個を毎日食べないといけません。その他、イチゴでとるとしたら約10個。ピーマンなら約4個。そしてパセリなら2束必要です。これだけの量を毎日食べるのは、ちょっと難しいですよね。さらにストレスが多い場合や、たばこを吸う方はビタミンCの消費が上がるので、それ以上に食べなくてはいけません。それを見積もると一日大体500㎎程度が適当ではないかと言われています。多く摂ったビタミンCは、尿と一緒に排泄されるので、たくさん食べて溜めることが出来ず、毎日摂取する必要があります。天然のビタミンCが良いか、合成ビタミンCでも良いのか、という論争はビタミンCに限らず様々な栄養素で言われていますが、実際にビタミンCを天然の食品で摂るのはなかなか難しいのでサプリ等をうまく活用してください。
ビタミンCの大量摂取による弊害は、一度に数g単位で食べると下痢を起こすことがあるとされていますが、それいがいは科学的に証明されていません。食物からとる以上、ビタミンCの大量摂取による害はほぼ無いと言えるでしょう。酸っぱい=ビタミンCが多いというわけではありません。セロリやさつまいも、小松菜、ホウレンソウなどにもビタミンCが入っていますが、酸っぱくはないですよね。
ちなみにサプリメントや野菜ジュースなどで摂るより、ビタミンC入りのガムをかんだ方が摂取量もスピードも早いことがわかっています。ストレスが多い方、たばこを吸う方などは、ビタミンC入りのガムをかむのもいいでしょうね。
 


mikan / みかん / Kanko*

大分話がそれましたが、温州ミカンに含まれるビタミンCの量は約32㎎100mg摂るには、4個程度。これで一日に必要な量は満たしていることになります。ストレスが多い時、たばこを吸う人などはもう少し食べてもよいですが、みかんだけに偏らず、ほかの食物からビタミンCをとるようにすることも大切です。温州みかんの果肉を覆ううすい皮には、便秘改善の力がある、水溶性の食物繊維、ペクチンが多く含まれているので、腸内のデトックス、便秘の改善にもおすすめです。さらにその皮と白いスジには、ヘスペリジンが含まれていて、熱からビタミンCをまもり、ビタミンCによるコラーゲンの生成を促進します。そのほか、消化器官や目によい成分や、βクリプトキサンチンという抗がん作用が注目される成分も含まれています。
 
 

中医学的に温州みかんを見てみると

温州みかん温性で、身体を温める力があるので、こたつに入ってのみかんの食べ過ぎはほてりの原因になり要注意です。みかんを中医学では、実だけでなく、タネ、皮、白いスジすべてを使います。特に皮は、洗って乾燥させたものを「陳皮」(ちんぴ)という生薬として使用します。陳皮は気血の巡りを促進し、胃痛・嘔吐・下痢の緩和、胸やけの改善、咳や痰を鎮め、胃を丈夫にする働きがあるとされています。ちなみに古い方が効能がすぐれているとされています。陳皮は温燥性をもっていて、温めて乾かします(その作用で胃を元気にし、痰をとります)ので、熱が強い場合、乾燥(陰虚)がある場合にはむいていません。エネルギーを巡らせる作用があるので、エネルギーの不足(気虚)には、エネルギー補給剤(補気剤)と一緒に使います。
陳皮はご家庭でも簡単に作れますが、残留農薬の心配があるので、無農薬のものを使うか、良く洗って湯通ししてから干してつくってください。
皮の内側の白い部分を橘白(きっぱく)、白い部分をとった皮を橘紅(きっこう)、白いスジを橘絡(きつらく)、種子を橘核(きっかく)、葉を橘葉(きつよう)、成熟前の青いみかんの皮を青皮(せいひ)などを、症状に応じて使い分けます(日本ではそこまで細分化した使い方はあまりされていません)。中医学の世界でみかんは文字通り捨てるところがありません。


温州みかん箱入りキター!さとこさん、ありがとう! / norio_nomura

 
日本でのみかん栽培は、グレープフルーツやオレンジなどの外国勢のかんきつ類がその販売数を伸ばす中、日米貿易摩擦や、後継者問題、かんきつ類の需要の多角化など様々な影響から、生産量は下降線をたどっているそうです。冬の代名詞、「炬燵にみかん」が無くなってしまわないように、日本産のミカンを食べましょう!

2013/11/11

「立冬」冬に備える中医的養生法

こんにちは。櫻井です。今日は朝から冷たい雨が降っていて、とても寒い日です。日に日に冬が勢力を増してきているのを感じます。今日11月7日は暦の上では「立冬」、もう冬です。「立」とは何かが始まるという意味で、「立冬」はまさに冬の始まりです。
 


美しい冬 / Ari Helminen

中医学で冬は、「閉蔵」といって、陰を溜めて陽を護る季節。いつもよりほんのすこし早く寝て、ほんの少し遅く起きるようにします。室温も暖かく保ち、しっかり厚着をするようにして、陽気が毛穴(腠理・そうり)から逃げ出さないようにしましょう。
冬は寒邪の季節。寒邪とは「冷え」です。寒邪は足腰や腎臓・膀胱系にまとわりついて、身体を中から外から冷やしてきます。寒邪から身を守るためには、しっかり陽気を養うこと。陽気は身体を温めるエネルギーなので、冷やさないことがとても大切です。家の外でも中でも防寒対策をしっかりして生活しましょう。そして、陽気を補う食べ物は、身体を温めるものです。調理法も生は避け、火を通して温かくして食べるようにしましょう。
 

身体を温める食べ物には、

薬味では、しょうが、ナツメグ、シナモン、八角(スターアニス)、フェンネルシード、唐辛子など
果物や木の実には、栗、クルミ、桃、サクランボなど
魚介などでは、鮭、ウナギ、エビなど
肉類は、羊肉、牛肉、鶏肉など
調味料は、酒、しょうゆ、黒砂糖など
飲み物は、紅茶など
注意)冷たいものはとにかく温めて食べましょう。日光を浴びることも大切です。
 
「頭寒足熱」と良く言いますが、冬場は足も頭も冷やしてはいけません。お出かけの際は帽子をかぶってくださいね。その他冷やしてはいけない部位に、臍、関節があります。「臍を冷やすな」というのは、勿論、冬場にヘソ出しルックはやめておけという意味でもありますが、本来は「冷たいものを避ける」という意味です。臍を冷やしてしまうと内臓が冷え、腹痛や下痢ばかりか、身体が芯から冷えてしまい、女性では生理痛の悪化や、ひどいと不妊にもつながります。男性でも腰痛や体力の低下、食欲の低下なども見られるようになります。関節は冷やすと痛みが出てきたり、関節炎の原因となります。特に足首を冷やさに無いようにしましょう。寒い外から帰ってきたときには、足湯をするとよいでしょう。冬場に素足をさらして歩いているのは、自ら病気を呼び寄せてるようなものです。絶対にやめてください。
 

天気の良い日はお散歩も効果的 上野公園は気持ちが良かったですよ

 
冬は寒さと同時に、乾燥の季節でもあります。空気の乾燥は呼吸するだけで体内の潤いを奪います。私たちの体を守っている「粘膜」は、潤っていることで十分な効果を発揮します。体内の乾燥はほてりやのぼせ、目や口の乾燥、寝汗、そして血液中の水分も少なくなり、血液がドロドロになりやすくなります。潤いを補う食材も温める食材と一緒に摂るようにしましょう。
 

潤いを補う食材には

薬味では、黒ゴマ、白ゴマなど
穀類・豆類では、あわ、豆腐、もち米、ハトムギ、黒豆など
野菜では、トマト、黒きくらげ、白きくらげ、サトイモ、ユリ根、白菜、山芋など
果物では、梨、リンゴ、柿など
魚介や海藻では、カニ、エビ、牡蠣、昆布など
肉類では、豚肉や卵
調味料では、はちみつ、オリーブオイルなど
 
注意) 辛味が強いものは控えるようにしましょう。
 


夕暮れのボルダー貯水池 Boulder Reservoir / Yuya Sekiguchi

冬場は心も穏やかにして、体も心もゆったりすることが大切です。そして汗(潤い)とともに陽気が逃げてしまうので、激しいスポーツは避けましょう。もし汗をかいたら、素早くふき取るようにしましょう。

2013/11/07

世界初のファストフード。知恵が詰まった「寿司」のお話

こんにちは、櫻井です。今日は11月1日。月末月初は事務作業に追われるので、今日も気が付けばもう夕方になってしまってました。あわてて今日のネタさがしを、、、、、。   今日は「寿司の日」だそうなので、寿司のお話をしたいと思います。


寿司 #sushi / norio_nomura

寿司の起源

紀元前4世紀ごろの東南アジアで作られていた「なれずし」が起源と考えられています。なれずしは、米の中に塩味をつけた魚を漬けて発酵させた魚肉保存法です。内臓をとった魚を、この頃は主に川魚でした、米の中につけ半年から1年ほど熟成させ、米の発酵を利用することで保存性を高めた保存食が寿司の起源といわれていますが、このころはまだ魚だけを食べて、米は捨てていたようです。その後その方法は中国へ渡り、朝鮮半島を経て8世紀ごろ、奈良時代に日本へと伝わります。初めは同じようにフナやアユなどを米と一緒に付け込んだなれすしとして食べられていましたが、米が大好きな日本人は、魚だけでなく米も一緒に食べられる「生成すし」へと進化させます。それは大体鎌倉時代のころだったそうです。生成すしもまだナマズやアユ、フナなどの川魚が中心でしたが、これはつけてから10日ぐらいで食べられるものになります。その後、安土桃山時代ごろになると、「酢」が発明されたことにより、寿司に革命がおこります。酢飯と一緒にたべる、漬けない、「押しずし」が出現します。素材も川魚に変わり、鯛やサバなどの海の魚が使われるようになります。このころになって保存食であった寿司は料理へと変化していきます。


鮒寿司 / Yasuo Kida


小鯵押寿司 / yto

握りずしは世界で初めてのファストフード
その後はみなさんご存知の「にぎり寿司」の登場となります。元々は屋台で食べられていた、世界で初めてのファストフードです。せっかちな江戸っ子の気性にぴったりの、「握ってその場で食べる」という手軽さからとても人気を博したこのファストフードスタイルを考案したのは花屋興兵衛といわれています。「江戸前」という言葉はその言葉通り「江戸の前の海で取れた」ということですが、もともとは「江戸前」とは「鰻」のことを指していました。江戸城の前を干拓した湿地でたくさん鰻がとれたので、それをぶつ切りにして串に刺して焼いて屋台で売ったのが「江戸前の蒲焼」です。(鰻や蒲焼についてはこちらをご参照ください→土用の丑の日と鰻)その後、寿司人気が上がるにつれ、寿司にも「江戸前」という言葉が使われるようになりました。そして関東大震災で罹災した職人たちが全国に散らばったことで、寿司文化も拡散していったと言われています。
ところで、当時のお寿司は、おにぎりに刺身をのっけたような大きいものだったようで、一つ食べるとお腹いっぱいになる大きさだったようですよ。


鯵 / Jun Seita


築地玉寿司 大宮店 tama-sushi omiya (PowerShot S100) / Norio.NAKAYAMA

寿司で中医学してみましょう

寿司に使われているは、寒熱の偏りがない平性胃腸の働きを整え、イライラを和らげる力もあります。(詳しくはこちら→銀舎利もう一度見直したいお米の話
醤油寒性で、体にこもった余分な熱をとってくれます。のぼせて食欲がない時や、暑気あたりにもおすすめです。解毒作用もあるので、刺身にはぴったりですね。
そしてお酢は、温性で身体を温めてくれます。血をきれいにして、血行不良によるのぼせやほてり、肌荒れなどを改善する力があるとされています。中医学では「塩を少なく、酢は多く」(少塩多酢)という養生の基本があります。さらなる健康増進のためにはこれに加え、少糖多果(甘いものは少なく果物は多く)、少葷多素(肉は少なく野菜は多く)、少食多餐(1回の食事の量は少なく食事の回数は多く)の四少四多の原則を覚えておくとよいでしょう。
そして魚介はそれぞれで性質が違いますが、生の魚介は得てして胃腸を冷やす傾向にあるのd、胃腸トラブルを抱えいている場合、冷え性、肌トラブルを抱えている場合には注意がひつようです。 お寿司を食べるときは、温かいお茶や汁物も一緒にとると良いでしょう。そして生ものに毒はつきものなので、刺身や寿司にはそういったトラブルを避けられ美味しくたのしめるように、大根や紫蘇、菊の花、ガリなどのツマが付いています。寿司のワサビもそのためです。詳しくはこちら→おぼんとお刺身とツマ 優れた日本食の知恵
 
お寿司は米、タネ、ワサビ、ガリ、醤油、お茶などトータルで見るとかなりバランスが取れた内容です。これは意図してそうなったわけではなく、経験からおのずと作り上げられたのでしょう。何百年という時間をかけて行われた検証はとても的確ですね。
これからは魚がおいしい季節ですね。お寿司に熱燗なんて最高な季節です。身体を冷やしてしまわないよう、できればビールより熱燗がいいですね。もちろん飲み過ぎには注意です。お寿司をたべるときの注意点は温かいものととること、ガリもワサビもちゃんと食べることです。元気においしくお寿司を楽しんでください。

2013/11/01

身体を温め、解毒する「かぼちゃ」のお話とハロウィンのお話

こんにちは。櫻井です。 今日はハロウィンですね。ハロウィンは子供の行事という認識が一般的かと思いますが、確かにアメリカの田舎では子供たちが「Trick or Treat! (トゥリカトゥリー!)」と言いながら各家をまわりお菓子を集めますが、都市部ではもう完全に大人の仮装大会です。私が暮らしていたサンフランシスコでも、Castro Streetのハロウィンパーティーが有名でした。その日は、Castro streetを仮装した大人が占拠し、まさに狂喜乱舞の乱痴気騒ぎが夜通し行われます。

 ハロウィンとは
「ハロウィン」は元々、古代ケルト民族の収穫祭の「サウィン(Samhain)」が元になっているそうです。古代ケルト文化では、1年は10月31日に終わるとされ、新年は11月1日に始まるとされていました。年末のこの日は、死者の世界の扉が開き、死者が帰ってくると同時に悪い妖精や魔女、精霊も現れ、作物を荒らしたり、子供をさらったりをすることなどから、それらを追い払うために祭司が火を焚いて、生贄をささげ祈っていた祭事を行っていました。それがもとになったと言われています。日本でいう、お盆と同じ意味合いのお祭りです。
 「トリックオアトリート(trick or treat)」は「お菓子をくれないと悪戯するぞ」という意味ですが、この習慣のもとになっているのは、本来クリスマス時期に行われていた「ソーリング(souling)」と言われる酒宴です。「souling」とは、仮面をかぶった子供たちが唄いながら家々を訪れ、「Soul Cake」と言われる干しブドウ入りの四角いパンを貰って、さまよえる魂に祈りをささげるという習慣だそうです。これが由来となってトリックオアトリートに繋がったと言われています。仏教でいう「托鉢」のようなものがもとになっていたんですね。


Halloween Night / Phil Scoville

お化けかぼちゃ

ハロウィンに飾られるかぼちゃのランタンは、「ジャックランタン(Jack lantern)」、または「ジャックオーランタン(Jack-o’-lantern)」と言われ、これは「Jack of the lantern」の略で、「ランタンを持ったジャック」の意味です。これはこんなお話がもとになっています。
「生前悪いことばかりをしていたジャックは地獄にも天国にもいけずに、ただひたすら真っ暗な中を歩き続けていました。地獄に入れてほしいと悪魔に頼みますが、断られ、元来た道を戻るよう言われます。その時、せめて明かりがほしいと頼んだところ悪魔は火の魂を一つくれました。ジャックはそれをカブの中に入れて、そのカブをランタン代わりにして暗闇をさまよい続けるのでした」
この話がもとになってジャックオーランタンが出来ます。アメリカではカブになじみがなかったようで、かぼちゃが使われたようですね。


Halloween / greger.ravik

 
 
前置きが長くなりましたが、今日はかぼちゃのお話です。
かぼちゃの旬は5月から9月ともう終わってしまっていますが、今でもスーパーでよく見かけます。かぼちゃは比較的保存がしやすい野菜で、丸ごとならそのまま冷暗所においておけば1~2ヶ月保存できます。しかし、切ってしまうと意外と早く悪くなるので気を付けましょう。切ってある場合は、ワタと種をとってラップをかけて冷蔵庫の野菜室へいれて保存すれば5日ほどはもちます。
 

かぼちゃを中医学的に見てみると

性味は甘で温性で身体を温めてくれます。補中益気、消炎止痛、駆虫、解毒殺虫の力があり身体を温め胃腸を元気にし、エネルギーをつくり、炎症を抑え、解毒してくれます。抗酸化作用のあるベータカロチンやその他様々なビタミンを豊富に含んでいて、粘膜の強化による胃腸の保護、美肌作りや生活習慣病の予防には欠かせない食材です。冬至にかぼちゃを食べるという習慣は、殆ど葉物野菜しかなくなっていまう冬場まで栄養価の高いかぼちゃを保存しておいて、カゼ予防や健康の増進に役立てていたことがもとになっているそうです。


かぼちゃ煮 / [puamelia]

特にかぼちゃの種は漢方で「南瓜子」「南瓜仁」と呼ばれ、むくみをとったり、消化機能を改善したり、駆虫薬として使ったり、お乳を出やすくするのにつかったりします。さらに果肉の約5倍ものカロチンを含み、ビタミンEやリノール酸などの栄養素も果肉より多く含まれています。タネがあれば、洗って天日干しにして、殻をはいでフライパンで炒って塩をまぶせばおつまみになります。お試しください。
 
 

2013/10/31

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売