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元気に食べるために 「脾胃と食」のお話

こんにちは。櫻井です。今日も寒い!冷たい雨が降っている六本木からお届けしております。そろそろ年末も近づき、忘年会やお食事に行く機会も増え、お正月もうっかり食べ過ぎなんてことが気になる季節ですね。
中医学で胃腸は「後天の元」と言われ、生命を支える大事な役割を担っています。胃腸の調子を悪くすると胸やけや食欲不振、肥満や下痢だけでなく、体全体の調子もくるってきてしまいます。そんなことになる前に、胃腸についてのお話をしてみたいとおもいます。

(チャイナビューNo.179 漢方の知恵袋「食の養生」より)

 
中医学では胃腸のことを「脾胃」(ひい)といいます
脾胃は「脾」と「胃」の二つからなっています。脾はおもに吸収を管轄し、体を構成する元である「気・血」や潤いである「津液」を食べたものから作り出し全身に運ぶ仕事をしています。胃は主に消化を管轄し、口から入ってきた食べ物を受け取り、消化しています。また、脾と胃はそれぞれ、栄養を肺に運び上げる機能、消化したものを下におろして腸に送る機能も持ち合わせています。胃が受けて、脾が吸収する。脾が上に運び、胃が下に送る。これら脾胃の連係プレーで消化吸収が行われています。
 
脾胃はとっても真面目で従順な臓腑
脾胃はとっても働き者。寝起きから朝ご飯を消化し、それが終わりかけるころにはお昼ご飯を片付ける仕事です。途中でコーヒーを飲んだり、おやつを食べたりするとそれも処理しなくてはいけません。夜ご飯が早く食べられるときは、夜は休憩をとることが出来ますが、遅くなればなるほど寝ている間も働くことになります。胃腸はほぼ24時間働き続けていることになり、エネルギーを消費することにもなります。夜遅く食べることが疲労に繋がるのはそのためです。

 
脾胃は、暴飲暴食、加齢、ストレスなどによって機能低下をおこし、様々な症状がでるようになります
食欲がない、食べるとすぐお腹がいっぱいになる、アザができやすい、つかれやすい、胃もたれ、お腹が張る、げっぷ、めまい、息切れ、下痢、軟便、痰が多い、むくむ、尿が出にくい、内臓下垂などは「脾」の機能の低下の症状です。
消化不良、げっぷ、しゃっくり、嘔吐、便秘などは脾胃の「胃」の機能低下の症状です。
これらの症状はいわば脾胃のSOSサインです。怪しいな、調子悪いな、と思ったときに対処して上げることが悪化を防げます。脾胃のSOSサインに対応するには、脾胃を休ませることです。休ませるにはもちろん、仕事をさせないこと。脾胃に仕事をさせないということは、食べ物を食べないということです。一度朝ごはんを抜いたぐらいでは、体調が崩れることは有りません。朝を抜いても、まだ食欲が戻らないなら、お昼も抜いてみてください。そうしたら夜には食欲は戻ってるかもしれません。それでもいまいちなら、夜も抜いてしまいましょう。もし抜くのがつらいなら、とにかく消化に良いものを少しだけ食べるようにしましょう。でもその時は、「冷たいサラダ」などは避けてくださいね。脾胃は「温かいもの」を好みます。冷たい飲み物なども避けたほうが良いでしょう。
「3食きっちり食べないといけない」というのは間違った固定観念です。食が無い時ならいざ知らず、現代のような飽食の時代に、食糧不足による栄養失調を心配する必要はありません。それよりも食べ過ぎによる脾胃の弱体化の方が深刻です。
 

 
脾胃が不調を起こす主な原因
暴飲暴食、脂っこいものや味の濃い食事の摂りすぎ、ストレス、加齢や病気による衰え、冷たいものの摂りすぎや、梅雨時期や夏場の湿気なども影響します。
 
脾胃を健康に保つためには
温かいものを常に意識して摂るようにしましょう。水分、特に氷の入った飲み物、冷蔵庫から出したばかりの飲み物などは摂りすぎないようにしましょう。辛いもの、脂(油)の多い食事も控えめにしましょう。新鮮な、旬の野菜を加熱してたっぷりとるようにしましょう。そしてストレスをこまめに発散しましょう。
食事は、脾胃の働きをよくするものを。
米、インゲン豆、大豆製品、リンゴ、豚肉、白身魚、かぼちゃ、ジャガイモ、きゃべつ、山芋などがおすすめ。キャベツや豚肉が入ったお好み焼きなんていかがでしょうか?(ブログ:寒い季節にピッタリ「お好み焼きの話」)でも食べ過ぎ注意です。
 

 
良い食事とは、五味と五性のバランスが取れ、季節や体調に合わせた、身体を整える食事です
五味とは酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(塩辛さ)のこと。
酸味は、「肝」の働きを整えます。引き締める、固めるという力あり、汗や尿などの過剰な流失を防ぎます。梅、杏子、ざくろ、レモン、お酢、山楂子など。
苦味は、「心」の働きを整えます。体内の余分な熱や水分、汚れを取り除き、便秘やむくみの解消、咳や痰の改善にも役立ちます。苦瓜、銀杏、レタス、緑茶など。
甘味は、「脾胃」の働きを助けます。養分を補い、虚弱体質の改善や、食欲増進、痛みを緩和するという働きがあります。米、棗、はちみつ、肉類、黒砂糖、大豆など。
辛味は、「肺」の働きを助けます。発汗作用を促し、血流をよくして、ストレスや体に溜まった余分な熱や寒さ、余分な湿気を発散させます。生姜、コショウ、唐辛子、ネギ、ニンニク、大根など。
鹹味は、「腎」の働きを整えます。堅いものを柔らかくする作用や詰まっているものを正常に通す作用があり、便秘や腫物を改善します。昆布類、いか、あさり、クラゲ、のり、天然塩など。
 
五性とは寒性・涼性平性温性・熱性などの食べ物がもつ寒熱の性質のこと
涼性や寒性は体を冷やす性質をもっています。大麦、キュウリ、せろり、リンゴ、なし、ニガウリ、レンコン、スイカ、バナナなどです。温性・熱性は身体を温める力をもっています。シナモン、コショウ、唐辛子、羊肉、鮭、酒、棗、ショウガ、紫蘇、もち米、ネギなどです。平性は寒熱の偏りがなく、常食に適した食材です。米、ジャガイモ、キャベツ、シイタケなどです。夏はすこし体の熱をとる涼性・寒性のものを。冬は温性・熱性のもの中心に摂ることが大切です。
 

 
体に優しい食べ方を
朝食は、温かく消化に良いものを。温かく、エネルギー補給になる「おかゆ」はとってもおすすめです。
昼食は、品数多目を心がけ、しっかり栄養をとりましょう。この時も腹八分目が目安です。
夕食は、時間は早め、ボリューム控えめで脾胃が休める時間をつくるようにしましょう。
良い食事の基本は「穀類4割、野菜4割、肉類2割」で、旬の野菜を火を通してたっぷり食べること、そして腹八分目です。これが毎食守られていれば、脾胃の機能低下はそう簡単には起こりません。もしそれでもだめなら、1,2食抜くことです。また食後のゆっくり散歩も脾胃の健康を守るために効果的です。
 

 
元気な体で充実した毎日を送るためには、何よりも脾胃が健康であること、元気に働いてくれていることが大切です。食の悩み、胃腸の悩みは、食べない、食べるものに気を付ける、などして積極的に解決するようにしていきましょう。食欲がない時は食べない。お腹がすくから食べるということをもう一度考えてみてくださいね。

2013/12/19

寒さに負けるな!塩味と冷えと「腎」のお話。

こんにちは、櫻井です。今日は朝から身に染みるような寒さで、午後には降り出す雨が夕方にはみぞれや雪にかわるかもっという予報ですが、どうなることやら。雪国出身の私には、雪国以外の地域での雪への弱さに大変驚かされることが多くあります。少し雪が降っただけで、交通事故は急増し、電車は止まり、学校も休みになったりするところもあるようですね。確かに普段無いものに備えるには、莫大な維持費も設備投資もかかるので当たり前のことなんですが、初めのころはとにかくびっくりしました。そういえば、雨が非常に少ないカリフォルニア州のサンディエゴに居たころに、珍しく雨が大量に降った翌日は道路のあちこちに陥没がみられ、交通事故も一晩で数千の増加というニュースもあったことを思い出しました。自然の前で文明の利器はとても非力ですね。
 


 
今日は「寒い日には適度な塩分をとることが大事」というお話をしたいと思います。「なぜ寒い日に塩分?」と思われた方も多いと思います。「そっか!だから東北地方や北海道は味が濃いんだ」と思い立った方はご名答。このお話を詳しくする前に、まずは冷えと関係の深い「腎」のお話をしましょう。
 

 「腎」は尿をつくるだけの器官ではない

中医学で「腎」は、加齢や衰えと密接に関係していると考えます。そして、いつまでも若々しくいるためには、「腎」を大切にせよと言われています。西洋医学で腎臓はただの尿をつくる器官ですが、中医学でいう「腎」は生長・発育・生殖と深い関係をもつ「生命の源」ともいえる臓腑です。
「腎」は、視床下部から副腎系に至る内分泌系全般の機能や、水分の濾過と再吸収、生長と発育及び知能・知覚・運動系の発達と維持、耳、膀胱、骨、そして二陰と言って、排尿と排泄にも影響を持っているとされ、その状態は髪に現れると言われています。感情面では、恐れや不安、驚きとの関係が深いとされており、人間の活動の根幹に影響を及ぼす臓腑です。
「腎」が衰えてくると冷えやすくなり、耳が遠くなり、おしっこが近くなり、骨がもろくなり、記憶力や判断力が低下し、必要以上に心配性になったり、漠然とした不安を感じるようになったり、髪は乾燥しがちになり艶を失うと言われています。要するに、「老化」という状態です。そして、腰は腎の器と言われ、腰が曲がったり、腰痛を感じるのは、腎が弱っているためと言われています。そのほか、すぐに座りたくなったり、けつまずいたりするのも「腎の弱り」と言われています。
女性は7の倍数で身体が変化し、男性は8の倍数の年齢で変化が訪れるというのは、この頃良く耳にする言葉ですが、あれはこの腎の成長と衰退のことを言っています。腎は、女性では、28歳をピークに衰えはじめ、35歳ごろから下り坂に差し掛かると言われており、男性では、24歳から40歳がピークでその後は下降線をたどると言われています。
 

 

「腎」を護る鹹味(かんみ)

齢を重ねることはステキなことですが、誰しも体の衰えはうれしいものではありません。体の衰えから身を護るためには、「腎を護り、補う」ことが大切です。食養生では、黒いもの、粘りのあるもの、そして自然の塩味のあるものが「腎」に良いとされ、黒豆、黒ゴマ、山芋、わかめ、ヒジキなどのがその代表です。
「腎」は自然界に存在する五つの味、酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(塩辛味)の中でも、鹹味(かんみ)といって塩辛い味を好むと言われています。昨今では健康維持のために減塩が声高に叫ばれていますが、適度な塩分は身体の調子を整え、冷えを治すことにもつながります。東北地方や北海道など、寒い地域では塩分の摂取量が高く、塩分をとることで体温を維持してきました。高い塩分摂取は、高血圧などの風土病を作り出してしまいました。しかし反動による極端な減塩から生まれる低体温が蔓延しているという報告もあります。
肝・心・脾・肺・腎の五臓はそれぞれ対応する五つの味、酸味、苦味、甘味、辛味、鹹味(塩辛味)と繋がりがあると言われおり、自然なそれらの味は、対応する蔵を滋養し、養います。気をつけなくてはいけないのは、これらの味は自然なものであることが重要です。特に鹹味や甘味は人工のもの、精製されたものが一般的に使われており、自然のものは多くありません。精製された砂糖や食塩はまさにそれにあたるので、それら人口のものの使用は最小限にとどめ、極力質の良い、ミネラル分をたっぷり含んだ岩塩や黒砂糖、キビ砂糖などを使うようにしましょう。醤油やみそも、簡易的に作られたものでなく、一年以上熟成させたものを使うようにした方がよいですね。お値段は張りますが、それなりの価値があります。
鹹味は簡単に言うと塩味のことですが、それに加えて、ミネラルの味や旨味も鹹味に含まれます。鹹味の代表はなんといっても海産物です。シジミ、アワビ、ホタテ、あさり、カニ、エビ、牡蠣、くらげ、イカ、アナゴ、スズキ、たら、サバ、昆布、のり、ひじきなどなどあげればきりがありません。それら海産物に含まれるミネラル分や、出汁のもとになる旨味成分が腎を護り、補ってくれます。熟成された味噌で作ったアサリやホタテの稚貝の味噌汁なんていうのは最高の「補腎」食ですね。
 

 冬は『腎』に負担がかかる

特に冬は腎にとって負担のかかる季節です。補腎のために温かい食材を選ぶことの他、適度な塩分摂取もお忘れなく。その他「腎」に負担がかかる原因としては、夜更かしや疲労、偏った食生活に食分けて過度の房事(セックスのし過ぎ)というものもあります。腎の衰えが老化に繋がるのは前途の通りですが、更年期を早めること、そして若い方でも気を付けていただきたいのは、腎の弱りは不妊につながるということもあるということです。最近よく耳にするようになった、「卵子の老化」や、「草食系」と言われるはまさに「腎」の弱りでしょう。
腎を護るには、防寒と適度な塩分の他に歩くというのも重要な要素です。歩くことは、腎に刺激を与え、筋力を鍛え、血流を促進します。冷えにももちろん効果があるのは、いわずものかな。中医学の古典「黄帝内経」に書かれている冬場の養生は、「早寝遅起き」そして「運動や情志活動を控え、身も心も穏やかに保つ」というものですが、汗をかかない程度の運動や散歩はとても大切ですよ。冷えから体を守るためにも、そしていつまでも若々しくいるのためにも、「腎」を護りましょう。
 

2013/12/18

ある日のお話

こんにちは。田宮です。
冬は気温だけではなく湿度も下がってくるので、冷え症そして乾燥感に悩まされる方も多いのでは?湿度を上げれば乾燥予防と暖房の効率も高まるので、ある程度の湿気は大事ですね。
六本木店でも加湿器を利用しているのですが、先日スタッフ間でこの加湿器のことが話題になりました。最近、新しく購入したのが、のど飴で有名なVICS(ビックス)の加湿器です。この加湿器はタンクにお水と食塩を入れるというタイプのもの。説明書の何ヶ所かに塩を入れて下さい、使用していって蒸気の出が悪くなっても塩はあまり足さないでくださいと書いてありました。

塩を入れる理由とこの蒸気が発生する仕組み、そしてあまり塩を追加しないでという所がどうも分からなくて(時間もあったので)、その日に出勤していた薬剤師3人は考えてみましょうかとなりました。化学が得意な方ならすぐに分かっちゃうことなんだと思います。私達3人も昔習った少ない化学の知識を頭の奥の方から引き出して、考えたらこんな結論に達しました。
簡単にいうと、水に食塩を加える事でタンクの中にある電極と反応して電流が発生して暖かい蒸気を出すということ。
詳しくいうと、タンクの中に炭素電極があり、水の中に入ると食塩(Nacl)がNaプラスとClマイナスのイオン状になり電流が通ることで発熱して蒸気が出る。蒸気が出てくるとタンクの中の水は減る。でもこの時、食塩は水より重いので蒸気にはならず、タンク中の食塩濃度は変わらない。ここにさらに食塩を加えると過量となるので、蒸気を出すためには水を加えるのが適している。また、蒸気が少なくなるのは水が電極に触れている面積が減るからではないか。
どうしても理解したかたのと、考える事とその過程も好きだった3人は、とりあえず結論が出て納得し満足したのですが・・・。私達の出した結論が間違っていたら、教えてください。そしてただただ、個人的に気になったつまらない話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
もうすぐクリスマスですね。みなさん体調に気をつけて楽しいクリスマスをお過ごしください。

2013/12/18

なんと「日本人しか消化できない(らしい)」【海苔】は超健康食材だった!

先日「日本人の腸の中だけに存在するバクテリアがいる」という記事(古い記事ですが)を見かけました。そしてそのバクテリアは「海苔を分解するバクテリア」なんだそうです。なんと、海苔を分解できるのは、日本人だけだそうです!このバクテリアだ作り出す酵素がない諸外国の方が海苔を食べると、消化されずそのまま出てきてしまうようです。


海苔 / ame0399

確かに昔、ホームステイ先で、海藻スープとか、ちらしずしに海苔をかけて出したところ、「紙?」と言われ敬遠されたのを思い出しました。海苔を食べる文化がないばかりか、身体がきっと拒否していたんでしょうね。「おいしくない」といわれた記憶があります。「私には合わないみたい」と気を使って言ってくれていましたが、明らかにまずそうな顔をしていました。
海苔を消化できるの日本人だけ、、っときいて、そういえばほかに海苔を食べるとこがあったなぁっと思い考えてみると、そういえばお隣韓国でもたべられていますよね。そうです。韓国にも「韓国海苔」がありました。ということで調べてみると、実はああいう「板海苔」の製法と味を付けた海苔を食べる食文化や海苔の養殖技術は、日韓併合後に日本から伝わった技術と食文化なようです。実際に韓国で商品として流通していた海苔は、ほぼすべてが日本品種だったそうです。韓国で開発された品種が出てきたのは、なんと2012年、つい最近、去年の話でした。海苔を食べるという文化を持っているのはその他、中国やイギリスウェールズ地方のごく一部の地域で珍味として食べられているそうですが、日本ほどの歴史はないようです。
 


Nori / psd

 
海苔の歴史と分類
海苔が日本で食べ始められたのは、古代のころからで、それが記述に出てくるのは万葉のころ。日本最初の法律と言われる「大宝律令」(701年)にもその記載が残されており、年貢の「調」として、海苔は高級品で貴重な食材として挙げらています。このころの海苔は今の様な「板海苔」とは違って生海苔が主流だったようです。乾燥させた海苔が出回るのは、江戸時代に入って、東京湾は品川沖で海苔の養殖が始まってからとされています。時の幕府も海苔の生産を奨励し、専売制を実施して、海苔を貴重な財源としていたようです。そして現在の様な「板海苔」が出始めるのは、江戸時代の中期ごろ。和紙をすく技術を応用して作られた「浅草海苔」が始まりだそうです。そのころになると、町中に寿司屋台が出始め、「海苔巻き」がファストフードとして庶民の間で流行するようになります。(寿司のお話はこちら→和食の知恵:世界初のファストフード。知恵が詰まった「寿司」のお話
海苔の原料はもちろん「海藻」ですが、海藻の種類は全世界で数千種類と言われています。日本にはその内1000種類ほどが確認されており、その大部分が食用として利用されています。それらの海藻は主に含まれる色素によって分類されており、その色から青のりなんかに使われる緑色の濃い緑藻類、ヒジキやわかめ、昆布などの褐藻類、紅色や赤紫色の紅藻類と大分されます。寒天の材料の天草や、刺身のツマに使われるオゴノリやトサカノリや、海苔の佃煮の「岩のり」、そして私たちが一般的に耐えべ手いる「板海苔」も紅藻類です。


Checking proper alignment / dvanzuijlekom

 
海苔を中医学的にみると
海苔などの海藻類には、化痰軟堅効果といって、固まっているものを軟らかくする作用や、塊を解く作用があるとされており、腫瘍などの改善にも効果が期待できると言われています。その他痰や咳を鎮めむくみや、おしっこの出が悪いなどの改善にも良いとされています。海苔の性味は寒性なので、そのままで大量に食べると体を冷やしてしまう性質がありますが、そのまま大量というのも考えにくいので、気にせず食べてくださいね。気になる場合は温かいお米と食べたり、温性の醤油を付ければ問題ないでしょう。
海苔はたんぱく質や食物繊維、ビタミンB12、カルシウム、マグネシウム、EPA、タウリン、ベーターカロテン、アミノ酸などが豊富に含む栄養たっぷりな食材です。海苔のもとになる海藻は世界中で取れるのに、海苔を消化吸収できるのは日本人だけとは何とももったいない話です。海苔はベータカロチンを豊富に含んでおり、抗酸化作用もとても高い食品で、動脈硬化や生活習慣病の予防にもおすすめです。海苔に含まれる多糖類には、高脂血症や動脈硬化を予防する効果、心筋の収縮力を高める効果も確認されています。そして、神経伝達物質であるコリンも含まれているので、記憶力の向上にも一役買ってくれます。


うに。 / is_kyoto_jp

海苔の選び方と注意点
海苔を選ぶときは、艶があり、やや青みがかかった黒紫色のものを選ぶようにしましょう。保存方法は乾燥が大切なので、密封できる容器に入れ、できれば乾燥剤と一緒に保存し、直射日光の当たらない低温所で保存して、できるだけ早く食べるようにしましょう。
1点だけ注意点として、タンニンを含む食材とは相性が悪く、胃腸障害や下痢など消化不良をおこすことがありますので、柿やブドウ、ザクロなどと一緒には食べない方が良いでしょう。
 
 
日本では海苔は、寿司はもとより、ラーメン、パスタ、お餅、お蕎麦やうどん、そのまま食べたり、おにぎりにと様々な形で食べられています。日本人はこの自然の恵みを古代から活用して健康増進を図ってきました。まさにそのDNAが私たちの中にも息づいているというのがなんともロマンの有る話ですね。海苔をしっかり食べて、自然と祖先に感謝しましょう!
 
 
 
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2013/12/16

心のトラブルに、お肌のトラブルに、そして夜のトラブルにも? 今が旬「牡蠣」のお話

こんにちは、櫻井です。いきなりですが質問です。
「煮て食すと虚無感、心理的なわずらいを癒し、身体の調子を整え、丹毒を消し、婦人の血気の流れを良くする。生のまま生姜酢で食すと、丹毒を治し、飲酒後の熱を下げ、のどの渇きを癒す。炙って食すと大変おいしく、また肌のきめを整え、皮膚の色を美しくする。」(本草綱目 二十三 四十六巻)
 
心のトラブルにも、お肌のトラブルにも、お酒の後にも良くって大変おいしい、さて、なんでしょうか?実はこれ、「牡蠣」のことなんです。上記の文は、中国最古の本草書、本草綱目に書かれた一遍です。そろそろ牡蠣がおいしい季節ですね。私の地元北海道でも、サロマ湖の牡蠣が有名です。時期になると漁港で下の写真のように一斗缶を半分に切ったサイズに牡蠣が詰められたものを購入でき、確かひとり何個と決まっていて、その日は来れるだけの仲間を誘って買いに行ったのを覚えています。そしてそのままストーブの上において蒸して食べる。最高においしかった思い出があります。
日本でも縄文時代から食べられていたという牡蠣。室町時代にはもうすでに養殖が始まっていたというから驚きです。


Oyster サロマ産牡蠣 / ivva


Kumamoto Oysters / Laurel Fan

栄養たっぷり牡蠣の成分
牡蠣の栄養成分は様々に分析され、そのバランスの良さ、持ち合わせる栄養素の多さなど、牡蠣はとても優れた食品であることがわかっています。亜鉛、マグネシウム、銅などのミネラル類を始め様々な栄養素がたくさん含まれ、高血圧の予防や肝臓機能を高めてくれるタウリンも豊富に含んでいます。生牡蠣100グラム中には、1日に必要なたんぱく質の2/3、カルシウムは1/3、リンは全量、鉄分、ヨードはなんと1日に必要な量の4倍量含まれるそうです。その割にカロリーは1個約16kcalほどどしかなく、5個でやっと卵一個分だそうです。
特に牡蠣はたくさんの亜鉛を含んでいることで有名です。亜鉛には、細胞分裂や新陳代謝を促進する効果があります。これはもちろんお肌が生まれ変わるときにも、身体の細胞を修復するにも、亜鉛は絶対必要ということ。牡蠣の美肌効果が高いのは亜鉛のおかげかもしれませんね。さらに亜鉛は様々な酵素やインスリンの構成成分となっており、体にとってとても重要な物質です。そして亜鉛は精子の構成成分の一つでもあるので、男性不妊にもとっても重要です。男性機能というのは、ほかにどれだけ栄養素が豊富にあっても、亜鉛が無くてはダメになってしまいます。しかし日本人の亜鉛摂取量は9mg程度(RDAの推奨量は15mg)と、日本人の多くは潜在的亜鉛欠乏症にあるといわれています。牡蠣の亜鉛含有量は大粒のものだと何と一粒20㎎!低めの吸収率を考えても1個でカバーできてしまう量です。亜鉛はそのままでは吸収しにくいので、クエン酸やビタミンCと一緒に摂ると良いとされています。だから牡蠣に生レモンがおいしいのかもしれません。牡蠣に生レモンは亜鉛に加え、鉄分の吸収率もあげてくれ、おすすめです。
 


100_3919 / misawakatsutoshi

中医学的に見ると

牡蠣は平性で寒熱の偏りがなく、滋陰補血、安神補虚の力があり、身体を潤し、血を補い、精神を落ち着かせる働きがあるとされています。イライラや不安感、憂鬱感、不眠など心のトラブルを解消する効果に優れています。さらにお肌をきれいにする効果もあると言われています。
 
 「あたる」ことで有名ですね

そんな栄養満点の牡蠣ですが、気になるのは「あたる」ことでも有名ですね。あたるには、主に3つの理由があります。アレルギー、ウィルスや菌、鮮度。この3つの理由により牡蠣はあたってしまいます。まずはとにかく鮮度の悪いものは生で食べないようにしましょう。免疫が落ちている方やご年配の方、お子様は特に生では食べないようにしましょう。ノロウイルスの感染力は中心温度が85℃以上で1分間以上加熱されることにより破壊されると言われています。心配な場合は生を避け、加熱したものをたべましょう。蒸した牡蠣も十分おいしいですよ^^


oysters / samantha celera

免疫強化、貧血改善、性機能改善、精神安定、味覚の改善と牡蠣は本当にたくさんの効能を持っています。美味しい栄養満点の牡蠣を食べないのは持ったいないばかりか、損をしていると言えるほどです。夏が旬の岩牡蠣に比べ、真牡蠣はまさに今が旬。産卵前のこの時期は真牡蠣がたっぷり栄養を体内にため込み、冬が一番おいしい季節です。苦手な人はバター炒めにすると美味しく食べられるんではないでしょうか。せっかくの自然の恵みをありがたくいただきましょう!!!

2013/12/14

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売