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正常な月経・異常な月経のお話

こんにちは、櫻井です。今日はまたうちのパンダちゃんが吹き飛ばされてしまうぐらいの突風が吹いていますが、みなさんお怪我は有りませんか?こんなに寒くなってくると、冷えや痛みのご相談も増えてきます。冬場になると生理痛が酷くなるという方もいらっしゃいます。冷えは血の巡りを悪くします。流れが滞ると痛みの原因になるので、冷えは関節痛や頭痛、腰痛などを引き起こす原因になります。日ごろからしっかり防寒対策をして、温かいものをだけを食べるようにしましょう。

 

 
今日のブログでは、またまたツイッターにお寄せいただいたご質問にお答えしたいと思います。ツイッターでのご質問は「月経量の事で質問ですが、最近月経が2日間でほぼなくなってしまいます。元々、陰虚血虚です。ここは無難に当帰芍薬散でしょうか?年齢は40です。」という物でした。このご質問にお答えするには、まずは月経についていろいろお話しなくてはいけません。まずはそこから初めてみたいと思います。 
 
「月経」とは生理のことです。生理は女性の健康のバロメーターです。女性は一生のうちに約35年間生理とのお付き合いがあるとされています。「正しい生理の状態」を知ることで、自信の健康を管理することが出来ます。子宮は経血をめぐらせる場所です。妊娠の準備をするため、子宮は古い血を捨てて新しい血に交換し ようとします。この古い血液を排出しようとする作用が「月経」です。
 

 
正常な生理の目安をまずは見ていきましょう。(パンフレット「生理痛はないのがあたりまえ!」より)
初経発来: 10~14歳  
生理周期: 25~38日  生理周期とは、生理初日から次の整理の前日までの日数です。一般的に排卵を伴う生理周期のことを指しています。この期間より短かったり、長かったりする場合は注意が必要です。ちなみに初潮後数年間は安定せず不順になることもあります。
生理持続期間: 3~7日 生理持続期間は経血が出始めてから終わるまでです。一般的に初めは多く徐々に少なくなります。年齢によっても違いますが、一般的にこの期間内であれば正常と言えます。この範囲未満、もしくはこの範囲を超える出血がある場合は注意が必要です。
経血の量: 約50ml~100ml(総量) 一般的に2日目が多く徐々に少なくなります。日中、昼用ナプキンを使用していて、1時間ほどで経血があふれるような状態が続くようであれば注意が必要です。
経血の色: 赤~暗紅色 月経中ずっと黒っぽい場合や、鮮やかな赤の場合は注意が必要。
経血の質: さらさらとした液状 血の塊、レバー状の塊、薄く水っぽい場合は注意が必要です。
生理痛: 痛みはほとんど無い
もちろんこれらの目安には個人差があり、その時の体調によっても変化しますが、目安として正常な状態を知ることで、体調の管理がしやすくなります。婦人のご相談の場合は、生理の状況を詳しく聞くことが大切です。特に生理の量、色、質、生理周期の4つを詳しくお伺いします。初潮年齢、初潮から2~3年後の状況と現在との比較も大切です。もう一点、オリモノの状態も体の中の状態を知るうえで大きな目安になります。健康なオリモノは、排卵期ごろに粘り気のある透明なオリモノが3日以上あることです。
 

 
次に月経周期から体の不調を見てみましょう。
 
月経周期が短いタイプ(25日以下)
・経血量は少なく、塊も少ないが、腰が痛いしだるいのは、「陰虚」(いんきょ)といって潤い不足である可能性があります。喉の乾き、目の渇き、寝汗、ふらつき、めまい、ほてり、手足のほてり、午後からの微熱などがみられることもあります。潤いは血の元なので、体に必要な血の量が少なく、経血が足りない状態です。陰の根本は腰にある「腎」という臓器にあり、腰が痛いのは腎の力が落ちていることを表しています。
・経血量が多く、色が鮮やかな赤、または深紅ならば、「血熱」(けつねつ)といって、血が熱を盛った状態を疑います。赤ら顔や唇の乾燥、のどの渇き、便秘など同時にみられることがあります。舌は紅い状態です。苔は黄色くなっている場合もあります。血が熱を持ち、暴れて出血している状態です。
・経血量が多く、色が薄い、腹部の張りなどがみられる場合は、脾(胃腸系)のエネルギー低下を疑います。症状はその他、オリモノが多い、むくみやすい、顔色は白または黄色っぽい、身体の重だるさ、手足のだるさ、便が柔らかい、または下痢なども見られることがあります。舌は全体的にむくんで大きくなり、歯形が付いていることもあります。苔は白く厚くなっている場合もありますし、一部はがれていることもあります。脾は血を体内にとどめる力があるので、それが低下して、漏れ出ている状態です。
・経血の量が多かったり少なかったりして、色は紫赤、もしくは暗い色。レバー状の塊や小さい塊があり、出血期間が短い場合は、「肝鬱化火」(かんうつかか)といって、気の巡りが悪くなり、熱を盛った状態を疑います。イライラ、抑うつ、乳房やわき腹の張りや痛み、下腹部の張りなども見られることがあります。自律神経系のコントロールがうまくいっていない状態です。
 
 
月経周期が長い場合(35日以上)
・量は少なくて、色が暗黒で小さな塊もあり、腹部の鈍痛を感じ、温めると良くなるのは、「陽虚」(ようきょ)というエネルギーの不足状態かもしれません。陽気は温める力があるので、不足すると冷え・寒がり、顔色の暗さなども見られます。陽も腎に蓄えられているエネルギーです。腎は腰にあり、腰痛は腎の弱まりを表しています。
・経血の色が暗い紫色で、大き目の塊があり、痛みは下腹部にあるが、温めると楽で、押したりすると余計に痛む場合は冷えが身体の中に固まっているタイプ。顔色が青白く、暗い。生理中にアイスクリームや氷が入っている飲み物など冷たいものをとる、水泳やスキューバなど水に入る、冬場の防寒対策ができていないなど外的要因により冷やされた場合に多く見られます。
・量は少なく、色が薄い。顔色も蒼白もしくは艶がない、めまいやふらつきがある、動悸が不眠がある、乾燥肌・髪などでは「血虚」(けっきょ)といって、血の不足を疑います。血が足りないので、しっかり出血しません。子宮内膜も薄くなっているかもしれません。血は身体を滋潤しているので、乾燥を感じます。便秘がある人もいらっしゃいます。
・経血の量は多かったり少なったりで、色は褐色っぽい色。生理前に痛みがあり、その他憂鬱寒、イライラ、胸の張りや痛み、下腹部の張り、生理がきて血がでるとすっきりするなどの場合は気の巡りが悪くなった、「肝鬱気滞」(かんうつきたい)状態と考えます。月経周期が短い場合も起こりますが、長い場合はイライラが少なく抑鬱が強く表れることも多いです。
・色が淡く粘っこいのは、「痰湿」(たんしつ)といって身体の中にいらないものが溜まってしまっている状態かもしれません。肥満、食欲不振、偏食、過食、白いオリモノ・黄色のオリモノ、臭いのあるオリモノなども見られることもあります。
その他、短くなったり遅くなったり安定しない不順型や、無月経などこのほか様々あります。

 

 
ではもう一度ご質問を見てみましょう。「月経量の事で質問ですが、最近月経が2日間でほぼなくなってしまいます。元々、陰虚血虚です。ここは無難に当帰芍薬散でしょうか?年齢は40です。」というものでした。冒頭でも触れましたが、婦人のご相談の場合は、生理の状況、特に生理の量、色、質、生理周期の4つの情報と、初潮年齢、初潮から2~3年後の状況と現在との比較、オリモノの状態などの情報が欠かせません。上記の質問をこれらに当てはめると情報が大きく不足していますので、「この薬があっています!」というアドバイスは残念ながら難しいです。
「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)についてご説明させていただきます。これはもともと、「婦人の妊娠時の腹痛」にた対してつくられた処方ですが、補血活血(血を補い流す)、健脾利水(胃腸の調子を整え、余分な水分をさばく)、調経止痛(経脈の調子を整え、痛みを和らげる)の力があり、血虚、脾虚湿盛の状態に対するお薬で婦人のみが対象ではありません。症状では、皮膚につやがない、頭がボーっとする、頭痛・手足のしびれ、月経料が少ない、月経が遅れる、月経痛などの血虚の症状。食欲不振、つかれ、顔や手足のむくみ、頭が重い、腰や四肢の冷え、腹痛、泥状~水様便、白いオリモノなど脾虚湿盛をともなうもの(中医処方解説)とあります。これらの症状がある場合には適していると考えられます。
そして、陰虚血虚状態(陰という潤いと血が足りていない状態)ならば、当帰芍薬散だけでは少し足りません。血を補う力が当帰芍薬散にはありますが、陰を足す力がありませんし、やはり包剤の力不足感がいなめません。当帰芍薬散に加えて補腎の薬が必要ですね。40歳という年齢から考えても、腎の機能低下を考え無くてはいけません。その他、血の巡りや気の巡り、各臓腑の機能状態と、何を目的として漢方を飲むのかなども考慮に入れてお薬を選ぶ必要があります。
 
***漢方の服用をお考えの場合は、お会いして、お話をお伺いすることがとても重要です。ネットや本の情報に頼らず専門家がいる薬局・薬店・病院でご相談くださいね。***
 
 
月経は一つの生理現象として考えることが出来ますが、本当は、生殖のための過程であって、目的ではありません。経血 が充満して子宮に注がれることの本来の目的は、子宮 を栄養し、卵子を準備し、妊娠出来る状態にすることです。妊娠している最中には月経がなくなるのはそのためです。妊娠し ていなければ次に妊娠するために古い血を捨て、新しい血と入れかえる、月経が行われるのです。そしてこの一連の働きは、体内の臓腑や気血などのバランスが整って初めて正常に行われます。西洋医学的に見ても、月経は目に見えないような量のホルモンの微妙なバランスの上に奇跡的に成り立っているように見えます。ちょっとしたストレスや寒暖の影響であっという間に崩れてしまいます。月経の状態に注意を向けて、健康維持に役立ててくださいね。

2013/12/13

美容・胃腸に良くって虫歯予防にも??「イチゴ」のお話

昨日は久しぶりの雨で乾燥していた空気が少し保湿され、お昼過ぎ頃はとても心地よかったですが、また一気に冷えましたね。これからどんどん寒くなるようですね。こんにちは、櫻井です。皆様カゼなどひいておりませんか?
 

今日はそろそろ店頭に並びだした「イチゴ」のお話をしたいと思います。イチゴと言えば、もともとは野イチゴのことで、これは石器時代からヨーロッパやアジアで食べられていました。私たちが目にするような一般的なイチゴが栽培され始めたのはおよそ200年ほど前、オランダで開発されたものがそのルーツです。日本には江戸末期にオランダから長崎へと伝えられ、当時イチゴと言えば当時は野イチゴのことだったので、それと区別するために「オランダいちご」と呼ばれていたそうです。しかし、そころにはまだ一般的に定着するようには至っていません。その後明治32年、1899年に福羽博士が新宿御苑で『福羽』という品種を開発してから日本での本格的な栽培が始まりました。


Winter strawberry (Rubus buergeri) / coniferconifer


Strawberry / sigusr0

イチゴの赤い部分は果実じゃない!

私たちが通常食べている部分は実は果実ではなく、あれは「花たく」という花の部分が発達したものであって、本来の果実は表面の粒粒の一つ一つなんです。あの中に小さな種が入っているので、赤い部分は果実のベッドだったんです。甘味があるので、果物と思われていますが、野菜と分類される説もあり、農林水産省も「イチゴは野菜」という判断をしています。イチゴを丸く形よく生長させるには、すべての雌しべを受粉させる必要があり、受粉していない雌しべがあると形がいびつになってしまうそうです。たまに見かける不格好なイチゴはそんな理由からだそうなんです。


Ichigo gari / PYONKO

イチゴの栄養

イチゴはそのほとんど90%ほどが水分で、その他糖質が10%ほど。タンパク質、食物繊維がそれぞれ1%、総カロリーは100gで約35kcalです。イチゴはなんといってもビタミンCが豊富なことで有名ですね。100g中に約80mgと、食品の中でもトップクラスです。7~8粒食べれば一日に必要なビタミンC量(100㎎)をまかなえる計算です。ビタミンCの美容効果はもう説明する必要はありませんね。コラーゲンの生成を助けて、皮膚の張りと潤いを保ちます。これからの時期は、おやつにイチゴを食べるて美肌対策をしていきましょう。ビタミンCには美肌効果だけでなく、抗酸化作用や免疫力を高める力もあるので、美肌だけでなく健康面でもおすすめです。そのほか、βカロチン、カルシウム、カリウム、アントシアニン、ペクチンなども含まれ、興味深いところでは、キシリトールを100g中300㎎も含んでおり、虫歯予防にも効果的と言われています。


Strawberry / t-mizo

イチゴの驚くべき力!
最近の研究では、イチゴエキスがアルコールによる胃粘膜の傷を小さくすることを動物実験で実証したというデータもあります。良く昔は、「お酒を飲む前に牛乳を飲めば胃粘膜を保護してくれる」なんて思われていましたが、あれをイチゴがほんとにやってくれるそうです。まだ実験段階で証明されてたという話ですが、胃の保護のために、「お酒の前にイチゴ」は案外効果的かもしれません。ちなみに、イチゴがアルコールの分解を助けてくれるとかそういう話ではないので、あしからず。
もう一点興味深い研究があります。それは、イチゴには花粉症などのアレルギー症状を抑えてくれる効果があるらしいのです。ネットでも「楽になった!」という声がちらほら見かけられます。イチゴが手軽に入りやすくなるのはちょうど冬から春にかけてなので、体調を整え花粉対策のために身体を準備していくにはぴったりの時期ですね。しかしこのデータが得られたのは、一日15粒から20粒のイチゴを毎日1週間たべた結果だそうで、ひどい時期だけを狙えばそのぐらいは食べれそうですが、毎日となると、なんかほかのところの調子を崩しそうです。

ヘビースモーカーはイチゴをしっかり食べることをお勧めします。とある研究ではたばこ一本につきビタミンCは20mg失われていくというデータもあります。喫煙者にとってビタミンCの補給は必須です。イチゴならおいしく補給できて、ビタミンCがメラニンの発生を抑えてくれるので、シミやそばかす対策にも効果的です。


パンダ とイチゴ #panda / torisan3500

水洗いは手早く。ヘタは食べる寸前にとる。
ビタミンCは熱に弱いので、生でそのまま食べるのが一番です。また、痛みやすく、痛んでしまうと栄養価も落ちてしまうのでなるべく早く食べましょう。ヘタを取って洗うと水っぽくなってしまい、さらにビタミンCも水に溶け出てしまいやすくなります。ヘタは付けたまま手早く洗い、食べるときにとりましょう。ヘタの部分と先端部分では糖度が3度ほども違うので、ヘタの部分からたべると最後までおいしく食べられます。1パックを一人で食べきるのは大変なので、そんな場合は、ラップに包んで野菜室に入れておけば2~3日持ちます。洗って水気を切って、ヘタを取ってから容器に入れてつぶれないようにして冷凍すればもう少し持ちます。
美味しいイチゴを選ぶには、ふっくらとして、粒粒がしっかりしているもの。同じ品種の場合はより濃い色をしているもの。そしてヘタくるんと反り返っているものほど甘みがあるそうです。


Strawberry Forest / Focx Photography

中医学的にイチゴを見る
イチゴは涼性で余分な熱をとる力があり、冷え性の方は食べ過ぎ注意ですが、潤いを補い熱をとる力があるので、熱がこもって火照ってしまう人、血圧高めの人にはおすすめの食材です。その他、胃腸を元気にし、消化を助ける力があるとされているので、慢性的な下痢にもおすすめです。喉を潤してくれるので、のどの痛みを伴う発熱や空咳などにもおススメ。
 


strawberries / seelensturm

今ではハウス栽培が主体となりほぼ通年でイチゴは食べられますが、5-6月の初夏が本来の旬です。果物の少ない春先のビタミン補給にはピッタリだったんですね。自然の時計に狂いはありませんね。クリスマスに向けてイチゴの需要は増えていきますが、一般的に価格も手ごろになってくる1月~2月頃。しっかり自然の恩恵にあずかりましょう!


a900_Merry_Christmas_2008 / orange_kuma

2013/12/11

美肌にもおすすめ。栄養満点「食べるかぜ薬」の異名も持つ「春菊」のお話

こんにちは、櫻井です。今日から店内BGMをクリスマス仕様にしてみたのですが、相談薬局がクリスマスBGMっていうのもどうなんだろ?っと朝から疑問が消えません。
 
今日はまた一段と寒い日ですね。こんな日は身体を温める食材を選んで食べることをお勧めします。薬味なら、ショウガ、ナツメグ、シナモン、八角、フェンネルシード、唐辛子など。果物・木の実では、栗、クルミ、桃、サクランボなど。魚介では、鮭、ブリ、ウナギ、エビなど。肉類は、羊肉、牛肉、鶏肉。調味料は、酒、しょうゆ、黒砂糖などがおすすめです。鮭や鮭のあら、エビなどがたっぷり入れて、味噌とバターで味付けした石狩鍋なんていかがでしょうか。
なべ料理は冬の代名詞とも言えると思いますが、今日はなべ料理に使われる具材でも、どちらかというとひっそりとした脇役感がある「春菊」のお話をしたいと思います。しかし、この春菊、なかなか侮れません。いろいろ調べてみると、脇役にするにはもったいないぐらい栄養豊富で美肌効果もばっちり!鍋に入れるもよし、お浸しにするもよし、しぼり汁は打ち身や捻挫に、陰干ししてお風呂に入れると体の芯から温まる入浴剤にもなるという脇役どころか、主役級の優れものだったんです。
 

画像:wikipedia

春菊
春菊は、トルコやギリシャなど地中海沿岸が原産だそうですが、食用にするのは日本を含めた東アジアのみで、他の地域では観賞用とされているのみで、食べられていません。春菊が中国を経由して日本に入ってきたのは室町時代ごろとされていますが、正確なところはわかっていません。「春菊」という名は、春に菊に似た黄色い花を咲かせるところから来ており、江戸時代の百科事典、「和漢三才図会」にも「春に花を開き、菊に似るが故」」とあります。関西には「菊菜」と呼んでいるところもあるそうですね。今はハウス栽培で一年中手に入りますが、旬は11月から5月。鍋がおいしい冬場から春先までです。
 
春菊の栄養
春菊はビタミン、カルシウム、葉緑素が豊富で、β-カロテンの含有量はほうれんそうやこまつなより上の100g当たりなんと4500mg。これは、ビタミンAで換算すると成人女性が一日に必要とする量の2/3を含んでいます。その他、ビタミンB2、C、カルシウム、カリウム、鉄分も多く含まれています。春菊のあの独特の香りは13種類の精油成分によるもの。それらの香りが胃腸を動かし、食欲増進とともに、便を通す作用もあるとされています。春菊の緑色の色素成分は、コレステロール値をひくめ、血栓を予防する効果があります。「葉緑素」ともいわれる栄養成分で、発がん抑制にも効果があります
 

 
中医学でみる「春菊」
春菊は、実に様々な効能を持ち、古くから漢方薬の原料として使われていて、「食べる風邪薬」の異名を持つほどです。性味は寒熱の偏りがない平性で、脾、胃、心、肺、肝に通じると言われ、気滞、水毒、瘀血を改善します。あの独特の香りで、気を巡らせ、精神を安定させるので、月経前の感情の乱れにもおすすめできる食材です。胃腸の働きを良くし、胃もたれやお腹のはり、食欲不振を改善する作用もあるとされています。また血液を流れやすくする力や、痰を切れやすくする力、そしてたっぷりと含まれるベータカロチンやカルシウム、ビタミンCのおかげで美肌対策にも効果的です。
 
春菊の選び方と保存
春菊を選ぶときは、葉にシャキッと元気があり、深い緑色をしたものを選びましょう。しなびていたり、黄色くなっているのは避けたほうが良いでしょう。茎はあまり太すぎるのもいけません。少し細めで、下の方にもしっかり葉が付いたものが良いです。葉のギザギザの切れ込みが深いものほど香りが強く、浅く広いタイプが風味が穏やかと言われています。保存する場合は、塗れた新聞紙に包み、チャック付きのビニールに入れて冷蔵庫で保存しましょう。春菊に限らず、野菜や果物は、もともとなっていた状態で保存するのが望ましいとされており、春菊もできれば立てて保存すると長持ちします。冷凍保存もできます。30~45秒ほど熱湯にくぐらせた後、冷水にさらして水けをきり、しっかりとサランラップで包んで冷凍庫へ。使い時は自然解凍で。加熱する場合はそのままでも使えます。
 
食べる春菊
あくの少ない食材なので、調理するときは、栄養素の損失を防ぐためにできるだけ水にさらす時間、加熱時間を短くしましょう。鍋に入れるときは食べる直前が理想的です。おひたしにするときは、根本を先に15秒ほどつけた後にさっと葉の部分を付ける程度にして、冷水をくぐらせて水を切るとおいしく食べられます。
サラダにしても春菊はおいしく食べられます。その時はギザギザの浅い風味のまろやかなものを選び、やわらかい葉の部分だけをとってさっと熱湯をかけたあと冷水にさらして食べましょう。すりごまと豆腐使って白和えも良いですね。ごまや豆腐の健康増進作用はいまさら語るまでもありません。


小松菜と春菊の胡麻和え / Kakei.R

 
食べる以外にも
つぶした春菊とそのしぼり汁を打ち身や捻挫、おできに湿布したり、しもやけにはしぼり汁でマッサージすると症状が和らぐと、民間療法として昔から珍重されています。さらに、春菊の茎葉をそのまま陰干しして、布袋やストッキングにつめてお風呂に入れると、からだを芯から温めてくれる入浴剤にもなります。肩こり、神経痛、冷え性などにおすすめです。また春菊の香りがここでもストレス緩和に役立ってくれます。
 
 
春菊は、美容にも、ストレス緩和にも、胃腸にもよくて、血流もよくしてくれる素敵な食材です。ベータカロチンは葉物野菜の中でも群を抜いています。カルシウムに関しても、胃腸の負担になりやすい牛乳よりもおすすめです。胃腸を元気にして、お肌にも良い春菊。冬場に欠かせない食材ですね。

2013/12/09

研修生栗原のブログ: イスクラ中医研修塾の紹介

こんにちは。
11,12月と六本木店で研修をさせて頂いている、栗原です。
 
今日は私の通う研修塾の紹介をしたいと思います。

写真は同じ塾の卒業生、有藤先生のブログより拝借しました!

イスクラ医薬研修塾(通称:中野塾)とは、漢方メーカーのイスクラ産業さんが、中医学を学びたい人を対象に行っている、1年間の研修塾です。
今年ですでに27年目、総勢300名近い方がこの塾を卒業して、様々に活躍をされています。
内容は、週3日の座学と、3日の実地研修で、漢方を深く学んでいきます。
では私の、とある日の1日を紹介しますね。
 
~座学編~
10:00 中医学演習
耳鳴りの症例問題。どんな問題が、どこにあって、どういう風に解決するか(弁証論治といいます)みんなで考えます。
12:00 ランチ♪
中野塾の隣にある、おいしいネパールカレー屋さんでテイクアウト
13:00 中成薬実践講座
腎の概念と働きについて、良く処方される方剤と合わせて学びます。
15:15 方剤学
方剤の中にどんな物が入っていて、どう作用して、どんな人に使うのか、詳しく学んでいきます。
17:15 帰宅♪
帰ってからは、復習のため1~2時間勉強をします。
 
今ではだいぶ実践的な内容が多くなりましたが、基礎理論講座(中医学の考え方を学ぶ)、中薬学(生薬の効能を学ぶ)中医学古典講座(漢字との戦いです)など基礎からしっかりと勉強していきます。
 
~実地編~
10:00 六本木店へ
朝の開店準備。
午前中は商品の検品&納品作業や、商品の発送など行います。
12:00 ランチ♪
食べに行きたいお店が沢山あり迷いますが、ぐるなびでチェックしたササミカツ屋さんへ
13:00 新商品のディスプレイ作業。商品の特徴を分かりやすく伝えられるよう、POPやレイアウトを考えます。スタッフの方に教えてもらいながら、お客さまや電話応対などをこなします。
18:30 帰宅♪
実習の日は帰宅が遅いので、明日の準備をして早めに寝ます。
 
こんな風に、この1年間、かな~~~~り濃密に漢方の勉強ができるのです。
勉強ばっかりじゃつまらなさそう、と思われた方、ご安心ください。飲み会、研修旅行、とイベントも多数あります。でも毎日楽しく過ごせるのも、自分が興味のある道だからなんだなと・・・。社会人になってから勉強できる幸せをしみじみと感じています。なんとなく学んでいた学生時代と、学びたくて通う研修塾では、その濃さも真剣度合いも全然ちがいますもんね。残る塾生活もあと4カ月。諸先輩方みたいに活躍できるよう、頑張って勉強していきたいと思います。

熱海で開催された第19回OB会の様子

2013/12/07

中医学で考える鼻水・鼻づまりについて

風邪による鼻水、鼻炎、花粉症などのアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、蓄膿症など、鼻水にまつわるトラブルはいろいろありますね。自分の体のどこにこれだけ水分が溜まっているのかとびっくりするぐらいだらだらと流れ出ることもあります。そこで、今日は、なかなかつらい鼻水のお話をしますね。

 

 
鼻水のトラブルを考えるときに一番最初に確認しなくてはいけないものがあります。それは、色です。透明なのか、黄色くなっているか。この鼻水の色の違いは体内の熱の状態を表しています。熱があると鼻水は濃くなり、冷えていると薄く透明になります。透明で水っぽいものは、身体が冷えているので、温めて治します。濃く黄色いものや青いものは熱があるため、熱をとることで治療します。鼻がトラブルを起こす理由は風邪などウィルスの感染によるものや、花粉などのアレルゲンによる防衛反応過剰による炎症のほか、ストレスによるもの、飲食の不摂生によるもの、体のバリア機能が低下によるもの、老化によるものなど原因を分けて考えその対策法を変えています。

 

鼻水・鼻づまりを中医学で考える

 
ウィルスやアレルゲンによるもの
まず風邪のウィルスや花粉などのアレルゲンによる場合は、鼻やのどなどの肺系がやられ、炎症性の熱をもっている状態です。目の充血や、目・鼻・喉・肌のかゆみ、口の渇きを感じ、鼻水は黄色っぽく粘性が高い状態ですは熱をとる漢方を使いますが、水っぽく流れ出るなら温めるお薬をつかいます。炎症をとる漢方を加えると効果的です。
 
バリア機能低下によるもの
上記に似たような症状ですが、体を外敵から守るためのバリア機能が低下している場合も鼻水や鼻づまりなどの症状がみられます。このタイプはざっくりいうと虚弱体質。胃腸機能が弱く、胃もたれ、食欲低下、軟便、下痢などがみられます。カゼをひきやすかったり、つかれやすかったりなども見られます。寒暖の差にやられてて鼻水くしゃみが止まらなくなるものこのタイプ。鼻水対策のお薬に加え、バリア機能を高める漢方を併用します。

 
ストレスによるもの
ストレスが身体にかかると、気の巡りが悪くなります。流れが悪くなると、ちょうど詰まったポンプでモーターに負荷がかかったように熱を帯びます。熱なので黄色く粘り気のある鼻水・鼻づまりに。口のかなに苦味を感じたり、イライラしたり、口が乾いたり、お腹にガスがたまりやすかったり、便秘や下痢、女性では生理前に胸が張って痛んだりします。鼻水鼻づまり対策の漢方に加え、ストレス対策の漢方も併用すると効果的です。
 
生活習慣・飲食の不摂生によるもの
飲食の不摂生により、胃腸機能が低下し、湿熱病邪(湿熱病邪についてはクリックしてください)が生まれ、それが肺系(鼻・口・器官・肺など)に影響し、鼻づまりや痰などが出るというタイプもあります。ストレスが飲食の不摂生の原因になっている場合もあります。全身のだるさや重さ、倦怠感、頭重感なども見られます。ここでも、黄色っぽい場合は冷ます薬、水っぽい時は温める薬を使います。胃腸を元気して、湿熱病邪をとり去る漢方も併用します。
 
 加齢によるもの
もう一点、加齢に伴ってみられるエネルギー不足による鼻水、鼻づまりもあります。薄く白い痰が多かったり、耳鳴り、健忘、冷え、多尿、スグ座りたくなる、けつまづくなども見られることがあります。冷えや熱に対する鼻水処方に加え、身体の根本的なエネルギーを補う漢方も併用します。
 

 

 
鼻炎の多くの場合は、水っぽい鼻水、水っぽい鼻水と鼻づまり、鼻づまりと3タイプに分かれます。水っぽいのは、「冷え」が原因。温めて直すタイプです。水っぽいのと、詰まった感じががある場合は、併発しているので、温めつつも通りを良くすることを同時にできる漢方を選びます。ずっと詰まっている鼻炎や蓄膿症は熱なので、冷まして炎症をとる漢方を主につかいます。
鼻水、鼻づまりは、まずは色をみます。他の症状と合わせて考え、それが熱なのか、冷えなのかを見定めます。そして、その他の症状から原因を探ります。原因が解ればおのずと処方は決まってきます。鼻水などネバネバした物体は、中医学では「痰」や「痰湿」と呼ばれるものです。多くは飲食の不摂生により作り出されます。胃腸が元気であれば、痰や痰湿は便や尿となって体外に正常に排泄されます。鼻水や鼻づまり、痰などが気になる方は、脂っこいもの、甘いものを控えて、葉野菜多めの和食を腹八分目を意識して食べるようにしてくださいね。詳しくはこちらのブログをご参照ください→【元気になるための食養生】
 
 
 

2013/12/07

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売