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中医学 の記事一覧

立秋とは名ばかりのこの暑さ

暑いですね、、っていうとよけいに暑く感じるので、言いたくないですが、「暑いですね。」
こんにちは、櫻井です。
立秋8/7は暦の上では立秋で、この日から徐々に暑さも和らぎ、秋の気配を感じられそうですが・・・・秋の気配なんてかじられるどころか、今年一番の暑さぐらいに感じじてしまう暑さですね。しかも今週いっぱいはこの暑さが続くようで、恐怖すら覚えます。お客様も「この暑さは、危険ですよね」とおっしゃっておりました。まさに。ちなみに明日からの暑さのことを「残暑」というようです。「暑中見舞い」も明日から「残暑見舞い」に変更ですね。
 

 
暦上は明日から秋でも、実際には一年で一番暑い季節。体調管理にはお気を付けください。

特に熱中症や日射病には注意が必要です。

体内の水分量は、気づいたころにはかなり消耗しているようで、事前のこまめな給水が肝心です。喉が渇く前に飲みましょう。その際はアルコールやカフェインが入っているものはひかえ(利尿作用があるので、脱水が悪化します)、麦茶、そば茶、スポーツドリンク、ルイボスティーなどでの水分補給がおすすめです。さらに水分と同時に汗で失われるミネラル(塩分など)も補う必要がありますが、炎天下で大量の汗をかくとき以外は塩分の摂りすぎには逆に注意が必要です。屋内でじわじわとかく汗程度なら、塩分はさほど気にする必要はないでしょう。
喉が渇いた時、冷蔵庫で冷やされた冷たい飲み物をがぶ飲みするのは胃腸機能低下を招き、更なる体力消耗も招いてしまうので、お勧めできません。冷蔵庫から出して5~10分程度おいたものを飲むように心がけましょう。夏場の食欲不振や、吐き気、軟便、体力低下は意外とこの冷蔵庫で冷やした水分摂取によるものが大きかったりします。意外な盲点ですので、ご注意ください。
 

 
 
暑さに伴いシンシンもお着替えしてみました。

アロハがとっても似合っています。
 
8月は祭りにライブ、夏フェスにビーチと様々な野外の催し物がありますね。その時に強い味方になってくれる漢方が何と言っても麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)。運動前に、出かける前に一包。スポーツドリンク(500mlに1~2包)に入れて飲みながら。疲れ方が全然違います。真夏の炎天下のフットサルで、全くの運動不足の私の身体は、麦味参顆粒のおかげで体力が尽きる前に、筋力が悲鳴をあげたほど。
 

 
漢方は体調体質によって合う合わないがあるので、だれでもかんでも麦味参顆粒というわけにはいきませんが、殆どの方には強い味方となります。麦味参顆粒をご服用の際に気を付けていただきたいのは、高麗人参と五味子が入っていること。高麗人参は、まれに血圧をあげてしまうことがありますので、高血圧で薬を飲んでいるなんていう場合は、ご購入前に専門家にご相談ください。そして五味子には、基礎実験で子宮筋収縮作用が認めらているので、妊婦の方で、お試になりたい場合は専門家にご相談ください。
 
藤原敏行は「秋来ぬと目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」と詠んだそうです。確かに夜間は蝉の鳴き声とは違った虫の声が聞こえるようになり目には見えない秋は、風の音とともに感じられてくるようです。

2013/08/07

代謝をあげたい・・・

東京近郊では昨日は久しぶりに過ごしやすい夜だったのではないでしょうか。一週間ほど昼夜を問わす酷使されてきた当家のエアコンも一時仕事を忘れ、しばしの休息に浸れたと思います。おかげでヒートアイランド現象も少しは緩和されたのでは?と思うのは楽天過ぎるでしょうか。
 

 
暑さによる疲労は、暑さによる寝苦しさで、休息が十分に取れないことと、高い湿度や暑さにかまけて冷たいものを摂りすぎたために胃腸機能低下に伴う「気」の生成不足があげられます。
夏の養生で大切にしたいことは、「暑い時こそ温かいものを」という原則。これは江戸時代の名医、貝原益軒の『養生訓』に書かれているものですが、貝原益軒はさらに、「酒も温めてのむべし」と続けています。冷たいビールもおいしいこの季節ですが、夏バテを防ぐためにも、そして、これから来る寒さに対抗するためにも温める養生は忘れずにいたいものです。ちなみに私どもイスクラ薬局スタッフも、もちろん飲み会などで冷たいビールを飲みますが、せめてもの養生ということで、初めに温かいお茶をいただくようにしています。気休めですが、すきっ腹に冷え冷えのビールをいれるよりは少しだけましかとおもっております。
 
 

 

代謝のせい?それとも・・・

先日、友人(女性)が「代謝をあげたい」と相談に訪れてくれました。見かけはとてもすらっとしていて、決してダイエットなどが必要な体型ではなさそうですが、悩みというのは人それぞれですね。その友人は、「代謝不足、冷え、むくみ、肌荒れ、生理痛」などを訴えていました。多忙でストレスも多いようです。生理周期が不安定なようですが、そのことについてはあまり関心をもっていないようでした。
普段の食事内容を聞いてみると、朝はコーヒー(この時期はアイスコーヒー)とサラダ、便秘対策にヨーグルト。お昼は食べたり食べなかったり。その日はクラッカーのみ。夜はほぼ毎日外食で、お酒も大体毎日飲むそうです。仕事は海外出張が多く、寝る時間も不規則なようです。
 

食べないと代謝は下がる

なるほど、代謝が低いわけです。「代謝」というのは「新陳代謝」の略で、生命活動の根本のことを指しています。食べたものからエネルギーを造りだし、生命活動を維持することです。勿論この代謝を行うためにもエネルギーが必要となります。そのエネルギーは身体から湧いて出るわけでもなく、植物のように光合成して得られるわけでもありません。食べたものを胃腸が消化し、エネルギーに変換することで行われます。エネルギーに変わるものが少ない、エネルギーを造りだす消化器系が弱っている、そのような状態だともちろん代謝は低くなります。
中医学的に考えますと、この忙しい友人の症状は、胃腸機能低下による気血の生成不足。それからくる気血の流れのわるさが原因といえます。冷たいものが多いので、胃腸機能が低下していまい、気や血も体に必要な分作り出せていません。作る材料も不足しているでしょう。血は五臓六腑や組織・器官に栄養を届け、正常に働かせる仕事をしているので、少ないと体の中ばかりでなく、体全体の活力が低下します。血やエネルギーには身体を温める力もあるので、それが不足することは、もちろん冷えに繋がります。気血が足りないと不要物の排泄もままなりません。きれいなお肌も血が不足していてはもちろん造られません。そして、生理周期についても、血の不足や冷えが大きな原因となっていることも伝え、それが健康を維持するうえではとても大切なことだということもお話させていただきました。
 

 健康には「基本」が大切

本人は、血流改善したり、身体を温める漢方を飲めばいろんな悩みは解決できると思っていたようですが、肝腎な体という「器」がしっかりしてないことには、いくら上等なお薬を注ぎ込んでも漏れ出て流れてしまうので、そう簡単には行きません。お金だけかかって、体調は変わらずで、「漢方は効かない!」なんてことにもなりかねません。
本来ならば胃腸機能改善を図り、ちゃんと漢方を吸収できる体に戻すべく、消化の漢方と解毒の漢方に食事の改善をプラスしたメニューをまずは2か月ほど続けていただきたいところですが、忙しい中来てくれた彼女の時間も無駄にはできませんので、今回は、胃腸機能を改善する漢方をメインに、栄養補給できる漢方と気の巡りを改善し、ストレスからくる胃腸機能低下を防ぐための漢方、この漢方は気の巡りを改善することで同時に血流改善の手助けもしてくれます、を食後に少量から飲んでもらうようにしました。これで少しでも良くなれば良いのですが。勿論食事の改善は何よりも一番に行うようお話させていただきました。
食事の改善点はまず冷たいものを避けること。そして野菜中心の和食を食べるということです。幸い野菜は好きなようで、野菜たっぷりの味噌汁を極力食べることには同意してくれました。あと主食は米に限らなくてもよいですが(出来れば米ほうが良いが、、)、和の主食をちゃんと食べることも伝えました。米などの複合多糖類では血糖値が急激に上下せず、それだけでは肥りません。あとはしっかり火を通した野菜を食べることです。それだけでも冷えや便秘はずいぶんと改善されるはずです。
後は本人がどれだけ本当の意味での「健康」に目覚めてくれ、健康を維持することの楽しさを覚えてくれるかにかかっています。
 
 
 
今日、8月2日はハーブの日だそうです。
ハーブは薬用植物のことを指していますね。中医学でもカモミールやラベンダー、ミントなどのハーブティーをお勧めすることがございます。それら香りのよいハーブは主に気の巡りをよくすることに使われています。ストレス過多の現代にはおすすめです。この暑い時期におすすめのハーブはビタミンの爆弾とも呼ばれるローズヒップでしょうか。汗とともに消費するビタミンCの補給にもぴったりです。同じ酸味の仲間であるハイビスカスなどとの相性も良いですね。ハーブティーに使った後はお風呂に入れてハーブ湯も楽しめそうです。
 

(ミントの葉には油分が多いのか水滴も玉のようになります)
 
 
 
 
あわせて読みたい
櫻井店長のたまには真面目に中医学~~気のお話~~~
「血」のお話~~貧血と血虚は違うんです~~~

2013/08/02

血のお話。血虚と貧血は違うんです!

暑さは少し落ち着きましたが、むしむしと湿度の高い日が続いていますね。
ついつい冷たい麦茶やアイスコーヒーなどがほしくなりますが、胃腸を冷やすと夏バテの原因になるので、摂りすぎには気を付けてください。夏バテの予防には温かいものを摂り、汗をかいて湿気を体内にためないことです。漢方では除湿剤のような芳香加湿薬というタイプの漢方で、下痢や軟便、食欲不振、体や頭の重だるさ、雨や台風時の調子の悪さを改善します。
当店でご相談のお客様の中には、朝食はヨーグルトと果物、サラダという食事をされるというお話をよく伺います。一見とても健康そうな食事内容ですが、冷たいものは胃腸を冷やし機能を低下させるので、中医学的にみるとちょっと不安が残る朝食です。冷えてしまうと血の巡りも悪くなりますし、胃腸機能が低下すると、血も十分に作り出されません。血は身体の各部を巡り、栄養を供給しているので、血の不足は機能の低下につながります。
 
少し間が空いてしまいましたが、前回の「気」の話の続きで、今日はそんな「血」の話をしようと思います。ちなみに中医学では「血」とかいて「けつ」と読みます。
「血」は、血管内を流れる赤色の液体で、人体を構成し、生命活動を維持する基本物質と定義できます。主な生理機能は人体の臓腑・組織・器官に栄養を与え生命活動を維持することです。「血」は胃腸によって食べた物から作られれる「水穀の清微の気*」、そして営気*と津液が合わさり「血」になります。このほか、腎に蓄えられた「精気」も「血」に変化すると中医学では考えられています。
*水穀精微の気や営気のお話はこちらをクリック
 

 
「血」は全身を巡り、栄養しています。中医学では、臓腑・器官の“濡養”・“滋潤”しているという言い方をします。これは潤いと栄養を与えているという意味です。各臓腑・器官は血によって動かされ、その活動が維持されています。もし血が足りないと、手足は痺れ、筋肉がつったり、冷えたりし、足取りもおぼつかず、手はしっかりものを掴むことができず、目もちゃんと物を見ることが出来ません。また、爪は割れやすく、もろくなり、手足は乾燥してガサガサになるでしょう。これらの状態は中医学でいう「血虚(けっきょ)」という「血不足」の状態で、単なる貧血とは違います。
もう一点、「血」の大事な働きに、精神活動の基本物質であるというものがあります。「血」の不足は、精神の不安定を招き、不眠や眠れても夢が多い、不安感が強いなどの症状がみられます。
 
「血」の流れには多くの臓腑・器官・組織の連携が必要不可欠です。血はまず「脾胃(ひい・胃腸)」で食べたものから作られその後、「心(しん)」の推動作用(血液ポンプ)によって血管内を移動します。血が血管内から漏れださないのは脾の統血作用によるものです。血はただただ巡っていればよいのではなく、必要な場所に必要な量供給する必要があります。これは「肝」の仕事です。「肝は蔵血を主る」といって、血の貯蓄と、スムーズに巡らせる疏泄作用を担っています。
脾胃の調子が悪くなると、血の生成が低下し血虚と呼ばれる状態となり、上記の様々な症状が現れます。また、脾は統血作用も担っているので、あざができやすかったり、不正性器出血などもみられることもあります。心が弱ると、血が全身に廻らず組織や器官も栄養供給されないので、疲れやすくなったり、乾燥したりします。肝にトラブルをかかえると、疏泄がうまくいかず血が廻りません。そうなると肩こりや頭痛などがおきます。
 

 
 

貧血と血虚の違い

ご相談時に、「少し「血」がたりない「血虚」という状態ですね。」というお話をさせていただくと、「貧血ではないです。」とおっしゃられる方がいらっしゃいますが、貧血と血虚は違います貧血とは、一定の血液中のヘモグロビン濃度が一定の基準値を下回った状態を指していて、中医学でいうところの「血がたりない=血虚」という状態は、個々の体に対して血が十分にない状態を示しています。血虚は、血の滋養・滋潤作用が低下した状態を示しています。原因は①血の材料となる飲食物の摂取不足、②脾胃虚弱による吸収力の不足、③腎精不足による血液生成力の低下、④過度の思慮による消耗、⑤過労・慢性病による消耗、⑥出血による消耗があります。基本的には作りきれてないか(①~③)、使いすぎている(④~⑥)かということです。
血虚により引き起こされる症状は、めまい、視力減退、顔面蒼白、唇や舌の色が淡い、爪の色が淡い、爪がもろい・かけやすい、身体がかたい、筋肉がつる、脈がよわいなどがみられます。このほか精神活動を支えることも血の役割ですから、不足すると、健忘、不眠、不安、不規則な動悸、やる気の低下などがみられます。逆にいうとこれらの症状がみられる場合、血虚を疑います。
 
 
血は身体を潤し、栄養を与える物質です。女性の身体は月に一度血を失っているので、血の不足に陥りやすく注意が必要です。不足すると冷えたり、乾燥したり、心が落ち着かなかったりしますので、男性でもそれら症状でお悩みのかたは血を補う対策をお勧めします。血は胃腸で作られるので、冷たいものの摂りすぎや偏食は血の不足を招いてしまいます。血不足におすすめの食材は、豚肉、烏骨鶏(または地鶏)、うずら卵、黒米、黒豆などの黒色の食材。人参、トマト、なつめなどの赤色の食材、かき、ほうれん草などの補血食材。ほうじ茶、紅茶などです。中医学の知恵を普段の生活にとりいれて健康を自分で管理していきましょう!

2013/07/31

「痛みはないのがあたりまえ」~漢方で腰痛改善体験記~

こんにちは櫻井です。

先日、朝起きたらなんだか腰に違和感がありました。歯を磨いたり、顔を洗うために少し前かがみになると左の腰あたりに鈍痛を感じ、腰からおしりにかけて軽い痺れのような感覚を感じていました。その前日に、夕食代わりのピザにやられ、喉が渇き大量に水分を摂ったことと、クーラーをかけたまま寝ていたことなどが原因として思い当たったので、「冷えと湿で脾や腎がトラブルをおこして、血流がわるくなってるんじゃないか?」と考え、朝から「血」の流れをよくする漢方と、冷えと湿と腎のトラブルからくる痛みに使われる漢方を飲んで様子を見ることに。
 
お昼にごろになっても腰の違和感や鈍痛は変わらず、そのままもう一包づつのんで、夕方まで様子を見ていましたがいまいち変化が感じられません。漢方は長く飲まないと効かないとよく言われますが、突発性の痛みなどに対する処方というのは案外即効性が高かったりします。なので、何らかの改善が無いのはおかしいと思い、「もしかして血の流れの悪さ原因は気の巡りの不調によるものでは?」と思い立ち、気の巡りを良くする漢方をプラスするとあらふしぎ。腰の違和感は気にならなくなりました。
 
帰宅後、痛みはまだ少し残っていましたが、寝る前と朝、気の巡りを良くする漢方、血流を良くする漢方、気を補う漢方を飲みました。今のところ痛みは気になっていません。
 

 
中医学には痛みに関して「不通則痛(ふつうそくつう)」「不栄則痛(ふえいそくつう)」という二つの大原則があります。不通則痛というのは、人体を巡っている気や血が順調に巡らない時におこる痛みで、比較的強い痛みであることが多いものを指します。たくさん痛み止めを飲まないとなららない生理痛などもこの痛みの範囲です。もう一方の不栄則痛は、気や血が巡らなくなったことで栄養不足の状態がおき、それが痛みになっているというものです。こちらはどちらかというとじんわりと痛みます。同じ生理痛でも重だるさを伴った鈍い痛みの場合はこちらが考えられます。不通則痛には、冷えによる血の巡りの不調「寒凝瘀血(かんぎょうおけつ)」などがあり、もう一方の不栄則痛には、気や血の不足による「気血不足」の痛みや、腎の働きの低下による痛み「腎気虚損(じんききょそん)」の痛みなどがあります。
 
今回の私の腰痛や腰の違和感は、気滞血瘀(きたいけつお)といって、気の巡りの不調による血の巡りの不調からくる痛みだったようです。血は、気のながれがあって初めて流れるもので、ストレスなどの影響で気の流れが悪くなると必然的に血も流れにくくなります。この場合一生懸命血だけを動かそうとしてもなかなか改善してくれません。そんな時は、気の巡りをよくするものを加えるとすんなりと動いてくれて、痛みがとれたりします。痛みは刺されるような刺痛ではなく、じんわりとした違和感だったので、患部の血や気の不足も関与しているかもしれません。このように実際の現場では二つの大原則ははっきり分かれておらず、微妙に重なりあって存在しています。
 

痛みは無いのがあたりまえです。耐えられないほどの痛みは身体の危険信号です。痛み止めでごまかし続けるのも、根本的な解決にならず放っておいておくことと同じです。痛みのない体にすることが大切です。
 

2013/07/27

「気」のお話

こんにちは櫻井です。
中医学にはよく「気・血・津液」という言葉が出てきます。
でもちょっとわかりずらい言葉たちですよね。せっかくブログも本格活動したので、心理学のお話ばかりじゃなくて、たまにはしっかり中医学のお話をすることして、中医学の基礎理論のお話をしてみたいと思います。本来は気・血・津液に精が足されますが、精はおいおいお話することとして、今回は気・血・津液に絞ってお話したいと思います。
 

体をつくる基礎物質

「気・血・津液」は「き・けつ・しんえき」と読みます。これらは身体を構成する基本的な物質で、臓腑(肝心脾肺腎)・経絡を機能させるための基礎物質で、臓腑・経絡の生理機能によって生産されています。そしてこの、「気・血・津液」のどれか、または複数が多かったり、少なかったり、流れていなかったり、うまく機能していなかったりしていることで病気になると中医学では考えられています。全てをいっぺんに説明すると結局またぼんやりしたものになってしまいそうなので、気・血・津液を分けて説明します。
本日はまず一番ぼんやりとしていると思われる、「気」のお話から始めたいと思います。
 

 

気とは

気は、中国の古代哲学に基づいた考えであって、とても複雑で定義することが難しいのですが、一般的には、「世界を構成する基本物質であり、これらが運動・変化することによって森羅万象が引き起こされるもの」としています。現代科学の言うところの原子のような物質であって、かつ、エネルギーでもある存在です。私たち人間も自然の中に存在する物質ですから、その活動にはこの「気」の影響を受けています。
 

二つの「気」

一つ目は、「人体を構成し、さらに生命活動を維持していくために必要なエネルギー、あるいは物質の基礎となるもの」というもの。人体には、食物中のエネルギーから作り出される「水穀精微の気」(すいこくせいびのき)、空気中のエネルギーから作り出される「清気」(せいき)、親から受け継ぐ「精気」(せいき)があり、これらからまた様々な異なった「気」を生み出しています。一つ目の意味は、これら様々な異なった「気」を指しています。
二つ目の意味は、「臓腑や経絡の働きあるいは機能」という意味の「気」です。心気や肝気などがこれにあたります。心はポンプのような作用で全身に血液を送るはたらきがありますが、これを「心気」(しんき)と呼びます。心気は心の働きのことを指しています。この心気が低下すると、脈が弱くなり血行不良になり、動悸がしたり疲れたりします。この状態を「心気虚」(しんききょ)と呼び、回復させるためには、心気を補う漢方を使います。なので、二つ目の「気」は臓腑の機能や働きのことをさしています。
 

 

気には元気、宗気、営気、衛気という4つの種類があります。

元気(げんき)は「元気がある」とか「元気になる」というものに似ています。元気は親から受け継いだ精気から作り出されます。これは生まれた時が満タンで徐々に不足していくので、出生後は食べ物から作り出される「水穀清微の気」によって補充されます。元気は「三焦」(さんしょう)という経路を通って全身にいきわたり、臓腑・組織・器官の働きを活発にします
宗気(そうき)は、呼吸によって吸い込まれた空気から作られる清気と、脾(胃腸)の働きにより食べたものから作られる水穀清微の気から作られます。宗気には推動作用(すいどうさよう)とよばれる、ものを推し動かす力があり、気や血の流れを促進し、生命活動を推し進めています。宗気が不足すると、呼吸が弱かったり、息切れがしたり、声が小さかったり、話すのが億劫になるなどに加え、心拍の異常や動悸なども見られます。その他、感覚器官にも気や血がおくられにくくなるので、音が聞こえにくかったり、見えにくかったりなども見られることもあります。
営気(えいき)は、食べ物から作られる水穀清微の気から作られます。栄養分が豊富な気とも言われ、「営気は血管の中を流れ、血液の一部として全身に栄養を供給して臓腑・組織・器官などを働かせている」と考えられています。営気は血液と一緒に血管をながれているので、同時に営血(えいけつ)と呼ばれることもあります。
衛気(えき)は、腎に蓄えらえた精気と食べたものから作られる水穀精微の気から作られます。衛気は良く動き、全身を巡っています。衛気は身体を外敵から守る防衛作用と、身体を温める温煦作用を持っています。さらに皮膚や粘膜を強化し、汗をコントロールする働きもあります。多汗症の場合はこの衛気が不足してることも良くあります。低下すると外敵から身を守る力が低下するので、良く風邪をひきやすかったり、アトピー性皮膚炎や花粉症などアレルギー疾患を起こしやすかったりします。低下すると温煦作用も低下するので、体が冷えてしまうこともあります。
 
このように全ての「気」は食べたものから作られる水穀清微の気がもとになっています。そして、漢方薬も胃腸によって吸収されることで薬効が現れるので、胃腸の働きを守ることがとても大切であり、すべての基本であると中医学では考えられています。胃腸の機能が低下してしまった場合は、いくらバランスのとれた食事をしていても簡単にはもとに戻らないので、臨床の場では消化不良・食欲低下・軟便などの胃腸症状がないか確認し、もしあれば、それらを改善することも大切と考えます。
 

 

気には6つの作用と4種類の運動形式があります。

気の6つの作用とは、気・血・津液を推し進め、臓腑の働きを推し進め、生命活動を推し進める「推動作用(すいどうさよう)」、身体を温め、臓腑・組織・器官を温め、機能を活発にする「温煦作用(おんくさよう)」、皮膚や粘膜を強化し外敵から身を守り、環境の変化から身を守る「防衛作用(ぼうえいさよう)」、気・血・津液が体から漏れ出ることをふせぐ「固摂作用(こせつさよう)」、あるものを別の何かに作り替える(例:食べ物を気血津液に変える、尿の生成、新陳代謝など)「気化作用(きかさよう)」、臓腑、器官、組織に栄養を与え、それぞれの機能を正常化する「栄養作用(えいようさよう)」があります。
4種類の運動形式とは、「気機(きき)」とよび、昇・降・出・入の4種類があります。出・入は呼吸を考えるとわかりやすいでしょう。昇・降は、例えば気が昇りると気持ちが昂ったり、やる気が出たりとなりますが、上昇しすぎると興奮状態でイライラの原因ともなります。降は正常であれば落ち着いた状態、冷静な状態といえ、加工しすぎれば気持ちが落ち込んだ状態となり、時にはうつ状態となります。

 (イスクラ中医学入門:中医基礎理論より引用・参照)

 
 
まとめると、気は身体全体のエネルギーで、体温を保ったり、身体を守ったり、内臓の働きを助けたりしている物質ということです。そして多くは食べたものから作り出されるので、胃腸の働きは気の量と関係があり、食べ物がよくて胃腸が元気で有れば気は充実し、その逆では低下してしまうということです。中医学の相談では、日ごろからの食養生を大切にしてくださいとお話をするのはこのためです。
 
というのが気のお話です。いかがでしたでしょうか?
次は「血」のお話をしますね。

2013/07/26

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売