【中医学的な紫蘇】
紫蘇
基原: シソ科LabiataeのシソPerilla frutescens Britton var. acuta Kudo 又はその他近縁植物の葉及び枝先
性味: 辛/温
帰経: 肺脾胃
効能: 散寒解表 理気寛中 行気安胎 解魚蟹毒
紫蘇は日本での歴史も古く、中国から伝えられ、縄文時代から栽培されていたそうです。気の巡りを良くする作用があり、生薬では香りの強いものほど良品です。
【紫蘇のお勧めポイント】
・解魚蟹毒作用
「紫蘇」という名前の由来にも、その関係がみえます。昔中国でカニを食べて食中毒を起こした少年に紫蘇(紫の葉)を与えたところ、元気を取り戻した(蘇った)という話です。生薬としてこの作用を期待する時は、魚介類の中毒では単味か、生姜などを一緒に使います。
また近年の研究で、紫蘇の香り成分(ペリルアルデヒド)に、食中毒原因菌に対しての抗菌作用があることが明らかになっています。食中毒の予防としても効果が期待できるとのことです。例えば刺し身の盛り付けには定番の青紫蘇(大葉)。やや脇役的な存在ですが、食中毒の予防という観点からみても合理的です。
湿気が多い時期。食品も傷みやすく、菌が繁殖しやすいです。加熱があまかったり、室温に置きっぱなしにすることで発生する食中毒が増えます。 しかし、そんな時期でも生の野菜や魚は食べたくなるものです。彩りもよく、抗菌作用もあり、食べると口の中をスッキリさせてくれる紫蘇。普段の食事に活用してみてはいかがでしょうか。
・気を巡らせる作用
中医学で紫蘇は、気を巡らせる作用があると考えます。気が滞るとイライラ、お腹が張る、みぞおち辺りがつかえて苦しい感じがする、梅核気(喉に何かつまったような感じで胸が苦しい。医者に行ってもなにもないと言われるような症状)などの症状が現れると考えます。気の滞りから、胃腸がスムーズに動かなくなり、食欲不振、悪心、嘔吐、ゲップ、ガスがたまるなどの症状があらわれることもあります。
紫蘇は、気を巡らせることで気持ちをリラックスさせ、胃腸の動きをスムーズにする効果があるので、そのような症状の改善にも役立ちます。ただ、紫蘇単独ではやや力不足なので、そういった症状がある場合には漢方薬がお勧めです。例えば、半夏厚朴湯は、気滞からくる胃腸症状や梅核気に使われる漢方薬で、紫蘇も配合されています。
また、気が流れると血のめぐりもよくなると考えられます。気を巡らせることでストレスを和らげ、胃腸の動きを良くし、血のめぐりを良くする。現代社会にはピッタリの効果といえるのではないでしょうか。
【紫蘇の含まれる、この時期お勧めの漢方薬】
紫蘇は普段の生活で健康に役立てられる、オススメの食材ですが、体調を崩してしまったら、漢方薬も利用してみましょう。
勝湿顆粒(かっ香正気散)
梅雨の季節は中医学的に、胃腸に負担がかかる時期と言われています。普段から胃腸が弱く、水分の代謝機能が落ちている方は、体に湿(余分な水分)が溜まりやすいです。梅雨の時期は体の外にも湿気が多く、胃腸に負担がかかりやすくなります。又この時期は、冷たい飲み物、生もの、果物を摂りすぎたり、食中毒などの感染症が起こりやすくもあります。つまり、腹痛、嘔吐、下痢、食後腹がはる、身体が重だるい、口が粘る、などの胃腸症状があらわれやすい時期です。
勝湿顆粒は紫蘇の他にも胃腸の動きをよくし、余分な湿を取り除く生薬が組み合わされており、この時期の胃腸トラブルにはピッタリの漢方薬です。胃腸型の風邪や、雨が降るとだるくなる、食欲がなくなる、というような症状にもお勧めです。紫蘇は散寒解表、理気作用を期待して配合されています。だるさがあって微熱が出たり、寒気がするような症状をとり、気の巡りを良くして胃腸の動きを助けます。
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