「なぜ “五月病” なのでしょう」
それは新入生や新社会人が、4月の入学、入社から1ヶ月経った5月の連休明け頃に起きやすい症状だからといわれています。4月は、新しい環境への期待や、新しいことへのやる気、チャレンジ精神が旺盛です。しかし、新しい環境に適応できない、人間関係の悩み、自分の思い描いていたものと現実とのギャップ、周囲からの大きすぎる期待、目標を見失った喪失感…など、様々な原因で精神的ダメージを受ける方もいらっしゃいます。また、新社会人の場合、新人研修の終わる6月頃に症状が出ることがあり、「六月病」とも呼ばれます。
「五月病になりやすいタイプは?」
五月病は自律神経の乱れた状態です。例えば次のようなタイプの方に多く見られます。
● 真面目、几帳面、優等生タイプの方
● 完璧主義の方
● 周囲への気遣いをよくする方
● 我慢強い方
「五月病の症状は?」
五月病は心の症状と体の症状があります。
【心の症状】
● 気分の落ち込み、憂鬱
● 無気力、無関心、億劫
● イライラ、不安感、焦燥感
● 判断力、思考力の低下 など
【体の症状】
● だるさ、疲労感
● 睡眠障害
● 食欲不振
● 便秘、下痢、腹痛
● 頭痛、めまい、吐き気 など
「五月病を中医学的に考えると‥」
五月病の症状は、中医学では「肝気鬱結(かんきうっけつ)」と考えます。「肝」は血液を貯蔵する働きと精神を支配する働きを持っています。「気」は人間の体の中を流れるエネルギー。この気が肝の支配の下でスムーズに動くことで、体内の血液や水分が滞ることなく流れます。肝が、ストレスなどの精神的ダメージを受けると、気の巡りが悪く滞った「肝気鬱結」の状態になり、更にその状態が続くと、血液や水分の流れにも影響し、五月病の諸症状を引き起こしてしまうのです。
「漢方薬はどんなものがある?」
主に、気の巡りを良くするもの、不足した気や血を補うものを使います。
逍遥顆粒:滞った気を巡らせ、不足した血も補います。イライラタイプの方にも。
開 気 丸 : 気の滞りによる消化器症状のある方に。
心脾顆粒 : 気血を補い精神を安定させます。不眠の方にも。
上記はごく一例ですので漢方薬を服用の際は、専門家にご相談下さい。
「身近な対策は??」
大切なのは、頭と心を一端リセットして、気持ちをのびやかにすることです。好きな音楽を聴くのもよし、料理や掃除に没頭するのもよし、自然豊かな場所を散歩するのもよし、アロマセラピーバスにゆっくりつかるのも良いでしょう。また、旬の食材は心に栄養を与えてくれます。5月でしたら、筍とワカメで若竹煮なんていかがでしょうか。シソやセロリ、柑橘系の果物など香りの良い食材もおすすめです。
五月病,