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季節のキーワード

二十四節気~大雪①

当店は、日本橋という花のお江戸の中心にありますが、薬局で四季の移ろいを感じるといったらおかしく思われるかもしれませんね。
しかしながら、春は花粉症、梅雨時は食欲不振、浮腫、湿疹、夏は夏バテ、秋は咳、喘息、肌や髪の乾燥といった具合に、いらしたお客様の症状によって薬局にいながらいつも季節の移り変わりを感じております。

中医学には「整体観念」という考え方があり、身体を一つの総合的な有機体として見る他、身体と環境も一つの統合体として見なし、季節や環境の変化が体に及ぼす影響を重視しています。

今回は二十四節気に基づき、この時季ならではの中医養生法をご紹介します。まずは二十四節気の由来から・・・

二十四節気の由来

太陽の黄道(太陽が移動する天球上の道)上の位置の変化と地上の気候変化の順序に基づき、一年を24等分し、それぞれに名前を付けたのが、24節気の由来です。

太陽が赤道を垂直に照らす時を“黄経零度”、則ち春分点と定めます。そこを起点として、15度ずつ進んだものが一つの節気であり、春分から下に順番に、清明、穀雨、立夏などとなります。一周運行した後にまた春分点に戻りますが、これが一つの太陽年で、合わせて360度、24節気に分けます。各節気ごとの間隔は半月の時間で、12ヶ月の中に分類されます。

この原稿をアップする頃の2021年は12月7日は二十四節気の大雪にあたります。その名が示す通り、寒さが一段と増して、降雪もあり、一年の中で陰気が盛んな時期です。その反面、陽気も既に芽生えています。そろそろ年末年始の準備を始めなくてはいけない時期でもありますね。

この時期に天候の力を借りて陰を養うと、身体の陰陽のバランスを整えることが出来ます。大雪の時期に出やすい症状として、①咳、喘息、風邪などの呼吸器感染症 ②心筋梗塞や脳出血などの心・脳血管疾患 ③お腹の冷えからくる腹痛や下痢などがあります。このように寒冷の環境では常に養生に努めなくてはいけません。この時期の中医養生には7つのポイントがあります。今回は前半3つのポイントと、この時期のおすすめ食材1点をご紹介します。

①保温:冬は陰に属すので、陰精を固めて漏らさず保護するのが根本です。つまり外に体の潤いを出さないようにしましょう。寒を取り除くと体が温まるため、冷えを体に入れないようにすることが大事です。中医学では、保温は頭から始めるのが大事であると考え、大雪の節気以降は、高齢者や子供及び体の免疫力が弱い人は外出時帽子を被ることをお勧めします。その次に背中や腹部、足の部分も保温のポイントです。しかし、あまり温めすぎて、厚着をしすぎると熱くて汗ばんでしまいますのでご注意を。

②足のケア:足の清潔乾燥を保つことが重要で、靴下をこまめに取り替え毎日足をお湯で洗い、同時に足のツボをマッサージして刺激します。毎日30分以上歩いて足を動かしましょう。この他に快適で暖かくて軽く、吸湿性に優れた靴下を選ぶことが非常に重要です。

③多く飲む:中医学では、水は陰中の至陰であるので、冬の真っ只中に多く水を飲むと陰を養うと考えます。一般的に一日の中で三杯の水が必要で、一杯目は早朝起きたときに飲むと腸を潤すことができる;二杯目は午後五時に飲むと腎陰を潤し栄養を与え、三杯目の水は夜9時に飲むと心陰を養うことができると考えます。(お白湯もしくは常温の水にしてくださいね)

大雪の節気食材

黒豆:黒豆のたんぱく質の含有量は36~40%に達し、更に18種のアミノ酸も含み、その中の8種は人体に必須のアミノ酸であり、不飽和脂肪酸の含有量は80%に達します。

中医学では、黒豆は“補腎益陰、健脾利湿、除熱解毒”の効能があるとされます。

日本では、お正月の祝い肴三種としてこの時期買い求める方も多い黒豆。“マメに暮らせるように”、“黒い色で邪気払い”など謂れがありますが、この時期の食養生としてもピッタリの食材ですね。中医学では、黒い食材は腎を養うとされ、特に冬に腎を養生すべしとされています。黒豆茶や蒸し黒大豆など便利な食材もコンビニ、スーパーでもよく見かけるようになりました。お正月だけでなく平素からマメに頂きたいものですね♡

《参考文献:二十四節気順時養生・節気養生薬膳食譜》

 

 
監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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