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季節の薬膳・養生法 の記事一覧

胃腸によい、ビタミンCが豊富、イライラや落ち込みなど気の巡りも改善!春にぴったり「さやえんどう」

こんにちは。店長の櫻井です。今日、3月8日は、「さやえんどうの日」だそうです。
※【さやえんどうの日】
さやえんどうの主産県である和歌山県の農業協同組合連合会が制定。
和歌山県では3月にハウスのさやえんどうが最盛期となることと、
3月8日で「さや」の語呂合わせからこの日に。
収穫の恵を喜び、消費者に和歌山県のおいしいさやえんどうをPRするのが目的。 (出典:みーちゃんの今日は何の日
鮮やかな緑とそのしゃきしゃきとした触感から、副菜だったり飾りとして使われる事が多い「さやえんどう」ですが、なかなか栄養豊富な野菜なようです。詳しく見ていきましょう。
 


snap_peas / JMacPherson

 

ビタミンC、カロチン、食物繊維が豊富で、抗酸化作用が高い!

さやえんどうは、地中海沿岸から中央アジア一帯が原産の野菜で、生長途中の未熟なエンドウ豆の莢(さや)を食用にします。「絹莢」とも呼ばれ、江戸中期頃にオランダ船に乗って日本に伝わった外来野菜です。現在では和歌山県の日高地方の特産物となるぐらい日本の食卓に定着した有色野菜です。グリーンピースも同じエンドウの仲間ですが、グリーンピースに比べて糖質の量が少なく、カロリー控えめです。
さやえんどうはエンドウ豆の生長途中段階で、まだ若いうちに摘み取られるため、ビタミンCが豊富です。ビタミンCはこのブログでも何度も話題にあがってきていますが、細胞の結合を強化するコラーゲンの生成に必要不可欠な要素なので、美容作用や粘膜を強める作用などの効果が期待できます。活性酸素除去作用から、しみやそばかすの予防にもビタミンCは欠かせません。その他、カロチンや食物繊維も豊富に含まれているので、便秘の改善や、抗酸化作用による、成人病やアルツハイマーの予防、血管病の予防作用なども期待できますし、動脈硬化予防にもおすすめです。
 


080410 snap peas / Dan4th

 
ビタミンCの含有量だけでいえば、イチゴや、かんきつ類に劣りますが、それらは同時に糖質も多く含むので、たくさん摂るならさやえんどうから摂るほうが健康的と言えるでしょう。絹さや100g中にビタミンCは55mgも含まれ、これは成人が1日に必要なビタミンCの約半分にあたるそうです(さやえんどう10枚で約25g相当)。
さやえんどうの仲間には、スナップエンドウ、グリーンピース、豆苗などもあります。スナップエンドウはさやえんどうに比べて肉厚ですが、莢が柔らかくそのまま食べることが出来ます。グリーンピースはエンドウ豆の未熟果で、成熟した実を軟らかいうちに食べるもので、豆だけを食べる品種です。豆苗はエンドウ豆の若芽のことです。豆苗→さやえんどう(豆が大きく、莢が厚いものはスナップエンドウ)→グリーンピース→エンドウ豆と、出生魚ならぬ、出世豆(そんな言葉はありませんが)なんてものがあったのは驚きです。
 


午餐 / Lunch – 豆苗 / Blowing Puffer Fish

脾胃を健やかにし気滞を改善

中医学的に見ると、さやえんどうは、甘味で、寒熱の偏りのない平性。甘味らしく、「健脾(けんぴ)」といって、消化吸収を促進する働きや、消化能力の低下時に効果があるとされているほか、気の滞りを取り除く働きがあり、胸苦しさ、胸のつかえ、腹部の膨満感、腹痛、食欲不振など気滞の症状を和らげる作用があると考えられています。
 


イカの塩辛入り 絹さやと干しシイタケの和風スパゲティ / giovanniscanavino

春の養生法として、中医学では、「酸っぱいものを少な目にして甘いものを多目にとるように」というのがあります。これは、春は肝の機能が強まる影響で、胃腸機能を低下させてしまう傾向にあり、肝に導かれる酸味よりも、脾胃(消化器系)に導かれる甘味をとるようにしようという意味です。甘味というと、私たちは砂糖を思い浮かべますが、中医学で言う甘味は砂糖以外の自然な甘みのこと。甘味の性質をもち、脾胃を養う力のあるさやえんどうは春にはぴったりの野菜といえます。


Pea and Strawberry Dinner: Third Course / timsackton

もう一つ春の養生で気をつけなくてはいけないことがあります。中医学では春は  の季節で、肝は木々が成長するかの如く、のびのびとできる状態を好む臓器なので、抑圧されたストレス状態にはとても弱い臓器です。そして春はストレスがとても多い季節です。肝が弱ってしまうと、「気を巡らせる」という肝の機能が低下します。そうすると、ほかの臓器にも影響が出てきて、脾胃は動きを低下させ、お腹が張ったり、胃痛を起こしたりするようになり、精神情緒にも影響することで、イライラしたり、怒りっぽくなったりする気滞の症状が出やすくなります。さやえんどうには、気の巡りを改善させる力があるので、ここでも活躍が期待できます。

さらに平性でありつつ肌の炎症などを抑えてくれる解毒作用、潤いを生む生津作用なども併せ持ち、花粉の影響などで荒れやすくなっている肌にも、春になって高ぶる陽気を抑える潤いの補給にも良く、まったくもってして春にぴったりのお野菜ですね。
 


Snap Peas / Zaskoda

 
さやごと食べるのは養生学の「一物全体」という理論にも合致していますし、旬のものを旬の時期に食べる「身土不二」という考えにも沿っています。なによりも、これほど春にぴったりの野菜を食べない手は有りません。豊富なビタミンCを有効に摂取するためにも、加熱時間は短めにしましょう。莢の薄いさやえんどうなら、さっとゆでるだけで十分食べられます。さやえんどうは、普段はスポットを浴びない、飾り野菜かもしれませんが、せっかくなので彩や飾りとしてだけでなく、たっぷり食べみてはいかがでしょうか。さっと炒めて鰹節をかけ、醤油を垂らすだけでもおかずになりますよ。

2014/03/08

ひな祭り【桃の節句と中医学】

こんにちは。店長の櫻井です。
3月3日の今日は、『ひな祭り』ですね。ひな祭りは、五節句の一つで、別名を桃の節句というのは皆様ご存知の通り。節とは季節の変わり目のことで、一年を五つの節日(せつにち)で区切り、節目節目を無事に過ごせるよう厄災を祓い、無病息災を願う行事というのが「五節句」です。五節句には、一月の人日(じんじつ)、三月の上巳(じょうし)、五月の端午、七月の七夕、九月の重陽(ちょうよう)があり、三月・上巳の桃の節句、五月の端午の節句を男の日(菖蒲の節句であり、「菖蒲」を「勝負」にかけたと言われている)、七月の七夕というのは、私たちにもなじみが深い行事ですね。
節句は「節供」ともいって、季節の節目にお供え物をするという意味もあると同時に、その時期その時期の植物から正気をもらい、邪気を祓い、健康を願うという意味合いもありました。そのため、一月は七草、三月は桃、五月は菖蒲、七月は笹、九月は菊と、薬用食物が五節句に対応して選ばれています。
ちなみに雛祭りの雛とは、小さくしたとか、小さくてかわいいという意味があるそうですよ。
 

 

身を清めて、邪気を祓うお祭り

ひな祭りはもともと中国古来の風習で、3月初めの巳の日に、水で身体を清める禊(みそぎ)もしくは水垢離をして、厄災を祓うという行事がそのルーツです。その行事は日本にもつたわり、水垢離の代わりに草木や藁で作った形代(かたしろ)と呼ばれる人形(ひとがた)で自分の体を撫でて、穢れをうつし、川に流して厄災を祓う行事へと変化したそうです。これが今でも各地に残っている「流し雛」の行事です(健やかな成長願う人形のまち岩槻で流し雛 産経ニュース)。その後、この人形を飾るようになり、ひな祭りはできたそうです。


Japanease Doll Festival / uka0310

 

菱餅の色にも意味がある?

緑、白、桃色を見るとひな祭りを感じられますよね。これは菱餅にその色が使われてきたからだと思いますが、この色にも実は意味が有ります。元々桃の節句では、香りが強く、邪気を祓うと考えられてきた蓬を使ったヨモギ餅と、子孫繁栄と長寿の力があると考えられていたひしの実が入った白い餅を食べていたそうなんですが、明治頃からこれら二色、二つの持ちに加えて、山梔子(さんしし・クチナシの実)が入った赤い餅(実際には桃色)を加えて三色になりました。元々赤色というのは邪気を祓う、魔除けの色として欠かせない色ですし(神社の鳥居など)、さらに桃は、こちらも昔から邪気を祓う、不老長寿の実として考えられてきたこともあり、よりお祝いの意味合いが強くなります。
山梔子や桃の種の桃仁、ひしの実の菱実(りょうじつ)、そして蓬の葉の艾葉(がいよう)はどれも漢方の生薬として今でも使われています。
●赤:桃の花のイメージ。山梔子(クチナシの実)。清熱瀉火・涼血解毒~解熱、利胆、止血、解毒、鎮静、降圧/魔除け・厄除け
●白:雪のイメージ。菱の実、菱実:滋養強壮、解熱/子孫繁栄、長寿
●緑:新緑のイメージ。蓬:艾葉~温裏、止血、止痛、安胎作用:胎動不安を抑える/魔除け・厄除け
そして白い雪がとけると、新緑と花も咲き乱れる。そんな季節を表しているそうです。いやぁ~昔の人は風流で、そして何よりも粋ですねぇ。


花餅  / “KIUKO”

 

桃は邪気を祓う

もう一つの生薬、桃の種、桃仁は、血の巡りをよくし、シミや目の下のクマの改善、美肌にも良く使われる生薬です。その他、生理痛や月経困難、便秘の改善にも使われ、女性に優しい生薬です。さらに、中国では、産後、桃仁を使って子宮の中に溜まったものを出しきれいにするときにも使われているそうですよ。
そういえば昔から桃は、邪気を祓うとして信じられてきたのですが、それがもとになり、鬼退治をする桃太郎のお話が出来たと言われています。余談ですが。


お花をあげましょ桃の花。昨日は旧暦のひな祭り。#桃 / dom_u

三月三日の桃の節句、スーパーには、甘酒もひな霰もならんでいますが、今年は、ヨモギのお餅と、桃の花をお酒につけた「桃花酒(とうかしゅ)」など手作りしてみてはいかがでしょうか?

2014/03/03

胃が重い、食欲がない?食べ過ぎかな?【プチ小食養生】始めました

こんにちは。店長の櫻井です。
春は色々トラブルが発生しやすい時期です。これは、春になると自然界では陽気が高まり、植物や動物も活動的になるように、人の体も活動的になり、体内の陽気も高揚するためと中医学では考えるのですが、この陽気の高揚のため、食欲が抑えられなくなり食べ過ぎたり、逆に食欲をなくしたりするよになることがあります。

かく言う私も、この春の陽気の変動のせいか、食欲をうまくコントロールできず、お腹いっぱいなのに食べ過ぎてしまい、どうも常に胃が重い、そんな症状に悩まされていました。ということで、今日からまた簡単食養生を始めてみることにしました。


菜の花1 Rape blossoms / “KIUKO”

 
私が抱えているトラブルは、胃腸機能の低下と膨満感。これは食べ過ぎが主な原因なので、まずは食べる量を減らします。
食養生の基本は、朝食には、温かく消化に良いものを。 昼食は、品数多目を心がけ、しっかり栄養をとる。 夕食は、時間は早め、ボリューム控えめで脾胃が休める時間をつくるようにする、なので、朝は紅茶にはちみつとレモンを入れたものをとるようにしました。本当は味噌汁や、なんでもよいので野菜が入ったスープ、もしくはおかゆなどが良いのですが、食べ過ぎによる食欲低下時は、食べないという選択肢も大切です。食べないことで胃腸に休憩する時間を与えます。朝食にコーヒーやパン、ヨーグルトやサラダという方もいらっしゃいますが、中医学的には、ヨーグルトなど冷たくてドロドロとしているものは胃腸機能を低下させる原因となるで、胃腸トラブルを感じるときは避けるべきです。サラダも冷たいので同じく胃腸機能低下時は向いていません。パンも、小麦の他に生成された砂糖、バターなどを多く含み、これも胃腸機能低下につながるので、避けたほうが良いです。コーヒーは、1日1杯程度であればそれほど悪いものではないですが、コーヒー1杯に含まれるカフェインが紅茶1杯よりも多いので、胃腸にはちょっと負担になることも考えられます。陽気が強まりイライラしがちの春なので、出来ればカフェインは少な目の方がおすすめです。


Rape blossoms : 菜の花 / naitokz

お昼ご飯ですが、こういう時は本来ならお昼も抜いたほうが良いものです。ですがまだ、食べ過ぎのクセが残っており、どうしても「食べたい!」という気持ちが出てきてしまったので、今日はおにぎり二つとコンビニでおでんを購入し食べました。本来ならおかゆなどが良いのですが、どこでもおかゆが手に入る中国とは違って、おかゆ屋さんもそこかしこにあるわけではないので、コンビニおにぎりでお茶を濁します。それでもやっぱりちょっと食べ過ぎ感がありますね。明日はもう少し減らすことにします。おにぎりとおでんでは、野菜の不足が気になるところですが、これは野菜ジュースで補います。もちろんちゃんと野菜を食べるに越したことはないですが、実家にいるわけでもないので、野菜を買ってきて調理するわけにもいかず、少食養生中なので、野菜炒めというのも、うっかりご飯を食べすぎそうで逆効果です。こんなときは野菜ジュースで足りない栄養を補います。野菜ジュースは冷蔵庫で冷やしたものでなく、常温のものを飲むようにしてくださいね。
このまま何も食べなければ夕飯時には、適度に空腹感を感じられると思いますが、胃腸のダメージ具合によってはどうでしょうか。もしかしたらまだいまいち感じられないかもしれません。そんな時はやっぱり食べる量を減らすのが良いでしょう。


DSC_1024 / gtknj

食欲がない、胃腸が重いなどの場合は、まずはとにかく食の量を減らしてみてください。1食の量を減らすのがなかなか難しい場合は、1食抜くことです。どうしても空腹を感じるのであれば、野菜がたくさん入った味噌汁やトン汁、野菜スープなどをゆっくり飲むこと、おにぎりをゆっくり食べることをお勧めします。本とは化学調味料も避けたほうがよいので、インスタントものは避けるべきですが、そんなにこだわっていてもストレスが増すだけで、ただでさえ自律神経が過敏になる春には不都合が多いので、そこは目をつぶってインスタントのトン汁や味噌汁、野菜スープ、コンビニおにぎりで試してみてください。インスタントスープは粉をお湯で解くだけの様なものは避けて、みそとフリーズドライされた具、もしくはレトルトの具が入ったものの方がいいでしょう。
コンビニの弁当などは、確かにいろいろ気になることもありますが、これだけ充実してどこでも手に入るものなので、使わない手はないと思います。その際は選ぶことが大切です。毎日からあげ弁当を食べていたり、毎日パスタにサラダでは、養生はできません。コンビニをうまく活用する場合のポイントは、和食で、温かく、できるだけ品数の多いもの、野菜が多いものを選ぶようにすれば良いでしょう。野菜ジュースも完ぺきではないですが、助けにはなってくれるでしょう。ペットボトル入りの炭酸飲料や缶コーヒーを飲むより断然マシですし、1日5~6杯コーヒーを飲むより明らかに健康的です。


残雪の北アルプスと新緑の棚田と菜の花(1200×800) / Go Uryu

「食養生」と言われるとなんだか難しいように聞こえますよね。確かに厳密にやっていくには、食物の五性、帰経、五味などちゃんとした知識が必要です。でも、とりあえず始めてみたいという方はまず良い食事の基本を覚えることと、食の量を減らすことを実践してみてはいかがでしょうか。
良い食事の基本は「穀類4割、野菜4割、肉類2割」で、旬の野菜を火を通してたっぷり食べることそして腹八分目です。これが毎食守られていれば、脾胃の機能低下はそう簡単には起こりません。もしも現時点で食欲の低下を感じていたり、胃が重かったり、メタボな場合は、1日3食は食べずに、1,2食抜くようにしてみてください。成長段階のお子さんや活動量の多い20代前半、妊婦、病後、年配の方々は、3食しっかりバランスを考えて食べたほうが良いでしょう。それ以外の方は、1日1~2食で本来は十分なはずです。


Rapeseed / gertrudster

冒頭でもお話したように、春は肝にトラブルを起こしやすい季節です。肝の機能を助ける食材はには、セロリ・パセリ・ねぎ・たまねぎ・しそ・にんにく・しょうがなどの香味野菜や、ローズ、ラベンダー、ミント、カモミールなど香りのよいハーブティー、かんきつ類などもおすすめです。いずれも香りを楽しみにながら摂ることがポイントですよ。お試しください。
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2014/02/24

甘い・辛い・苦い・酸っぱい・塩っぱい! 食物が持つ『五味』のお話。

大雪のち雨で、歩道が大きな水たまりになっていて、出勤するだけで靴下びちょびちょです。こんにちは、食養生、肌養生、子宝相談どんとこい!漢方のイスクラ薬局六本木店 櫻井です。ほんとに都内は酷い有様です。目の前の道路も水深10cmオーバーでございます。外出時は長靴必須です。お店は予想通り暇でございます。予約もキャンセルが相次いでおります。店舗経営はこんな暇な時こそ何をやるかにかかっていると言われますが、どうも相談しないとスィッチが入りません。それでもがんばって事務作業やPOPづくり、DM作成を頑張ります。

 

 
今日は、春一番の日だそうです。
気象庁の定義によると春一番とは、「立春から春分までの間で、日本海で低気圧が発達し、初めて南よりの強風が吹き、気温が上昇する現象」だそうです。まさに日本海の低気圧の発達で、台風並みの大雪、大雨に見舞われた春一番の日となりました。この春一番、もともとは壱岐や瀬戸内海の漁師言葉だったようですね。春一番が吹くともう春もそこまで来ています。と言っても大雪、さらに今週水曜日頃も雪の予報となっており、どうもまだまだ春は近くはないようです。しかし、春は確実にやってくるので、季節の変化による体調不良には注意しなくてはいけません。
 
このブログでも再三にわたって注意を促しておりますが、春は風の季節で、自律神経や情緒トラブルを起こしやすい季節です。ご相談も、イライラや、不安、抑うつなどのご相談が増える季節でもあります。「春になると変なひとが・・・」というのは昔から良く耳にしますが、これもまた春の風のせいでしょうか。春は春一番のような、外の風も吹きますが、体内でも風が起こります。これを内風と言います。これが自律神経や情緒トラブルの原因となります。「内風」が吹く理由は、こちらのブログをご参照ください→【春は風に注意】。風への対処法、養生法などなどいろいろ載せてありますので、是非ご覧になってください。
 
さらにその風は花粉も運んできて、体内に入り込もうとします。この結果が花粉症です。となると、外からくる風からも身を守らなくてはいけません。そのためには体表を護っているエネルギー、「衛気(えき)」を強化するのが大切です。中医学には、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)という処方があります。「玉」とは、宝石のことで、高級なとか素晴らしいという意味、そして屏風は屏風。風を防ぐ衝立。玉でできた屏風で身体を護るという素敵な処方です。イスクラでは「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」という名前で商品化しております。味も甘くて飲みやすい処方です。

 

 
 

 味から見る中医学

漢方薬で、解毒や体から熱や湿などいらないものを排泄させる処方というのは、一般的に苦くて飲みづらく、身体を元気にする処方は甘くて飲みやすい傾向にあります。中医学で味は『五味』と言う、甘味、苦味、酸味、鹹味(塩辛い)、辛味の五つの味があり、それぞれに薬効があると考えています。
酸味には、正常な体液を体内にとどめる作用。出過ぎるものを止める作用。肝に導き、自律神経の働きを整え、ストレスを解消する作用。
甘味には、胃腸の働きを助け、力をつける作用。痛みや緊張を緩和させる作用。
辛味には、肺や呼吸器を強め、発汗を促進する作用、気や血を巡らせ、体の中にある寒けや熱、湿気を発散させる作用。
鹹味(塩からい味)には、硬いものを柔らかくする作用や通便作用があり、腎の働きをよくします。
苦味には、心や循環器を強化し、身体に溜まった余分な熱を冷まし、排泄作用や体内の余分な水分や老廃物を取り除く作用、神経を鎮静させる作用。
 

 

五味の根拠

この五味、様々な食物に対してその「味」が決められているのですが(豚は鹹味、山芋は甘味など)、その根拠というのには、3つあると言われています。
一つ目はその食物の自然属性、いわゆる食べた時に感じる味により定められるということ。例えば、棗は甘く、スモモは酸っぱい、ネギは辛いなどがそうです。
二つ目は、五行学説によって定められるもの、北京中医薬大学日本校の韓先生によると、それは例えば、「豚の色は黒く、五行の中では水に対応し、水が鹹味に対応し、ゆえに豚は鹹味に帰属する」というもの。牛なら、うちは黄色く(ホルスタインでなく、昔から中国にいる牛)、五行の中では土に対応し、土は甘味に対応するので、牛肉は甘味に帰属するというものです。
三つ目は、長期間の生活実践の中で、その食物の働きを経験することで定められたもの。食べると元気になるから甘味だとか、便通がよくなるから苦味だとかそういうことです。そして食を薬として考える食養生では、この五味がすべての基本となります。

 
 

五味は五臓を養います

五味は五臓に帰属しています。五臓とは肝、心、脾、肺、腎の五つの臓器のこと。どの味がどの臓器に入るというのは、飲食物の本性、味の特徴がそれぞれに対応する場所があるということです。『素問 宣明五気』には、酸味は肝に、辛味が肺に、苦味は心に、鹹味は腎に、甘味は脾にはいり、これを五入という と書かれています。中医学の 酸味は肝を補充し、苦味が心を補充、甘味が脾を補充し、辛味が肺を補充するというこれら味の五臓への帰属の理論は、食養生理論の要といえます。
 

五味は過ぎると五臓を傷つけます(損じる)

酸味のものを多食すると、肝気が大いに盛んになり、脾気は衰竭する。鹹味のものを多食すると、大骨は損なわれ、肌肉は委縮し、心気は抑鬱します。甘味のものを多食すると、心気は煩悶し、安定せず、顔は黒ずみ、腎気は平衡が取れなくなります。苦味のものを多食すると、脾気は潤沢ではなくなり、消化は悪く、胃部は膨張します。辛味のものを多食すると、筋脈は緩み、精神も同時に損なわれると、『素問』には書かれています。
 
春は肝の陽気が強まる季節です。肝を働きを強めようと、酸っぱいものを沢山食べると、肝の気が強くなりすぎ、脾(消化器系)を傷つけ、食欲を減退させます。そうなっては、これから来る夏場にも食欲低下などをおこし、夏バテになってしまいます。胃腸をまもるためにも、春は酸っぱいものを減らして甘いものを少し増やしましょう。春に肝の陽気を暴れさせないためには、冬場に陰を養っておく必要があります。『秋冬養陰』が大切です。言い換えてみれば、夏バテの養生は、冬に陰をしっかり補っておくことから始まっているのです。陰とは『潤い』のことです。陰を補う食材は、豚肉、カモ肉、鶏肉、すっぽん、ハマグリ、アワビ、豆乳、豆腐、レンコン、百合根、白きくらげ、レモン、緑茶など。まだまだ寒いので温めて食べてくださいね。

 

 
食べ物は、私たちの体を作り、心を元気にしてくれます。食物の五味に気を付け、穀物、肉類、果物、野菜をまんべんなく食べることで、健康を維持でき、長寿を全うできると、古代中国医学の知恵は教えてくれています。大雨、大雪、春の風、乾燥どんな時も、強い体と心を持っていれば、対応できます。偏食・過食をせず、五味に気をつけ、丈夫な体を作ることで、健康な毎日を過ごしましょう。
 
 
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2014/02/15

痩せるな危険!

こんにちは。店長の櫻井です。 今日も寒いですね。朝家を出てくるときは小雪がちらついていました。私は雪が大好きなので、毎朝カーテンを開けるたびに「吹雪け!」と願っているのですが、そうそう無いですよね。
 
昨日は、日本中医食養生学会の設立20周年記念学術大会にお招きいただき、参加してきました。日本中医食養生学会はCMで某アイドルが受けようとしている「薬膳アドバイザー」やその上級資格である「国際中医薬膳師」や「中医薬膳調理師」の資格認定や育成講座の開催、薬膳講師の派遣、薬膳講座の企画運営などを行っています。詳しくはHPをご覧ください。
 

 
我らが老中医、路京華先生の【温病」における養生】のお話や、北京中医薬大学日本校の韓先生の【黄帝内経における食養生】、中村きよみさんの【季節の和食を性味と栄養学から見る】や、服部幸應氏の【なぜ薬膳が現代の人の心と体をとらえたのか】のお話などとてもとても興味深いものでした。
その中で特に印象に残ったものが、服部氏のお話のなかに出てきた、「日本人の20代女性は痩せすぎている」という話です。
 

食の危険と重要性を訴える服部幸應氏

栄養不良状態

肥満度を知る指数にBMIという体重を身長の二乗で割った数値(165cm、59kgなら59÷(1.65×1.65)=BMI21.67)があるのですが、この指標では、22なら標準、25以上から肥満、18.5未満は低体重・痩せ型と決められています。この数値において、日本の20代の女性は栄養不足状態にあると言われているそうです。なんと日本の20代女性の平均値は標準体重を大きく下回る「18.7」だそうです。これは先進30か国の平均をも大きく下回り、なんと、食糧事情があまり良くないアフリカのザンビアなどの途上国の平均値と同じだそうです。日本の20代の女性は、世界的にもまれな「先進国における栄養不足状態」なんだそうです。毎日1800万トンもの食量が捨てられているここ日本において、栄養不足状態なんてあり得るのかと考えてしまいますが、日本の町中を眺めているだけでも、それは十分にあり得ることであるのが実感できます。
 


Jogging around the reservoir #1 / Ed Yourdon

 

間違ったメッセージが生む 太る事への恐怖

日本人の痩せ型至上主義への大きな影響の一つに、「美=痩せ形」というメディアからの影響が考えられます。服部氏はミスユニバース日本代表の選考委員だったこともあるそうで、当時、氏が代表を選んだ時の基準の一つにBMI22以上(23だったかも?)という基準を入れていたそうなんです。「女性の美しさというのは、ある程度肉付きが良いことがその条件に含まれる」という事を啓蒙したかったそうなんですが、これが、10年ほど前から大きく変わってしまい、もはやBMI22のというのは、「肥満」とすらみなされるようになり、なんと、「BMI18.5以下」でないと優勝できないようになってしまったとおっしゃっていました。これは、私たち大人が、〝美しいとは痩せていることだ″という間違ったメッセージを世間に送り続けている事象の一つと言えるでしょう。
 


University Festival 2011 / Hiroshima University Campus Scape

過度のダイエット:拒食症の恐ろしさ

過度のダイエットが招く、悲惨な結果に拒食症があります。拒食症とは、「痩せていてもそれを認められない病気」です。拒食症になってしまった人は、極端に食事量の減少してしまい、とくに主食を少なく、副食も肉類や油ものは避け、限られた低カロリーの食品しかとらないようになります。食後に自ら嘔吐したり、下剤を乱用したりする人もいます。拒食症の怖いところは、初期では小食からの体力の低下がみられず、逆に活動的になってしまうところです。その後、体力は徐々に落ちてきますが、そのころには一般的な食事は受け入れられなくなっていることが多く、入院が必要な状態となってしまっています。しかし、本人はその状態を認めたがらず、まだ太っていると考えてしまいます。もちろん危機感も乏しく、病院にかかることも稀です。
心理学では拒食症に陥る大きな原因の一つとして、「間違ったボディーイメージ」をあげています。メディア、コミュニティー、近親者、友人、学校、会社、様々な社会的影響下において、痩せ型=美しい、ひどい場合は肥満は悪というメッセージを受け続けた結果、痩せることへの執着、もしくは、太る事への恐怖が作り出され、それが過度のダイエットへと導いてしまうのです。過度なダイエットを続けると、脳は栄養失調となり、鏡に映った自分を正確に判断できず、もう脂肪なんてどこにもついていないのにもかかわらず、「まだ太っている」と思い続けてしまい、更なるダイエットを続けてしまうという悪循環に陥ってしまいます。
そんな状態にまでなると、自分の腕や、お腹、太ももが本来の何倍にも見えてしまう〝幻覚″すら見えてくるようになります。脳はもはや正常な判断を下すことはできず、食べ物のを拒み続けることとなり、体はどんどん衰弱し、やがて死に至ります。かの有名なポップスデュオ、カーペンターズの「カレン・カーペンター」がまさにこの状態となり、亡くなってしまった事をご存知の方も多いのではないでしょうか。彼女が拒食症に陥った原因として考えられているのは、兄に「少し太っている」と言われた事、常に人に見られる「芸能人」という職業であった事、ファッションやモデル業界の人々と頻繁に交流があった事、音楽雑誌に「太っちょ」と書かれた事、などがあげられています。彼女は、太っていることに罪悪感を感じ、ダイエットに励み、そして、帰らぬ人となったのです。
 

晩年、いたたまれない姿のカレンカーペンター

 

他人事じゃない

インターネットが現代のように普及する前は、写真など、自らの姿を公開することは、芸能人やモデルなど一部の人々に限られていたと思います。しかし、ソーシャルメディアが発達し、だれもが世界に向けて自分の姿をさらし、そしてその容姿に対して批評を受けかねないこの時代において、私たちの誰もが”カレン”のようになりうる可能性を秘めているといえます。ましてや、若い世代というのは、そういった″批評″の対象になりやすく、大人よりも世間の目が気になってしまう心理状態にあり(” imaginary audience”を参照)、受けてしまった心の傷はその後の人生に大きな影を落とすことになりかねません。
 


tabu on models? / ºNit Soto

 

すこし太り気味の方が健康??

アメリカ疾病対策センターの研究によると、BMIで「過体重」に分類される人々のほうが、標準体型の人より死亡リスクが6%低かったという結果が出ています。これは、世界的に考えられている標準値よりも少しだけぽっちゃりしている人の方が健康である、細いことは不健康なのだという一つの証明です。しかし、過度の肥満も健康リスクを上げてしまうことも、また事実です。同じくアメリカ疾病対策センターの報告によれば、BMI35以上(肥満度3、4)の本格的な肥満体型の人の死亡率は、普通体重に比べて29%も上昇したそうです。


/ healthiermi

摂食障害の根底に

上記の拒食症や、食べた後に吐いたり下剤でだしてしまう「過食症」などの摂食障害に陥る人は、完璧主義で、細かなことに良く気が付く反面、自らも傷つきやすいという傾向がみられます。決して過度なダイエットだけがこの病気を生み出すのではありません。心の優しい人、真面目な人、ちょっとしたことが気になる人、細かな気配りができる人、そして、思春期の葛藤や挫折など様々な心理的葛藤が、体型への葛藤へと置き換えられてしまうのです。痩せることへの願望や、社会的プレッシャー、そして自らが抱える葛藤。これらが複雑に絡み合った結果、摂食障害という病気は体を蝕んでいくのです。
 
摂食障害をただの「ダイエット病」という風に考えないでください。実際に拒食症では、栄養失調や低血糖、嘔吐や下剤の乱用などによる低カリウム血症などで、この病気を患った数パーセントの人が死亡しています。決して軽く考えないでください。
 


Anorexia / schnappischnap(拒食症の人から見ると・・・)

 

摂食障害の危険とどう付き合うか

摂食障害に対する簡単な治療法はありません。本人の治療に対する抵抗が強いことも、回復を妨げている原因です。強制的に治療を受けさせることも難しいので、根気よく付き合っていく必要があります。据食も過食も、本人が一番そのことに罪悪感と、一生続くのではないかという恐怖感を抱えています。拒食症の方はときとしてとても頑固ですが、その頑固さの裏には、むなしさや挫折が潜んでいます。このような気持ちに理解を示しつつ、根気強く、自律を助けるようにしていきます。過食の場合も、過食が一生続く人はいません。必ず治ると伝え、安心させてあげてください。
 

 

 
 

摂食障害にならないために

予防が一番重要です。まずは、一人で食べるのをやめましょう。やめさせましょう。できるだけ誰かと一緒に、みんなで、そして楽しく食べるようにしましょう。できるだけ三食きちんと、リズムを持って食べるようにしましょう。ファストフードや、加工食品などは、栄養バランスを崩し、過度な食欲を引き起こすもとなので、とにかく今日から、和食を食べるように心がけましょう。お肉も十分に食べるようにしてください。前途の服部氏のお話では、タンパク質の一日推奨摂取量76gをとるには、お肉だと300gほど食べないとダメなそうです。脂身の少ない、牛肉、豚肉、鶏肉をちゃんと食べるようにしてください。炭水化物を完全に抜くのも良くありません。一時流行った炭水化物ダイエットを推奨する医師は近頃では随分と減ってきているそうです。服部氏も、炭水化物を完全に抜く食事を3年以上続けると体がぼろぼろになるから決してつづけないようにとおっしゃっていました。いろんな食材をまんべんなく食べましょう。
悩みは打ち明けましょう。そして悩んでる人がいたら、聴いてあげましょう。その時は、「聴く」ことに徹しましょう。けっして批判や指摘は加えないように。そうかそうかと受け入れてあげましょう。思春期はとかく悩みが多い年頃です。そして誰に話していいか、そもそも何に悩んでいるのか、何がつらいのか、どうしたらいいのか、わからないことだらけです。普段の微妙な変化に気付いてあげられるように、目を配り、心を開く訓練を常にお互いでするようにしましょう。
 


goodncrazy kids back of new minivan chrysler town & country / GoodNCrazy

 
私たちが目にするテレビや雑誌の中の「美しい」と言われるモデルさんのような体型の人は、人口のおよそ2%程度だそうです。その他の98%の人は、もともとそういった体型で生まれてきていません。メディアやファッション業界が掲げる「美しい」体型になれるのは、その2%だけなんです。しかし、本当にそれが美しいのでしょうか?美しいとは本当にモデル体型のことをいうのでしょうか。
本来の美しさというのは、【健康であること】だと私は考えます。WHO世界保健機構が制定している健康の定義では、
Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
~健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない~
とあります。健康は単に病気だとか、虚弱であるとかではなく、心地よく暮らしていることが大切なんです。私たちも、容姿ばかりを気にせず、今ここにある事に満足し、そして感謝し、食事を楽しく、美味しく食べる生活に目を向けた人生を送っていきたいですね。
 
 
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2014/02/12

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