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つらいお腹の張りをどうにかしたい!「膨満感」のお話。

お腹にガスが溜まる。お腹が張って苦しい。そういったご相談を受けることがあります。健康な人から見ると、そんなのガスが溜まってるだけでしょ?っという情多飲なんですが、この溜まってるガスが抜けないっていうのは、けっこうつらいもんなんですよね。
お腹が張る、この原因はなんなんでしょうか。
 

ガスってどっから来てるの?

食べ物を食べるときに一緒に飲み込んでしまった空気。これも少ないですがお腹が張ってしまう理由の一つです。その他には、胃液が膵液によって中和される時に発生するガス、これもまた少ないですが、原因の一つです。
もう一点、腸内細菌が発生するガスというのがあります。良く聞く善玉菌と言われる乳酸菌や悪玉菌と言われる大腸菌などが【腸内細菌】です。これらの細菌の活動により、二酸化炭素やメタンなどのガスがつくられます。眼に見えないような小さな菌の活動によって発生したガスですが、体内の主なガス発生原因はこれら腸内細菌によるものです。
 
余談ですが、腸の中には、100以上もの種類の細菌がいて、その数はなんと100兆個とも1000兆個とも言われています。腸内に居る最近ぜーんぶを集めてみるとその重さはなんと1キロから2キロにもなるそうなんですが、一つ一つでは重さも何もないようなものが1キロを超える一塊分もあるなんて、驚きというか、ある種気持ち悪ささえ感じてしまいます。
でもこの腸内細菌がいてくれるおかげで、私たちは食べたものを分解して吸収したり、有害物質を無毒化したり、脂肪を分解・消化・排泄したりなど、たくさんの仕事を行えるわけです。ちなみに生まれたばかりの赤ちゃんの腸内は無菌状態です。お母さんの子宮内は基本無菌なので当たり前なんですが、これが生まれて数時間もすると菌に侵されていきます。大腸菌やら腸球菌がふえはじめるんですね。そして赤ちゃんが初めてお母さんの母乳を飲みはじめて、24時間後ぐらいには一気にその数を増やして1000億個にもなると言われています。
 
健康な状態だと、ガスは発生した分ちゃんと排出され、お腹が張るようなことはないのですが、もし増えすぎたり、排出しきれなかったりすると、ガスが溜まってしまって、ゴロゴロとなったり、お腹が張って苦しく、膨満感を感じるようになります。

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ガスが増える原因としては、、、

①早食い
空気を飲み込む量が多くなります。
②悪玉菌の増加
高たんぱく・高脂質の食べ物は、悪玉菌の大好物です。腸の掃除をしてくれるはずの食物繊維も、腸が働きが低下して入りたり、すると逆に悪玉菌のエサになるので注意が必要です。
③腸の動きが弱い
ストレスによって腸がうまく動いておらず、排泄がうまくいっていない場合などでも悪玉菌が増えてしまう原因になりますし、ストレスを感じると緊張スイッチが入ってしまい、消化活動はリラックスしているときに行われているので、腸はうまく働けず、ガスをきちんと排泄できません。

④お腹を締め付けすぎている
きついズボンや、デスクワークなどでずっと同じ体制をしていると、お腹を締め付けてしまい、物理的に腸の動きを邪魔して、ガスも排泄しきれず、溜まりやすくなります。
 

その他、イモ類や豆類などが多いとガスが発生しやすくなったり、コーラなど炭酸飲料もや、下剤の多用による腸の動きの低下、内臓の下垂、ガスが溜まる原因になります。女性では、女性ホルモンの影響によって溜めこみやすい時期があるため、ガスが溜まりやすくなることもあります。
腸閉塞や妊娠、腫瘍、腹水など、実際に詰まってしまっている場合もありますので、一度病院で検査をしてもらうことも忘れないです下さいね。

 

中医学的にみるお腹のはり

中医学では、「張る」症状を、気の流れが悪くなった状態、気滞(きたい)状態と考えています。気は本来、体を駆け巡っているのが正常な状態です。気はエネルギーであり、体を動かす原動力であり、体の働きや機能のことです。気の流れが滞ってしまい、スムーズには流れにくい状態になると、体の働きは低下し、うまく機能しない状態になってしまいます。胃腸の働きも低下してしまうので、ガスの排泄がうまくいかず、お腹が張って苦しくなります。
気の流れが悪くなる原因としては、流れるだけの気が十分にない場合、流れが邪魔されている場合、そして、流れをコントロールしている機能の低下などが考えられます。
 
流れるだけの気が十分にないのは、胃腸機能の低下か、気の原料が足りていないため
胃腸機能が弱っていると、食べたものからしっかり気を作り出せません。また、気の原料となる食べ物をしっかり食べないと、やっぱり足りなくなってしまいます。加工食品が多い食生活は注意が必要です。胃腸は冷たいもの(サラダ、刺身、アイスクリームなど)や水分(飲み物全般、氷の入った飲み物、冷蔵庫から出したばかりの飲み物など)に弱いので、それらが多い人は注意。
 
気の原料になるもの
肉類、朝鮮人参、山芋類、エビ、うなぎ、栗、米、もち米、卵、りんごなど。
 
胃腸機能が弱い人は、
山芋類などをする下したとろろを味噌汁や野菜スープに入れたもの。お好み焼きもおススメ。
普段から冷たいものを避けること。そして良く噛むことを心がける。とにかく温かいものを。
 
 

飲食物の停滞や冷え、気血の滞りが動きを邪魔する

胃腸の処理能力を超えるほどの食べ過ぎや飲みすぎは、消化されない飲食物の停滞や便秘を招きますが、何気ない普段の食事も消化しにくい高たんぱく・高脂質(揚げ物が多い、肉類が多い)のメニューでは胃腸は疲れて、動きも悪くなってしまいますし、未消化のものが停滞してしまいます。冷たいものの摂りすぎや慢性的なお腹の冷え、寒い外気温による冷え、これらも胃腸の動きを妨げ、お腹が張る原因となります。その他、怪我や腹水などでは血や水の流れが滞り、その影響から気の流れも滞ってしまうこともあります。
食後のお腹のはり、ガスやげっぷが出ると楽になる、便秘、吐き気、痰が多い、下痢しやすい、下痢すると楽になるというのこのタイプです。
温かいもの、消化に良いものを食べるようにしましょう。火が通った野菜の多い和食を腹八分目。カタカナの食材やメニューを抜くことも大切です。早食い、大食いは病気の元です。どうしても食べ過ぎてしまう人は、味噌汁や野菜スープなどを先に飲んでしまいましょう。胃が水分で満たされれば、その分食べ過ぎを抑えられます。
 
 

気の流れをコントロールできないのは、肝の機能低下

肝には、情緒の安定や、睡眠など、リラックスさせる機能と、気が体内をスムーズに流れるようにコントロールする機能があります。ストレスが多く、肝に負荷がかかりすぎると、肝は気の流れをスムーズに保てなくなります。その結果、胃腸もうまく動かなくなってしまい、お腹が張ってしまいます。
イライラしやすい人や、ストレスがたまるとお腹が張る、生理前に胸の張りや痛みを感じるというのはこのタイプです。
このタイプは、リラックスが大切ですので、こまめな発散を心がけましょう。ストレスが溜まってしまうと、考えもネガティブになってしまい、さらに落ち込んでしまうので、とにかく早めの発散を。スポーツをする、散歩をする、映画をみる、ゆっくりと半身浴するなども良いでしょう。早めの睡眠も心がけましょう。
 
 

 

 
ストレスが多く、冷たいものや加工食品、ファーストフードなどが簡単に手に入る現代の私たちのライフスタイルは、気の巡りを悪くしてしまいがちです。お腹の張りは、食べ過ぎや、偏食、冷たいものの摂りすぎやストレスなどが中医学で考えられる主な原因です。まずは普段の生活を見直してみてください。食成生活では、気の巡りを助ける食材を積極的に摂りましょう。

気を巡らせるには

香りのある春菊や三つ葉、せり、 セロリ、パセリ等の香味野菜を積極てきに摂るようにしましょう。香り成分が気の巡りを改善してくれます。その他、オレンジ、みかん、春菊、苦瓜、ミント、アサリ、シジミ、イカ、グレープフルーツ、ブドウ、レモン、レバーなどもおすすめです。
 
 
 

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2014/04/24

ほてりやイライラを鎮め、便秘を改善してお肌もつるつる「わらび」のお話

こんにちは、櫻井です。今日はまた寒いですね。昨日は暑ささえも感じるぐらいの陽気だったのに、今日は一転して冬に逆戻り。これだけ寒暖の差が激しいと、体調を崩す方も多いでしょうね。
今日もまた、この時期に美味しい旬の山菜のお話を。今日は「わらび」のお話です。わらびは、春の訪れを知らせるこれもまた美味しい山菜ですよね。日本全国で採れますが、本州はこれから、ゴールデンウィークあたりから初夏にかけてが旬と言われてます。和え物にしても、お浸しにしても、卵でとじても、おこわにしても、とっても美味しいですよね。しかも根の部分からはわらびもちの原料のわらび粉が造られます。そんな素敵な山菜なんですが、実は毒性もあったりして、十分にあく抜きしてから食べることが鉄則です。
 

わらび Bracken
わらび Bracken / “KIUKO”

わらび

「やまねぐさ」と言われ、古くから春の季語となっているわらび、万葉集や源氏物語にもその名前が出てくるほど、日本での馴染みが深い山菜です。春ごろに新芽をだし、若芽は褐色のうぶげで覆われていて、草原などに群生し、大きさは30cmぐらいにまで成長するシダ植物です。天然ものの旬は九州地方では2~4月頃、本州では今頃からゴールデンウィークにかけてがちょうど美味しい頃です。東北地方はこの後6月ぐらいまで旬が続くようです。最近では栽培したものも売られています。

わらび
わらび / onohiroki

わらびもち

わらびの地下茎をほぐして洗い出して精製したでんぷんは、わらび粉といわれ、わらびもちの原料になります。このように、地下茎からわらび粉を作る方法は縄文時代にはすでにあったと言われています。今でもパプアニューギニアあたりでは、サゴヤシという木の繊維をほぐして精製して作ったでんぷんで、パンの様なものをつくり、主食にしているところもありますが、その昔は沖縄や南日本でもソテツからとれるでんぷんでパンをつくって食べられていたようです。稲が導入される以前は、木や植物の根からとれるでんぷんから作られたパンが主食であったのかもしれませんね。

その昔、奈良で発明されたこの和菓子は、当時から高級品として知られています。昨今では小麦粉からつくられた透明のエセわらびもちが安価で売られていますが、本物のわらび粉を入れたわらびもちは色が茶色ぽいのが特徴です。わらび粉100%のものになると真っ黒です。本物は一味も二味も違いますので、是非機会があればご賞味ください。

わらび餅@山中
わらび餅@山中 / dreamcat115

わらびの栄養

わらびに含まれる栄養成分は、カロチン、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、葉酸、食物繊維など。干したわらびはビタミンCが失われてしまいますが、その分カロチンがアップします。
カロチンは体内でビタミンAに変化して、目の網膜や口、鼻などの粘膜、肌や爪や髪などの機能を保つ重要な栄養素です。さらにカロチンには、抗酸化作用もあるので、体内で細胞の酸化を防ぎ、肌や組織などを若々しく保つだけでなく、ガンの予防、ストレスの軽減にも役立っています。細胞の老化を防ぐ抗酸化作用はビタミンAのほか、ビタミンE、ビタミンCなどにもあります。
多量に含まれる食物繊維は便秘を解消する働きをし、カリウムは余分な塩分を体外に排出して、動脈硬化や高血圧を防いでくれます若返りのビタミンと呼ばれているビタミンEも豊富です。ビタミンB2は皮膚や髪の毛の再生を促しますビタミンCはシミやそばかすを予防して、コラーゲンの生成を助ける働きもあるため、お肌を若々しく保ってくれます。また、赤血球や細胞の増殖に不可欠な葉酸もたっぷり含まれているので、貧血予防にも是非お勧めしたい食材です。

中医学から見たわらび

わらびは寒性で、肝、胃、大腸に良く、余分な熱や湿気を取り除く力や、気を降ろし痰を取り除く力があるとされ、止血する効果もあります。むくみや渋り腹、下痢、出血性の下痢や血便などに良いとされています。胃や大腸に熱がある状態は、熱で水分が奪われ、便秘になりがち。さらに、尿の水分を奪い濃縮し色を濃い黄色にします。わらびはそんな胃腸や膀胱など下腹部の熱状態を改善してくれたり、おしっこを出やすくしてくれます。また、春に身体の上部へと登りがちな気を降ろし、ほてりやイライラを鎮めてくれる働きもあります。

わらび干し
わらび干し / kinumi.

 

灰汁を抜く

わらびには毒性があるため、そのまま食べるとひどい中毒を起こしてしまいます。牛や馬などの家畜が間違って食べてしまって中毒症状を起こした報告があるそうですが、しっかり灰汁を抜いて食べればまったく問題ありません。灰汁抜きには、熱湯1リットルに対して重層小さじ1を入れたものでわらびを茹でて、そのまま冷ましてから水にさらします。もしくは沸騰したお湯1Lに重層小さじ一杯を入れてわらびを入れてもう一度沸騰させ、そのまま1晩おいても灰汁は抜けます。食べる前に水ですすぐのをお忘れなく。灰汁は日に日に強くなるので、入手したらすぐにあく抜きをすることが大切です。あと、重層を入れすぎたり、煮すぎると、わらびがとけてドロドロになってしまうのでご注意を。

わらび
わらび / onohiroki

 

美味しいわらびの選び方と保存

うぶげがいっぱいついていて、茎が太く短くて、張りがあり、葉がしっかりと閉じていて、茎の部分に変色がないもの。栽培ものなら30cmぐらいのものが美味しいそうですよ。保存には、あく抜きした後、水につけて冷蔵庫へ。水を毎日取り換えれば1週間は持つそうです。

秋田に住む親戚からいただいた「みずの実とわらび」の漬物。とても美味しくご飯が進む。みずの実は福島以北にしか自生してないのだとか。
/ beve4

わらびは、お肌に良いビタミンCやB、そしてガンや生活習慣病、高血圧を予防してくれるビタミンEやカロチン、カリウム、便秘を改善してくれる食物繊維も豊富です。中医学的に見ても、春に高まりがちな陽気を鎮めてくれ、いらいらやほてりなどを緩和してくれます。また胃腸の熱をとってくれて、便秘や渋り腹、尿量の減少などにも効果的です。
そのまま食べると中毒を起こしてしまいますが、あく抜きをすれば問題ありません。すでにあく抜きされて水漬けになったものや塩漬けになったものも出回ってます。加工技術の進歩から、一年中食べられるようになりましたが、本来は春の山菜ですので、今是非食べたい食材です。自然がもたらす食べ物には、その時その時に、私たちが必要とする力をもっているものが多くあり、旬のものを食べる事は季節の不調を予防でき、さらに次の季節へ体調不良を残さないためにも、とても重要です。なんでも手に入り、いつでも食べられる今だからこそ、大事にしたいことですね。今が旬のわらび、是非食べてみてくださいね。

2014/04/18

不妊治療の分野でも使うボルタレンサポに針?!

世の中、「それはしたら絶対ダメでしょ!」ということが不条理にも
起こりえたりするものですが、今回の事件は本当に、本当にダメです!

お◯りに針は、、、

考えただけでも悲鳴をあげたくなります。
 

座薬に針混入 ノバルティスファーマが警察に届け出

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140414/crm14041420010007-n1.htm
 http://www.novartis.co.jp/news/2014/pr20140414.html
(ノバルティスファーマ社 プレスリリースより)
何かと今話題のノバルティスファーマさんのお薬、ボルタレンサポ。
「解熱鎮痛」でお馴染みの座薬なので使ったことがある人も多いのでは。

ノ社さんの工場では針金状の部品などは使用しておらず、
製造過程で金属が混入することは考えにくいとのこと。
人為的な混入の可能性が高い為、警察に届け出を
出したそうですが、健康被害が出てなくて良かったですね。
 
今回、目視で発見できたことが幸いだったように思うのですが、
PTP包装のように外から内部を確認できないアルミシートの包装で、
剤形が大きいとなれば、小さい針なら、、、
 

、、、恐ろしい。

 
このボルタレンサポは不妊治療の分野でも排卵コントロールに
使用されています。ボルタレンに排卵防止の効果があるという
受精着床学会での報告のもと、以下の目的で処方する病院が
増えています。
1、採卵時の痛みを軽減させる
2、採卵直前での排卵抑制
 
この事件が、どういう決着をするのかわかりませんが
医療の現場では幅広く使用されているお薬だけに
被害が拡大することなく、早期の解決を願っております。
木下

2014/04/15

「やかん」や「へそくり」も??【言葉に残る漢方の記憶】

こんにちは、店長の櫻井です。
漢方」というと相変わらずなんだか小難しい感じがしますよね。でも生姜やみかんの皮、菊の花なんて言うのも漢方生薬の一つだったりして、実は私たちの生活のすぐそばにそれらは有ります。今では忘れられていることもたくさんありますが、まだまだ西洋医学や西洋薬というものが無かったころは、生薬や漢方は私たちの生活にもっと身近な存在でした。そんな名残が、今でも私たちが普段何気なく使っている言葉に色濃く残っています。

A special Chinese medicinal mix of 9 herbs, roots and such
A special Chinese medicinal mix of 9 herbs, roots and such / Uncleweed

 
例えば、みなさんご存知の「五臓六腑」という言葉は、元々漢方医学の五臓である肝、心、脾、肺、腎六腑胆、小腸、胃、大腸、膀胱と三焦の事を指しており、西洋医学の内臓とはちょっと違ったものになります。
やかん」なんていうのも実は漢方の言葉。やかんは漢字で「薬缶」と書きます。そうです。薬を作る缶なんです。元々は薬鑵(やっかん)と書いて、薬を煎じるのに使われていた道具を指した言葉なんです。
 

Kettle
Kettle / mrhayata

 
倹約や内職をして内緒に溜めたお金のことを「へそくり」といいますが、その語源にも漢方が関わっているようです。吐き気や咳・痰をとる「半夏(はんげ)」という生薬があります。サトイモ科のカラズビシャクという、日本のあちこちに自生している植物の根の一部を乾燥させたものなんですが、昔は、この半夏の球根を集めてきれいに洗い乾かしたものを生薬として売って、副収入とすることもあったようです。半夏は、丸い球体で真ん中にくぼみがあり、それが「」にみえたので、「へそ栗」と言われていて、それが「へそくり」の語源になったという説があります。
さらにこの半夏は農業にとってもとても大事な時期を知らせてくれるものだったようです。農業にとって季節の変わり目というのはとても大切なもので、いまほど正確な暦が無かったころは、この半夏が生えてくるのを見て、季節の変わり目を知ったようです。この季節の変わり目を掴むために設けられた暦日はのちに「雑節」といわれ、その一つに、「半夏生(はんげしょう)」という日があります。陽歴で7月2日ぐらいを言うのですが、半夏生とは、半夏が生えだすころのことだそうで、この日までに農作業を終わらせておくという節目だったそうです。地方によってはこの日の天候によってその年の稲の豊凶を占う日でもあり、この日から5日間ほどを農閑期として、やがて来る酷暑の中の農作業をまえに英気を養っていたそうです。 暦がまだ一般的ではない時代では、季節の変化を植物の生育を見て知っていたんですね。
 

農作業
農作業 / タカハシケンタロウ

漢方がなんだか今では新しいもののように感じられますが、昔は当たり前のものだったんですよね。胃腸がわるくなったら当薬(せんぶり)をお茶にしてのんだり、吐き気がするときはショウガを乾燥させたものを湯に入れて飲んだり。寒い時は葛湯をのんだりなどなど。当時最先端だと思われていた、オランダ医学などの西洋の医学も、解剖学にはすぐれていて、外科的手法は卓越したものを持っていましたが、内科疾患に関してはからっきしでした。今ほど西洋薬の種類もあるわけでもなく、当時日本にやってきた西洋医たちも、漢方の力を借りていたようです。ということは、西洋の外科的手法と、漢方の内科的手法が組み合わさった当時の日本の医学というのは、世界にも類を見ないほど最先端だったんでしょうね。

中身が忘れられ、形だけが残っている言葉たちも、そんな遠い昔の繁栄の遺物といえるのかもしれません。今またあのころのように、西洋と東洋の医学のいいとこどりをした最先端の日本の医学の発展を祈るばかりです。
 
 

2014/04/14

美容と疲労回復に「アスパラガス」のお話 イライラやのぼせにもおすすめ

こんにちは。店長の櫻井です。今日もまた旬のお野菜のお話をしましょう。
今日のテーマは「アスパラガス」です。正直言って昔はそれほど好きではありませんでした。なぜかはわかりませんが、さっきちょの部分の見た目が苦手だったような気がします。でも今は大好きな野菜の一つです!

first asparagus
first asparagus / Muffet

 
アスパラの旬は春。4月から5月。北海道は6月ぐらいがおいしい時期だそうです。土に埋めて日に当たらないように柔らかく育てたホワイトアスパラもありますが、栄養価はグリーンの方が高いようです。
アスパラは、ヨーロッパの南のほうからロシア南部にかけて自生しているそうです。日本では、北海道が産地として有名なところをみても、涼しいところ好む植物であることがわかりますね。
 

Cooking Asparagus
Cooking Asparagus / balise42

アスパラの栄養

アスパラは、古くから疲労回復効果の高い野菜として知られていたようです。理由としては、豊富なたんぱく質です。その中でもアスパラギン酸が多く含まれているためです。アスパラギン酸はアスパラギンというアミノ酸から出来るんですが、アスパラギンは、その名の通り、アスパラガスの汁から単離されたものです。
アスパラギン酸は、タンパク合成に必要な物質で、尿の合成を促進する作用もあり、毒性のアンモニアを体外に排出し、中枢神経を守る働きもあります。また、筋肉にミネラルを運び、疲労に対する抵抗力を高めたり、スタミナ強化にも良いことがわかっています。
カリウムも多く含まれ、高血圧やむくみの改善も期待できます。上記のアスパラギン酸はカリウムと合体して、アスパラギン酸カリウムとなり、糖質の代謝を促進して、疲労が蓄積するのを防ぎます。ビタミンCやビタミンB群も多いので、血管の老化を防いだり、お肌を若々しく保つのにも適しています。タンパクやDNAの合成、赤血球をつくり、細胞の分裂や発育を促進している葉酸も含まれています。鉄分や赤血球を増加させるコバルトもほかの野菜に比べて多いので、貧血予防にはとってもおすすめの食材です。

Asparagus
Asparagus / Mike Licht, NotionsCapital.com

美味しいアスパラの選び方と保存方法

太くまっすぐ伸びているもの、繊維の筋が入っていないもの、穂先が締まっていて開いていないもの、切り口が白く変色していないものがおいしいアスパラです。保存するときは水分が失われないようにラップして、冷蔵庫の野菜室に立ておくことでアミノ酸などの減少を防ぐことができます。
 

Roasted Asparagus
Roasted Asparagus / bongo vongo

中医学から見たアスパラガス

アスパラの性質は、手元にある資料では、平性微涼性、寒性と三つとも異なっていますのが、効能と比べると、若干湯冷ましのように冷ましてくれる程度と捉えておいて良いとおもいます。味は苦味と甘味。帰経は肺。中医学的効能では、肺を潤し咳や喉の炎症を鎮め、利尿作用と便通作用あり、潤いの分泌を促進し、喉の渇きを収めるとされています。
 

Asparagus and Morels
Asparagus and Morels / Laurel Fan

アスパラはちょうど今から6月ごろまでがおいしい季節です。北海道では冬場は雪に埋もれて育ち、春になると雪解け水をたっぷりとすって育つので、瑞々しくてとても甘くなるそうですよ~。さっとゆでるだけでしゃきしゃきとした触感と甘み旨味が際立つとてもおいしいものです。水溶性ビタミンが多くふくまれているので、ゆで時間は少な目にしましょう。太い方を先にお湯に10秒ほどつけてから全体を湯の中に入れるのがおいしく茹でるコツです。
カロチンやビタミン類、食物繊維、タンパク質にミネラルと栄養価に富んだアスパラは、昔から疲労回復の食材とされたほか、高血圧や心臓、動脈効果の症状緩和、湿疹や便秘の改善など様々な症状の改善に民間でも使われてきました。近年では、抗がん作用もあるという報告もあるようです。春は陽気が上に上りやすく、のぼせやイライラを感じやすい季節。そんな時余分な熱をとり、潤いを補ってくれるアスパラはピッタリの食材です。かんきつ類などの気の巡りを改善する食材などと合わせるとさらに良いですね。
 

2014/04/11

イスクラ薬局の運営会社情報

運営会社 イスクラ産業株式会社(英文会社名:lSKRA INDUSTRY CO., LTD.)
本社所在地 〒103-0027 東京都中央区日本橋一丁目14番2号
設立年月日 1960年3月1日
事業概要 ロシア・CIS諸国・中国との医薬品、医療機器、化学品の輸出入
中成薬(中国漢方製剤)、健康食品、スキンケア製品の製造、販売