耳内から膿汁が流出すること。“耳漏(じろう)”とも言われ、膿汁は、黄色で粘りのあるもの、さらっとした稀薄なもの、きつい臭いのあるもの、無臭のもの、血清のものなどがあります。
耳だれが出る原因疾患として、急性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、外耳炎、外耳湿疹などが考えられます。上記の疾患が慢性化し耳だれが起こったり、一度治ったものが再発を繰り返す場合、漢方治療は有効となります。
耳だれ(耳漏)の原因を中医学的に考えると
中医学では耳だれを次のように考えます。
1.風熱上ゆう型
急性期の症状で、風熱の邪が体表から侵入し、熱火した状態。
・耳内に張ったような痛み・刺すような痛み・拍動痛
・激痛のあと膿が流出すると痛みが緩和
その他の症状)悪寒、鼻閉、鼻汁、咽の乾燥、咽痛、口渇、舌苔は薄黄色 など
よく使われるのは・・・天津感冒片(てんしんかんぼうへん)、涼解楽(りょうかいらく)、五涼華(ごりょうか)など
2.肝胆湿熱型
風熱上ゆう型の耳だれと同じく急性に発症しますが、湿熱の邪が停滞して熱化し、体の流れが乱れた状態。湿熱は、脂っこいものや甘いもの、味の濃いものなどの過食によっても生じます。
・鼓膜穿孔(鼓膜に穴が開く)、強い疼痛や腫脹
・激痛のあと、多量の黄色く粘りのある膿汁が流出すると痛みが軽減
その他の症状)目の充血や目やに、口が苦い、咽の乾燥、便が硬い、尿の色が濃い、胸脇部が脹って苦しい、舌苔は黄色くべとっとした厚い苔 など
よく使われるのは・・・瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)など
3.腎陰虚・陰火上炎型
耳は、五臓の1つ“腎”と関係があります。腎陰虚は、体の熱を冷まし、潤いを与える陰のエネルギーが低下し熱症状(虚熱)が出た状態。さらに虚熱が激しくなった状態が陰火上炎です。また、耳の滋養の源である腎精が不足することも耳だれの原因となります。
・無色透明・無臭でうすい耳だれがだらだらと長期間続く
その他の症状)耳鳴り、難聴、聴力低下、頭のふらつき、膝や腰のだるさや無力感、口渇、顔や体のほてり、微熱、舌質が紅い・乾燥している など
よく使われるのは・・・瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)、二至丹(にしたん)など
耳だれの症状を悪化させないためには、いち早く耳鼻咽喉科にて診察を受け原因を知ることが大切です。
そして、再発防止や慢性化を防ぐために西洋のお薬と漢方薬を上手に使ってみるのもよいでしょう。
上記のお薬は一例です。
漢方薬は体質によって異なりますので、ご服用の際は専門家にご相談ください。
耳だれ,耳漏,