ギックリ腰と漢方
ちょっとした荷物を持ち上げようとした瞬間、腰に急激な痛みが走り、動けなくなり息も絶え絶えになってしまった…。ギックリ腰になった事があれば、その瞬間を思い出すだけでも思わず顔をしかめてしまいますね…。
その病態から、欧米では「魔女の一撃」(ドイツ語で Hexenschuss)と言う名がつけられているギックリ腰。しかし、この「ギックリ腰」とは、正式な病名ではなく、何かのきっかけで急激に発症する腰痛・背部痛である“急性腰痛症”の俗称であり、症状を示す言葉です。そのため、実は痛み方や場所、原因などは人によって様々で、一般的には、関節の捻挫、腰椎(背骨)の損傷、背筋や筋膜の炎症などをさしています。
09/04 - Worst. Bed. EVAR! / erikogan
<ギックリ腰の原因>
ギックリ腰は、腰・背部の関節や筋肉が、瞬間的に引き延ばされた時に発症しやすいです。
もともと
・運動不足などで背部・腰回りの筋肉の柔軟性が落ちている
・寒さや冷え、もしくは同じ姿勢が続いていることで、背部・腰回りの筋肉がこわばっている
と言った状態にあるときに、
・重い物を持ち上げる、
・くしゃみ、咳
など、瞬間的に筋肉に負荷がかかる状況が重なった時に、引き起こされやすいようです。
Back Pain . Each Day / tonyhall
<中医学では?>
ギックリ腰を始めとする痛みに対して、中医学では
「不通即痛」:経絡の巡りや血行が悪くなり、そこで詰まりが起こると痛む、
「不栄即痛」:筋肉などに栄養が行き届かず、滋養されないと痛む
と言う考え方があります。
そのため、気血の巡りを良くしながら痛みを抑える「田七人参茶」や、筋肉などに栄養を与えつつ温めて巡りを良くする「独歩顆粒」、足腰の強化や、筋肉・骨を強める作用がある「イーパオ」などがよく使われます。
<ギックリ腰を繰り返さないために>
上述したように、ギックリ腰は、そもそも筋肉がこわばっている状態だと起こりやすいです。
できるだけ普段から
・仕事の合間などに軽く腰を回したりねじったりする動きを取り入れること
・腰周りを冷やすような服装をしないこと
・できるだけシャワーで済まさずに入浴をして筋肉を温め、ほぐしておくこと
・内臓の冷えも筋肉の冷えにつながるので、冷たいものや生物などを控えるようにすること
をこころがけておきましょう。
<注意する時期>
基本的には筋肉がこわばっている状態が続くと起こりやすいので、寒さで体が筋肉や血管が収縮してしまいやすい冬に発症する事が多いです。しかし、急に湿度が上がり始める梅雨に入り始めの時期も要注意です。
中医学的には湿気は「湿邪」と言い、気血の巡りを停滞させる要因となっています。更に蒸し暑くなってきたことで、冷房を入れるようになったり、冷たい飲み物などを摂取するようになることで、体も冷やしてしまいやすいのです。梅雨入りし始めの時期は油断しないようにしてください。
<ただしギックリ腰になった直後は安静に!>
なった事がある方はおわかりかと思いますが、発症したその瞬間は息もできないほどの痛みに見舞われる方もいます。あまりに激痛の時は、とにかく安静にしましょう。膝を揃えて横向きになっている姿勢が一番腰に負担がかからない体勢になります。
発症直後の炎症が強い時は、温めて血行を良くすると痛みが増す事があります。その場合は、入浴は避け、場合によっては冷湿布や炎症を抑えるような湿布・薬を使用してくださいね。