抜け毛が多い人の漢方
いまや抜け毛は中高年の悩みではなくなってきています。
老若男女を問わず、ストレスや生活環境の変化から抜け毛に悩む方が増えてきましたね。
体質にあわせた抜け毛の原因と対策を探ってみましょう。
なぜ抜けるのか?
髪の根本には、毛乳頭という部分があり、
そこから髪の毛は生えてきます。
そして毛乳頭の数は、生まれたときにすでに決まっています。
毛乳頭は全てがフル活動しているわけではなく、
ある一定期間成長し一時休止します。
成長期→退化期→休止期→発生期
というヘアサイクルをしています。
このヘアサイクルは男性で2~5年、女性で3~5年です。
そして、脱毛予備群である休止期の髪の毛が一日あたり約60~70本自然に抜けるといわれています。
一本一本抜ける周期は異なっているため、
一度に髪の毛がなくなってしまうということはありません。
しかし、食生活やストレス、冷え、寝不足(夜逆転生活)、
血の不足(例えば、ダイエット、出産後など)により毛乳頭が衰え、
その数も減ってくると髪の毛も抜けやすく少なくなってきます。
中医学の観点
中医学では、『髪は腎の華』といわれます。
つまり、“腎”の働きが悪い人は髪にトラブルが発生しやすいということです。
“腎”は老化やホルモンバランスと深い関係があるといわれています。
老化現象やホルモンバランスが崩れると、抜け毛や白髪が多くみられます。
また、中医学では、『髪は血余なり』といわれます。
つまり髪は全身をめぐる血液の余ったものからなると考えられています。
血液が充満していれば、抜けることもなく、しなやかな艶のある髪になるというわけです。
ではタイプ別対策と養生法を見てみましょう。
白髪が多い・実年齢より髪が薄い人は【腎虚(じんきょ)】タイプ
腎の働きが弱っている人。
腎の働きが低下すると、ホルモンバランスの崩れ・老化の促進・新陳代謝不良がおこる ケースが多くみられます。(中医学・東洋医学での腎は精・発育・生殖・内分泌ホルモンなどを含みます)
腎の働きについては【腎の生理】を参照
≫対策;アンチエイジング、体質にあわせて腎を補います。
代表的な漢方薬・・・イスクラ杞菊地黄丸、イスクラ双料杞菊顆粒など
生活面では、ストレスにより腎の働きを弱くすることもあるため、
アロマや柑橘系のお茶などでリラックスしてください。
黒い食べ物(黒ごま、黒きくらげなど)は腎の働きを助けてくれる食材ですので、オススメです。
髪の毛が薄く細い・髪がぱさつく人は【血虚(けっきょ)】タイプ
血が不足している人。
髪の毛は血の余りで作られていると考えられています。
血が不足していると、手足の冷え・乾燥肌・不眠などの症状を伴うことがあります。
血は髪質と非常に関係があります。
血の不足については「血について【血虚】」を参照してください。
≫対策;髪の原料である血を補います。
代表的な漢方薬・・・イスクラ婦宝当帰膠、イスクラ参茸補血丸など
生活面では、脳を使いすぎるのも血を消耗させるため、
できるだけ夜のPC、TV、勉強、仕事は避け、
しっかり睡眠をとるようにしましょう。
赤い食べ物(レバー、トマトなど)は血を補ってくれる食材ですので、オススメです。
頭皮がベタつく人は【湿熱(しつねつ)】タイプ
体に留まった湿気とこもった熱により頭皮の脂が多い人。
比較的体力があるが、
「のぼぜやすい・汗をかきやすい・化膿性のニキビ」
ができやすいなどの症状を伴うことがあります。
≫対策;体の余計な湿気や熱を取り除き頭皮を綺麗にします。
代表的な漢方薬・・・イスクラ瀉下利湿顆粒、黄連解毒湯など
生活面では、暴飲暴食はしないこと。
スナック菓子やチョコレートなどもオススメしません。
清潔にしてあげて、ムースやトリートメントをつけたらその日の内に洗髪しましょう。
髪がなくなると見た目も気になりますが、
紫外線や寒さなどから頭部を守れなくなってしまいます。
また、髪は排泄器官としての役割もあるため、
髪を通して有害な金属などを排出しているのです。
得に女性にとっては髪は命!
そう考えると、抜け毛も万病の元。抜け毛が気になったら、漢方で未然に防ぎましょう!!