頻尿(ひんにょう)とは
尿の回数が増加する(日中5~6回以上、夜間2~3回以上)病態、つまり「尿が近い、尿の回数が多い」症状を頻尿といいます。しかし、1日の排尿回数は人によって様々ですので、一概に1日に何回以上の排尿回数が異常とはいえず、8回以下の排尿回数でも自分自身で排尿回数が多いと感じる場合には頻尿といえます。
頻尿の原因
頻尿の原因は様々ですが、排尿筋の過活動性による過活動膀胱、残尿(排尿後にも膀胱の中に尿が残ること)、多尿(尿量が多いこと)、尿路感染・炎症、腫瘍、心因性に分けることができます。
過活動膀胱
膀胱に尿が十分に溜まっていないのにも関わらず、膀胱が自分の意思とは関係なく勝手に収縮する病気で、急にトイレに行きたくなって我慢できず(尿意切迫感)、トイレに何回も行くようになります。過活動膀胱は日本で1000万人以上の男女が罹患する頻度の多い病気です。脳卒中、パーキンソン病などの脳や脊髄の病気のために、膀胱のコントロールが効かなくなる、前立腺肥大症による排尿障害のために膀胱が過敏になる、などの原因で発生しますが、加齢による老化現象として起こったり、原因が不明(明らかな基礎疾患がない)であったりすることも少なくありません。また、尿が間に合わずにもれてしまうこともあります(切迫性尿失禁)。1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くようになります。
残尿量の増加
残尿とは、排尿後も膀胱内に尿が残る状態をいいます。前立腺肥大症などによる排尿障害(尿排出障害)が進行すると残尿が発生します。また、糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの手術などで、膀胱を収縮させる神経が障害されると、膀胱がうまく収縮できなくなって排尿障害(尿排出障害)を引き起こし残尿が発生します。膀胱内に残尿があると、結果的に尿を溜められる膀胱のスペースが減少するために、1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くようになります。
多尿
多尿とは、1日の尿量が著しく増えた状態をいいます。膀胱や尿道に問題がなくても、糖尿病などの内分泌疾患、水分の多量摂取、薬剤(利尿剤)による尿量の増加が頻尿の原因となります。この場合には、1回の排尿量は正常(150~200ml以上)であるにも関わらず、何回もトイレに行くことになります。
尿路感染・炎症
膀胱炎や前立腺炎などの尿路感染が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて頻尿になります。間質性膀胱炎は原因不明で、膀胱に慢性の炎症を起こす病気ですが、長期間続く頻尿、膀胱充満時の下腹痛が特徴的です。
腫瘍
膀胱がんの重要な症状は血尿ですが、まれに膀胱がんによる膀胱刺激症状として頻尿がみられることがあります。
心因性
心因性の頻尿は、膀胱・尿道の病気もなく、また尿量も問題ないにも関わらず、トイレのことが気になって何回もトイレに行ってしまう状態です。心因性なので、夜寝てしまえば排尿のことを気にすることはないので、通常夜間の頻尿はないことが多く、また朝起床時の排尿量は正常です。
中医学における頻尿の考え方
では、次に中医学における頻尿の考え方、タイプ、漢方をご紹介します。排尿と一番関係の深い臓は腎で、腎によって膀胱をコントロールしていると考えます。よって頻尿は腎の固摂機能の失調としてとらえるのが主体ですが、腎と共に水分代謝を司る脾と肺もこの病症には深くかかわっていると考えます。タイプとしては主に以下の通りとなります。
膀胱湿熱タイプ
症状:トイレの回数が多い、尿意の切迫感、排尿時の痛み、尿道の灼熱感、尿量少量、色が濃く、濁っている、口は乾燥し粘っている、下腹部の張り、便秘、或いは発熱悪寒、舌紅苔黄膩、脈滑数。
よく使われる漢方:猪苓湯
腎陰虚タイプ
症状:頻尿、少量で色が濃い、眩暈耳鳴りを伴う、喉や口の乾燥、頬骨が赤く唇も赤い、イライラして眠れない、腰や膝が怠い、体の奥から熱っぽい、手足の裏や胸が熱い、盗汗、便が硬くて出ずらい、舌紅苔少、脈細数。
よく使われる漢方:瀉火補腎丸
腎気不固タイプ
症状:頻尿、色が透明で量が多い、夜尿症や尿失禁を伴うこともある、顔色は白く艶がない、めまい・耳鳴り,息切れ、喘息、腰膝に力が入らない、手足が冷えている、舌質淡胖、苔薄白、脈沈細弱。
よく使われる漢方:蘭州金匱腎気丸、安固丹
肺脾気虚タイプ
症状:頻尿、色が透明で量が多い、夜尿症や尿失禁を伴うこともある、唇や口の色が淡い,咳と共に唾の泡沫を吐く、めまい、息切れ、体が冷え元気がない、食欲不振で軟便、舌淡苔白、脈虚弱。
以上のように、頻尿の対策に漢方も一つの選択肢です。頻尿のお悩み、どうぞイスクラ薬局までお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡
参考:日本泌尿器科学会ホームページ
参考文献:『中医症状鑑別診断学』