冷え性の原因
『冷え性』の原因は、中医学の角度からは主に3つの体質が多く見られます。一つは「気血」が不足した体質の冷え。次に「血行不良」による冷え。もうひとつは、身体を温めるエネルギーの「陽気」が不足することによる冷えです。
気血不足タイプ
主な症状:血色が悪い・立ちくらみ・めまい・疲れやすく風邪を引きやすい・食欲不振・便秘や下痢・経血量が少ない・爪が脆い
若い女性に多い「冷え」は、『気血不足』タイプによく見受けられます。手足の先が冷たくなる・顔色が白い・爪に白い線が縦横に入る・倦怠感・食欲不振・経血量が少ないといった症状が特徴です。
このタイプの冷えは、身体の働きを支えるエネルギーである「気」と、全身を巡り栄養を届ける「血」の不足が原因です。「気」は「血」と共に体外に出て行ってしまうため、生理時や産後などは特に冷えやすくなります。この時期は特に、身体が冷えないための工夫が必要です。
気血を生む源は「胃腸」であるため、冷たい飲食を避けて胃腸の働きを守りましょう。
お勧め食養生:「気」と「血」を補うことを中心に考え、甘味のある食材を選びましょう。
きのこ類・鶏肉・ワイン・黒砂糖・豚肉・クコの実・豆腐・ナツメ・鮭・かぶ・かぼちゃ・ニンニクの茎・さくらんぼなど
生活養生ポイント:特に食事には注意が必要です。消化の良い物をよく噛んで食べ、早寝早起きの生活を心がけましょう。
血行不良タイプ
主な症状:体の痺れ、痛み・肩こり・しもやけ・よくイライラする・シミが多い・肌がカサカサ、ゴワゴワ・唇の色が悪い・生理痛・生理不順
全身に冷えがある場合は『血行不良』タイプに見受けられます。体質やストレス、生活の乱れなどから影響を受け、血液の流れが滞る「瘀血(おけつ)」の状態になると、身体の隅々まで温かい血が行き渡らなくなってしまいます。
主な症状に、身体全体の冷え・手や足先のしびれなどがあり、痛みを伴うこともあります。又、目の下のクマが目立ったり、歯茎や唇が紫色になる等の変化が表れることもあります。
女性は、お腹の張り・生理痛・子宮筋腫・子宮内膜症などにも注意が必要です。このタイプは、他の冷えタイプと同時に現れることも多いです。
お勧め食養生:色の濃い物や辛みのある食材で、滞った血の流れをスムーズにしましょう。
よもぎ・いわし・ラッキョウ・玄米・紹興酒・ターメリック・そば・ザーサイ・獅子唐辛子・玉ねぎ・菜の花・ミョウガ・紅茶など
生活養生ポイント:30分程度のウォーキングや隙間時間でのストレッチなど軽い運動で身体を動かしましょう。下着の締め付けなども血行不良の原因になりますので注意が必要です。
陽気不足タイプ
主な症状:低体温・手足の強い冷え・むくみ・頻尿、尿もれ、夜間尿が多い・下痢・顔色が青白い・性欲低下・流産しやすい
陽気には身体を温める作用があります。陽気が不足すると、身体を中から温める力が弱くなり、冷えを感じるようになります。このタイプの冷えは、高齢者や慢性疾患を持つ人、虚弱体質の人、病気で体力が落ちている人に多く見られます。
すべての陽気の源は、五臓の「腎」にあるため、身体の陽気が不足しているときは、腎の機能低下にも注意が必要です。症状の特徴は、手首や足首など末端まで冷えるような強い冷えがあることです。その他、お腹や腰の冷え・下痢になりやすい・むくみ・頻尿や尿もれ、夜間尿といった尿トラブルなどの症状が現れます。
お勧め食養生:温性の強い食材・辛みのある食材をバランスよく食べ、「寒」を取り除きましょう。
生姜・ネギ・玉ねぎ・にら・唐辛子・羊肉・エビ・甘酒・くるみ・シナモン・クローブ・八角など
生活養生ポイント:冷えが強いので、夏でも暖かい飲み物を飲むなどの養生を。手袋やブランケットなどの小物を活用し、冷やさないよう注意しましょう。
冷え症が妊活に悪い理由
最初は肩こりや生理痛、風邪をひきやすい等の小さな体調不良から始まり、ひどくなると妊娠しにくい体質や、重い更年期障害に繋がることも。中医学では「宮寒不妊」という言葉があり、子宮が冷えると妊娠が難しくなることを指します。
気血不足タイプ
前述の通りこのタイプの方は、身体の働きを支えるエネルギーである「気」と、全身を巡り栄養を届ける「血」が不足していますので、妊娠を維持するエネルギー、子宮内膜や卵の成長に必要な栄養、潤いも不足している状態とも言えます。
血行不良タイプ
このタイプの方は、気血は不足していないものの、子宮内膜や卵に栄養が届きづらい状態と言えます。その結果卵が大きくならず、内膜が厚くならないので、妊娠成立には難しい環境となってしまいます。
陽気不足タイプ
このタイプの方は、身体の生命力の根本である『腎』が弱り、熱を生み出すことができない状態にあります。『腎』は生殖を司るので、やはり妊娠成立には難しい体調だといえます。
妊活と温活に効果的な漢方薬
以下に妊活、温活に使う漢方薬の一部をご紹介します。ご症状、ご体調によってお選びするお薬は違ってきます。
人参湯、八味地黄丸、参馬補腎丸、参茸補血丸、逍遥顆粒、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、温経湯など
妊活したいあなたへ
以上、冷え性は女性の身体にとって大敵、つまり妊活にとっても大敵ということをご紹介しました。妊活にとっての大敵はしっかり対策しなくてはいけません。冷え性の原因の違いによって、対策方法も違いますので、冷え性の原因ごとの温活をお勧めします。
冷え性が改善すると体のバランスが整い、身体のバランスが整うと体調も良くなっていきます。ただ厚着をするだけでは根本的な「冷え」は改善できません。身体の中から体質改善をして、「冷え性の沼」から抜け出しましょう。「冷え性」のお悩み、どうぞイスクラ薬局までお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡
参考資料:『体質別 中医学的温活ハンドブック』『薬膳食典 食物性味表』