PMS(月経前症候群)と冷え性の関係を解説
PMSの症状の一つに、イライラ、のぼせなどの熱症状がありますが、風邪を引いた時のような全身の発熱症状ではなく、その熱は、主に上半身に集中します。反面下半身、手足の先、腹部、腰まわりなど局所的に冷えが見られます。
中医学では、冷えの主な原因となるのは、まず体内の「気血不足」。身体を温める気・血が不足して冷えが起こるタイプで、月経がある女性は特に注意が必要です。また、体内の気・血は主に脾胃(ひい・胃腸)の働きによって生み出されるため、「胃腸虚弱」も冷えの原因に。その他、寒さやストレスなどによる「血行不良(瘀血)」、身体を温めるエネルギーが足りない「陽気不足」なども冷えを招く要因となります。
冷えがあるPMSのタイプ分け
冷えがあるPMSをタイプ別に解説します。
1.肝鬱気滞タイプ
ストレスで気の流れが滞っている状態。ひどくなるとさらに熱に変わる。
症状:手足の先の冷え、イライラ、怒りっぽい、胸・脇が脹る、不眠、頭痛、ストレスで食欲が増す、涙もろい
2.気血両虚タイプ
体の気(生命エネルギー)と血(潤い栄養)どちらも不足している状態。
症状:手足の冷え、月経時の冷え、出産後の冷え、動悸、めまい、不眠、月経量が少なく色が薄い、貧血がある、顔色に艶がない
3.脾胃虚弱タイプ
身体を温め活性化する気血を生み出す脾胃(ひい・胃腸)の機能が低下している状態。
症状:疲れると冷えが顕著になる、疲労感、無力感、風邪を引きやすい、汗をかきやすい、食欲不振、お腹の張り、軟便や下痢、胃腸が弱い
4.陽気不足タイプ
体を温め、活性化する陽気が不足している状態。
症状:手足が氷のように冷たく手首や足首まで冷たい、入浴してもすぐに冷える、下半身が冷える、疲れやすい、むくみ、冷え、体温低い、生理痛、頭痛
5.瘀血タイプ
血の巡りが滞っている状態。
症状:全身の冷え、手足が冷えてジンジンとしびれる、生理痛、頭痛、関節痛、腹痛、肩こり、ストレスが多い、顔色の黒ずみ、外傷歴がある、静脈瘤、子宮筋腫、子宮内膜症、経血に塊
冷え症とPMSの対策に使う漢方薬・食材
冷え症とPMSの対策に使う漢方薬や食材をご紹介します。
1.肝鬱気滞タイプ
漢方薬:逍遥顆粒、シベリア人参、ミンハオなど
食材:セロリ、そば、玉ねぎ、バジル、ピーマン、三つ葉、ミョウガ、金柑、すだち、ライチ、カジキマグロ、フェンネルシード、カルダモン、クミン、ターメリック、陳皮、ナツメグ、八角、金木犀、ジャスミン、マイカイカ、ラベンダー、日本酒、紹興酒、ワインなど
2.気血両虚タイプ
漢方薬:婦宝当帰膠、心脾顆粒、参茸補血丸、参馬補腎丸、当帰四逆加呉茱萸生姜湯など
食材:ナツメ、栗、鮭、クコの実、もち米、うなぎ、レーズン、鶏肉、赤ワイン、黒砂糖、豚肉など
3.脾胃虚弱タイプ
漢方薬:補中丸、健胃顆粒、健脾散など
食材:シナモン、カルダモン、大豆製品、生姜、フェンネル、キノコ類、生姜、ネギ、八角、クローブ、山椒の実、紅茶など
4.陽気不足タイプ
漢方薬:参茸補血丸、参馬補腎丸、蘭州金匱腎気丸など
食材:唐辛子、シナモン、紅茶、にら、羊肉、黒豆、酒(温めたもの)、ネギ、牛肉、エビなど
5.瘀血タイプ
漢方薬:冠元顆粒、逍遥顆粒、田七人参など
食材:紅花、ミカンの皮、サバ、ヨモギ、玄米、納豆、ウコン、そば、らっきょう、いわし、紹興酒など
冷え対策の養生
入浴:シャワーだけで済ませるのはNG。入浴で身体をしっかりと温め、血行を良くしましょう。足が冷たくて眠れない人は、就寝前の足湯もお勧めです。
保温:カイロや湯たんぽなどを上手に使って、冷えた身体を温めましょう。特に、腎(陽気の源)に近い腰回りを温めると効果的です。
運動:コロナ禍にあってはどうしても家にこもりがちですが、なるべく身体を動かす習慣を。陽気や血を全身にしっかり巡らせましょう。
服装:重ね着をして空気の層をつくると、保温効果アップ。血行をスムーズに保つよう、身体を締め付けない、ゆったりとした服装がお勧めです。
食事:冷たい飲食は控えめに。特に、朝は陽気が巡り始める時間なので、冷えたジュースなどはNG。スープやみそ汁などの温朝食を習慣にしましょう。
冷え症を改善してPMSを改善
以上、冷えとPMSの関係、冷えを伴うPMSのタイプ別の漢方薬、お勧め食材などをご紹介しました。ご自身で強い冷えを感じていなくても、実は身体が冷えている“隠れ冷え症”の可能性もあります。最近ではコロナ禍での運動不足やストレスから冷え症の方は増加傾向にあります。気になる症状があれば積極的に対策を検討下さいね。上記の漢方はあくまでも一例であり、ご体質とご症状によって、おすすめの漢方は異なりますので、詳細はお近くの漢方薬局ぜひご相談くださいね。冷え性・PMSのお悩み、どうぞイスクラ薬局にもお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡
参考資料:『漢方の知恵袋』