漢方薬の加味逍遙散(かみしょうようさん)ってPMSに良いってよく聞くけど本当はどうなの?飲み方で注意しなくてはいけないことは?副作用はあるの?
今回は、そのような疑問を抱えている方に向けて加味逍遙散の解説をいたします♡
【漢方】加味逍遥散(かみしょうようさん)とは?
「加味逍遙散(かみしょうようさん)」の「逍遥(しょうよう)」とは
明治時代の作家「坪内逍遥」の名前で耳にしたことがある言葉かと思いますが、本来の意味は自由自在である、気ままである、何ものにも拘束されない、のんびりと気ままに歩き回る、ぶらぶらするなどです。つまり心身ともにリラックスしている状態を指します。
「加味逍遙散」とは
「加味逍遙散」は気血の滞りを解消して「逍遥」の状態に回復させる「逍遥散」に、清熱薬である牡丹皮・山梔子を加えた処方です。つまり気血の滞りだけでなく熱を伴う症状(イライラ・ 怒り易い・顔面紅潮)に適しています。
加味逍遙散の構成
加味逍遥散は当帰、芍薬、白朮、茯苓、牡丹皮、山梔子、柴胡、薄荷、生姜、甘草の生薬で構成されています。
当帰、芍薬で血の生成を促します。これは血を作る代表的な方剤である四物湯の一部であるとも言えます。
白朮、茯苓で脾(消化器系)の余分な水を排除します。こちらも脾気を高める代表的な方剤の四君子湯の一部が入っているとも言えます。
当帰、芍薬で血の生成を促します。これは血を作る代表的な方剤である四物湯の一部であるとも言えます。
白朮、茯苓で脾(消化器系)の余分な水を排除します。こちらも脾気を高める代表的な方剤の四君子湯の一部が入っているとも言えます。
以上、気血を補う作用はありますが、作用は若干弱いので、実はこれは加味逍遙散のメインの効能ではありません。更に牡丹皮は血を動かし、血の熱を冷まします。山梔子は気の熱を冷まします。体の上部に作用しますから、上部にこもった熱を下に引き下ろし、勝胱から尿として排泄する作用を持ちます。利尿作用を持ち、口内炎や膀胱炎によく使われます。この両者で、のぼせやほてりなどの気分や血分の熱で主に上部の熱を冷ます作用を発揮します。そして柴胡と薄荷で、滞った気を巡らせます。この柴胡や薄荷で気を巡らせようとする作用が強く、先述の気や血を補う作用は比較的弱いことから考えると、気の滞りを主とする病態で、そのために気や血の供給が上部に不足がちで、上部に熱がこもってしまっているような病態に適していると言えます。
更に白朮、茯苓、山梔子などの、湿を取り除く作用と牡丹皮、山梔子の清熱の作用を合わせると、湿と熱が結びついた湿熱にも対応できる処方です。
加味逍遥散はPMS改善を期待できる?
気滞は万病のもと
ストレスを感じると、身体の「気」(エネルギー)の巡りが悪くなり、肝鬱、血虚、脾虚など様々な症状が現れます。このような状態を気滞といいます。
こんな症状気になりませんか?
肝鬱:気の流れをのびやかにして調和させるべき肝の機能が失調し、エネルギーや血液の流れが悪くなった状態。
血虚:血液が不足したり、血液の巡りが悪くなったり、全身に栄養がうまく行き渡らなくなった状態。
脾虚:肝鬱になると、飲食物と水液の消化・吸収を主る脾の働きが弱くなり、飲食物を上手くエネルギーに変換できず、気血不足になった状態。
PMSは肝鬱→脾虚→血虚の負のスパイラル
PMS(月経前症候群)代表的な症状は、月経前のむくみ、便秘、下痢、不眠、眠気、頭痛、イライラ、不安、落ち込み、胸張りなどですが、これら諸症状は正に肝鬱→脾虚→血虚の負のスパイラルに陥っていると言えるでしょう。殊に、前述の通り、熱症状に適した方剤ですから、PMSの症状の中でも熱症状が顕著なタイプに向いています。例えば同じ精神症状でもイライラと落ち込みがありますが、イライラは加味逍遙散、落ち込みは逍遥顆粒が適しています。
加味逍遥散の正しい飲み方
一日三回、一回一包食前又は食間に水又はぬるま湯と一緒に服用してください。
加味逍遥散の副作用について
服用後、次の症状があらわれた場合は副作用の可能性があるので、医師、薬剤師、又は登録販売者に相談してください。
皮膚:発疹、発赤、痒み
消化器:吐き気、嘔吐、食欲不振、胃部不快感
暮らしの養生
何よりも日頃の生活習慣を整えることが大切です。毎日規則正しく、よく食べて、よく動いて、よく寝ることで、ストレスに負けない身体をつくっていきましょう。中医学的には、「気を巡らせる」「血を補う」「胃腸の機能を整える」ことで、身体のバランスをとっていくことが重要です。
1.気を巡らせる
・ジョギング、散歩など長時間継続してできる有酸素運動はおすすめです。
・旅行、観劇、音楽鑑賞など好きなことをしてストレスを解消しましょう。
・趣味や娯楽などで気分をリフレッシュしましょう。
2.血を補う
・良質のタンパク質、ミネラル、食物繊維、ビタミンなどをバランスよく摂取しましょう。
・なつめ、黒ごま、黒キクラゲなどの補血作用がある食材を摂りましょう。
・就寝前は腹式呼吸で身体をリラックスさせて、質の良い睡眠をとりましょう。
3.胃腸の機能を整える
・消化吸収しやすい物をよく噛んで、胃腸の機能を高めましょう。
・生もの、冷たいものや油っこいものを控えましょう。
・1日3食、食事を抜かないようにしましょう。
PMSでお悩みの方へ
以上、加味逍遙散の処方解説、PMSの中の適用症状についてご紹介しました。加味逍遙散はPMSの熱症状に有効ですが、個々のご体質、症状の違いによって、他の処方との組み合わせの必要性や、服用のタイミングなどの調整が必要な場合があります。漢方薬局の専門家に詳細ご相談されることをお勧めします。PMSで悩まれている方は、是非イスクラ薬局にもお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡