【漢方】当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)とは?
当帰芍薬散は当帰、 白芍、 茯苓、 白朮、 沢瀉、 川芎の六種類の生薬からなる方剤です。更に詳しく見てみると血を養う代表的な方剤の「四物湯」と水をさばく「四苓散」を合わせた構成とも言えます。
この処方は本来、妊娠時の腹痛の治療に使用する方剤でした。
妊娠中はお腹の赤ちゃんを養うために気血を大量に消耗するため、気血不足に陥ります。気血が不足すると川の水が潤沢でないと流れに勢いがつかないように、気血の巡りが滞ります。そのため「通じざれば則ち痛む」という漢方の痛みのメカニズムから腹痛が生じます。
又気血が消耗すると、脾(消化器系)が弱まり、その水分代謝能力が弱まることで、体の余分な水分(水湿)が停滞します。更には水湿が体内に停滞すると、気血の巡りが滞り、痛みが一層発生しやすくなるという悪循環に陥ります。
そのため芍薬甘草湯には、芍薬、当帰といった血を養い痛みを止める作用のある生薬、血を巡らせて、痛みを止める当帰・川芎が組み込まれています。更には、白朮・茯苓の脾(消化器系)を健やかにし、湿を取り除く作用、茯苓・沢瀉の利水作用も組み込まれている処方です。
当帰芍薬散はめまいに効く?
次に本題の当帰芍薬散はめまいに効くのか?ですが、一口にめまいと言っても様々なタイプがあります。まずは代表的なものを以下にご紹介します。
ぐるぐるめまいが多く、むくみやすい痰湿タイプ
主な症状:めまい、頭が重い、胸が詰まった感じがする、悪心・痰が多い、食欲不振、いつも眠い、体が重怠い、舌の表面に苔がべっとり付いている。
体の水分代謝が滞り、体内に停滞した病理産物を痰湿と呼びます。体内に痰湿という障害物があることによって、体を正常に働かせる為のエネルギーである気や栄養物質である血が脳にまで届かず、めまいが起こると考えます。めまいの他に体内の各部分に痰湿が停滞した重怠くすっきりしない諸症状が現れるのが特徴です。
めまいに頭痛、体のしびれがある気滞血瘀タイプ
主な症状:めまい、頭痛(同じ部位に鋭い痛み)、不眠、健忘、顔色が黒ずんでいる、舌の色が暗く、表面に斑点があることも
血液循環の滞りにより体内に発生した病理産物を瘀血と言います。瘀血が体内の気血の流れを塞ぎ、脳を栄養できない為にめまいが起こると考えます。めまいの他に気血が滞ることによる痛みや各部分の黒ずみなどが現れます。
フラフラめまいで立ちくらみがある気血不足タイプ
主な症状:動くとひどくなるめまい、倦怠感、話すのが億劫・息切れ、顔色が青白い、唇や爪に艶がない、動悸、不眠、食欲不振、舌の色が淡い。
上記の痰湿タイプと気滞血瘀タイプは体内の病理産物に阻まれて、気血が脳に届かないことでめまいが起きますが、このタイプは気血そのものが不足し、脳を十分栄養できないことで起こるめまいです。めまいの他に全身的な栄養不足の症状が現れます。
立ちくらみとイライラ・耳鳴り・高血圧・頭痛などがある肝陽上亢タイプ
主な症状:めまい、耳鳴り、片頭痛、頭脹、怒りっぽい、赤ら顔、目が充血する、不眠、夢をよく見る・不安、口が苦い、舌が赤い。
漢方で風の症状(震えや揺れなど動きのある症状)は、五臓の中の肝と関係していると考えます。肝の陽気が風の性質をもって異常な勢いで上に亢進することを肝陽上亢と言います。肝陽が上に亢進するので、頭部や顔面部の諸症状が現れますが、めまいはその中でも最も代表的な症状の一つです。
これらめまいの代表的なタイプの中で、当帰芍薬散は前述の通り血を養う代表的な方剤の「四物湯」と水をさばく「
当帰芍薬散の副作用について
過敏症:発疹、搔痒等
肝臓:肝機能異常(AST(GOT)、ALT(GPT)等の上昇)
消化器:食欲不振、胃部不快感、悪心、嘔吐、腹痛、下痢等
以上のような症状があらわれた場合は、投与を中止すること。
めまいの症状でお悩みの方へ
以上、当帰芍薬散の処方解説、適用するめまいのタイプについてご紹介しました。上述の通り、めまいは様々な原因で発生します。当帰芍薬散は数ある処方の中の一つにすぎませんので、めまいの原因、個々のご体質、症状の違いによって、他の処方の必要性や、服用のタイミングなどの調整が必要な場合があります。めまいで悩まれている方は、是非イスクラ薬局にもお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡