中国式足つぼマッサージ店「足療店」、近年は日本にも増えてきました。足湯がおすすめの温泉も。全身のマッサージ付きの豪華なものからシンプルに足湯のみのお手頃で所要時間も短いものまで、メニューもいろいろです。
中国式の足湯は、まず足を漢方薬入りの湯に浸します。
足が温まり足裏の皮膚が柔らかくなったところで、足裏の反射区*と言われるツボを刺激し、ふくらはぎへと揉み上げていきます。足つぼマッサージを自分でやろうとすると、どうしても前屈みの不自然な体勢になりますが、足湯なら手軽にできますね。
*反射区(リフレクソロジー):足裏や手のひらにある特定部位で、体内の各器官や内臓とつながっていると考えられており、これらの部位を刺激することで、健康への効果が期待できるとされている。
広大な国土に多民族が住む中国では、一般的にシャワー中心で、あまり湯船に浸かる習慣がありません。そのせいか、「睡前一盆湯」=「寝る前に足湯をするのは健康によい」という言葉もあり、足湯が推奨されているようです。
足は体の一番下にあって心臓から遠いので、末梢血液循環が滞りやすいです。
足湯することで、全身の血液循環が良くなり、リンパ液の流れも改善して疲れが取れるため、足湯を続けることで内臓強化、免疫力アップ、新陳代謝促進も期待でき、冷えや下肢静脈怒張などの改善、さらには、疲労回復、睡眠障害の改善などにも効果があるとされています。
せっかく足湯をするなら、お湯ではなく、症状に合った薬湯に足を浸してみるのも良いですね。
ここでは、「足の汗対策」として、中国の『泡足験方』という本の中から、入手しやすい生薬でできる「足湯薬液ブレンド」をご紹介します。
足汗を現代医学で考える「足蹠(そくせき)多汗症」
足の裏に過剰に発汗するものを「足蹠多汗症」といいます。
汗腺は、
・エクリン汗腺:体温調節のため全身に分布している
・アポクリン汗腺:発汗が多すぎるとワキガになる
の2種類があり、足の裏や手のひらに存在するのはエクリン汗腺です。
足の裏の汗は、皮膚を柔らかくし、滑り止めや摩擦の軽減などの役割をもっています。しかし、何かの原因で、足のエクリン汗腺が過剰に活動し、大量に発汗してしまうものが「足蹠多汗症」です。
症状が軽い場合は、靴の中の足が湿っぽくなるだけですが、ひどいと靴下が汗でビッショリとなり、人前で靴を脱ぐたび、床に足の型がついて恥ずかしい思いをしたり、スリッパに履き替えるとニオイが漂ってきたりと、足の汗はとても悩ましい症状の一つです。
夏なら裸足でサンダル、吸湿性の良い靴下と蒸れにくい素材の靴など、簡単な対策もできますが、仕事柄や季節柄、それにさまざまな事情から、対策が難しい場合もあります。1日中ストッキングにパンプスでお仕事とか。極寒の日とか。あるいは、もともと足の裏にかなり汗をかく体質で、綿など吸湿性のある素材の靴下や五本指靴下を履いても臭ってしまうなど……
足が蒸れた状態が長く続くと、足の指の間の皮が白っぽくなり、周囲は赤くなり角質が肥厚します。水虫を併発しやすく足指の間にジュクジュクや亀裂、疼痛などの症状が現れることも。
足が臭い人と言われるのも嫌だし、水虫になって痒いのも嫌ですね。
現代医学的な原因
足の多汗症の原因は、交感神経の異常や遺伝的要因、ストレス、ホルモンの変動などが考えられます。特に思春期や更年期に多く見られます。また、特定の薬物や疾患(例えば、甲状腺機能亢進症や糖尿病)も多汗症の原因となることがあります。
現代医学による治療法
抗汗剤を使うこと多いですが、足の多汗症の治療法として以下の方法が一般的です。
①外用薬の使用: エクリン汗腺の活動を抑えるために、塩化アルミニウム含む外用薬が使用されます。角層内の汗管とひっつき、発汗の出口を物理的にふさぎます。かぶれることがあるのが欠点。
②イオントフォレーシス: 微弱な電流を足に流すことで、一時的に汗腺の活動を抑える方法です。
③ボトックス注射: ボツリヌス毒素を足の裏に注射することで、汗腺の機能を一時的に抑えることができます。
④手術: 重度の多汗症の場合、汗腺を除去する手術が行われることがあります。
漢方で考える足蹠多汗症
中医での病名は「脚汗」。原因は脾胃湿困、湿熱下注。
もともと熱がこもりやすい体質に飲食の不摂生が加わると、脾胃(胃腸)に湿熱がたまります。
また、胃腸の働きが悪く水分代謝がうまくいかない人は、体内に余分な水分(「湿」)がたまりやすくなり、そこにストレスがかかると熱を帯び「湿熱」になります。水は下へ向かって流れますから、下部に注がれたものが足の汗になって出る、と考えます。
中医学の治療法
治療原則は「清熱利湿」。足の多汗の原因になっている熱と湿気を除いていきます。
清熱利湿の薬液を使った足湯は、足部多汗症に対して一定の効果がありますし、足の臭いに対しても同様に治療を期待できます。
足湯
① 白蘿卜枯礬方(大根とミョウバンの足湯)
材料:白蘿卜片(大根スライス)500g、白礬(ミョウバン)20g
方法:
1、大根スライスを鍋に入れ、適量の水を加えて30分煎じる。
2、煎じ汁を濾しとって明礬を入れて溶かす。
3、足が20~30cm浸かる程度の湯を沸かし、足湯桶に湯と2を注ぐ。
4、湯温が足を浸せる温度に冷めたら両足を30分浸ける。
5、毎晩1回、10日を1サイクルとして続ける。
② 苡仁冬瓜皮方(ハトムギと冬瓜の皮の足湯)
材料:生薏苡仁(生のハトムギ)60g、冬瓜の皮100g、白礬(ミョウバン)20g
方法:
1、ハトムギと冬瓜の皮を鍋に入れ、水適量を加えて30分煎じる。
2、煮汁を濾し取った中に明礬を加えて溶かす。
3、足が20~30cm浸かる程度の湯を沸かし、足湯桶に湯と2を注ぐ。
4、湯温が足を浸せる温度に冷めたら両足を30分浸ける。
5、毎晩1回、10日を1サイクルとして続ける。
【足湯の道具】
専用のフットバスも販売されていますが、両足がゆったり浸かるサイズの桶やバケツなどでも大丈夫。容器が浅いと薬湯に浸かる部分が少なく、湯が冷めやすいので、ある程度の深さがあるほうが使いやすいです。
【足湯の注意】
・足湯の時間は長すぎないようにしてください。
・睡眠前がお勧めです。
・空腹時、満腹時、飲酒後、極度の疲労時の足湯は避けてください。
・肺炎など感染性疾患で発熱している、足の皮膚に傷がある、出血傾向のある人、重い脳心血管疾患がある人は行わないでください。
妊娠中の方は温水で足を洗うのが適当です(湯が熱すぎないように)。
日常の養生
湿と熱がたまりやすい飲食は控えめにしましょう。
お酒の飲み過ぎ、揚げ物、スナック菓子、バターや白砂糖たっぷりの洋菓子はよくありません。
おすすめの漢方
汗やニオイの問題はとてもデリケートです。一般的な対策では足の多汗症が改善しない場合、足湯と食養生だけでなく、漢方薬の内服を併用したほうが良い場合があります。
漢方薬はその人の原因に合わせ、湿熱を取るもの、胃腸の働きを改善するもの、水分代謝を良くするもの、熱がこもりやすい体質を改善するもの、ストレス緩和、抗菌作用があるものなどを選びます。
体質と症状によって合うお薬が異なりますから、詳しくは薬局でご相談くださいね。
イスクラ薬局では、漢方に関する専門的な知識を持つスタッフが皆様のお身体の状態や体質に合わせたアドバイスをしております。
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