スマホ老眼とは?
スマホやパソコンの使い過ぎで、老眼に似た症状が一時的に起こることを「スマホ老眼」と言います。
次のような目の不調があれば、スマホ老眼の可能性があります。
●スマホから目を離すと遠くがぼやける
●近くが見えにくく、ぼやけることがある
●小さい文字が読みづらい
●薄暗い中や、夕方・夜になるとものが見えにくくなる
●ディスプレイの文字を片目で見ている
●目が乾きやすく、ショボショボする
●一晩寝ても、翌朝目や身体が疲れている
●頭痛、めまい、吐き気などを伴うことがある
スマホ老眼の原因とリスク
スマホ老眼の原因は、目のピント調整機能と深く関係します。私たちがものを見る時にピント調整を行うのが水晶体で、眼球内でカメラのレンズのような役割を果たします。水晶体は透明な組織で、遠くを見るときは薄くなり、近くを見るときは厚くなります。このようにスムーズに変化させることで、ピント調整を行います。
水晶体を取り囲み、水晶体の厚みをコントロールしているのが毛様体筋で、遠くを見る時は緩み、近くを見る時には縮んでレンズを動かしています。つまり、近視と遠視を調節し、視力を正常に維持するのが毛様体筋の働きです。
スマホのように、至近距離で液晶画面での小さい文字や動画を長時間見続け、目に負担をかけると、この毛様体筋が縮みっぱなしの緊張状態に。こうして目の筋肉が疲れてうまく働かなくなると、焦点も合わなくなり、見えづらくなる(見えづらい)、目がかすむ、といった視力低下の症状が起こることがあります。これが「スマホ老眼」と呼ばれるものです。
スマホ老眼と老眼の違い
通常の老眼の原因は、加齢とともに水晶体の弾力がなくなり、透明度が低下するためです。水晶体が硬くなったり、毛様体筋が伸び縮みしにくくなったりすると、焦点を合わせにくくなり、近くのものがぼやけて、見えづらくなります。
一方、スマホ老眼は目の調整機能の一時的な低下によるものです。改善しにくい老眼とは違い、しばらく眼を休ませればピントが定まり、ほぼ改善されると言われています。
ところが、目を酷使し続けると近視化や老眼を早める原因になるだけでなく、毛様体筋や虹彩(伸縮して目に入る光の量を調節する役目)を支配する自律神経にまで影響する可能性も。自律神経のバランスが乱れると、疲労やドライアイ、頭痛、肩こり、めまい、吐き気、不眠などを引き起こすリスクがあり、日常生活に支障をきたすおそれがあります。
中医学で考える目のケア~タイプ別症状と食養生~
中医学では、五臓の「肝(かん)」が目と密接な関係にあるとされています。
肝は目や筋肉の栄養分となる「血(けつ)」を貯蔵し、必要に応じて身体の隅々にまで届けることで、活動をスムーズにさせ、目の健康も維持しています。そのため、目の不快な症状は肝の不調が原因と考えられています。
スマホ老眼でよく見られるタイプ別症状と、摂り入れたい食材を紹介します。
肝血(かんけつ)不足
肝の血(栄養や潤い)が十分に蓄えられず、目が滋養されていない状態。
症状
●視力低下、目の乾燥
●薄暗くなると見えづらい
●顔色が悪い、貧血気味
●皮膚・髪の乾燥、爪が薄く割れやすい
●手足のしびれ、筋肉のけいれん・ひきつれ
摂り入れたい食材
レバー、ほうれん草、パセリ、よもぎ、あさり、しじみ、いかなど
お役立ちレシピ
ニンジン・油揚げ・干し椎茸入りひじき
肝腎(かんじん)不足タイプ
「肝」だけでなく、肝をサポートする「腎」の機能も失調。身体に必要な血と精(生命エネルギーの源)が消耗し、目まで行き届いていない状態。加齢による老眼の原因に。
症状
●眼精疲労、ドライアイ
●目の下にクマができやすい
●頭痛、耳鳴り
●手足の震え、筋肉がピクピクする、足腰がだるい
●ほてり・のぼせ
摂り入れたい食材
黒豆、ブルーベリー、プルーン、黒きくらげ、牡蠣、いわし、うなぎ、卵など
お役立ちレシピ
菊花枸杞茶
気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
気(エネルギー)と血が不足し、疲労している状態。
症状
●目がボンヤリして明瞭でない
●疲れると目の症状が悪化する
●元気がない、疲労・倦怠感
●長時間作業がつらい
●不眠、寝ても疲れがとれない
摂り入れたい食材
さつまいも、かぼちゃ、とうもろこし、キノコ類、豚肉、牛肉、あなご、かつお、まぐろなど
お役立ちレシピ
鮭・ブロッコリー・山芋のグラタン
~日常生活での目の養生~
肝は、植物が成長するようにのびのびとしている状態を好みます。
スマホやパソコンが手放せなくなる生活に加え、息を詰めるような時間やストレスが重なると、肝の機能が低下し、気血の巡りも悪くなり、目の健康だけでなく、自律神経のバランスにも影響してきます。日常生活から目に負担をかけない工夫をしていきましょう。
●早寝早起きで規則正しい生活を
●朝食は抜かない
●スマホやパソコン使用時は瞬きを心がけ、正しい姿勢で
●1時間に1回は目を休ませ、長時間目を酷使しない
●寝る前にスマホやパソコンをできるだけ避け、十分な睡眠をとる
●液晶画面のブルーライトから目を守るメガネや、画面保護フィルムを使用する
●適度な運動や、目の周りのマッサージなどをして循環改善を
●目に良い成分を摂り入れる
目の健康にはビタミンB12やビタミンA、ビタミンC、DHAなどが良いとされ、目を守る成分には以下のような種類もあります。
●ルテイン:ブルーライトや紫外線から目を保護し、視力の維持に役立つ。
●ゼアキサンチン:フリーラジカルから目を守り、酸化ストレスを軽減、ブルーライトや紫外線から保護。視力をサポート。
●アスタキサンチン:細胞の酸化ストレスを軽減。目の健康サポート、視力の維持。筋肉疲労緩和、持続力向上。
また、中医学での肝をのびのびとさせるために役立つ食材として、セロリやピーマン、かんきつ類などがあります。目に良い食材は他にもたくさん。
日常的に赤身の肉や旬の魚介類・新鮮な野菜や果物をバランス良く摂り入れるようにしましょう。
眼の症状改善によく使われる生薬と働き
●石決明(せきけつめい/せっけつめい):アワビの貝殻を乾燥させたもの。陽気の過剰に高まりを抑え、肝気の流れを正常に戻したり、目のかすみや視力をクリアにし、目の健康を改善したりする作用を持つ。
●白僵蚕(びゃくきょうさん):カイコからできた生薬。目の疲れや充血の緩和作用。涙目や視力低下などの症状にも効果があるとされている。
●決明子(けつめいし):エビスグサの種子。肝の熱を冷まし、目の健康を改善。目の充血や腫れ・炎症を抑える。
●枸杞子(くこし):杏仁豆腐の飾り付けでもおなじみの赤い果実。精を補い、視力を改善。風に当たると涙が出る症状に使われることも。
●菊花(きくか):目の疲れや充血を和らげる。鎮静作用もあるので、目の酷使やストレスでの高ぶりを抑える。
スマホに依存しない時間帯を作るなどして、目の健康を維持するために、無理のない生活習慣を心がけていきたいですね!
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