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この症状って?

気になってしまう自分や他人のにおい・・・体臭って漢方で改善するの?

私たちは日々の生活の中で、ふとした瞬間に自分や他人の「におい」が気になることがあります。特に、腋から感じる独特なにおいに悩む方は少なくありません。現代では「ワキガ」や「腋臭症」などと呼ばれ、デオドラント製品や外科的手術など様々な対処法がありますが、中医学ではこのような体のにおいを「体気(たいき)」と呼び、独自の理論と対策法が存在します。

中医学は、体のバランスを整えることを重視しており、体臭に対するアプローチもこの原則に基づいています。

本記事では、中医学の視点から「体臭」の原因やタイプ、具体的な対策や生活改善のヒントをご紹介します。



体臭とは何か?


現代医学では「臭汗症」や「腋臭症」と呼ばれ、汗腺(アポクリン腺)から分泌される汗と細菌との相互作用によってにおいが発生します。
中医学では、体臭を「体気」「狐臭」「腋臭」などと呼びます。これは主に腋の下から発する特有のにおいを特徴とする病症で、皮膚病の一種として分類されます。

このにおいは、夏場や汗を多くかく時期に悪化しやすく、特に思春期から若年成人にかけて発症しやすい傾向があります。女性に多く、遺伝とも関係があり、家族に同様の症状があることも少なくありません。

体臭の原因


体臭が発生する主な要因は以下の通りです。

1. 汗腺の活動
体臭は主に汗腺から放出される汗と、皮膚上の常在菌との相互作用によって生じます。汗自体は無臭ですが、皮膚のバクテリアが汗を分解することで臭いが発生します。特に脇の下や足の裏など、常に湿っている部位では、汗が原因となって体臭が強まりやすいです。

2. 食生活
食生活は体臭に大きな影響を及ぼします。特に、ニンニクや香辛料、牛肉、羊肉などの大量摂取は、消化過程で体内に独特の臭いを残すことがあります。反対に、野菜や果物を豊富に摂ることで、体内のデトックスが進み、体臭が軽減されることもあります。

3. ストレスとホルモンバランス
ストレスは身体的な影響だけでなく、ホルモンバランスをも乱す要因となります。ストレスによる不安や緊張は、交感神経を刺激し、汗腺を活発にすることで体臭を悪化させる可能性があります。また、ホルモンの変動、特に女性ホルモンによる影響は、月経周期の変化に伴って、体臭に変化をもたらすこともあります。

4. 健康状態
慢性的な病気や体調不良は、体臭に影響を及ぼします。例えば、糖尿病によるケトン体の蓄積は、甘酸っぱい匂いを引き起こします。また、肝臓や腎臓の機能が低下していると、体内の毒素がうまく排出されず、それが体臭の原因となる場合もあります。


中医学が考える体臭の原因とは?


西洋医学との違い
西洋医学では、原因となるアポクリン腺を切除したり、抗菌剤でにおいの原因菌を抑えたりと「局所的な対処」が中心です。一方、中医学では「においは内から生じる」と考え、体質の改善や食生活の見直し、気血水のバランスを整えることを重視します。中医学では体内の「湿熱(しつねつ)」の蓄積、「肝気(かんき)」の鬱滞(うったい)、先天的な素因が主な原因とされます。

1. 先天的な素因
中医学では、先天の本(両親から受け継いだ遺伝的要素)が病の原因の一つになると考えます。体臭のある方は、家族にも同じような体質を持つ人がいることが多いです。

2. 湿熱(しつねつ)の蓄積
脂っこい食事や辛いもの、アルコールや甘いものを多く摂ると、体内に「湿熱(しつねつ)」と呼ぶ余分な水分と熱がたまります。これが皮膚から発散される際ににおいとして現れるのです。特に、夏場に作業着を着て仕事をしたり、入浴の習慣が少なかったりすると悪化しやすい傾向があります。

湿気の高い環境や、油分の多い食事は、この湿熱を更に助長します。具体的な症状としては、体の重だるさ、皮膚のかゆみや湿疹、食欲不振、口の粘りなどが見られます。

3. 肝気の鬱滞(かんきのうったい)
中医学では、肝の機能に異常をきたすと、わき部分の気の巡りが滞り、汗をかきやすくなり、臭気が発生すると考えます。肝は中医学では自律神経、内分泌を司る臓器と考えます。精神的な緊張やストレス、怒りなども肝の働きを乱し、体臭に影響を与えます。
感情的なストレスが続くと、肝気が鬱滞し、熱が生じ、それが体臭を引き起こす原因となります。

体臭のタイプ


体臭には主に以下の2タイプがあります

湿熱タイプ


【特徴】
家族歴があることが多く、思春期から発症。腋の下、乳輪、へそ周り、鼠蹊部、陰部などに独特なにおいが感じられます。夏場や汗をかいたときに悪化しやすいのが特徴です。

【主な症状】
  • オイリー肌、ニキビができやすい

  • 毛穴が粗い

  • 髪の毛が粘つき、ふけが多い

  • まぶたや足がむくみやすい

  • 皮膚に湿疹ができやすい

  • 体が重だるい

  • 口が粘る

  • 軟便気味、便がスッキリ出ない

  • 【対策】
    芳香化湿(ほうこうかしつ)といって、香り高い生薬を使って体内の湿熱を体外へと排出します。


    おすすめ漢方


    イスクラ勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)、イスクラ温胆湯エキス顆粒(うんたんとうえきすかりゅう)


    陳皮(ちんぴ)や藿香(かっこう)、木香(もっこう)など、気のめぐりを良くし、湿を除く香りの良い生薬が用いられます。


    肝気鬱滞タイプ


    【特徴】
    家族歴は少なく、食生活や環境に起因するケースが多いです。夏場に発生しやすく、多汗を伴い、冬は軽快します。主な症状には、頭痛、目の充血、イライラ感などが含まれます。

    【主な症状】
  • 肌のトラブルが出やすい

  • シミが出る

  • ストレスによって体調が悪化する

  • 月経前の過食・便秘気味・肌荒れ

  • イライラ・怒りっぽい

  • 抑うつ感や不安

  • お腹や脇・胸が張る

  • ガスやゲップが多い

  • 月経不順・月経痛

  • 【対策】
    疏肝理気(そかんりき):肝の機能を調整することで気の流れをスムーズにし、熱が生じるのを防ぎます。
    清熱利湿(せいねつりしつ)、すなわち熱を冷まし、体内の余分な湿を取り除きます。


    おすすめ漢方


    イスクラ瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)、茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)

    茵陳(いんちん)、藿香(かっこう)、木通(もくつう)などを含む処方で、体のにおいの元である湿熱を取り除きます。



    日常生活でできる体臭対策


    体臭を改善するための具体的な日常習慣は以下の通りです。

    ● 食生活を見直す:食事内容の見直しは非常に重要です。以下の点を心掛けましょう。

    揚げ物や辛いもの、アルコール、チーズや牛乳などの乳製品、糖分の多いお菓子は「湿熱」を生じやすいため、控えめに。代わりに、ハトムギ、緑豆、冬瓜、セロリなど、利湿作用のある食材を取り入れると良いでしょう。

    あっさりした食事を選ぶ:油っこい食事や刺激物は控え、新鮮な野菜や果物を多く摂ることが大切です。
    水分を多く摂取する:水や緑茶などで体内のデトックスを促進しましょう。

    ● 汗を放置しない
    汗をかいたらすぐに拭き取り、シャツをこまめに替えましょう。

    ● 入浴と清拭
    毎日しっかりと身体を洗うことが、臭気の元になる皮膚の老廃物や皮脂の蓄積を防ぎます。薬草を用いた薬湯(ヨモギ、陳皮、薄荷など)を利用すると、殺菌・芳香作用が加わり効果的です。

    ● 通気性の良い衣服を着用
    天然素材の服を着ることで、通気性が良くなり、汗の蒸発を促します。

    ● ストレス管理
    ヨガや瞑想などを取り入れて、リラックスする時間を持つことが肝要です。

    ● 規則正しい生活リズム
    睡眠不足や不規則な生活習慣は体内のバランスを崩すため、なるべく規則正しい生活を心掛けましょう。

    まとめ


    体臭は、主に体内のバランスの乱れや生活習慣、健康状態によって引き起こされるものです。中医学の視点からは、湿熱や肝気の滞りなどが体臭の原因とされ、漢方薬や食生活の改善を通じて、体臭を軽減することが期待できます。
    もし体のにおいに悩まれているなら、香水やデオドラントだけに頼るのではなく、生活習慣や体質の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

    体臭でお悩みで漢方の服用に興味がある方は、どうぞイスクラ薬局にご相談ください。イスクラ薬局では、漢方に関する専門的な知識を持つスタッフが、あなたの体臭の性質や体質に合わせた的確なアドバイスをさせていただきます。

    初めての方でも安心して相談できるよう、メールでのお試しプレ相談や、お電話もしくはご予約フォームを通じたご相談も承っています。髪のお悩みを改善し、快適な生活を取り戻すために、ぜひイスクラ薬局にご相談ください。
    監修
    佐藤薫
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    上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

    「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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