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この症状って?

春の不調― 肝を中心に心・脾・腎を整える中医学アプローチとは?

春になると何となく体調が悪かったり、気分が落ち込み、イライラすることはありませんか?それらの不調は中医学における肝と深くかかわっています。この記事では、春に発生しやすい不調のタイプとその原因、対策、食養生などについて詳しく解説します。



なぜ春は不調になりやすい?


春の陽気が心身に与える影響


春は一年の中でも、心と体に最も変化が起こりやすい季節です。春は、寒さがゆるみ、徐々に陽気が高まっていく季節です。
寒い冬から徐々に気温が上がり、草木が芽吹き始めるこの時期は、自然界のエネルギーが上へ向かい、動き始める季節。中医学では、春は「肝」と深く関わる季節とされ、気血のめぐり・メンタルバランス・女性の体調に大きな影響を与えます。

そのため春は、気分の落ち込み、ストレス・イライラ、めまい・頭痛、胸のつかえ、生理不順、胃腸不良、花粉症・アレルギーの悪化など、“春特有の不調”が現れやすくなります。

春に体調を崩しやすい要因


春は以下の3つの要因が重なり、心身のバランスが揺らぎます。

① 気温差による「陽気の乱れ」
春は日々の寒暖差が大きく、自律神経が過緊張状態になり、気の巡りが滞ります。
気の巡りが悪くなると、イライラ・不安感・頭痛・めまい・胃腸の不調が現れやすくなります。

② 春の風が体に侵入しやすい
中医学では「春は風邪(ふうじゃ)が盛ん」とされます。風邪は体の上部から侵入しやすく、
鼻・目・頭への症状を引き起こし、花粉症、めまい、偏頭痛の増悪へとつながります。

③ 肝の働きが乱れやすい
春は五臓の「肝」が旺盛になる季節。
中医学では、肝は気血の巡り・感情・自律神経を司る臓ととらえます。
ストレスや過労があると、肝の働きが乱れ、春特有の不調が起こりやすくなります。

特に現代人はストレス過多で肝に負担がかかりやすく、「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という状態に陥りやすくなります。

春の不調の主因:肝気鬱結(かんきうっけつ)


肝と春の関係

肝は、春の樹木が枝葉をのびのびと広げるような状態を好み、抑圧や停滞を嫌う性質を持ちます。
そして疏泄(全身の気の運動が滞らないようコントロールすること)を主り、気血の巡りや情緒、自律神経のバランスを調えます。

しかし、憂うつ、怒り、ストレス、緊張、我慢が続くと、肝の疏泄機能が失調し、「肝気鬱結」という病態が生じます。
そして肝気鬱結が長引くと、以下の病態、病理産物が発生してしまいます。

・心血・脾気の消耗 → 心脾両虚という病態の発生
・消化器系の機能低下 → 痰湿・食滞の発生
さらに進行すると肝腎の陰を消耗→陰虚 → 陰虚火旺という病態へ発展してしまいます。

春に現れやすい不調とは


春は気温・気圧・環境変化のストレスが重なり、以下の症状が特に増えます。

① メンタル・自律神経系の不調
・気分の落ち込み
・イライラ・焦燥感
・不安感
・やる気が出ない
・不眠・睡眠の質の低下
・朝起きづらい

春は環境変化が多く、前述のようにストレスにより気の流れが滞りやすいためです。

② 頭痛・めまい・耳鳴り
・偏頭痛
・季節の変わり目に起こる頭重
・フワフワするめまい
・気圧変動に伴う耳鳴り

気がスムーズに巡らないと、頭部の気血が停滞し、痛みや重だるさが現れます。
更に春の風邪(ふうじゃ)は体の上部を犯しやすく、主に頭部に症状が現れます。

③ 胃腸の不調
・胸のつかえ
・食欲不振/食べすぎ
・胃の張り・げっぷ
・お腹がはる・ガスが出やすい

春は自律神経が乱れ、肝の不調から脾胃の働きが不安定になります。

④ 花粉症・アレルギー症状
・くしゃみ
・鼻水
・鼻づまり
・目のかゆみ
・皮膚のバリア機能低下

春の風邪(ふうじゃ)は痒みやくしゃみといった動きのある症状が特徴です。

⑤ 皮膚の不調
・乾燥
・赤み
・湿疹
・アトピーの悪化
・にきび・吹き出物

春の風邪(ふうじゃ)が肌、粘膜に影響し、炎症やアレルギー反応を起こしやくなります。

⑥ 月経、更年期症状の悪化
・PMSの悪化
・月経痛、月経周期の変動
・更年期症状の増悪(のぼせ・イライラ)

肝はホルモンバランスや月経の調節機能も担っているので、春は月経関連の不調が顕著になることがあります。



春の不調の主な4タイプ


春の不調はタイプによって必要なケアが異なります。では、これから春の不調の主な4タイプの症状、対策をご紹介します。

① 肝気鬱結(かんきうっけつ)タイプ


主な症状
・憂うつ、情緒不安定、ため息
・胸脇部の張りや痛み
・食欲不振、腹部膨満
・口渇、口苦
・頭痛(特に偏頭痛)
・月経不順、生理痛
・舌紅、苔薄黄
・脈弦

おすすめ漢方:イスクラ逍遥顆粒(しょうようかりゅう)・加味逍遥散(かみしょうようさん)など
肝気鬱結タイプにおすすめの食養生(イライラ・憂うつ・胸のつかえ・PMSがある方)

食養生のポイント
・気を巡らせる
・肝の疏泄を助ける
・香り・軽い辛味・酸味を活用する

おすすめ食材
① 柑橘類(みかん・オレンジ・グレープフルーツ・柚子)
柑橘の皮や果肉には、気を巡らせる作用があります。
とくに陳皮(みかんの皮を干したもの)は理気健脾の代表的な生薬で、
気滞による胸苦しさ、食欲不振、胃もたれに適しています。

② 香味野菜(しそ・三つ葉・みょうが・セロリ・パクチー・セリ・その他ハーブ類)
芳香性のある野菜は、肝気を発散させ、鬱滞を解消します。
しそは「行気解鬱」の代表食材で、気分の落ち込みや緊張を和らげます。

③ 玉ねぎ・ねぎ・らっきょう
辛味と温性により気血の巡りを促進。
ストレスによる胸脇部の張り、冷えを伴う気滞に向いています。

② 気滞痰鬱(きたいたんうつ)タイプ


主な症状
・胸悶
・痰が多い
・咽のつかえ感
・悪心、食欲不振
・舌苔膩
・脈弦滑

おすすめ漢方:イスクラ勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)、イスクラ温胆湯(うんたんとう)エキス顆粒など
気滞痰鬱タイプにおすすめの食養生(喉のつかえ、痰が多い、胃の重だるさがある方)

食養生のポイント
・気を巡らせ痰を取り除く
・脾胃の消化力を高める

おすすめ食材
① 大根
痰を切り、気を下ろす働きがあります。
胸苦しさ、食欲不振、咳、喉の違和感などに適しています。

② きのこ類(しいたけ・えのき・舞茸など)
余分な湿を取り、腸内環境を整えます。
胃腸の機能低下による痰湿タイプにおすすめです。

③ 生姜
脾胃を温め、痰湿の停滞を防ぎます。
冷えを伴う痰湿タイプの方には特に有効です。

③ 心脾両虚タイプ


ストレスや考え過ぎ、脳疲労が続くと、気血を生み出す脾と、精神を主る心が虚弱になります。
主な症状
・動悸、不安、不眠、多夢
・物忘れ、集中力低下
・顔色不良、貧血
・疲労感、食欲不振
・舌淡、脈細弱

おすすめ漢方:イスクラ心脾顆粒(しんぴかりゅう)
心脾両虚タイプにおすすめの食材(疲れやすい・不眠・不安・物忘れがある方)

食養生のポイント
・気血を養う
・脾気を補い、気血を生み出していく
・心を養い、精神を安定させる

おすすめ食材
① なつめ・竜眼肉(ロンガン)
血を補い、心を養う代表食材。
不眠、動悸、不安感、考えすぎによる不調に適しています。

② 山芋(長芋)
脾気を補い、消化吸収力を高めます。
疲労感が強く、食後に眠くなる方におすすめ。生のとろろが定番ですが、加熱しても美味しいですよ。

③ 鶏肉・牛肉(赤身)
良質なたんぱく源で、気血を補います。
虚弱体質、貧血傾向の方に向いています。消化能力が落ちている方は、煮込みやひき肉料理がおすすめ。

④ 陰虚火旺タイプ


更年期や高齢者に多くみられるタイプです。

主な症状
・のぼせ、寝汗
・動悸、不眠、心煩
・めまい、耳鳴
・腰痛、月経不順
・舌紅、脈細数

おすすめ漢方:イスクラ天王補心丹(てんのうほしんたん)T、イスクラ瀉火補腎丸(しゃかほじんがん)など
陰虚火旺タイプにおすすめの食材(のぼせ・寝汗・動悸・更年期症状がある方)

食養生のポイント
・潤いを補う
・体にこもった熱を冷ます
・熱を生み出す辛い物、刺激物、アルコールを控える

おすすめ食材
① 百合根
肺・心を潤し、精神を安定させます。
不眠、動悸、焦燥感がある方に適しています。

② 白きくらげ
滋陰作用が高く、乾燥やほてりを和らげます。
更年期の陰虚タイプに特におすすめ。

③ 豆腐・豆乳
植物性たんぱくで、身体を潤しながら熱を抑えます。
消化にも優しく、陰虚体質向けの基本食材です。


春の養生のポイント


春の不調の多くは、肝気鬱結を起点に、脾・心・腎へと波及していきます。

そのため、春は「肝をいたわり、気を巡らせる」ことが、まず何より重要です。
春を健やかに過ごすために、心と身体を「のびやかに」整えていきましょう。

春の生活習慣


春の不調を防ぐための暮らし方をご紹介します。

① 適度な運動
春は気血の巡りを良くする絶好の季節。
特におすすめは
・ウォーキング
・ストレッチ
・ヨガ
・深呼吸
・太極拳
体をのびやかに動かすことが重要です。

② 朝の光を浴びる
自律神経とホルモンの調整を助けます。
春の不眠・気分の落ち込みに特に有効。

③ 夜更かしを避け、早めに眠る
春は陽気の上昇が早く、自律神経が過敏になりやすい時期。
肝の養生時間(23時〜3時)に睡眠をとることを心がけましょう。

④ 風に当たりすぎない
春の風は体を傷つけやすく、
花粉症・頭痛・めまいを悪化させます。
外出時は首を冷やさないよう注意しましょう。

⑤ストレスを溜めない工夫
春は“肝”が心と体のバランスを握る季節。
ストレスや緊張は、肝を一層失調させ、症状を悪化させます。

肝の巡りを調える「香りの良い食材」を積極的に
春は香りのある食材が心身を整えます。
深呼吸・瞑想・ハーブティー、香りの良い入浴剤などもお勧めです。

春の不調におすすめの食材


中医学では「薬食同源」という考え方があり、日々の食事は養生の基礎と位置づけられています。
とくに春は、肝の疏泄を助け、気血の巡りを良くする食養生が、不調の予防・改善に大きく寄与します。

気血を巡らせる食材
・柑橘類(みかん、レモン、柚子)
・香味野菜(しそ、三つ葉、春菊、セロリ)
・玉ねぎ、ネギ、らっきょう

からだにこもった熱を冷ます食材
・きゅうり
・トマト
・セロリ
・菊花
・緑茶

潤いを補う食材
・白きくらげ
・百合根
・豆腐
・梨、りんご

脾胃を整える食材
・山芋
・かぼちゃ
・白身魚
・卵
・雑穀

血行を改善する食材
・青魚(サバ、いわし)
・黒豆
・黒ごま
・くるみ

春の不調に避けたい食習慣
・アルコールの過剰摂取(肝火を助長)
・甘い物・脂っこい物の食べ過ぎ(痰湿を生む)
・冷たい飲食物の摂りすぎ(脾胃を傷つける)
・夜遅い食事・不規則な食生活(脾胃に負担がかかる)

まとめ


春は肝をのびやかにし、巡りを意識した養生を
春は一年で最も体調を崩しやすい季節。
中医学では、季節と体は密接に関わっており、春特有の不調は「肝」と「気血の巡り」が大きく影響します。

春の養生の基本は
✔ 気血の巡りを改善する
✔ 体のこもった熱を調整する
✔ 脾胃を整える

そして何より、
ストレスをためない生活が春の体調管理の要となります。

日々の養生を意識し、漢方の力を上手に取り入れ、
春をのびやかに、健やかに過ごしましょう。

春の不調のお悩み、どうぞイスクラ薬局にもお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡
監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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