
毛髪の健康な状態とは?
頭髪は、頭皮や脳を保護するとともに、容姿を美しく整える大切な役割を持っています。豊かで艶やかな髪は若さと健康の象徴であり、逆に薄毛や脱毛、白髪が増えると、老化や体調不良の兆候と見なされます。通常、1日数本から数十本の髪が抜けるのは自然な現象ですが、異常な脱毛(1日100本以上)が続く場合は、毛髪の新陳代謝のバランスが崩れ、最終的に薄毛や禿頭に至る恐れがあります。
毛髪の健康状態が悪化する原因・主要なタイプとは?
中医学では、毛髪の成長や維持は「気血(きけつ・エネルギーと潤い栄養)」と「腎精(じんせい・生命エネルギー)」の充実が不可欠であると考えられています。以下のようなタイプに、毛髪の抜け落ちや質の低下が多くみられます。
気虚(エネルギー不足の状態)
肺や脾の機能低下により、食物から得られた栄養が毛根に十分に運ばれなくなると、毛髪は十分な栄養を受けられず、乾燥しやすくなります。
1.気虚の主な症状
気虚とは、体を動かすエネルギーである「気」が不足した状態を指します。気は全身の機能を支える基本的な力なので、不足するとさまざまな不調が現れます。
2.気虚の改善方法
気虚の症状は、体のエネルギー不足による「元気のなさ」として現れます。
生活習慣を整え、気を補うことで改善できるので、疲れを感じたら無理せず休息をとることが大切です。
おすすめ漢方
イスクラ補中丸T、イスクラ健胃顆粒Sなど

陰血不足(体の潤い栄養不足)
長時間の思考やストレス、慢性疾患、大量出血(例:月経過多、産後の出血)などで、体内の潤い栄養が不足すると、毛髪の栄養供給が阻害され、脱毛が進行します。
1.陰血不足の主な症状
陰血不足とは、体の「陰(いん)」と「血(けつ)」が不足した状態を指します。
「陰」は体を潤し、クールダウンさせる働きがあり、「血」は臓器や組織に栄養を届ける役割を持っています。そのため、陰血が不足すると、乾燥や熱の症状、栄養不足による不調が現れます。
2.陰血不足の改善方法
陰血不足は、体の「潤い」と「栄養」が足りない状態です。
乾燥やのぼせ、精神的な不調がある場合は、血を補い、陰を養う生活を意識すると改善しやすくなります。
おすすめ漢方
イスクラ杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)、加減亀鹿二仙膏(かげんきろくにせんこう)など

血熱の蒸騰(けつねつのじょうとう)
「血熱」とは、体の熱が血液に影響を与え、血が異常に熱くなることを意味し、「蒸騰」はその熱が上昇することを指します。血熱が体の上部に上昇すると、頭皮や毛根が灼熱状態になり、毛髪の生育環境が悪化します。これにより、毛髪が抜けやすくなるほか、熱邪が血や陰を消耗して栄養不足をさらに招きます。血熱の原因としては、若年者の陽気の過剰、感情の抑圧、温熱性の食材や薬の過剰摂取、病後の余熱などが挙げられます。この状態になると、炎症や充血、出血、皮膚の異常などの症状が現れることもあります。
1.血熱蒸騰の主な症状
2.血熱蒸騰の原因
3.血熱の蒸騰の改善方法
血熱の蒸騰は、体の熱が過剰になり、炎症や出血を引き起こす状態です。
特に、ストレス・食生活・体質が関係するため、生活習慣の見直しと適切な養生が重要になります。
おすすめ漢方
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)・イスクラ清営顆粒(せいえいかりゅう)・加減五味消毒飲(かげんごみしょうどくいん)など


水湿の浸潤
湿気が毛根に浸入すると、毛根の周囲で血流が悪化し、毛髪に十分な栄養が行き渡らなくなります。これは、肺・脾・腎の機能低下や、湿度の高い環境、不適切な食生活(甘いものや脂っこいもの、辛いものの過剰摂取)によって引き起こされます。
中医学における「水湿の浸潤(すいしつのしんじゅん)」とは、体内に余分な水分が溜まり、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。
1.水湿の主な症状:
これらの症状は、湿気の多い環境や雨の日に悪化する傾向があります。
また、胃腸に影響を及ぼし、食欲不振や胃もたれなどを引き起こすこともあります。
2.水湿の改善方法
おすすめ漢方
五苓散(ごれいさん)・猪苓湯(ちょれいとう)・イスクラ勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)など

瘀血の阻滞(おけつのそたい)
中医学における「瘀血の阻滞」は、血液の循環が悪化し、体内に血液が滞る状態を指します。血液の流れが悪くなると、毛根に新たな血液が供給されず、毛髪が抜け落ちる原因となります。ストレス、外傷、慢性疾患、出血後の後遺症(血液の粘度増加など)が原因です。主な症状と改善方法は以下の通りです。
1.瘀血阻滞の主な症状
2.瘀血阻滞の改善方法
青魚:いわし、さんま、さば、にしん、あじなど。
その他:どじょう、らっきょう、にんにく、にら、なす、くわい、黒きくらげ、黒酢、桃、さくらんぼ、シナモン、紅花、サフラン、ウコン、田七人参など。
「三陰交(さんいんこう)」:内くるぶしの指4本分上の骨の後ろ。これらの方法を組み合わせることで、瘀血の改善が期待できます。
おすすめ漢方
冠元顆粒(かんげんかりゅう)血府逐瘀丸(けっぷちくおがん)など

肝気の鬱結・肝血不足(かんきのうっけつ・かんけつぶそく)
肝は血液を蓄えるとともに、血液の流れを調節する役割を担っています。ストレスなどで肝の疏泄機能が低下すると、血液の流れが滞り、特に頭頂部の毛根への栄養供給が不足し、脱毛が生じます。また、肝血が不足すると毛髪の養分が十分に補われず、乾燥し抜けやすくなります。
中医学における「肝気の鬱結」と「肝血不足」は、肝の機能不全に起因する状態で、それぞれ特有の症状と改善方法があります。
1. 肝気の鬱結
主な症状:
改善方法:
酸味の食材:梅干し、酢など。
おすすめ漢方
イスクラ逍遥顆粒(しょうようかりゅう)・柴胡疎肝湯(さいこそかんとう)など

2. 肝血不足
主な症状:
改善方法:
ビタミンB12や葉酸を含む食材:卵、乳製品、豆類など。
運動:ヨガやストレッチなど、リラックスできる運動が推奨されます。
おすすめ漢方
四物湯(しもつとう)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・イスクラ婦宝当帰膠B(ふほうとうきこうびー)・加減亀鹿二仙膏(かげんきろくにせんこう)・二至丸(にしがん)など


腎精不足
腎精は毛髪の成長に深く関与しており、加齢や過度な性生活、慢性疾患などが原因で腎精が不足すると、毛髪の成長が衰退します。特に、若年期から脱毛が進む場合は、先天的な腎精不足や遺伝的な体質が関与していることがあります。
中医学における「腎精不足」は、腎の精気が不足し、脳や骨髄の充実が欠如する状態を指します。
1.主な症状:
2.改善方法:
おすすめ漢方
六味地黄丸(ろくみじおうがん)・イスクラ杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)・イスクラ参馬補腎丸(じんばほじんがん)・イスクラ参茸補血丸(さんじょうほけつがん)など


外邪の侵入
寒邪や熱邪が毛髪の成長環境に影響を与えると、抜け毛が増加することがあります。たとえば、運動後や入浴後に冷風にさらされると、頭皮が冷えて血行が悪化し、脱毛が促進されることがあります。
中医学における「外邪の侵入」は、風、寒、暑、湿、燥、火などの外部からの邪気が体内に侵入し、さまざまな症状を引き起こす状態を指します。
1.主な症状
2.改善方法
毛髪の健康維持法
毛髪を豊かに保つための方法は、脱毛を抑える(固発)と成長を促進する(生髪発)という二面性があります。ただし、毛髪の密度は個人差があり、成人期以降は新たな毛包は増えないため、生まれつきの密度がそのまま維持されます。そのため、発毛促進の効果は個人差が大きいですが、重度の脱毛は疾患と判断し、臨床治療が必要です。以下は日常的に行える健康管理の方法です。
1.内治法(体内からの治療法)
日常生活のアドバイス
1.精神の安定
日常生活では、リラックスし、ストレスをため込まないようにしましょう。脱毛が多く感じられても、正常な抜け毛か異常な脱毛かをよく見極め、必要であれば専門医の診断を受けることが大切です。
2.食事のコントロール
主食:紫珠米、小米、トウモロコシ、黒豆、赤豆、青豆、緑豆、エンドウ豆、ハトムギ、黒ゴマ、クルミ、ピーナッツ、山芋など。
動物性食品:鶏肉、牛・羊・豚の肝臓、卵類、牛羊肉、ウサギ肉、ウズラ、牡蠣など。
果物:ナツメ、黒ナツメ、柿、西瓜、トマト、メロン、イチゴ、ミカン、桑の実、モモ、アンズ、スモモ、ブドウなど。
*ただし、脾虚で水分代謝が悪い人は果物の摂取を控えめにし、体内の湿気の蓄積を防ぎましょう。
3.適切なヘアケア習慣
木製または角製の櫛で優しく梳き、毛先から根元まで丁寧に整えます。脱毛が気になる場合は髪を短く切り、栄養を根元に集中させ、ヘアドライヤー、パーマ、染髪を控え、きつくまとめる髪型は避けることが大切です。
4.生活習慣の改善
適度な運動、十分な休息、過労や睡眠不足の回避、また過度な性生活を避けるなど、規則正しい生活を心がけましょう。特に食事や入浴後の頭部の冷却には注意が必要です。
5.頭皮マッサージの習慣化
定期的な頭皮マッサージで血行を促進し、毛根に十分な栄養が行き渡るようにすることで、健康な髪の成長をサポートします。
髪トラブルでお悩みの方に
この記事では、髪トラブルの主な原因や対処法、おすすめの漢方薬などを紹介しました。
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