中医学において口の苦みは、身体に熱がこもっているサインのひとつです。主に「胆」「肝」「心」の熱に分けられます。
カゼひきタイプ(胆の熱)
細菌やウイルス、寒さなどの病気の原因となるもの(邪気)は体表(表)から内側(裏)へ入り込もうとします。邪気を体表で防げなかった場合、表と裏の中間辺りで邪気と身体の抵抗力(正気)の抗争が繰り広げられ、寒気や悪寒、熱の症状が起こります。表と裏の中間辺りは「胆」と関わりが深いところですので、「胆」にこもった熱の症状として口の苦みが現われると考えられます。
【口苦以外によく現れる症状】
・喉の乾燥感
・頭痛
・寒気と熱が交互に現れる(往来寒熱)
・悪心
・食欲不振
漢方薬では邪気を追い出すものを使います。
小柴胡湯など
Mouth Wide Open / CarbonNYC [in SF!]
ストレスタイプ
現代社会は仕事や勉強のストレスから、口の苦みが現れることが少なくありません。緊張や焦りなどを感じると、「肝」の自律神経を調節する機能(疏泄)が失調し、気の流れが停滞します。それが長期化すると熱を帯び、「肝」や「心」の熱症状として、口の苦みを感じます。その他、辛いものや油っこいものの過食で湿や熱などの老廃物が生じ、その熱により、口の苦みが現れることもあります。
Ⅰ 肝の熱
「肝」に熱がこもったタイプです。
【口苦以外によく現れる症状】
・イライラ
・ため息
・怒りっぽい
・口が渇く
・めまい
・頭痛
・目の充血
・両脇部が張って痛む
・尿が濃い
・便が固い
漢方薬では「肝」の熱を冷ますものを使います。
瀉火利湿顆粒など
Ⅱ 心の熱
中医学では「苦味は心に帰経する」「心は舌に開竅する」という考え方があり、「心」の状態は舌に表れやすいです。熱は上昇する性質をもち、身体の上部にある「心」が影響をうけると、口の苦みが現れると考えられます。
【口苦以外によく現れる症状】
・顔が赤い
・口が渇く
・口内炎
・吹きでもの
・尿が濃い
・便が固い
・出血
漢方薬では「心」の熱を冷ますものを使います。
黄連解毒湯など
口が苦い時の養生
口の苦みは熱による症状なので、熱を助長させるようなもの(辛いもの、油っこいもの、飲酒、たばこ)は控えましょう。
①カゼひきタイプの場合はしっかりと休息をとり、②ストレスタイプの場合は適度な運動や、気持ちに余裕をもった生活を心がけ、ストレス対策をしましょう。また、熱を冷まそうとして、冷たいものをたくさん摂るのはNGです。涼性の性質をもつ食材を適度に取り入れるのがオススメです。
オススメの食材・・・菊花茶、はぶ茶、豚肉、緑豆、苦瓜、トマト、豆腐、れんこん、きゅうり、ゆり根、梨など
口が苦いという不快な症状がある方、一度ご相談されてみてはいかがでしょうか?