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この症状って?

肝機能と肝臓のケアにおすすめの漢方薬

肝臓は、私たちが口にした食物中の栄養分を体内で有効なものに化学的につくり変え、また体内に送り出すといった、生命維持にきわめて重要なはたらきをします。そのため、肝臓のはたらきは化学工場によくたとえられます。

そしてハードワークにも関わらず、肝臓は沈黙の臓器、つまり多少調子が悪くなっても兆候となる症状が現れません。そして症状が現れた時には既に重症になっています。そのため、肝機能の状態は定期的に病院で検査するべきでしょう。

肝機能の低下、そして慢性肝炎や脂肪肝の対策には漢方薬もおすすめです。又、肝臓の調子が悪い場合、本来はお酒を控えるべきですが、二日酔いの予防と改善にも漢方はお役に立ちます。

肝臓検査をイメージしたアイソメトリックイラスト

肝臓をケアする漢方薬


肝臓の状態や体質によって使用すべき漢方薬は異なります。以下に詳しくご紹介します。

慢性肝炎


慢性肝炎とは、肝臓の炎症が最低6ヶ月以上持続する病気です。更に悪化すると肝硬変や肝癌になる可能性が高いです。治りにくい病気ですが、漢方の治療と日常生活の養生を注意すれば、長い目で見ると効果的です。

肝炎の初期には「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という状態であることが多いです。健康な状態では、肝気は春の樹木の枝葉のように四方に向かってのびやかにいきわたります。それによって気血はよどみなく流動し、体のすみずみまで到達します。しかし、怒りや不快感などのストレスが肝にダメージを与えると、肝気の動きが滞り、鬱滞してしまい、様々な症状が現れます。


肝気鬱結の主な症状:脇や下腹部の痛み、イライラ・怒りやすい、食欲不振・ゲップ・下痢

肝気鬱結の代表的な漢方薬:「逍遥顆粒(しょうようかりゅう)」「加味逍遙散(かみしょうようさん)」「四逆散(しぎゃくさん)」「柴胡疏肝散(さいこそかんさん)」「小柴胡湯(しょうさいことう)」「開気丸(かいきがん)」「木鶏丹(もっけいたん)」など



肝炎の中期には「瘀血内滞(おけつないてい)」の状態に至ります。肝気には血を動かすエネルギーがありますが、上記の「肝気鬱結(かんきうっけつ)」の状態が長く続くと、血も気と共に停滞してしまいます。気のみならず血もうっ滞することで肝臓の機能は更に低下してしまいます。

瘀血内滞の主な症状:脇や下腹部の固定された刺されるような痛み、夜になると痛みが強くなる、肝臓にしこり、舌の色が紫で暗い

瘀血内滞の代表的な漢方薬:「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」「田七人参(でんしちにんじん)」「木鶏丹(もっけいたん)」など


脂肪肝


健康な肝臓は、約5%の脂肪をもっていますが、肥満や糖尿病などの代謝性疾患にかかると、より多くの脂肪が肝臓にたまり、脂肪肝となります。

アルコールは肝臓で解毒、分解される際に、中性脂肪の合成も活発にするため、中性脂肪が増え、脂肪肝になりやすくなります。

最近では、飲酒家ではないにも関わらず、肥満や糖尿病を持ち、脂肪肝から肝硬変になってしまう非アルコール性脂肪性肝炎(NASHナッシュ)が問題視されています。

脂肪肝や脂肪肝炎は「肥満」や「糖尿病」「高血圧」「脂質異常症」などの生活習慣病とも密接な関係があります。お酒をあまり飲まない人でも、こうした「メタボリックシンドローム」の要素を原因として、脂肪肝や脂肪肝炎を発症するケースが増えています。こうした「メタボリックシンドローム」は漢方では、痰湿(たんしつ:体の余分な水分が停滞して形成される病理産物)や瘀血(おけつ:血液の循環の滞りによって形成される病理産物)が関与していると考えます。


痰湿タイプの主な症状:暴飲暴食、脂っこいものや甘いもののとりすぎ、運動不足の傾向があり、肥満や高脂血症(脂質代謝異常症)になりやすいです。ひどくなると動脈硬化、狭心症、脳梗塞にもなります。そのほか、頭が重い、体が重だるい、吐き気やめまいがでやすい、痰が多い、むくむなどの症状も表れます。舌にべトベトした厚い苔も見られるのも特徴です。

痰湿タイプの代表的な漢方薬:「温胆湯(うんたんとう)」「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」「五苓散(ごれいさん)」「茵陳五苓散(いんちんごれいさん)」「木鶏丹(もっけいたん)」など


瘀血タイプの主な症状:顔や唇の色が暗い、シミやそばかすが多い、手足の冷え、便が黒っぽいなどの症状が表れます。さらに血行不良が続くと、慢性的な肩凝り、頑固な頭痛や関節痛、女性の生理痛、生理の血に黒っぽいレバー状のかたまりが混じることが多くなります。
「瘀血」は色々な病のもととなります。血がどろどろの状態が続くと、心筋梗塞、狭心症、脳卒中、子宮筋腫、ガン
などになることがあります。舌の色は紫色がかり、また黒いしみのような斑点が見えます。舌の裏側の静脈は太く、時には静脈瘤のようなこぶが見えることもあります。

瘀血タイプの代表的な漢方薬:「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」「田七人参(でんしちにんじん)」「木鶏丹(もっけいたん)」「紅サージ(ほんさーじ)」など


二日酔い


最後に二日酔いの予防や改善によく使われる漢方薬をご紹介します。

まず、二日酔い防止には、予め肝の機能や消化機能を向上させておく漢方薬を使用します。

二日酔い防止の代表的な漢方薬:「木鶏丹(もっけいたん)」「健胃顆粒(けんいかりゅう)」「晶三仙(しょうさんせん)」「田七人参(でんしちにんじん)」など



そして残念ながら二日酔いになってしまった後ですが、その原因である湿熱、熱毒を速やかに体外に排泄させる漢方薬を用います。

二日酔い改善の代表的な漢方薬:「瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)」「茵陳五苓散(いんちんごれいさん)」「勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)」「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」など



本来は肝機能が気になるのでしたら、アルコールは控えるべきですが、どうしても減酒禁酒ができない場合は、アルコール依存症の可能性を疑い、禁酒外来などでの相談も検討するべきでしょう。

治療中の禁酒期間のイライラや落ち込みなどのメンタルの不調にも、漢方は大いにお役に立ちます。

又飲酒で体調を崩している場合も、体調改善に漢方は対応できます。

まとめ


以上、肝機能と肝臓のケアにおすすめの漢方薬をご紹介しました。肝機能の状態はまず病院で調べるべきですが、肝臓のケアには漢方もお役に立ちます。又二日酔いの予防と改善にも漢方は対処可能です。『沈黙の臓器』のケアには、漢方薬局で漢方の専門家に相談して自分にあった漢方薬を見つけましょう。

肝臓のお悩み、どうぞイスクラ薬局にもお気軽にご相談くださいませ♡まずはメール相談をご希望でしたらお試しプレ相談、ご予約でしたらお電話もしくはご予約フォームから承ります♡

参考文献:『いかに弁証論治するか』『からだの事典』『NHKきょうの健康大百科』
監修
佐藤薫
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上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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