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この症状って?

梅雨に向けたアトピー性皮膚炎の中医学対策とは?

梅雨は、日本において1年で最も湿気が多く、気温や天候が不安定になりやすい季節です。雨が続き、湿度が上昇するこの時期は、中医学では「湿邪(しつじゃ)」が最も盛んになる時期とされます。湿邪は皮膚や消化器に影響しやすく、アトピー性皮膚炎をはじめとする皮膚トラブルの悪化につながります。

近年、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎、湿疹などのアレルギー疾患は増加しており、季節の変化による気象要因は悪化の大きな引き金となります。特に梅雨の湿度は、アトピー性皮膚炎の症状を悪化させる重要な環境要因です。

この記事では、梅雨がアトピー性皮膚炎に与える影響と、中医学に基づいた体質改善や食養生、日常生活での注意点を総合的にまとめ、解説を行います。



梅雨とアトピー性皮膚炎の関係


〜湿邪が皮膚に与える影響〜

梅雨は湿度が急激に高まり、室内外に湿気がこもりやすくなります。中医学では、この「湿」の影響を 外湿(環境由来) と捉えます。一方で、胃腸機能が低下することで体内に停滞する湿を内湿と呼び、この両者が体内で結びついてしまうことでアトピー性皮膚炎が悪化しやすいとされています。

アトピー性皮膚炎が梅雨に悪化しやすい理由


  • 湿度による蒸れ → 皮膚のバリア機能が低下
  • カビやダニの増加 → アレルゲン暴露が増える
  • 体表から汗が蒸発しにくい → かゆみが増す
  • 胃腸の弱り → 免疫バランスが崩れる
  • 蒸し暑さによる睡眠の質低下 → 皮膚の修復が遅れる

  • これらの要因が重なることで、赤み、かゆみ、ジュクジュク、乾燥といった典型的なアトピー症状が悪化しやすくなります。

    中医学の視点:六気(ろっき)・六淫(ろくいん)と「湿邪」


    中医学では、自然界の気候変化を「六気(風・寒・暑・湿・燥・火)」とし、通常の変化であれば人体に害はありません。しかし、変化が激しすぎたり、体の抵抗力(正気)が弱くなると、六気は「六淫」となり、病気の原因になります。

    そして、「六淫」の中で梅雨時に最も影響が大きいものは湿邪です。

    湿邪の4つの特徴


    ① 湿は「重く濁る」
    湿邪に侵されると、
  • 頭が重い
  • 身体がだるい
  • 顔がくすむ
  • 目やにや分泌物が増える
  • 尿が濁る
  • 皮膚湿疹が悪化
  • など「重く・濁る」症状が現れます。

    ② 湿は「粘り停滞する」
    湿邪は粘り気があるため、
  • 便がベタつきすっきり出ない
  • 舌苔がべたつく
  • すっきり排尿しにくい
  • 症状が慢性化しやすい
  • アトピー症状も停滞し、治りにくく、再発しやすい傾向があります。

    ③ 湿は「下に向かう」
    湿邪は重く下に向かう水の性質を持つため、
  • 下半身のむくみ
  • 膝の痛み
  • 下肢湿疹の悪化
  • など、身体の下部に症状が現れやすくなります。

    ④ 湿は「陰邪で陽気を損傷する」
    特に 脾(胃腸)の陽気を傷つけるため、
  • 食欲不振
  • 胃もたれ
  • だるさ
  • 下痢
  • が起こりやすく、陽気不足によって体内にさらに湿が溜まって悪循環に。

    外湿と内湿がアトピー性皮膚炎を悪化させる


    ● 外湿とは
    雨・湿度・水辺環境などから受ける湿邪。
    ● 内湿とは
    胃腸機能(脾)の低下などにより、体内から生じる湿。

    外湿が体に入ると脾胃の陽気が弱り内湿を生み、内湿があるとさらに外湿の影響を受けやすくなるため、アトピー性皮膚炎の悪化が続きやすいのが特徴です。

    梅雨時に悪化しやすい病気とアトピー性皮膚炎


    梅雨時には、水分代謝が低下し以下の病気が増加する傾向があります。
  • 湿疹・皮膚炎
  • 胃腸トラブル
  • むくみ
  • 関節痛
  • アトピー性皮膚炎もこの時期に悪化しやすく、特にジュクジュクした湿疹や赤みの増悪がよく見られます。

    水分代謝に関わる三つの臓腑(アトピー性皮膚炎改善のキーポイント)


    以下の三臓腑は、アトピー性皮膚炎を始めとする梅雨時に悪化しやすい病気改善のキーポイントとなります。
    ① 脾(胃腸)
  • 水湿の運化(代謝)を担当。
  • 脾が弱る → 湿が溜まる → アトピー悪化。

  • ② 肺
  • 皮膚・免疫・気の巡りを司る。
  • 乾燥、バリア機能低下、かゆみに影響。

  • ③ 腎
  • ホルモン・代謝・生命力・皮膚の深層に関係。
  • 慢性的なアトピー体質と関連が深い。

  • これらの臓腑のバランスが崩れると、梅雨時の症状は治りにくくなります。



    アトピー性皮膚炎・タイプ別の中医学的対策法


    中医学には、「肌は内臓の鏡」という考え方があります。
    つまりアトピー性皮膚炎は、単に皮膚だけの問題ではなく、体内のバランスの乱れが皮膚に現れる病態と捉えます。中医学では「弁証論治(べんしょうろんち)」という考え方に基づき、患者の体質や症状の現れ方を細かく弁別し、各タイプに適合した対策法を立てます。

    ここでは、アトピー性皮膚炎の代表的な体質タイプと、タイプ別の中医学的対策法について詳しく解説します。

    湿熱型(しつねつがた)


    梅雨の時期に最も多く見られるタイプが「湿熱型」です。

    湿熱型は、体内に湿気と熱が同時にこもっている状態で、炎症が強く、皮膚症状が比較的激しいのが特徴です。湿邪は粘り気があり皮膚に停滞しやすく、そこに熱が加わることで赤みや腫れ、強いかゆみが生じます。

    主な症状
  • 赤く炎症を起こした湿疹
  • ジュクジュクとした浸出液
  • 強いかゆみ
  • 皮膚のベタつき
  • 体の重だるさ
  • 口の粘つきや口臭
  • 尿の色が濃い

  • このタイプは脂っこい食事、甘いもの、アルコール、辛い食べ物の摂取が多い人に見られやすく、梅雨の湿気と重なることで症状が悪化しやすくなります。

    対策法
    湿熱型の治療では、体内にこもった湿と熱を取り除く「清熱利湿(せいねつりしつ)」という対策法を中心に行います。体内の水分代謝を促進し、炎症を鎮めることで皮膚症状の改善を目指します。

    食養生
  • はとむぎ
  • 緑豆
  • 冬瓜
  • きゅうり
  • セロリ
  • 小豆

  • 揚げ物や脂っこい料理、チョコレート、甘い菓子、アルコールなどは湿熱を悪化させるため控えることが大切です。
    おすすめ漢方:イスクラ瀉火利湿顆粒(しゃかりしつかりゅう)

    風熱型(ふうねつがた)


    風熱型は、体表に風邪(ふうじゃ)が侵入し熱が発生して発症するタイプで、急激に症状が悪化するのが特徴です。
    特に季節の変わり目や気温差が大きい時期に悪化しやすく、突然の強いかゆみや赤い発疹が現れることがあります。

    主な症状
  • 急激に広がる赤い湿疹
  • 強いかゆみ
  • 掻くと症状が広がる
  • 皮膚が熱を持つ
  • のどの乾燥や軽い発熱

  • 風邪(ふうじゃ)は「動きやすい」という性質を持つため、皮疹が体のあちこちに移動するように現れることもあります。

    対策法
    風熱型では、体表に侵入した風邪と熱を取り除く「疏風清熱(そふうせいねつ)」という対策法を用います。体表の巡りを整えながら炎症を鎮めることで、急性のかゆみや赤みを軽減します。

    食養生
  • 菊花
  • ミント
  • 緑茶
  • セロリ
  • トマト

  • 辛すぎる食べ物やアルコールは体内の熱を助長するため、症状が強い時は控えるようにします。
    おすすめ漢方:消風散(しょうふうさん)、イスクラ清営顆粒(せいえいかりゅう)、加減五味消毒飲(かげんごみしょうどくいん)、イスクラ涼解楽(りょうかいらく)T

    血虚風燥型(けっきょふうそうがた)


    慢性的なアトピー性皮膚炎に多く見られるのが「血虚風燥型」です。

    血虚とは、体を潤し栄養を運ぶ「血(けつ)」が不足した状態を指します。血が不足すると皮膚に十分な栄養が行き渡らず、乾燥しやすくなり、慢性的なかゆみが生じます。

    主な症状
  • 乾燥した湿疹
  • カサカサした皮膚
  • 夜間に強くなるかゆみ
  • 掻き壊しによる色素沈着
  • 爪が割れやすい
  • 髪の乾燥

  • 慢性的な炎症を繰り返している人や、体力が低下している人、長期間アトピーに悩んでいる人に多く見られます。

    対策法
    血虚風燥型では、血を補い皮膚を潤す「養血潤燥(ようけつじゅんそう)」という対策法を行います。体の潤い栄養状態を整え、皮膚の回復力を高めることが重要になります。

    食養生
  • 黒ごま
  • クコの実
  • レバー
  • ほうれん草
  • ナツメ
  • 人参

  • 体を潤す食材を取り入れながら、潤い栄養を消耗する過度なストレスや睡眠不足を避けることも大切です。
    おすすめ漢方:婦宝当帰膠B(ふほうとうきこう)、当帰飲子(とうきいんし)

    脾虚湿盛型(ひきょしっせいがた)


    胃腸が弱く、水分代謝がうまくいかない人に多いタイプです。中医学では、消化吸収を司る「脾(ひ)」の働きが低下すると、体内に湿が溜まりやすくなると考えます。

    湿が体内に停滞すると、皮膚にも影響を与え、ジュクジュクした湿疹や慢性的な炎症が起こりやすくなります。

    主な症状
  • 慢性的な湿疹
  • むくみ
  • 胃もたれ
  • 食欲不振
  • 軟便や下痢

  • 対策法
    脾の働きを高め、水分代謝を整える「健脾利湿(けんぴりしつ)」が基本になります。

    食養生
  • 山芋
  • かぼちゃ
  • 人参
  • 蓮根
  • はとむぎ

  • 冷たい飲み物や生野菜の摂りすぎは、脾を弱らせるため注意が必要です。
    おすすめ漢方:イスクラ健脾散エキス顆粒(けんぴさん)、イスクラ勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)

    体質に合ったケアがアトピー性皮膚炎改善の鍵


    アトピー性皮膚炎は、同じ症状に見えても体質や原因は人それぞれに異なります。中医学では、皮膚のみに対策の焦点を当てるのではなく、体全体のバランスを整えることを重視します。

    特に梅雨の時期は湿邪が盛んになるため、脾の働きを整え、湿を体内に溜めない生活を心がけることが重要です。

    適切な食養生と生活習慣を取り入れながら、自分の体質に合ったケアを行うことで、アトピー症状の悪化を予防し、皮膚の健康を維持することができます。



    梅雨のアトピー性皮膚炎対策:食養生


    ● 外湿への対策(解表・芳香化湿)
  • 生姜
  • 香菜
  • 紫蘇
  • ゆず
  • 陳皮(みかんの皮)
  • ペパーミント
  • セロリ

  • 湿気を体表から逃がし、気の巡りを良くします。

    ● 内湿をとる(健脾利湿・利尿)
  • 薏苡仁(よくいにん)
  • 小豆
  • トウモロコシ
  • そら豆
  • 冬瓜
  • 黒豆
  • 緑豆
  • あさり・しじみ
  • 昆布・わかめ

  • 胃腸を整え、余分な水分を排出する食材です。

    ● 肝の働きを助ける(ストレス性の悪化に)
  • いか
  • あさり、しじみ
  • レバー
  • クコの実
  • トマト
  • にんじん
  • 菊花

  • ● 行気作用(巡りを改善)
  • 柑橘類
  • セロリ、春菊、セリ、三つ葉などの香りの良い食材
  • パセリ、ミントなどのハーブ類

  • 湿で滞りがちな気の巡りを改善。

    ● 肺・脾・腎を養う(アトピー体質の改善)

    <肺を潤す>
    白キクラゲ、梨、百合根、銀杏、大根

    <脾を補う>
    ナツメ、じゃがいも、山芋類、豆類、栗、うるち米、もち米、人参

    <腎を養う>
    黒米、黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、えび、羊肉、小豆

    <血を補う>
    レバー、黒米、黒豆、黒ゴマ、黒きくらげ、クコの実

    梅雨の生活養生(アトピーの予防)


  • 雨に濡れた衣類は早く着替える
  • 通気性の良い素材の衣服を着る
  • 冷たい飲食、生ものをとりすぎない
  • よく噛んで食べる
  • 部屋の除湿・換気を徹底
  • 入浴して血行促進
  • ストレスを溜め込まない
  • 適度な運動で汗をかく

  • 梅雨の食中毒対策(皮膚トラブル予防にも重要)


  • 手指・調理器具の徹底消毒
  • 冷蔵庫の保存性を過信しない
  • 加熱した料理は冷ましてから保存
  • 生ものは早めに食べる

  • 胃腸トラブルはアトピー性皮膚炎悪化の大きな要因のため、食中毒予防は皮膚炎対策にも重要です。

    アトピー性皮膚炎の中医学対策の総まとめ


  • 梅雨時は外湿と内湿が重なりアトピー性皮膚炎が悪化しやすい
  • 胃腸(脾)のコンディションを整え、湿の停滞しにくい体質に改善
  • 肺・脾・腎三臓の養生が根本改善の鍵
  • 食養生・生活習慣の改善・ストレスケアが重要

  • 湿度の高い梅雨時は、アトピー性皮膚炎にとって試練の季節です。しかしながら、中医学的な視点から体質を改善し、食事・生活習慣を整え・心のケアを行うことで、症状を軽減することは可能です。

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    監修
    佐藤薫
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    上海外国語大学留学中に中医薬膳に出会い、帰国後北京中医薬大学日本校に入学。中医薬膳専科で中医薬膳学、中医中薬専攻科で中医学を学ぶ。現在、イスクラ薬局日本橋店での漢方相談のみならず、日本中医食養学会講師、北京中医薬大学日本校で中医中薬専攻科での通訳を務める。体の基礎を作る食事からしっかり指導できる学会認定不妊カウンセラー。

    「食養生は、中医養生法の礎となるものです。漢方同様、お一人お一人の体質体調に合った食養生法をご提案します。」

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